～ 権力に近い食堂シリーズ132 ～ 杉並区役所（阿佐ヶ谷）の食堂 : Fika Fika

杉並区は東京都にある特別区の一つで、人口は約58万人。東京23区の西部に位置します。
区域は比較的広く、元々は自然豊かな地域として緩やかに開発されてきましたが、関東大震災を契機に人口が増加し、高度成長期にはベッドタウンとして大発展を遂げました。
区域全般にわたって武蔵野台地の上にあり優良な住宅地域が広がるため、早期に開発された街区には細い道が多く、また中小の商店街が根強く残っているのが特徴です。
鉄道は新宿・渋谷方面に直結し、中央線沿いには高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪といった準高級的な扱いを受ける駅が存在する一方で、西武新宿線も上・下井草・井荻付近で杉並区を貫いており、アニメなどサブカル的な雰囲気を纏った地域であるとも言えます。

さて、そんな杉並区の食堂ですが、ちょっと変った事業者に食堂を運営させています。
まず、その事業者である株式会社ワールドビジネスサポートについて説明をしようと思います。

この組織の親会社は、神戸に本社を置く大手アパレルメーカーとして知られる株式会社ワールドです。一時は安売ライバルの伸長などで業績の低迷が報じられましたが、2018年には東京証券取引所第一部へ再上場を果たし、そのブランドは依然として強いものがあります。

そのグループの中で人材育成の部署として存在するのが㈱ワールドビジネスサポートで、ＨＰによれば従業員378名の内、145名の障がい者雇用を行なっているそうです。当社の柱となる事業には喫茶事業があり、その一つとして当店フィーカフィーカ阿佐ヶ谷店の運営を行っていると思われます。

実は、全国の自治体庁舎にある食堂や販売店では、こういった雇用創生事業を兼ねた経営が行われている事をしばしば見る事があります。
これは多くの場合、就労継続支援事業と呼ばれる国の施策で行われているものなのですが、自治体食堂との相性はかなり良いと感じています。それは、障がい者側の就業機会育成にはやはり何らかの支援が必要で、役所内での営業といった地理的なアドバンテージが付与されなければ経営が上手くいかないという現実があります。しかし、それ以上に大きいのは、障碍者の皆さんが、多くの人に「働く姿を見ていただく」という、大きな目的を果たすことが出来るからなのです。

この辺の事情は食べログというサイトの趣旨からやや離れますので、
■まとめ記事・社会福祉事業による食堂【就労継続支援など】
https://tabelog.com/matome/12943/
■さくらごはん（武蔵野市役所・食堂）
https://tabelog.com/tokyo/A1320/A132002/13172951/dtlrvwlst/B361287924/
などに記載しましたので、関心ある方はお読みいただければと思います。


そんな目的を持った杉並区の食堂ですが、区庁舎の１階フロアに喫茶可能なスペースとして慎ましく存在しています。
トーストやケーキ等の軽食やコーヒー（250円）、カフェオレ（300円）などのドリンクを提供しています。私はたまにこの店の北側にあるの窓際の席で、ガラスの向こうの雑踏を見ながらホットココアを飲んでいます。

権力食堂に定番のカレーはハヤシライス（650円）がそれに当たりますが、価格もそれなりですし、付け合わせのサラダはこの日は人参のドレッシングかけです。個人的にはこちらよりもケーキがお勧めかなと感じます。また、セットにすると確か100円引きのサービスはあったと思います。

接客は元気な声のスタッフさんが気持良くあたってくれます。注文・配膳・下げ膳について与えられた役割を一生懸命果たそうとしてくれますよ。もし、人を好きになる事に疲れたら是非とも立ち寄ってみて下さい。私にとっても当店への訪問は、本当のおもてなしについて考える機会になりました。

評点については当事業の理念により加点がありますので、その点をご理解頂きたいと思います。
そして、杉並区役所食堂は権力シリーズ132～134の３部作になります。
次は永福の店になります。