憧れのタグ付き特選松葉がに : Kouya Ryokan

　口コミ情報から、家族でこう屋旅館にお世話になったのが9年前、その時は夏でブログには、かにソムリエの女将から「ぜひ松葉がにを食べに来てください」と。口コミでは「今まで食べた松葉がにはいったい何だったんだろう」みたいなことまで書かれていました。お客さんにそこまで言わせる料理ってどんなんなんだ？本当にそんな風に言ってしまうのだろうか。思い続けて9年。ちょっとした記念すべき出来事があって、ついにタグ付き松葉がにを食べに行くことにしました。香住や城崎温泉、またスキー場の民宿などで何回もかにすきやかに料理は食べましたが、いわゆるタグ付きのブランドがには初めてです。しかも「タグ付き特選松葉がに」とくれば期待が高まるのは当然です。大学生、高校生、中学生だった子ども達は全員社会人になりましたが、それでもこうして全員で、親父の小さな夢をかなえるため付き合ってくれる、小さな幸せを感じながらの今回の旅行でした。
　宿に着いたのは午後4時過ぎ。時間に余裕があるので周辺を散策して、「七釜温泉ゆーらく館」でゆっくり温泉に浸かってからの夕食となりました。
　まずは新鮮な魚介類のお刺身、ホタルイカ、ミミイカ、バイ貝、平目でした。どれも「なんじゃこりゃ！」と思うくらい新鮮で美味しいものばかりでした。大好物のホタルイカはもちろん、バイ貝のコリコリ感、ミミイカのネットリコリコリの食感が好きでした。かに刺しの美味しさは言うまでもありません。次にかに味噌甲羅焼き、今まで食べてきた甲羅焼きとは明らかに違う、今までのは添加物と言うかいろんな味が添加されていたのでしょう。こんな自然なやさしい味は初めてでした。かに味噌が苦手な娘も、「これは美味しい」と言って完食しました。焼きがにも濃厚な蟹の味というより、ほのかに甘い自然の味がしました。そしていよいよメインのかにしゃぶです。かにの身をさっと出汁に通すと、見事に花が咲いたようになります。これを顔を上に向けて真上から口に放り込みます。「甘ーい」でも実際には私は、さっとではなくもう少し茹でた方が、かにの甘みが増して美味しいと思いました。通の人にはもったいないと思われるでしょうが・・・。その他、焼きがにをかに味噌甲羅焼につけていただいたり、かにの甲羅でかに味噌しゃぶしゃぶをいただいたり、どれも納得の美味しさでした。しゃぶしゃぶ鍋の白菜も、甘くてしゃきしゃきでした。
　そして特筆すべきは最後の雑炊です。ご飯を出汁に入れてしっかり炊いた濃厚な雑炊をイメージしていましたが、あっさりとした、上品なだし茶漬けのような雑炊でした。もちろんしゃぶしゃぶで残った出汁に、そのままご飯を入れるのではなく、きちんと濾して余分な食べ残しを取り除いてあるのが分かりますし、さらにかに身やかに味噌を足して、三つ葉をあしらってあります。あっさりしているのにしっかりとコクがある、これはもう独立した立派な料理だと思います。「私はお腹一杯でもう入りません。私は雑炊いらないので4人前にしてください。」と言った妻が２杯食べたのですから。この雑炊、２杯目は宿のスタッフのお勧め通り、少し胡椒をふるとこれは驚き、また全然違った味の雑炊が楽しめました。お腹は一杯なのに、最後まで飽きさせない素晴らしいコースでした。
　朝食の蟹飯も美味しくいただきましたし、ちょっと熱めの温泉も、この時期はとってもいい気持ち。９年前よりちょっぴり便利になった館内も含めて、大満足の１泊でした。
　後で気づいたのですが、素手でかにを食べたのに、手が全然臭くないんです。いつもなら手が蟹臭くなるのに。臭くなるのが当たり前だと思っていました。かにを焼いた時もほのかにいい香りがするだけ。後にくどい臭いが残らない。これが地元産の新鮮な特選松葉がにと言うことなのか！「今まで食べた松葉がにはいったい何だったんだろう。」あっ！言ってしまった！！