【★4.0】富山のテロワールにもこだわるイノベーティブ食堂【2552】 : Himawarishokudou

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Course Menu（12,700円）滞在時間：約2時間10分

東京から富山県に来ております。

富山県出身の田中穂積氏（1975年生まれ）が腕を奮う同店（3.86）。
イタリア各地で修業を重ね食べログのジャンルもイタリアンとなっていますが、
氷見うどん、鰹節、春巻きの皮もコースに組み込むジャンルレスな構成。
（イタリアンに縛られずシェフの出したい料理を出しているとのこと。）

店内は入口すぐにカウンター席、中央にオープンキッチン、奥にテーブル8席。
シェフと女性スタッフ3名の計4名で切り盛り。
テロワールにもこだわるイノベーティブなレストラン（食堂の要素は殆ど無いです）。

飲み物は料理に合わせてグラスワインをお願いしました。
メニューに明記はされていませんがペアリングという扱いになります。
計8杯でグラスワイン4杯分ぐらいのボリュームとのご説明。

サンペリグリノ（800円）を注文した同席者のお支払い総額14,200円。
ペアリングした筆者のお支払い総額は24,200円。
席料700円とメニューに記載されていたので、コース料金12,700円ではないかと推定。

席料（700円）
・ペアリング（10,800円）1.白海老 2.烏賊 3.ゴーヤ 4.水蛸 5.オクラ 6.鰈 7.牛 8.パスタ

1.ペルーゴ ドザッジョ ゼロ メトド トラディツィオナーレ N.V. ピエヴァルタ 白泡 イタリア マルケ
2.メリディアーノ シャルドネ 2021 白 イタリア ロンバルディア
3.アロゾアール 2020 ラ バンカル ロゼ フランス ルーション
4.トスカーナ ビアンコ ファデン 2022 テッラドンナ 白 イタリア トスカーナ
5.フリウラーノ ネカイ 2018 ダミアン ポドヴェルシッチ 白 イタリア フリウリ
6.ナット ファレー ワインズ ステレンボッシュ サンソー 2020 赤 南アフリカ ステレンボッシュ
7.ヴィッラ マティルデ ファレルノ デル マッシコ ロッソ 2018 赤 イタリア カンパーニャ
8.セイズファーム アルバリーニョ 2020 白 日本 富山県氷見市

・Course Menu（12,700円）

01.白海老の冷製氷見うどん
02.アオリイカと焼き茄子 イカスミのソース
03.パン
04.ゴーヤのオムレツ
05.水蛸と糯米のサラダ仕立て
06.オクラと発酵冬瓜のスープ
07.魚津産ナメタガレイのムニエル
08.劔（上市町産黒毛和牛）ヒレ肉のロースト
09.しらすと青紫蘇のスパゲッティ
10.大長谷産宿儺かぼちゃプリン
11.食後のお飲み物（エスプレッソ or アメリカーノ or 紅茶 or カモミールティー）

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点

【3.8】白海老の冷製氷見うどん

アルデンテといった硬めな茹で加減の氷見うどん。
白海老、きゅうり、砕いた白海老チュイル（煎餅）を和えており、
やや酸味を効かせ穏やかな味わいに仕上げています。

同店の方向性を示唆するような料理となっており、
この後に出てくる料理も「優しく」て「穏やか」に思うことが多かったです。
都心でも勝負できそうな洗練された美味しさ。

その一方で古典フレンチのようなコッテリ感や濃厚感は殆ど無いので、
料理と合わせてもワインの酸味や渋味があまり活きなかったです。
（東京に比べればペアリングのラインナップは良心的と思います。）

【3.9】アオリイカと焼き茄子 イカスミのソース

イカスミをソースに使いながら癖なんて無くて優しい味わい。
茄子がやわらかく蕩けてアオリイカとの相性も良好。

【3.6】パン

土遊野（富山市）の全粒粉と北海道の小麦粉をブレンドした多加水パン。
有機米で有名な土遊野ですが、小麦粉も栽培しているそう。
バターやオリーブオイルは無くてシンプルにパンのみで勝負。

【3.7】ゴーヤのオムレツ

富山産ゴーヤと「おわらクリーンポーク（富山の銘柄豚）」入りのスフレオムレツ。
トマトと赤紫蘇のスープ、削り節もトッピングしてあります。
沖縄料理のゴーヤチャンプルーを再構築したようなイノベーティブ系。
シェフの遊び心を感じますが、洗練された美味しさも担保されていました。

【4.1】水蛸と糯米のサラダ仕立て

水蛸、糯米、とろろ昆布を、春巻きの皮で包みオーブン焼きに。
アイオリ（ニンニクマヨネーズ）を添えてあります。
手で食べても良いですし、崩れてくるのでナイフとフォークでも。

オイルを塗っているのか皮に油を感じますが軽やかな口当たり。
中の具材に酸味を効かせてあって脂を打ち消すのです。
もちろんアイオリも穏やかな仕上がり。

中華料理店の油を吸いまくった春巻きも好物ですが、
こういう軽やかで美味しい春巻きのほうが理想的でしょう。
具材の組み合わせ方も上手くて洗練されていました。

【3.8】オクラと発酵冬瓜のスープ

出汁に鶏と庄川の天然すっぽん（大葉オイルも散らしてあります）。
すっぽんを使っているので強力な旨味が出るはずですが穏やかな味わい。
滋味溢れるような美味しさの奥に旨味を感じられます。

ちなみに庄川は鮎の名産地としても知られており砺波市の庄川沿いには鮎料理店が多数。
10月は禁漁期ということもあるのか同店で鮎は出ませんでしたが、
地物のすっぽんを楽しめた点は嬉しかったです。

【3.8】魚津産ナメタガレイのムニエル

ナメタガレイは中骨入りですが、スプーンで容易に剥がれる身離れの良さ。
付け合わせにジャガイモ。
バター、ケッパー、トマト、イタリアンパセリ、ディル、セルフィーユ、エシャロットのソース。

同店の料理にしては古典を思わせるような構成。
アッサリした白身にバターベースのソースが良く合います。
12,700円コースということで高級な白身魚は使いにくいと思いますが、
地物の特権なのかナメタガレイから感じる旨味が下手な鮃（ひらめ）を凌駕。

【4.3】劔（上市町産黒毛和牛）ヒレ肉のロースト

ハラミかと思ったぐらい赤身の筋繊維に独特の歯応えを感じられて、
旨味の強さや適度な脂ノリも楽しめます。
12,700円という（東京の相場からすると）廉価なコースなのに、
これだけハイレベルな黒毛和牛を出せるとは驚きました（地物の特権でしょうか）。

同店には大きな熟成庫も鎮座しているのですが、劔のヒレ肉はフレッシュな状態とのご説明。
付け合わせとして別皿にハーブとミニトマトのサラダ。
ちなみに隣のテーブルの主菜は池多牛（富山県のブランド牛）サーロイン。

【3.7】しらすと青紫蘇のスパゲッティ

最初に出てきた氷見うどん同様にアルデンテといった火入れのスパゲッティ。
パスタソースに青紫蘇を使いながら穏やかな味わい。

【4.0】大長谷産宿儺かぼちゃプリン

コッテリ濃厚な味わいとなっており脱水しているかのような口当たり。
飛騨高山の特産品というイメージを持つ宿儺（すくな）かぼちゃですが、
富山県の南端に位置する大長谷は地理的に飛騨高山に近いのです。