松月/その愛しきパワーワード
「あんた何やってんの ! バカじゃないの !?」
バカという懐かしい響きに反射的に振り向いてみれば、歩道の自転車と歩行者を分離する為のあのソフトなポールを、ふざけて跨いで通過する度にその反発力を股間に味わいつつ(笑)進んでいた女の子が、お母さんからあんた幾つなの ? と怒られていたところ。
そのバカというパワーワード[注]から受ける堪らない郷愁に、否が応にも自分も生粋の足立区民であったことが鮮やかに蘇る
注) 東京人がバカと言ったとき、このことは関西人においてのアホも同様と思うが、それはすべからく相手に対する幾ばくかでもの愛情が同梱されるべきものであると、私は信じて疑わない
異常なまでの蒸し暑さを覚える屋外。
雲は、そんなには厚くなく見えるが、全然傘をさすまでもない程度なんだけど、雨がぷつぷつと
<H29.7.2 西新井>
道往く女の子、ヤングママ含め、これは地元贔屓ということでは決してないんだけど、意外にも美人が多いと思う。赤羽なんかから比べたら全然 ! (やめなさい !)
「松月」
暖簾を割るとともに後付けで更新したと思われる自動ドアを入り、一番入り口付近の四人掛けの席へと着いた。
時刻は十二時半。
卓の埋まりは七分ほど。着席して店内をぐるりと一周見回した時点で、どんなお蕎麦が出てくるかはおおよそ想像がついたので、後はどんな丼を付けるかだけを検討すれば、それで事は済んだ
“玉子丼定食/お蕎麦大盛り” @950
冷たいのを大盛り、とお願いした蕎麦はぶっかけ式で供されたが、特に落胆はしていない。お蕎麦がずばり想像通りの大衆お蕎麦屋御用達のものだったので、逆に拘りは不要と思ったからだ。
おもむろに丼の蓋をオープンセサミ。
そこには私の永遠に希求するたっぷりとしたイエロウが ! この玉子丼はほんとうに久しぶり、割り下の甘さと辛さが私にマッチした絶妙なものだったが、逆説的に考えれば、寧ろ幼い頃からこの味で育ったからこそ、私の味覚がこの地点にフォーカスされたのかも知れない。
大したことのないお蕎麦を (おいおいおい!)、このどんぶりが巧みに援護しているようだった
店名 |
Shiyou Getsu
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類型 | 蕎麥麵、烏龍麵 |
預約・查詢 |
03-3886-6416 |
可供預訂 | |
地址 |
東京都足立区西新井栄町2-6-6 |
交通方式 |
距离西新井 108 米 |
營業時間 | |
預算(評價匯總) |
~¥999
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付款方式 |
无使用卡 无使用電子錢 |
個人包廂 |
不可能 |
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包場 |
不可能 |
停車場 |
不可能 |
此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
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仕事絡みのお通夜で、「せんげん台」という見たことも聞いたこともなかった駅からの帰り道。
最初は北千住とつながるので、そこから西日暮里に出て、ぼくの青い電車で帰るという発想しか思い浮かばなかったが、帰り道にその電車が北千住の前に西新井に止まるということに気づき、そこから環七の都バスで帰るという方法をにわかに思いつく !
だったらば人生初の西新井酒に勤しもうと意気揚々、電車の中で目星をつけていたおそば屋に向かおうとしたら ……
―― 雨降ってるじゃん ! やむって言ってたよね~ !
