官方消息
本店已登錄為TabeLog店家會員。本店相關營業資訊,是由店家人員所公佈。
熾火で魅せるオープンキッチン、勝負をかけた渾身のリニューアル
カーヴ・ユノキは、廻船問屋の蔵を利用した独特の雰囲気の空間で、富山の新鮮な旬の素材を鮮烈な料理に仕立てるフレンチの名店だ。8月7日にリューアルオープンし、店の看板とも言える「熾火」を厨房の中央に置き、カウンター席を造り、「フルオープンキッチンスタイル」にした。メニューは、昼夜ともに税込み19,800円(別途サービス料)のコースに統一した。昼夜とも定刻に一斉スタートで、ディナーは1日1組に限定していたのをやめた。5月にミシュラン1つ星を獲得し、コロナ禍の中でも、あえて勝負に出たかたちだ。
【料理、味】
料理は、ほぼ富山産をメインにしている。鮮度にこだわり、魚は、基本的に生きたものに限って仕入れる。そのため、シェフ自らが早朝の漁港に足を運ぶ。今回、カウンター席ができて、シェフの調理の様子が見られるようになった。目の前に見えるのは、主に熾火で火入れする作業と、盛り付けと最後の仕上げだ。熾火を自在に操り、素材ごとに火入れの仕方を変えて、どれも絶妙な仕上がりだ。その作業とできあがった料理には、余計なものをそぎ落として素材を生かす、研ぎ澄まされた技術と感性が感じられる。
1.アミューズ
カワハギ(魚津)のカルパッチョ仕立て、サラダとともに。
カワハギは鮮度が抜群で、こりっとした歯ごたえとサクサクとした食感がある。
2.富山エビ
富山エビ(ボタンエビ)は、驚くほどの特大サイズで、生きたまま流通するのは夏のこの季節だけとのこと(水揚げは1年じゅうあるが、すぐ死んでしまう)。2通りの食べ方でいただく。
まずは、生のまま岩塩だけで。身の中までみずみずしい張りがあり、シャキッっとしていて、とろみが少ない。甘みはすっきりしてクリアな感じだ。ボタンエビというと、口の中で甘くねっとりとろけるイメージだが、本当に鮮度のいいものは、全然違う食感だった。
もう一つは、富山エビに塩とオレンジの皮の香りをつけて、万願寺唐辛子のガスパチョと爽やかな酸味のフロマージュブランにつけていただく。
こちらは、エビの身の鮮度感とともに、塩気ととろみを感じる。ガスパチョは、万願寺唐辛子のほのかな苦みや甘みを含んだ風味をマイルドにまとめ、夏らしさを感じさせる。
3.ニシバイガイ(新湊)
熾火で半生に火入れしたニシバイガイを、ツルムラサキのソースにツルムラサキの新芽を添えて。
ニシバイガイは、半生にすることで、生のコリコリ感と火入れした弾力とを併せ持つ食感になっている。ツルムラサキのソースは、バイガイの味を邪魔せず、甘みを引き立たせているように感じた。
◇ライ麦パン
パンは、仕上げに、熾火で表面を焼いて、熱々焼きたてで出す。甘みを抑えたハード系だが、そんなにすごく固くはない。表面はかりかりで、結構焦げ目もある。
4.タコ(魚津) ※本来は,この時期は岩牡蠣が出る。
熾火で柔らかく火入れしたタコを、赤ヒジキと黄色いズッキーニとともに、ディルの香りをつけ、ビーツのビネグレットソースでいただく。(以前受けた説明によると1時間かけて火入れする)
タコはゲソの部分で、ジューシーで弾力のある歯ごたえ、ヌルっとしたとろみ、吸盤のぷちぷち弾ける食感が、きしめん状にスライスしたズッキーニのしゃきしゃきした歯ごたえと絡み合う。酸味をきかせたソースもさわやかで夏らしい。
5.アユ(富山産)
熾火で焼いたアユに、根セロリのピューレを合わせ、オーストラリア産のサマートリュフと緑の夏野菜のパウダーをまぶしていただく。
アユは、日本料理の塩焼きによくあるような塩気や苦みが少なく、マイルドで食べやすい。それにソースとトリュフを合わせると、より味が丸みを帯びる。根セロリは、セロリのようなくせのある青臭さはないが、セロリ的なすっとする風味がある。フレンチならではのアレンジで、アユの醍醐味を堪能できた。
6.エイヒレ(魚津)
熾火で焼いたエイヒレを、新玉ネギとニンジンとともに、酸味をきかせたバターソースでいただく。
