當家(こゝ)『和さび』 李朝(りてう)家具(かぐ)だに あるものを 雨(あめ)に向朽(くちなむ) 家(いへ)こそ惜しけれ
有一日(あるひ)、氏族外戚(うからやから)の集(つど)ひありて鎌倉(かまくら)に、、。
先(ま)づは腹拵(はらごしら)へ。
互聯網(ねッと)を弄(まさぐ)り、
評判(きこえ)芳(かんば)しき當家(こちら)『和さび』を擇(えら)む。
漬場(つけば)には親方(おやかた)獨(ひと)り。
客人(まらうど)は御内儀(おかみ)ら兩個(ふたり)で切盛(きりも)り。
櫃臺(かうんた)と卓席(てえぶるせき)ともに滿席(まんせき)。
齊(ひとし)く、まだ見(み)ぬ鮓(すし)に胸膨(むねふく)らませ四方山話(よもやまばなし)。
そこに、何處(いづく)ともなく「大將(たいしやう)」と呼(よ)ばゝる聲(こゑ)あり。
これ、京坂(けいはん)の呼方(よびかた)にて、
東都(えど)にて「大將(たいしやう)」呼(よ)ばゝりは耳障(みゝざは)り。
「御主人(ごしゆじん)」もしくは「親方(おやかた)」と呼(よ)ぶが適當(よい)。
櫃臺(かうんた)には、茶(ちや)、御絞(おしぼ)り、箸(はし)が揃(そろ)ひ、
今(いま)や遲(おそ)しと鮓(すし)の登場(おなり)を待(ま)つ。
新吉原(しんよしはら)花魁道中(おいらんのみちゆき)もかくやあらんと云ふ氣配(けはひ)。
晌(とき)至(いた)り、正午(うまのこくちやうど)に晝飧(うたげ)の開始(はじまり)。
【酢飯(すめし)】:
倩(つらつら)握鮓(にぎりずし)の巧拙(よしあし)を覽(み)、
その個性(こせい)を窺(うかゞ)ふに、酢飯(すめし)を檢(あらた)むるに如(し)くはなし。
握りの巧妙(たくみ)さ、水分量(みづけ)、滑(なめ)らかさ、解(ほど)け工合(ぐあひ)、
醋(す)・鹽(しほ)、甜(あまみ)、温度(あたゝかさ)、大(おほ)きさ、これなり。
■握(にぎ)りの巧拙(たくみさ)、解(ほど)け工合(ぐあひ):
口(くち)に抛(はふ)り込(こ)むや忽地(たちまち)解(ほど)けてバラバラに、、。
これ宛然(あたかも)、
凄腕職人(すごうでしよくにん)の手(て)になる炒飯(やきめし)の米粒(こめつぶ)が、
互(たが)ひに「見(み)ず知(し)らず」と疎遠(よそよそ)しく振舞(ふるま)ふがごとし。
■炊方(たきかた)・水分量(みづけ):
見(み)た目(め)にも口(くち)にしても、粒(つぶ)が立(た)つは明白(あきらか)。
水分量(みづけ)は少(すく)なめか?