<R5.4.12>
「松月」
そんな予想外の雨の中をおそば屋さんの前まで歩いてみたものの、哀れ灯かりがともっていなく、お休みのよう。
見回してそこらへんにある居酒屋は、ちょっと入ってみるのが憚(はばか)られ(笑)、リスクヘッジという意味で同じくそば屋を狙うと、訪問歴のあるおそば屋がヒットした。その当時の自らの感想は特別のものでもなかったが、私が十条の大したことないそば屋で(こらっ !)実践している、飲んで摘まんできしめん ! をやればいいじゃないかと(それがリスクヘッジと言った意味だけど)、意外にも自動化されている戸をくぐっていく
「お燗しますか ?」
「冷えたのありますか ?」
「冷やしたのあります ♪」
「あと納豆ください」
―― 素の納豆に450円というのは、果たして高いのか安いのか ? それが決まるのは、パックに付いてる出汁しょう油をそのまんま付けてくれるかどうかで、お店はたいてい、格好をつけてそれをしてくれない …… (涙)
町場のおそば屋としてけっして狭くはない店内には、足立区らしくヤンヤンママ的なお店の女性に、私と同世代かそれよりも若いご夫婦、または不倫カップル(こらっ !)が一組。
BGMはテレヴィジョンからの、湖の水面を走るヘラジカと、プールの水面を走る猫で、ともにCG映像ではないという !
CMのあと答えが明かされるとのことで非常に楽しみに待っていてたのだが、これは納豆をかんますのに夢中になってしまったか何なのか、自分でも分からないのだが、その種明かしを見逃してしまってYouはshock !
水面を沈まず渡るには、右の足が水面に着いたらその足が沈む前に左足を着き、その左足が沈む前に今度は右足を着く、ということを超高速で繰り返せば良いことは、私も机上理論で既に知ってはいたが、猫の動きを見ても、そんなに必死じゃなかったんだけどなぁ ……
(先ず机上理論で沈むことを理解しろお前は !)
納豆は、やはりパックについている出汁しょう油はなく、生(き)のしょう油で ……
それでもその納豆に暫し夢中になりながら、時期注文の検討をしようと品書きを手にとっただけで、向こうのテーブルでくつろいでいたヤンヤンママ(ヤング&ヤンキーママ)の花番さんを立ち上がらせてしまって何か申し訳なく思ってしまい、また「なめんなよ !」される前にと慌ててしまって、どうでもいい板わさを注文してしまった(こらっ !)。
その板わさはわずかにふた切れで、それは良いが、大切なナルトをワサビ置き台に用いるとは何事か ! と丁寧にワサビを除けて、まずはナルトから味わう。
ぼくはナルトの入っていない玉子丼などクリープを入れないcoffeeと同じだと、前からことあるごとに世間に向けてアナウンスし続けているのだ。
けど、ナルトだけ食べてもたしかに、そんなに美味いもんでもなかったけどね
しかしふた切れだと思っていたかまぼこは、隠し包丁が入れられており、結果6Pになっている !(それって隠し包丁って言うの ?) 続いて「いらっしゃい」との声が聞こえて入って来た男性が、厨房へのウェスタンドアを割り入ったっきり出てこないような気がしているのだが、向こうに客席もないだろうに何だったんだろう。ヴィジュアル的に平家の落ち武者にも夏八木勲にも見えなかったが、地縛霊だろうか …… またふたりで入って来た母娘は、ふたりしかいないのに、おそば一つずつにかつ丼まで注文しており、人数と料理の数が一致せず
(ただ娘さんが二つ食べるだけでしょ !)
そんなM・ナイト・シャラマン感高まる中、〆に味噌煮込みうどんを注文してみたら黙っていっしょに伝票が付いて来たので、こっちも骨の髄まで足立区民 ! 永遠の反逆児としての本能が疼いてしまい、無駄にお酒をもう一つ注文してしまう !
味噌煮込みうどんは、これって八丁味噌ぢゃないのかなぁ ……
(そんなのどうだっていいだろ !)
で、肉も入っていないようなのに、油だけがけっこう浮いてて
(それはけっこう気になる)
名古屋駅地下街の味噌煮込みうどんを想像して注文したのだが、うまく言えないけどけっこうイメイジと異なっていて、これも家系ってやつなのかなぁ …… ?
家系味噌煮込みうどんだな、うどんの歯応えはまったくないけど
【今日のご飯】
冷酒 *3 @600
納豆 *1 @450
板わさ *1 @650
味噌煮込みうどん *1 @1,200
〆て4,100円也