エイヒレは、軟骨部分がコリコリで、ヒレ本体はゼラチン状で非常にジューシーにとろける。バターソースは濃厚で力強い。
7.ノドグロ
熾火で焼いたノドグロに、満寿泉の米糀の餡を合わせ、スダチの皮をまぶした。ノドグロと餡を合わせていただく。
ノドグロは、皮がぱりぱりで香ばしい。米糀の餡は、それだけだとかなり酸味が強いが、ノドグロと合わせて食べると、ノドグロの脂と米糀の酸味が融合して、しっとりさわやかな味わいになる。
8.池多牛
満寿泉の酒粕を飼料として育った池多牛のサーロイン。フィレンツェナスのピューレを添えて、甘めのソースと、好みに応じて黒コショウでいただく。
池多牛は、熾火でじっくり火入れしてあり、断面は赤身のような色で、ナイフがすっと入る柔らかさだ。口に入れると、ジューシーすぎるほどジューシー。ボリュームも結構ある。個人的にはもう少し脂が少なめで、より肉の味わいのする方が好みだが、これぞ池多牛というおいしいさだ。フィレンツェナスは、ネットを見るとかなり高級な品種で、一般的なナスとは違う濃い味で、少しスパイシーな味つけがしてある。
9.デザート1
黒部で育てられた山羊の乳で作ったヨーグルトを使ったアイスクリームに、熾火の風味をつけた。3種類の枝豆(茹でたもの、パウダー、フリット)とともに、いただく。
アイスクリームは、嫌にならない程度のマイルドな感じで山羊の風味をきかせている。
10.デザート2
朝日町にある藤田農園の朝獲れのトウモロコシのアイスクリーム。
アイスクリームはカスタードをベースにして、トウモロコシの風味を加えていて、甘くて濃厚な味わい。
【雰囲気、内装】
リニューアルしたのは、主に厨房まわりで、全体の雰囲気は以前とあまり変わらない。入り口付近に食器を置いていた大きなテーブルがなくなり、代わりに収納スペースが新設され、お寺の庫裏のようにガランとしていたのが、少しスタイリッシュに変わった。ムーディーなBGMとその音質は、レストランらしからぬハイクオリティーだ。
【サービス】
シェフとアシスタントの2人体制で、特に何かを期待することはない。厨房では、シェフが1人で絶えず忙しく調理をしていて、あまり話をする余裕はない。ドリンクのメニューがないのは相変わらずで、やはり少し不便な気がする。
【CP】
リニューアル前は、ランチが6,600、8,800、11,000円、ディナーが8,800,13,200,17,600円(別途サービス料8%)だったから、値段が2倍以上に上がった。8800円のランチで十分に満足できたので、それと比べると、品数が増えて高級食材を使ったことを差し引いても、コストパフォーマンスが下がった感じは否めない。それでも、ランチも内容はディナーと同じなので、そう考えれば納得はできる。
【総合評価】
ハイレベルで、東京にはない鮮度のよい富山ならではの食材を楽しめ、県外からでも足を運ぶ価値のある店だ。値段は上がったが、季節ごとに訪れたい。
異空間の蔵の中、独創性と鮮烈さがみなぎる先鋭的なフレンチ
カーヴ・ユノキは、富山の旬の素材を駆使した、五感を刺激する先鋭的なフレンチのお店だ。注目の美食エリア富山市東岩瀬にあるミシュラン1つ星店で、廻船問屋の蔵を活用した店舗は、独特の雰囲気の異空間だ。
【料理、味】
ランチは、4品6,000円、6品8,000円、7品10,000円(サービス料8%、消費税別)の3コース。今回は、8,000円(税サ込み9,504円)のコースを選択。富山の旬の素材を用い、シェフの研ぎ澄まされたセンスと技術で、五感に次々と鮮烈に訴えてくる、独創性がみなぎる料理だ。
1.アミューズ
①白エビにキュウリ、大葉、ディル、満寿泉の米糀のチップス
口にすると、大葉とディルの爽やかな香りが広がる。キュウリのしゃきしゃき感と、チップスのパリパリした食感があり、白エビの柔らかな甘みがじわっとくる。
②新ジャガイモのクロケット、ふきのとうの風味
クロケットは熱々で、ふきのとうの春らしいほろ苦い風味をやさしくふわっとまとっている。クロケットに刺してあるのはクロモジ、一番下には、飾りとして麦芽が敷き詰めてある。
2.山菜と米糀のリゾット風
