井本（薬院）古き良き京料理を今に継承するお店 : 口福ヤマトモの食日記 : Imoto

●訪問回数　4回？

久しぶりに、妻の要望にて　薬院の井本さんへ行きました。

二日前の予約で17時スタートのお客さんの後、19時40分からの予約なら取れるということだったので、仕事の都合で時間的にちょうどよかったので訪問してきました。

価格は5年前からだいぶ上がっていまして、一人28000円のおまかせコース（昼夜共通）のみとのことでした。

総論的な感想を言うと、値段はさておき、素晴らしい料理だと思います。
今の日本料理は京都も含めて、有名店は軒並み、複雑で豪華な料理の傾向が見られますが、井本さんの料理は、昭和の名人の料理に近い、基本的な技法をブラッシュアップさせて、素材の旨味をシンプルに生かす滋味あふれるものです。

鯵の巻物からスタート
よくある寿司屋のそれと違い塩と〆方が薄くて、鯵の素材感を活かす料理です

鱧とオクラのお椀
清らかな石清水のような出汁　塩も感じず
オクラの処理も素晴らしく、鱧も上質で肉厚でした
旨味が素晴らしい

明石のカレイのお造り
魚の質が素晴らしい
塩と肝が入った加減醬油で食べさせるが、この醤油の昆布の旨味が素晴らしい

穴子の蒸し鮨
柿の葉に包まれている
お米の粒立ちがしっかりしていてこれも素晴らしい
もち米も入っていそうな感じ

とうもろこしのかき揚げ、クチコの天ぷら、キスの天ぷら　カキの種衣
まとまり具合がよく油濃くない
クチコの天ぷらの旨味が凝縮していて凄い

鮎の塩焼き　
頭と骨を取ってあって食べやすい
鮎の質も素晴らしかった

蓼酢をその場で作る

　ブレンドした酢に煮切り酒も入っている
鮎の骨煎餅に酢のあん　　まろやかな餡掛け
　取り出した頭と骨をカリカリに揚げて、見事な料理にしています

蒸し鮑、賀茂茄子　お出汁が優しい　まさしく滋味あふれる味

じゅん菜とフルーツトマト、ミニオクラ
　お口直しにさっぱりと。ジュンサイのレベルが高いです

島根の銀山和牛　じっくり炭で焼かれます
　　味わいは素晴らしい。

甘鯛の冷たい素麺
　すっきりと食べられます

万願寺とうがらしとちりめん山椒の炊き込みご飯
　ご飯もさることながら付け合わせのお漬物が美味です

6月末だったので、和菓子は水無月　
季節感あふれる和菓子です

全体的な流れを見ても、料理はいたってシンプル。複雑な素材の組み合わせもなく、音楽的に言うと　ソロかデュオでしっとりと質感よく響かせる印象。

しかしそれこそが、私が好きだった、昭和後期の古き良き、京割烹　南一さんなどの、派手さはないけど滋味あふれる料理を思い出させる料理だなとあらためて思いました。

福岡には他にこのような料理を出す店を知らないので、こんなお店が一軒くらい福岡にあってもいいよねと再確認しました。

●訪問回数2回

かなり久しぶりに訪問しました。
京都の名割烹で修業された井本さんの料理は、味付けが繊細で、やはり自分の好みに合うな～というのを再確認できました。

1月のコースです。

伊勢海老と菜の花の餡　葛うち

カラスミ餅

蒸しアワビとウニ

平目と縁側

少し炙った縁側が旨みを増幅
辛味大根のつまも見事

白味噌　白子椀

京都の元日を模した白子椀　ほのかな柚子が心地よい

ブリの漬け寿司

蕪をスッポンのスープで炊いたもの

クリアーな旨みでネギがいい仕事している

牛ステーキ

塩粒黒胡椒が絶品

ご飯もの

デザート

すっかりブレイクしてしまった福岡の寿司店に比べると、出される料理の割にまだまだ評価されていないと思われる福岡の割烹業界の中でもひときわ光る一等星だ。季節を変えて再訪したい店だ。

●訪問回数1回
8月初めにオープンした若き料理人のお店です。
ご主人は京都の川上で4年修行し、同僚と一緒に開店したようです。
おまかせ1万円コースのみ。
味付けも含めてリアルな京料理が味わえます。

マスカットの胡麻汚し　千ひろさんのような果物との組み合わせが面白い

松茸のフライ　香りを引き出していて旨い、わずかに油の切れがもう一つだった

鯛のお造り　小ぶりな鯛を松皮仕立てで　旨みもありしっかりとした技術を感じる

鱧と松茸のお椀　メジ節（’鮪節）を使ったもの。鱧は肉厚で骨切も上手。出汁の味付けは京都並に薄味です　柚子の白い部分が少し多目についてたのが唯一気になった点

蒸し鮑の肝和えとバチコ　バチコもいいものを使っていた。鮑は8時間蒸すそうだ

太刀魚の焼物　隠し包丁が素晴らしく皮を軟らかく処理　今回はこれが一番感動した　

野菜の炊き合わせ　出汁旨い、野菜の旨みを感じる

香の物

松茸ご飯　香りが良く素晴らしかった

ワラビもち　本蕨粉を使用していてもちっとした食感が素晴らしい

お酒はすっきりしたものが出てきました。何種類あるかは聞いておりません

日本料理を1万円一本でやるのは勇気がいりますが、その価値は絶対にある店だと断言できます。
まだお客さんが少ないようなので、リアル京都の割烹、京料理を体験したければぜひ訪問してください