老舖鮓店(ふるきすしや)は古米(こまい)用(つか)ふが風習(ならひ)なれど、
新米(しんまい)・古米(こまい)の違(たが)ひは不詳(つまびらかならず)。
■滑(なめ)らかさ:
解(ほど)け易(やす)さと滑(なめ)らかさは相反(あひはん)するもの。
俗(よ)に云ふ"Trade off"。
すなはち、「あちらを立(た)てればこちらが立(た)ゝず」と云ふ關係(あひだがら)。
水分量(みづけ)の所爲(せゐ)か、微(かす)かに舌(した)にざらつく。
■醋(す)、鹽(しほ):
ともに頗(すこぶ)る控(ひか)へめ。
醋(す)の強(つよ)きは『青空』を含(ふく)む『すきや者゛し』一門(いちもん)、
鹽(しほ)は『二葉鮨』に在(あ)りし日(ひ)の千川(せんかは)『すゞ木』が雙璧(さうへき)。
醋(す)、鹽(しほ)とも、如何許(いかばか)りが適切(よい)かは百人百樣(ひとぞれぞれ)。
江戸文政期(えどぶんせいき)より昭和(せうわ)の初頭(はじめ)に至(いた)るまで、
尾州半田(はんだ)中埜酢店(なかのすてん)の"山吹(やまぶき)"用(つか)ふが慣習(ならひ)。
大戰後(おほいくさのゝち)廢(すた)れ、かゝる酒粕醋(す)用(つか)ふは稀(まれ)となる。
當家(こちら)、米酢(よねず)と思(おぼ)しき白醋(しろず)。
■温度(あたゝかさ):
低(ひく)め。
大塚(おほつか)『鮨勝』、今(いま)はなき赤坂(あかさか)『喜久好』に同類(おなじ)。
『鮨勝』に通(かよ)ひ詰(つ)むる鮓通(すしつふ)の中(なか)に、
「暖(あたゝ)かさで誤魔化(ごまか)すは邪道(よこしま)」と説(と)く者(もの)あり。
慥(たしか)に、元來(もとより)鮓(すし)と云ふは、
漬(つ)けたる後(のち)、 暫(しばら)く置(お)きて啖(くら)ふもの。
江戸(えど)の握鮓(にぎりずし)とてこれは同(おな)じ。
如何(いか)ほどの温(ぬく)もりが最善(よ)いかは各自(おのおの)ゝ好(この)み。
■甜(あま)さ:
纔(わづ)かながらも甜(あまみ)あり。
沙糖(さたう)には保濕力(みづけをたもつちから)ありて、
冷(さ)むるほどに滑(なめ)らかさを保(たも)つ效能(きゝめ)顯著(あらは)となる。
京坂(けいはん)の鮓(すし)の大甜(おほきにあま)きは、けだしこれが狙(ねら)ひなるべし。
ゆゑに、沙糖(さたう)用(つか)はぬ舎利(しやり)の冷(さ)めたるは、
大(おほ)いに舌(した)に逆(さか)らふが通例(つね)。
『笹卷けぬき壽司』のごときは、
沙糖(さたう)用(つか)はぬ代替(か)はりに、 水分量(みづけ)を多(おほ)くす。
■大(おほ)きさ:
頗(すこぶ)る小(ちい)さく、
八重洲(やへす)『おけい』と見紛(みまが)ひ、銀座(ぎんざ)『久兵衞』かと疑(うたが)はる。
否(いな)、それよりもなほ小(こ)ぶり。
東都(えど)近邊(あたり)で最小(もつともちい)さな鮓(すし)たるは疑義(うたがひ)なし。
主人(あるじ)に據(よ)らば、
「客(まらうど)をして數多(かずおほ)くを堪能(あぢは)ゝしめんがためなり」と。
押竝(おしな)めて僕(やつかれ)嗜(この)む舎利(しやり)に大差(おほきなるたがひ)なし。
善哉(よいかな)、善哉(よいかな)!
【握(にぎ)り方(かた)】:
およそ、年輩(ねんぱい)の親方(おやかた)なるもの、
四海(よ)に譽(ほまれ)高(たか)き★★★『すきや者゛し』小野二郎(おのじらう)、
『水谷』水谷八郎(みづたにはちらう)を筆頭(はじめ)として、
粗方(あらかた)、舎利(しやり)をちぎりて捨(す)つるが通例(ならひ)。
例外(れいがい)は『辯天山』内田正(うちだたゞし)、『喜久好』清水喜久雄(しみづきくを)、
『新橋鶴八』石丸久尊(いしまるひさたか)など纔(わづ)か。