一番上には、シャク(野生の山人参)の葉と花をあしらい、その下に茹で上げたコゴミとコシアブラ、その下に、コゴミのピューレと、満寿泉の米糀をリゾットのようにして盛りつけた。麦芽と2種類のナッツを小さな粒状にして、茶色い土に見立てて全体にチラしてある。
コゴミは意外と苦みが少ない。コシアブラは、緑色が鮮やかできれい。リゾットは、米糀の甘い風味が豊かで、和風のお粥のようなとろみと柔らかさだ。「土」に見立てた麦芽とナッツは、ふりかけのようにカリカリした食感のアクセントになっている。
・パン ハード系のフランスパン。
3.ニシバイ貝とカリフラワー
新湊産のニシバイ貝は、越中バイ貝とも言い、ツブ貝に似たごつごつした貝。コリコリというよりも赤貝のようなソフトな歯ごたえで、パツパツして小気味よい。カリフラワーは、生のスライスとピューレ。スライスの方は、キャベツの芯の部分のようなほの甘さと歯ごたえ。ピューレは甘みのあるクリーム仕立てで、微妙にマヨネーズのような風味も感じた。
4.富山湾の魚介のブイヤベース
富山湾で獲れた魚介を、塩を使わず水とサフランで3日間煮立て、魚本来の風味を引き出したブイヤベース。非常に濃厚で、魚介の旨味のエッセンスが複雑に凝縮した感じ。エビの殻を炙ったような味と香りも感じた。「鮨人」の定番の1つ、「かぶす汁」(魚のエスプレッソ)のフレンチ版だ。
5.真ダコ(新湊産) 熾火焼き
真ダコは、熾火で1時間かけてゆっくり火入れしたもの。薄くスライスしたウルイと山ウドを炒めて合わせ、八尾の大中谷の野生のクレソンをあえ、ビーツを使った酸味のあるソースを合わせた。
真ダコは、長時間火入れしたとは思えないほど、みずみずしく柔らかくて張りもあり、かむと口の中で滑らかに踊る感じだ。吸盤の部分はぷちぷちと水分が弾けるような歯ごたえがある。ウルイと山ウドの歯ごたえ、クレソンの苦みもアクセントになっている。
6.マナガツオ(新湊産) 熾火焼き
マナガツオは、刺身にしたら歯ごたえのある白身の魚で、その腹身の部分を熾火でゆっくり焼き上げた。マナガツオの下には、ズッキーニのソテーを敷きつめ、ソースは、ハーブの風味をつけたバターソース。
マナガツオは、皮目はパリパリして香ばしく、肉厚な身の部分はわりとふんわりして、ハラスの部分は脂があって口溶けする。そこに、バターと香草の風味に少し酸味の加わったソースをからめていただく。
7.子山羊のもも肉のロースト
黒部の吉田牧場で育てた、春先だけの生後40日前後の子山羊を使用。ソースは、山羊の骨やスジからとったソース。付け合わせにはアスパラ、県内産のグリーンピースとそら豆にシェーブルチーズ(山羊の乳のチーズ)のソースをからめたもの。さらに、皿の縁の方には、山羊が食べている野草やその他の野菜をパウダーにして散らした。
子山羊のローストは、たとえて言うと、火が芯まで通りきらない鶏のもも肉のような弾力感があり、中心部にややレアな感じが残っていて、それがいい歯ごたえになっているとともに、山羊特有のクセのあるテイストを醸している。ただ、若い子山羊だから、クセは少ない。この微妙な風味がないと、鶏肉と大差ないような気もするから、これはこれでよいと思う。山羊の骨やスジからとったソースは、皿に薄くはっただけだが、クセと歯ごたえのある肉に負けない濃厚で強い味だ。豆にからんだシェーブルチーズも、クセのある酸味で、苦手な人は苦手だろう。コースの最後にきて、なかなか強烈な山羊づくしで攻めてこられて、早く口直しがほしくなった。
8.デザート
紅はるかを使ったスイートポテト、アカシアのハチミツを使ったアイスクリーム。食感のアクセントとしてメレンゲを砕いたものが全体にまぶしてある。
スイートポテトは、表面に焼き目のついた皮はごく薄くてぱりぱりで、皮を破ると中は非常に熱々だ。口にしてみると、紅はるかの甘味と素材感が、いもそのもの以上に洗練され凝縮されている。生クリームなどの混ぜ物は極力抑えつつ、紅はるかそのものの味、しっとりほくほくした食感、口溶けのよい滑らかさを、絶妙のバランスでまとめている。おそらく、これは、テイクアウトや市販はできない精巧な作品だ。こんなスイートポテトは、今まで食べたことがない、と思わずうなった。
