住宅地の中でも更科系の仕事が息づく優良店。抜群のCPの高さ
板橋の前野町に私好みの蕎麦屋が在ることは、随分前から耳にしていた。
場所はバスは近くを走っているようだが、電車だと東上線の「上板橋」と都営三田線の「志村坂上」の中間付近で、双方から20分近く歩くかなり奥まった所。
好天ながら風の冷たい土曜日、意を決して我が家から城北公園などを抜けて、1時間ほどの道のりを歩いて訪れる。
完全な住宅地の中の細い道に面しており、佇まいも清楚で控えめ。
スマホのマップが無ければ、なかなか辿り着けなかったと思われる。
店内はゆったりとしたスペースに、小上がりとテーブル合わせて20席ほど。
時刻はちょうど12時で、ご近所と思われる幼児を交えた家族連れなど3組の先客が居る状況。
一人の私は、中央の6人掛けのテーブルの端を選ぶ。
店は中年のご主人夫妻お二人で、切り盛りしている様子。
まずは瓶ビール(サッポロ黒ラベル)で始める。
お通しには「揚げそば」が付いた。
メニューは定番の他に、壁に掲示された'季節のおすすめ'も魅力的で、昼でもどれでも注文OKとのこと。
まずは「そばみそ」(300円)を頼んだが、杓文字に塗り付けて炙る'一茶庵スタイル'。
蕎麦の実の食感が楽しく、味噌は数種を合わせているようで少し甘目だがオリジナリティが感じられる。
「あさりとみつばのかきあげ」(350円)。
季節の天種は豊富で、牡蠣や白子、さらに百合根や蕗の薹なども気になったが、揚げの技術を確認してみたくてこちらを選択。
運ばれたかき揚げは結構な大きさで、しっかり目の火通りでサクサクの食感ながらアサリは硬くなっておらず、その旨味や三つ葉の香りも生きている。
敷紙の油染みがやや気になったが、概ね上手な仕上がり。
酒におすすめの「魔斬」(600円)を冷酒で注文。
山形の「初孫」を出している酒蔵の銘柄で、きりっとした味わいが好ましい。
肴には「黒バイ貝煮」(350円)を追加。
やや小粒だが温かい状態の、殻付きの5個が登場。
添えられた竹串を使い、肝が千切れないようにゆっくり回しながら身を抜き取る。
歯応えは硬めだが味は濃く、なかなか美味しい。
酒に「菊正」を燗でもらう。
燗にしても樽香が芳しく、これで一合400円は破格である。
天つゆで潤びた揚げ玉や、旨味たっぷりのバイ貝の煮汁もしっかりと肴として楽しめて、寛いだ時間が流れる。
蕎麦の品書きを眺めると「もり」の他に、「御前そば」や「かわり蕎麦」などが並んでおり、更科系の色合いが感じられる。
季節の「すだち切り」にもそそられたが、今回は基本の「もり」(650円)を一枚。
黒塗りの蒸篭に盛られた蕎麦は、江戸前伝統の細目に揃った'二八'で香りもしっかり。
茹で上げや水切りもきちんとしており、シャキッとした歯応えと軽快なのど越しが楽しめる。
つゆは濃いめで少しまったりしているが、出汁の旨味とかえしのコクのバランスが取れた私好みの味わい。
徳利で出されるひと手間も好ましい。
薬味の山葵だけが残念だが、値段からすれば仕方ない。
蕎麦湯は手が加えられており、少々粘度が感じられるが苛々するほどでは無かった。
たっぷりと注いで、美味しいつゆを余さず頂く。
お勘定は内税で3,000円ちょっとは、内容からすれば申し訳ないような安さ。
自宅に併設されているとは言え、真っ当な手打蕎麦屋にしては異例ともいえるCPの高さである。
帰り際に女将さんに話を伺うと、開店から15年ほどとのこと。
ご主人の修業先を訊ねると、築地の「さらしなの里」と大井の「布恒」の名前が挙がってきた。
両店とも更科系ではきちんとした仕事ぶりを見せる佳店であり、蕎麦前の充実やつゆの味に合点がいく部分が認められる。
わざわざ足を運んだ甲斐の有る、満足度の高い「蕎麦屋酒」を楽しめた。
蕎麦屋の場合、初訪のみでのレビューは控える方針だが、はっきりとした出自とその手法がきちんと受け継がれたひと通りの仕事内容が確認出来たため、アップさせて頂いた。
便は悪くとも再訪したい気持ちは強い。
店名 |
Kyouka(Kyouka)
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類型 | 蕎麥麵、烏龍麵 |
03-3969-8775 |
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可供預訂 |
無法預約 |
地址 |
東京都板橋区前野町6-47-10 |
交通方式 |
バス停「前野小学校」(赤羽~ときわ台)から徒歩4分 距离上板橋 981 米 |