若手(わかて)で舎利(しやり)捨(す)つるは、『青空』高橋青空(たかはしはるたか)、
『はま田』濱田剛(はまだつよし)など一握(ひとにぎ)り。
つぶさに親方(おやかた)の技藝(わざ)を見(み)、その流儀(やりかた)を窺(うかゞ)ふに、
勢(いくほひ)よく餘(あま)りたる舎利(しやり)を捨(す)て、
左手(ゆんで)拇(おやゆび)より右手(めて)人指指(ひとさしゆび)を利(き)かす。
捨(す)つる容(さま)、古(ふる)き職人(しよくにん)特有(ならでは)の舉動(ふるまひ)。
加旃(しかのみならず)、掌(たなぞこ)をポンポンとうち鳴(な)らす。
唐土(もろこし)の常言(ことわざ)に、「孤掌難鳴(こしやうなりがたし)」と云ふ。
しかはあれど、職人(しよくにん)は親方(おやかた)獨(ひと)り。
街場鮓(まちばずし)のごとく妄(みだ)りに掌(てのひら)叩(たゝ)くは囂(かまびす)し。
【親方(おやかた)と爲人(ひとゝなり)】:
昭和廿二(せうわにじふに)丁亥歳(ひのとゐどし)生(む)まれ。
職人(しよくにん)となりて四十九年(よそとせあまりこゝとせ)。
修業先(しゆげふさき)は神田明神下(みやうじんした)の鮓店(すしや)となむ。
生憎(あいにく)、僕(やつかれ)、その鮓店(すしや)を不知(しらず)。
有左程(さるほど)に、冩眞嫌(しやしんぎら)ひと云ふは眞赤(まッか)な虚談(うそ) 。
叮嚀(ねんごろ)に禮(れい)を盡(つ)くしたる後(のち)照相機(かめら)向(む)くるに、
「よく撮(と)れたら何(いづ)れ佛前冩眞(ぶつぜんしやしん)に、、」との快諾(いらへ)。
僕(やつかれ)に向(む)かひて莞忝(につか)とうち笑(ゑ)む。
【鮓種(すしだね)】:
眞鯛(たひ)、黑鯛(くろだひ)、羽太(はた)、金目(きんめ)、鮃、赤貝(あかゞひ)、
玉珧(たひらぎ)、小鰭(こはだ)、眞鰺(まあぢ)、墨烏賊(すみいか)、穴子(あなご)、
松茸(まつたけ)、眞鯖(まさば)、章魚(たこ)、鮪赤身(しび)醤油漬(しやうゆづけ)、
鮪脂身(しびあぶらみ)、海苔卷(のりまき)、鶏卵炙(たまごやき)。
握(にぎ)り十六(とあまりむッつ)に卷物(まきもの)鶏卵炙(たまごやき)。
穴子(あなご)は金澤文庫(かなざはぶんこ)、章魚(たこ)は佐島(さじま)と云ふ。
近海(ちかきうみ)にて漁(いさ)りし上質(よ)き魚(うを)を嚴選(えりすぐる)。
とは云へ、銀座(ぎんざ)に劣(おと)るは明白(あきらか)。
【鮓種(すしだね)への仕事(しごと)ぶり】:
眞鰺(あぢ)を醋(す)〆となすは往古(いにしへ)の『與兵衞鮓』と同じ作法(やりかた)。
今(いま)は神田(かんだ)『笹鮨』などに纔(わづ)かに殘存(のこ)るのみ。
嘗(かつ)て四谷(よつや)しんみち通(どほ)りに在(あ)りし『纏壽司』の〆鰺(あぢ)は
稀(まれ)にみる美味(よきあぢ)なりしかど、鋪(みせ)疉(たゝ)まれてより久(ひさ)し。
これとは對照的(たいしやうてき)に、墨烏賊(いか)は生(なま)。
かの『與兵衞鮓』や『笹鮨』では煮烏賊(にいか)となす。
驚(おどろ)くべきは海苔(のり)を多用(おほくもちゐる)こと。
烏賊(いか)、玉珧(たひらぎ)、松茸(まつたけ)、章魚(たこ)、何(いづ)れも然(しか)り。
柑橘類(たちばなのたぐひ)を不使用(つかはざる)は古式(いにしへのやりかた)。
鞘卷(さやまき)は茹(ゆ)で上(あ)げ、甘酢(あまず)に漬(つ)けたるもの。
『辯天山美家古壽司』に同(おな)じ。
以爲(おも)ふに、やゝ茹(ゆ)で過(す)ぎの恨(うら)みあり。
朧(おぼろ)を挾(はさ)みて甜(あまみ)を補(おぎな)ふ。
近會(ちかごろ)の技法(やりかた)は茹上(ゆであ)げが主流(おも)。
