麺と辛さを求めて。 : Chuukasoba Shinoda

麺を食べたい気持ちと辛いものを食べたい気持ちの間で揺れ、思い立ったのは、みのり台の人気店「中華そば 志の田」の辛いつけめん。

前回の教訓から早めに繰り出し、開店10数分前に到着。
ほかに客の姿はなく、難なく一番乗り。

待ちながら食券を買う準備をしておこうと財布を取り出したら、なんと現金が足りない…。
あきらめて別の店にしなきゃと思った矢先、折りたたんだ1万円札が出てくる。
助かった。

店の中では開店に向けてせっせと準備中。
うっすらとスープの匂いが漂ってくる。

開店時刻を待たずして「お待たせしましたー」と、店員さんがのれんをかける。

券売機に向かう前に1万円札を細かくしてもらう。
快く応対してくれて、こちらに気まずさを感じさせない。

券売機に向かい、前回気になった「かっれぇ〜つけめん 味玉付」（940円）を迷うことなく購入。
「辛さでムセないようにゆっくり麺をすすって下さい」なんて書かれたら、気にならないわけがない。

一番奥のカウンター席に落ち着く。
BGMにジャズが流れてるのは、ご主人のこだわりなのかもしれない。

注文後10分ほどで、「かれぇ〜でーす」と、トッピング、麺、スープの順に配膳。

まずはスープをひと口。
カレーの風味に深みのあるだしを感じる。
おいしい。
辛さはむせるほどじゃない。

麺はあつもり。
そのせいか、麺の柔らかさは前回ほど気にならない。
スープを冷まさずに食べられるのもいい。
麺自体の味はよく、ボリュームもたっぷりあるし、食べ応え十分。

別皿に盛られたチャーシューと味玉も秀逸。
麺の上に移してみると、いっそうおいしそうに見える。
チャーシューはしっとりして抜群においしい。

後半はスープにお酢を追加して、ちょっとさっぱりさせる。
量が多いから、どこかで味変したほうがいい。
カレーベースのつけ麺は、そのままだと後半がキツくなる。

最後は割スープにして、全部飲み干して完食。
お腹いっぱいになった。

一方、客席も12時10分前には満席。
外の空気が冷たいせいだろう、あつもりの指定が大半を占める。

ちなみに隣のうどん屋「丸亀」でも、カレーうどんとか、カレー汁つけ麺を提供してるようだ。
今度はそっちも行ってみようと思う。

[2023.11.14訪問]

みのり台の名店「麺響 万雷」が移転して早数か月。
移転や閉店は突然やってくるから、行くなら今のうちにと、同じエリアで名高い「中華そば 志の田」に向かう。

早めに着こうとしたものの、忘れ物をしたりして出遅れ。
小雨がパラつく中、開店時刻12分前に到着すると、あいにくすでに先客が1人。
2番手として列に加わり、3脚あるイスの1つに座る。

待つ間に漂ってくる魅惑的なラーメンの匂い。
甘辛いカエシのようなものを感じる。

「お待たせしましたー」とのれんがかかり、開店するころには後ろの客も3、4人に増えてた。

入ってすぐの券売機で食券を買う。
店頭にはメニューがなかったけど、予習したとおり「つけめん 味玉付」（940円）を選択。
ちょっと値上がりしてるのは仕方ないのないところ。

先着順にカウンター席の奥から座っていく。
ホール担当の店員さんに食券を渡すと、「あったかいの、冷たいのはどちらにいたしますか？」と聞かれ、当然のごとく冷たいほうを選ぶ。
「10分程度かかりますが、よろしいですか？」との問いかけにダメという客はいないだろう。

セルフでコップに水を注ぎ、ジャズピアノが流れる雰囲気の中で待つ。

さすがは人気店。
開店から10分足らずで満席になった。

飾り気のない内装とジャズの音色に多少違和感を抱きつつも、注文から待つこと10分少々で「はい、失礼しまーす」とまずはトッピング、それからスープ、麺と順々に配膳される。

すべてがそろうと、その凜とした佇まいとともにボリューム感も好印象。

スープをひと口すすると、かなり手をかけたと思わられる深みのある味わい。

ご主人のスープへのこだわりは、使用してる食材をすべて仔細に公表してるところに表れてる。
鶏、豚、煮干し、複数の節などが巧みな計算のもとに組み合わせられ、過剰なものがなく、1つの方向性を目指して絶妙に仕上がってるといった感じ。
味噌や一味唐辛子が使われてるのが特徴で、旨みと辛味がストレートにおいしい。

一方、麺はきれいな仕上がりで、口に含むといい香りがするものの、茹で過ぎなのか、ちょっと柔らかい。
水の締め加減も若干甘い気がする。
これは好みの問題もあるかもしれないし、この店の本来の出来とは違うのかもしれない。

ただ、今感じるのは、スープに対する熱量と同じものが麺には感じられないということ。
そこが惜しい。
スープと同レベルの麺だったら、相当なつけ麺になってたと思う。

ちなみにトッピングのレベルは高い。
チャーシューはしっとりとしながらも厚みがあって食べ応えがあり、煮卵には味が十分染み込んでる。
大きくカットされてシャキシャキしたメンマも言うことなし。

それだけに麺の物足りなさが目立つけど、スープがおいしいから、どんどん食べ進めてしまう。

大皿に盛られた麺を完食すると、お腹いっぱい。
並盛りでもかなりの量があると感じた。

退店すると、外は10人待ち。
ちょうど1巡目の客と入れ替わる格好だ。
この天気で並ぶ客を見ると、おいしいつけ麺を食べたい気持ちには、雨とか関係ないんだなと思う。

店は親子二人で切り盛りしてるように見える。
連携もうまくいってるし、メニューを絞ってるぶん、オペレーションにムダがない。

ただ、雰囲気作りという点では、人気店にしては物寂しい印象。
古いものは新しくして、もう少し小ざっぱりさせたらいいのにと思ってしまう。
ラーメン屋の経営はやはり厳しいんだろうか。

とはいえ、10円刻みでの値上げを経て、今なおチャーシュー、味玉付きで千円以内に踏みとどまってるのはすばらしい。
この値段で味わえるパフォーマンスとしては上々。
麺の完成度がさらに高まることを期待して再訪したい。

[2023.5.23訪問]