營業時間 |
營業時間和假日可能會發生變化,因此請在用餐前諮詢餐廳。 |
預算(評價匯總) |
¥2,000~¥2,999¥4,000~¥4,999
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付款方式 |
无使用卡 无使用電子錢 无使用二维码支付 |
服務費收費 |
サービス料なし |
座位數 |
18 Seats |
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個人包廂 |
不可能 |
包場 |
不可能 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
可能的 2台 |
空間、設備 |
平靜的空間,有日式包廂 |
酒水 |
有日本清酒,有燒酒 |
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此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
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位置 |
神秘不為人知的餐廳 |
關於兒童 |
接待兒童 |
備註 |
カウンター席なし |
穏やかな天候の10月半ばの日曜日、運動不足解消に少し歩こうと久々に向かったのはこちらの蕎麦屋。
50分ほどで何とか到着したが時刻は11時半近く。
こちらは11時開店のため混んでいるかなと心配したが、先客は2組4人と言う状況。
愛想の良い女将さんの'どちらでもどうぞ'の声に、右手の4人掛けのテーブルを使わせてもらう。
まずはビール(黒ラベル中瓶)で始める。
お通しにはまだ暖かい「揚げ蕎麦」が付いた。
肴類は冊子に載る定番の他、中央の大テーブルの脇に10種類ほどが貼られている。
その中からまず2品を注文。
「ながらみ塩ゆで」(300円):居酒屋でお通しとして出されることが多いが、この日の初注文だったため茹で立ての熱々が5個登場。
添えられた竹串を使うと案外すんなりと身が取り出せ、さすがにボリュームは無いが貝独特の凝縮した旨味は楽しめた。
「江戸前天ぷら盛り合わせ」(1000円):天種は「あなご・きす・めごち」で、魚のみで野菜類が一切無いのが江戸前の証。
穴子は程よい大きさで、カリカリに素揚げされた骨も添えられている。
鱚とメゴチは小振りだが、何れも薄衣でサクッとした揚げ上がり。
小魚は塩で、穴子はおろしたっぷりの天つゆで頂くが美味い。
酒はまずおすすめの掲示から「会津錦」をもらう。
すっきりした口当たりとふくよかな味わいが良かった。
11時半ごろからぽつぽつと後客が来店したが、回転がよく混み合う程ではない。
もう少し飲みたいと「菊正宗 樽純米」を追加したが、やはり老舗蕎麦屋で慣れ親しんだ味は性に合う。
肴にも定番の2品を追加。
「蕎麦味噌」は杓文字に塗り付けて炙るスタイルだが、甘みの少ない赤味噌ベースは珍しい。
たっぷりと混ぜられた炒った丸抜きの歯触りと香ばしさも良く、これで300円は安い。
「いたわさ」はプリッとした食感の結構な上物で、厚めに切った2枚分がお洒落にカットされている。
450円の値段で本山葵のおろしが付く点に感心。
蕎麦は「十割」にしようと思ったが、先客のほぼ全員がこちらを頼んだようで早々に品切れ。
そこで'本日の変わりそば'の「れもん切り」を注文。
更科粉にレモンの風味が加わり清廉な食感。
広島産と付記されており、ノーワックスのため下ろした皮も混ぜ込まれており、ほど良い香りが好ましい。
つゆの出来も上々で、返しと出汁のバランスの取れた仕上がり。
徳利を使うひと手間も嬉しい。
結構濃い目だが、先端のみを浸して啜れば爽快な喉越しが楽しめた。
薬味にはこちらにも本山葵が付く。
蕎麦湯は手が加わっており、粘度や白濁が強いのが残念。
なるべく揺すらないように注げば、〆はまずまずの満足感。
期待通りの快適な時間が過ごせた。
今回の変わり蕎麦の出来は良かったし、蕎麦前を楽しませる肴もきちんとした仕事ぶりを確認。
勘定は4,500円くらいで、内容からすれば極めて良心的。
女将さんの穏やかな接客ぶりも好感が持てる。
休日のこともあり後客は幼児を交えた家族連れなどで、近隣住民に親しまれていることが分る。
わざわざ足を運んだ甲斐が有った。
頻繁にはとはいかないが、これからも定期的に訪れたいと思う。