さらに、『しみづ』など大車(おほぐるま)を用(つか)ふ鋪(みせ)では、
上半身(うはゝんみ)はそのまゝ、下半身(したはんみ)には朧(おぼろ)を挾(はさ)む。
鶏卵燒(たまごやき)は小柱(こばしら)に長芋(ながいも)を擂込(すりこ)みたるものと云ふ。
小柱(こばしら)用(つか)ふは『鶴八』一門(いちもん)に同(おな)じ。
蝦(えび)用(つか)はぬため、色白(いろしろ)く深(ふか)き味(あぢ)はひに缺(か)く。
車蝦(くるまえび)を用(つか)ふ行(い)きつけの『うを徳』に分(ぶ)。
名(な)にし負(お)ふ廛(みせ)の大半(おほ)くは、
鶏卵燒(たまごやき)に芝蝦(しばえび)と山芋(やまいも)を擂(す)りて用(つか)ふ。
しかるに、『與兵衞鮓』が末裔(すゑ)小泉迂外(こいづみうがい)謂(い)ひて曰(いは)く、
「擂身(すりみ)にて誤魔化(ごまか)すは邪道(よこしま)にて玉子(たまご)ばかりがよい」と。
小鰭(こはだ)は『小笹』のごとく小(ちい)さめのものを、
敢(あ)へて完漬(まるづけ)を避(さ)け片身漬(かたみづけ)となす。
良(よ)くも惡(あ)しくも鹽(しほ)・酢(す)を控へた穩(おだ)やかなる口味(あぢ)。
眞鯖(さば)の〆方(かた)もまた然(しか)り。
斜(なゝ)めに柳刃(やなぎば)を入(い)れて滑(すべ)らすごとくに引(ひ)き、
最後(いやはて)にこれを立(た)てゝ體裁(すがたかたち)を整(とゝの)ふるが、
今時(いまどき)の切附方(きりつけかた)。
當家(こちら)、かゝる流儀(やりかた)とは無縁(むえん)。
煮切醤油(にきり)を引(ひ)かず、皿(さら)の附醤油(つけじやうゆ)を用(つか)ふ。
豫(あらかじ)め味(あぢ)を施(ほどこ)したるものは、穴子(あなご)、章魚(たこ)、
鮪赤身(しび)醤油漬(しやうゆづけ)、玉珧(たひらぎ)磯部燒、鮃(ひらめ)のみ。
鮃(ひらめ)には蘿蔔卸(だいこんおろ)しが添(そ)へらる。
【山葵(わさび)、茶(ちや)、生薑(はじかみ)】:
慣習(ならひ)の銅(あか)・鮫皮(さめがは)ならで、瀬戸物(せともの?)のおろし金(がね)。
親方(おやかた)、皮(かは)剝(む)きたる山葵(わさび)を小(こ)まめの卸(おろ)す。
粘(ねば)りがあり質(しつ)は上々(じやうじやう)。
味(あぢ)も馨(かをり)も定番(ならひ)の伊豆産(いづ)に相違(たがひ)なし。
眼(め)で見(み)て舌(した)で味(あぢ)はふ限(かぎ)り、
その屋號(な)に恥(は)ぢぬ上等(よ)き山葵(わさび)。
信州(しなの)、奧州(むつ)、播州(はりま)などに山葵(わさび)を産(さん)するも、
豆州(いづ)の右(めて)に出(いづ)るものなし。
茶は甚(いと)鮮(あざ)やかなる翠(みどり)をなし、良茶(よきちや)の趣(おもむき)。
しかるに、これを口(くち)に含(ふく)むや、テアニンとは異質(こと)なる"旨味(うまみ)"。
寔(まこと)、訝(いぶか)しき限(かぎ)り。
上質(よ)き茶になにか添加(くはふ)るは、畫蛇添足(へびをゑがきてあしそふるがごとし)。
最後(いやはて)の椀(わん)は骨邊肉汁(あらじる)。
白身魚(しろみ)の骨邊肉(あら)を汁(しる)とせしものにて、寸毫(つゆ)臭(くさ)みなし。
未醤仕立(みそじたて)なれど、潮汁(うしほじる)が吉(よい)。
すなはち、向島(むかふじま)『うを徳』、嘗(かつ)ての『喜久好』などなど、、。
生薑(はじかみ)は些(いさゝ)か甜(あま)め。
とは云へ、嫌(いや)な甜(あまさ)はなく、口直(くちなほ)しに適切(ほどよし)。
惜(を)しむらくは茶(ちや)の我(わ)が味覺(した)に適合(あ)はぬこと。
やはり、茶(ちや)の代(か)はりに玉薤(さけ)か水(みづ)を貰(もら)ふべきか?
