鶴岡市湯野浜温泉　海辺のお宿『一久』 : Umibeno Oyado Ikkyuu

リーズナブルな旅館の多い湯野浜温泉の中では、亀や、いさごや、と並ぶ高級旅館。19室と大型ではないが、料理には定評がある。

展望風呂付きの２間続きの客室に宿泊。
一面ガラス張りの広々としたロビーからは、海岸と水平線が見事に見渡せる。ただ、砂浜と水平線以外なにも無いので、単調な景色ではある。
客室からも同様に海が見える。
館内は数年前に リニューアルしたので、古びた感じはなく、シンプルだが清潔感がある。
料理内容はホームページに常に掲載されているだけあって、この旅館の最大の魅力だろう。夕食は基本的に部屋出し。デザート以外は和食メニューで統一されているようで、最近の、ダイニングで和洋折衷の創作料理を提供するタイプの旅館とは一線を画している。内容も、庄内の豊かな魚介類や野菜、山菜、郷土料理に対するこだわりが感じられる。
何度か宿泊しているが、メインとして蚫の陶板焼が出されることが多い。今回も、バターを乗せた大振りの生きた蚫をその場で陶板焼したものは特筆すべきおいしさだった。非常に柔らかい蚫で、酢醤油につけて食べるのだが、バターがかかっているのでそのまま食べた方がより美味しい気がした。それ以外も、お造り、舞茸などの土瓶蒸し、からとり芋の揚げ出し、など、目新しい奇を衒った料理は無く、いわゆる郷土料理ではあるが、料亭風に洗練されている印象。また、夕食と朝食で違う銘柄の山形米を使っているだけあり、ご飯もかなり美味しい。
大型旅館と比べると館内施設や浴場の大きさではやや見劣りするが、庄内の魚介類を味わいたい場合には一押しの旅館だろう。