陣馬山で年越しそば「後編」 : Jimba Soba Yamashita Ya

それにしても動けば暑いし、止まれば寒い。山頂の清水茶屋でいっぷくしている間も徐々に身体が冷えてくるのです。

重い腰を上げ、上りとは違うルートでの下山途中、このまま進むとどうも迷いそうだと不安になったり、やたら足取りの軽い怪しげなおじさんに背後をとられ不安になったりしながら、ひたすら歩きます。1,000メートルに満たない山でも、登山経験の無い私にはほど全てが未知との遭遇なのです。

体重があるので上りよりも下りの方が格段に楽に歩けるのですが、調子にのると間接を痛めそうで、一体どういう歩き方が効率的なのかを試しながら歩を進めるうちに、川の音が聞こえ、登る時に見た朽ちた家を通過し、陣馬高原下のバス停に戻って参りました。

このバス停のすぐ隣に「陣馬そば山下屋」はあります。山頂ですでにそばを食べていますが、もういちど「年越しそば」を頂きます。こちらの陣馬そばは薄らと緑色をしており、お店の方曰く登録商標もしている60年来の味で、よもぎを混ぜた蕎麦だそうです。

まあ正直言うと普通の蕎麦が食べたかったのですが、よもぎは嫌いではありません。特に2015年はよもぎの混ざったパンを沢山食べた１年でしたので、これもなにかの縁でしょう。

自家製の味噌をつまみながらビールで喉を潤し、よもぎの香るそばを食べます。甘めのつゆ、薬味は葱とコチュジャンにも似た自家製七味という珍しい組み合わせです。「金ぷら」という天ぷら盛りも注文し、1時間に1本のバスを待ちながら、さらに升酒を飲み、ご主人と二言三言かわしてお店を出ました。

「またゆっくり来て下さい」「良いお年を」なんて言われたもんですから、今度はゆっくり来てみようかなと。