穴子(あなご)や章魚(たこ)に用(つか)ふ煮詰(につ)めは、
老舖(しにせ)の飴(あめ)のごとき濃(こ)さはなく月竝(つきなみ)。
『すきやばし』筆頭(はじ)め、濃き煮詰(につ)めを排撃(や)むる潮流(ながれ)これあり。
だが、煮詰(につ)めの濃厚(こ)さもまた好(す)き好(ず)き。
【普請(ふしん)・設(しつらへ)へ】:
家屋(いへ)は百年(もゝとせ)を向超(こえなん)とする普請(ふしん)。
櫃臺(かうんた):檜(ひのき)の一枚板(いちまいゝた)なれど節(ふし)だらけ。
煤竹(すゝだけ)の箸(はし)はなかなかの風情(おもむき)。
箸袋(はしぶくろ)には"○さび"と書ゝれ、そこはかとなき洒落氣(しやれッけ)に富(と)む。
尤(いと)味のある卓(てえぶる)は李氏朝鮮(りしてうせん)の骨董(こつとう)とのよし。
經堂(きやうだう)『李白』を彷彿(おもはす)。
扁額(へんがく)には「賓如在家(まらうどいへにあるがごとし)」とある。
明治(めいじ)の手煆煉(てだれ)書家(しよか)の手(て)になるものとか、、。
さらに、甚々(はなはだ)古(ふる)き繪馬(ゑま)など枚舉(かぞふ)るに遑(いとま)あらず。
舗(みせ)は最(いと)鄙(ひな)びたる造築(つくり)。
東都(えど)で名高(なだか)き『喜壽司』、『二葉鮨』、『紀文壽司』は店舖(みせ)。
当家(こちら)主人(あるじ)が棲家(すみか)なるが大(おほ)いなる相違點(たがひ)か?
【管待(もてなし)ぶり、居心持(ゐごゝち)】:
亭主(ていしゆ)と鮓(すし)を語(かた)らひ、
同席(せきをおなじにす)る客(きやく)と昔日(むかし)を懐(なつか)かしむ。
「袖(そで)振(ふ)り合(あ)ふも他生(たしやう)の縁(えん)」とは正(まさ)にこのこと。
東都(えど)なら耳障(みゝざは)りな他人(あだしひと)の會話(はなし)もまた愉(たの)し。
「賓如在家(まらうどいへにあるがごとし)」とあるとほり、
宛然(あたかも)、知人(しりあひ)の家(いへ)にて寛(くつろ)ぐがごとき居心持(ゐごゝち)。
櫃臺(かうんた)に微睡(まどろ)むこと大約(およそ) 一時(いつとき、二時間)。
これ、足繁(あししげ)く通(かよ)ふ『うを徳』に髣髴(さもにたり)。
【結論(まとめ)】:
鮓種(すしだね)を容(い)るゝ漆塗(うるし)の筥(はこ)にも綻(ほころ)びが顯著(めだつ)。
鮓(すし)啖(くら)ふが目的(ねらひ)なら期待外(きたいはず)れ。
味(あぢ)だけなら、今(いま)を時(とき)めく若手(わかて)が勝(まさ)る。
すなはち、
新(あらた)たなる仕入先(しいれさき)や食材(しよくざい)の開拓(かいたく)、
蝦蛄(しやこ)の茹上(ゆであ)げなど調理法(てうりはう)の工夫(くふう)。
熟成(じゆくせい)、舎利(しやり)や鮓種(すしだね)の温度管理(おんどくわんり)、
明(あか)るく、鮓(すし)を巧妙(たくみ)に照(て)らす内裝(ないさう)。
當家(こちら)、俗(よ)に云ふ「昭和(せうわ)の鮓屋(すしや)」。
主人(あるじ)も、普請(ふしん)も、仕事(しごと)ぶりも何(なに)もかにもが、、。
廛(みせ)の鄙(ひな)びた雰圍氣(ふんゐき)を堪能(あぢは)ひ、
亭主(あるじ)と語(かたら)ひ、ゆるり安(やす)らぎを求(もと)むるには佳店(よきみせ)。
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【照相機】:日本光學 尼康(Nikon) Df 數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】:.....蔡司(Carl Zeiss) Makro Planar T* 2.0/50 ZF.2 @F2.0~F2.4
...................蔡司(Carl Zeiss) Distagon T* 2.8/21 ZF.2 @F5.6
店名 |
Wasabi(Wasabi)
|
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类型 | 寿司、日本料理 |
