金八先生は言う「このばかちんがっ！」 : Bakachin matsugorou

普段、仕事の終業時間が午後９時過ぎという
割と遅めの私であるが、この日は早々と仕事が
片付いた。

とあらば営業時間が早めに店仕舞いする、普段
中々来れない様なお店を訪問しようとやって来た
のがこちらのばかちん松五郎さん。

JR市川駅南口から小岩方面へと歩いた線路付近に
駐輪場とコインパーキングが隣接、松五郎さんは
その目の前にある怪しい小さな建物の２階。

店のある２階へ狭い階段を上りきると目の前に
アパートのようなドアが立ちはだかっている。

ドアが閉まっているためこちらから店内の様子は
全く見えないが、ドアの向こうでは話し声や
笑い声が聞こえてくる。

恐る恐るドアノブに手を掛けドアを開けてみると、
店内全てのお客さんの視線が一斉に私に注がれる。

お母さんが「お帰りなさ～い！」、他のお客さん
からは「ど～ぞ！」「ど～ぞ！」の声。

新しい仲間がやって来たかの様なとても温かい
歓迎を受ける。

店内は調理場前にL字型のカウンター、壁面には
２人用のテーブルが２～３卓ほどで２０名も
立てばスシ詰め状態の狭い店内。

入り口に近い左端カウンターに私がスタンディング
すると店内は満卓になった。

カウンター目の前にはお母さんが腕を振るった
手作り料理の数々が美味しそうに並ぶ。

初めての店だけに壁面に掲示してあるメニューを
拝見していると、店主さんが「よく２階に上がって
来られましたね～。勇気ありますね～。（笑）」
感じが良く、気さくに話し掛けて下さる店主さん。

いろいろとお話を伺ってみると店主は福岡ご出身
の方で野球が趣味の様子。通りで店内には福岡
ソフトバンクホークスのカラフルなユニフォームの
コレクションが誇らし気にディスプレ―されている
訳だ。

こちらの会計システムは立ち飲みの基本でもある
キャッシュオンデリバリー式で、用意された小さい
ザルに現金を用意する。

テーブルには１人１人に色違い柄違いのランチョン
マットが敷いてあるのがとてもプリティー。

店主と隣りに居合わせたお客さんとの会話を
楽しみながら下記の品々をいただいた。

◆中生ジョッキ２５０円
１mlあたり１円を基準とする私自身の相場から
するとこれは嬉しい価格。
よく冷えたジョッキとキメ細かな泡立ちに丁寧な
仕事ぶりが窺える。

◆ニラソースやっこ１５０円
キンキンに冷えた絹ごし豆腐は半丁分。
みじん切りされたニラソースの味付けは、ポン酢
多めとそばつゆ少々を混ぜたようなさっぱりと
した魅力ある味。これは家で研究の余地有り。

◆もつ煮込み２５０円
サラサラとしたスープの煮込みの具はシロ、
てっぽう、こんにゃく。
薬味のねぎがパラパラと掛かっている。
クッタクタに柔らかく煮込まれたもつは見た目
よりも量が多く満足な一品。
薄味では無いが濃くも無いので、最後まで飽きずに
頂くことが出来る。

◆きゅうり漬け１００円
お新香のきゅうり漬けを想像していたが、
きゅうりのQちゃん漬け風のものが登場。
ピリ辛でこれはこれでわるくない。

◆コハダ酢２００円
プチプチとしたシシャモの卵の歯応えもよろしく
酢の〆具合も丁度良い。

◆カキフライ２ヶ１５０円
２０時３０分になると、お母さんが店内中に
響き渡る大きな声で、
「揚げもの焼きものラストオーダーだよ～っ！」
の声に慌てて注文したカキフライ。
その安い価格に恐縮するどころか、ご丁寧に
キャベツの千切りまで添えてある。

◆ホッピーセット白３５０円

◆ホッピーのなか１５０円×２

◆チューハイ２００円

こちらのお店のお客さんは、野球やチャリンコ、
ゴルフなどを通じて全員が知り合いの様子。

そのため店内中のあちらこちらで次々と話しの
相手が変わる、一種のサークルコミュニティーの
場になっているようだ。

常連になると現金を投入するザルが名前入りの
プラスチックボールに変わるようで、店内を
見渡すとこの日のザルは私一人。

店主さんからも気さくに話しかけて頂いたが、
お隣に居合わせた一見チョイ悪オヤジ風の
シャレオツな先輩『よっさん』と、飲み過ぎて
完全に出来上がった小柄でキュートな女性の
『くりちゃん』からもお声を掛けて頂き、
とても楽しく過ごさせて頂いた約１時間半。

安くてアットホームな雰囲気が心地良く、
ついつい飲み過ぎてしまうと、
金八先生の「このばかちんがっ！」という声が
今にも聞こえてきそうである。