9.コーヒー OR 紅茶 OR ハーブティー
【ドリンク】
ワイン類のボトルのリストはホームページに掲載している。が、その他はメニューがなく、口頭でこんなのがありますと説明されるだけなので、やや注文しづらかった。後で明細を見たら、ノンアルコール類はわりと手頃な値段になっていた(スパークリングぶどうジュース900円、トマトジュース600円)。
【雰囲気】
廻船問屋森家の奥行きの長い巨大な蔵を数店舗に仕切った1区画がここのお店。隣りには酒店やガラス作家の工房が並ぶ。
お店の中に入ると、そこは、古い教会か寺のお堂の中のような、ガランとした四角い空間だ。天井は見上げるほど高い。土壁と古い木組みの構造で、高い天井の裸電球と天窓の明かりに照らされて見えるものは、大半がほの暗い茶色だ。何か宗教的な、厳粛な雰囲気もある。通路も仕切りもなく、入り口付近に食器置き場のテーブルがあり、右手に厨房、奥の方にウェイテイングスペースの白いソファと、ダイニングスペースが並んでいる。ダイニングスペースに、2m✕4mほどの大きなテーブルが一つだけある。木目が鮮やかで黒光りして重厚だ。雄山神社の樹齢5百年の神木の杉から切り出した板2枚をつなぎ合わせていて、客は全員これ1つを囲んで座る。
古びた土壁に囲まれたガランとしてほの暗い空間で、雰囲気はあるが、大きなテーブルに”相席”で、木製のイスは座面が堅くてお尻が痛くなり、居心地は微妙だ。
【CP】
広い空間を少ない客数で利用して、ハイレベルな料理を1万円ぐらいでいただけるのは、かなり贅沢なことに思える。これで店の経営を成り立たせるために、相当な努力をしているはずだ。
【総合評価】
独創的で鮮烈な料理は、素材のよさと技術の高さ、先鋭的で挑戦的な気迫を感じる。その点で、利賀村の2つ星オーベルジュ「レヴォ」との共通性を感じる。五感の刺激と未体験の驚きを求めて、また行ってみたい誘惑にかられる。価格も意外と良心的だ。
【参考情報】
カーヴ・ユノキがある東岩瀬の古い町並みが残る一角は、メインストリートのうちの50メートルほどの中に、ミシュラン北陸版2021に掲載された店が4店もある(2つ星の「ふじ居」、1つ星のカーヴ・ユノキ、ビブグルマンのピアット・スズキ・チンクエ、ミシュランプレートのGEJO)。
店名 |
Cave Yunoki(Cave Yunoki)
|
---|---|
類型 | 法式 |
預約・查詢 |
076-471-5556 |
可供預訂 |
僅限預約
当店は完全予約制のレストランとなっております。1週間程前から食材の調達・準備を行っております。この点をご理解頂きご予約頂ければ幸いです。 |
地址 |
富山県富山市東岩瀬102 森家土蔵群二番 |
交通方式 |
富山ライトレール東岩瀬駅徒歩10分 距离自行車競賽場前 501 米 |
營業時間 |
|
預算 |
¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999 |
預算(評價匯總) |
¥30,000~¥39,999¥20,000~¥29,999
|
付款方式 |
可使用卡 (JCB、AMEX、VISA、Master、Diners) 无使用電子錢 |
服務費收費 |
サービス料10% |
座位數 |
10 Seats ( 通常カウンター席7名。(7名様以上の場合テーブルで10名様まで対応)) |
---|---|
個人包廂 |
不可能 |
包場 |
可能的 可接受20人以下 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
可能的 10台 |
空間、設備 |
時尚的空間,平靜的空間,座位寬敞,有吧檯座位 |
酒水 |
有日本清酒,有葡萄酒,對日本酒講究,對葡萄酒講究 |
---|---|
料理 |
對魚類料理講究 |
此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
---|---|
位置 |
神秘不為人知的餐廳,家庭式餐廳 |