预约・查询 |
0467-25-2767 |
预约可/不可 |
可预订 |
地址 |
神奈川県鎌倉市浄明寺2-2-1 |
交通方式 |
JR鎌倉駅より 徒歩約20~25分 距離鎌仓 1,667 米 |
营业时间 |
营业时间和节假日可能会发生变化,因此请在参观前与餐厅联系。 |
预算 |
¥10,000~¥14,999 |
预算(评价总数) |
¥10,000~¥14,999¥5,000~¥5,999
|
付款方式 |
无使用卡 无使用电子钱 无使用二維码支付 |
座位数 |
18 Seats ( L字のカウンター8席.テーブル席あり) |
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个人包厢 |
不可能 |
包场 |
可能的 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 |
停车场 |
可能的 店の目の前1台と山側契約1台。道挟んでコインパーキングもあるが未提携 |
空间、设备 |
平静的空间,有吧台座位,有日式包厢 |
酒水 |
有日本清酒,有烧酒 |
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料理 |
对鱼类料理讲究 |
此时建议 |
许多人推荐的用途。 |
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位置 |
神秘不为人知的餐厅,家庭式餐厅 |
备注 |
【昼】 にぎり 3000/5000円 ちらし 3000円(税抜き) |
二十四節季(こよみ)の上(うへ)では旣(すで)に立冬(ふゆたち)ぬ有一日(あるひ)、
能知味者(よくあぢをしるかた)两人(ふたり)に隨行・隨伴・腰巾着(つきしたが)ひ、
鎌倉(×キャバクラ、〇かまくら)通(がよ)ひ。
一烟走(まつしぐら)に目指(めざ)すは鮓(すし)『和さび』。
當家(こちら)、七年(なゝとせ)ぶり二度目(ふたゝびめ)。
×大日本果汁〇莞爾(につか)と歡迎(むかふ)る亭主(あるじ)は、
以前(まへ)に比較(くらべ)て半點(いさゝか)窶(やつれ)て見(み)ゆるは、
先入觀(おもひこみ)、あるいは、白日夢(ゆめまぼろし)の等類(たぐひ)歟(か)?
"鮓(すし)"そのものは前囘(まへ)に無所大異(おほきくことなるところなし)。
强(し)ひて「白璧微瑕(たまにきず)」を論(あげつら)ふなら、
"小鰶(こはだ)"が"中鰶(なかづみ)"に變化(な)り、
この"鰕(えび)"を「對蝦(くるまえび)」と斷言(いひきる)を忌憚(はゞか)ること。
然(しか)はあれど、
價格(ね)の不變(かはらぬ)は昨今(いまどき)稀有(まれ)。
一貫(ひとつ)大畧(およそ)三百圓(さんびやくゑん)とは、
"待塲鮓(まちば)"、あるいは、"奢華旋轉鮓(ねのはるクルクルずし)"水準(なみ)。
扁額(へんがく)は"賓如在家(まれびと、わがやにくつろぐがごとし)"。
落款(らつくわん)には"漱六一書"とあり、これを怪訝(いぶかし)く思(おも)ふに、
「これを訊(き)くは貴殿(だんな)で二人目(ふたりめ)。
一人目(ひとりめ)は書家(このかきて)の孫(まご)に厶(ござ)りまする。」
壁面(かべ)には"杜鵑(ほとゝぎす)"。
卍生家(まんじうまれいでしいへ)に存在(あ)りし懐(なつ)かしの花(はな)。
"纜魚幟(いかのぼり)"は作者(つくりて)遺作(みまかるまへのもの)との説明(よし)。
玄關(いりぐち)には、かの"西岡棟梁(にしをかおやかた)"が辭(ことば)も、、。
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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:Voigtlaender NOKTON 1.2/35 @F2.4~F5.6
Voigtlaender Ultra Wide-Heliar 5.6/12 Asph. VM III @F8~F11