服務 |
可提供慶祝・驚喜的服務,可自帶飲料 |
服裝規定 |
堅苦しいドレスコードなどはありませんが、男性の半ズボンやサンダルなど軽装でのお食事はお控え下さい。 |
網站 | |
店鋪公關 |
2021年8月リニューアルオープン致しました
富山市東岩瀬に当店はあり江戸時代より北前船の交易で栄えた廻船問屋の築100年の蔵を改装したレストラン。“カーヴ”とはフランス語で蔵という意味。空間はまるで別荘のようで、ゆったりとした時間を過ごせます。また、野菜や魚や米などの食材は、地元富山のものにこだわって使用しており、シーズンを迎えると、イノシシやクマといったジビエも満喫できます。満寿泉の地酒やSAYSFARMのワインなど、お酒も富山にち... |
カーヴ・ユノキは、富山の美食エリア東岩瀬にある先鋭的なフレンチの店。富山ならではの新鮮な食材を使った料理と廻船問屋の蔵を活用した独特の空間が異彩を放つ。ミシュランの星とゴ・エ・ミヨ2022の両方に選ばれた富山県内7店のうちの1つ。昨年8月に「フルオープンキッチンスタイル」にリューアルオープンし、その後もさらに磨きをかけ、高みを目指して進化を続けているようだ。
【料理、味】
富山のとびきり新鮮な素材を生かした独創的で研ぎ澄まされた料理は、脂や濃い味つけを抑え、鮮烈でみずみずしい。昼夜ともに19,800円+サービス料10%で計21,780円のおまかせコースのみ。シェフが毎朝市場に出向いて“生きている”食材を仕入れ、東京にはない富山のこの店ならではの鮮度のフレンチを生み出している。日本料理のカウンター割烹のように、さばく前の魚介を客に見せてから、目の前でさばいて出すフレンチは、他になかなかない。2021年8月にリニューアルオープンした後、さらに試行錯誤を重ねてきたという料理は、鮮烈さとともに料理ごとの味の変化と奥行きが増し、シェフが目指す「さらなる高み」に向けて風格が加わったように感じた。
1.カワハギ (魚津)
カワハギ(ウマヅラハギ)は、塩とモロッコ産のアルガンオイルで和えた。野生のクレソンの一種コショウソウを添えて。
カワハギは朝獲れで新鮮そのもの。身はコリコリさくさくでみずみずしい食感、肝はクリーミーで滑らかな口溶けで、きれいなすっきりした甘み。カワハギの一般的なイメージとは全く違う、思わずうなる味だ。塩味とオイルの旨味が、カワハギの味わいをさらに引き立てている。
2.なばなのスープ
鮮やかなグリーン色の濃厚なスープは、菜花のエスプレッソという趣。やさしい甘みで口当たりがいい中に、ほのかな春の草の奥深いコクと風味が感じられる。
3.ニシバイガイ (魚津)
ニシバイガイは、手のひらサイズの特大のものをカットして網に盛り、炭火でさっと火入れして香りづけした。カリフラワーのピューレと粒マスタードを合わせ、生のカリフラワーのスライスを上に重ねた。
このニシバイガイは、一目見ただけで、絶対に旨いとわかる。口に入れると、熾火で炙った香ばしさが立ち上り、弾ける新鮮な歯ごたえと旨味がある。そこに、カリフラワーのピューレのほのかな酸味とやさしい甘み、粒マスタードの軽い刺激が絡まる。薄くスライスした生のカリフラワーのぱつぱつの食感も重なる。
4.ライ麦パン
小ぶりながら生地がずっしりと詰まっていて、ほどよい甘みともっちり感があり腹持ちがよい。
5.真フグの白子 (新湊)
真っ白できれいなトロトロな白子を串打ちして、熾火で表面を炙って火入れした。上にはズッキーニのスライスを乗せ、セリ科のハーブ「セルフィーユ」の葉の香りをつけ、ビーツをキャラメリゼしたソースを合わせた。
真フグの白子も見るからにうまそうで、贅沢なボリュームで盛りつけた。口に入れると、滑らかにとろけるピュアで上品な甘さは、これぞフグの白子という味わい。ズッキーニの歯ごたえとの食感のコントラスト、ビーツのソースとの取り合わせもよい。
6.ホタルイカ
元気に生きた状態の新鮮なホタルイカを鍋でさっと火入れし、チリメンキャベツ、ケール、ケッパー、芽キャベツを合わせて散りばめ、黒部で育てられた山羊のチーズをまぶした。
ホタルイカは、口に入れると、ぷるっと膨らんだ身の中から旨味のジュースが溢れ出てくる。ホタルイカの柔らかさと、甘みのあるキャベツの歯ごたえが食感の対比をなす。全体として丁度よいメリハリの塩味がきいていて、春らしい味わいになっている。
7.サクラマス (岩瀬)
川ではなく海で獲れた希少な「海サクラマス」。皮目はコンフィしてパリっとさせ、身は塩でしめた後にゆっくり火入れした。ヤブカンゾウのソテー、花山椒、オオバタネツケバナを添えて。
サクラマスは、火入れはしているがレアのように柔らかくしっとりとした口溶けで、しっかりきかせた塩気とともに、すっきりとした旨味が感じられる。
8.桜鯛 (魚津)
4日間熟成させたサクラダイをポアレして、コゴミ、コシアブラ、シャクの花と葉をあしらい、鯛だけから取ったスープを合わせ、下にはリゾットを敷き詰めた。
神経締めして鮮度のよいタイは、生で食べるのにはよいが、焼くと身が反り返ってしまうため、焼き物には熟成させたタイを使ったとのことで、春を感じるやさしい味わい。鯛の出汁を吸ったリゾットは、和風のやさしくふくよかな味わい。
9.イノシシ (黒部)
イノシシは黒部で獲れたもののロース肉で、皮目ぎりぎりのところを使い、脂身をカリカリに火入れした。根つきの野ゼリ、ムラサキニンジンをちらし、イノシシのソース、熟成させた粒マスタードを合わせた。
イノシシの肉はしっかりしたコクと旨味があり、豚でも牛でもない味。脂身はくどくなくて、すっきりきれいな甘みと力強い味わい。
10.デザート
・デザート1
上市の稲葉農園の紅ほっぺを使ったデザート。アイスとソースの間にチョコクランブルを挟み、上からホワイトチョコをかけた。
イチゴのアイスは、いちごの味が濃厚で非常になめらかな口当たりで美味。
・デザート2
富山産のシルクスイートを使ったスイートポテト、山田村で育てているハチミツを使ったアイス。
このスイートポテトは、この時季の当店のスペシャリテの1つ。サツマイモに生クリームを混ぜただけの素朴なものとは全く違う。熱々のサツマイモの甘みや食感を、単なるデザートの域を超えて凝縮・昇華させ、シンプルなようで奥深い味わいに仕立てている。
11.飲み物
コーヒー、エスプレッソ、ハーブティーから選択。
ドリンクは、ボトルの詳細なメニューがあり、店のホームページにも掲載している。グラスで頼む場合は、空いているボトルの中から選ぶ。ペアリング(1杯90ml✕ワイン6種類、日本酒2種類)が15,000円、ハーフペアリング(1杯50ml✕ワイン6種類、日本酒2種類)が7,500円。ペアリングのお酒は、産地・国、味わいにバラエティーがあり、それぞれの個性と変化を楽しめる。
【雰囲気】
“カーヴ“という通り、元は蔵だった建物は、ほの暗い茶色の土壁と木組みの高い天井に囲まれて、天窓からさし込む光と裸電球に照らされた空間は、どこか宗教的で神秘的な雰囲気に包まれている。カウンター席は、コントラストのある照明でムードのあるバーのような趣があり、テーブル席は、雄山神社の樹齢5百年の神木の杉から切り出した板2枚をつなぎ合わせた重厚なテーブルが圧巻だ。柔らかい高音質のBGMは、重低音が心地よく響く。広い空間に対して席数は少なく、他ではなかなか味わえない贅沢で特別な空間だ。
【サービス】
1年前にはいなかった女性スタッフ2人を配置して、お酒の説明も丁寧にしてくれた。
【CP、総合評価】
税・サ込みで21,780円という料金設定は、富山の中では正直なところ割高感がある。ただ、こだわり抜いた鮮度の高い厳選素材とそれを生かした技術とセンス、独特の雰囲気の空間など、東京などでは味わえない価値がある。もう一段高いところを目指そうというシェフの決意の表われでもあり、それを実現するために必要なコストなのだと納得できる。
フレンチという料理は、素材を生かしつつ、いろいろ手を加え、重ねたり組み合わせたりして作り込むものだが、当店は、食材の鮮度にこだわりながら、2つをうまく両立させ、富山の素晴らしい食文化を魅力的に発信している。みずみずしく鮮烈なフレンチは、富山らしい醍醐味を堪能でき、定期的に訪れたい1軒だ。