石葉 （日本料理/湯河原） -夜 : Sekiyou

歩いても15分くらいの道のりだと言うので、先述の酒屋さんから宿まで散策のつもりで歩いて行くことに。普段、湯河原駅から酒屋さん辺りまでは歩く事も多く、緩やかな坂道は大して苦ではなかったので迷いはなかった。

しかし、それも直ぐに後悔することになる。灘屋さんを越えてからの坂道が猛烈に険しいのだ。休み休みでないと息があがってどうにもならない。こんな坂を登った記憶が無いほどキツイ。なので、こちらの宿を訪れる際は徒歩をオススメしない。

そんなこんなで、這々の体で宿に到着。
暖簾を見ただけで既にかなりの達成感。

部屋に通され、最初に供されたお茶菓子。

程よい上品な甘味が疲れた体に染みる。

ひと風呂浴びていざ夕食！
まずは先付のこはだ酢〆。

程よい締め具合で身もほっくりと弾力性がある。

八寸

バランスがいいラインナップ

お椀

有次の銅鍋にタップリ用意されたお出汁で鰆にサッと火を通しよそって頂く。

刺身でイケる鮮度の鰆だから、勿論、臭みなど無く、お出汁で適度に脂が流されつつ、身はふっくらしっとり仕上がっている。出汁は魚に味付ける目的だから、そのまま飲むにはかなり濃い目だが、日本酒のアテについつい飲んでしまう。味わいもさることながら、鰆の持ち味が最大限に生かされた逸品。

ビールから日本酒にスイッチ
ビューターの器が美しい。

お造り

ネタはいいのだが、種類は思ったよりも少なく小ぢんまりとした感じ。

天然猪朴葉味噌焼き

こちらがこの日のメインディッシュ。
猪の野趣と朴葉味噌が実にマッチしている。猪はフレンチでも供されることがあるが、ソースとのバランスが難しいと感じさせられることが多い。猪肉は、脂は多くても肉の味わいとしては蛋白だから、このように味噌仕立て位の力強い味付けだと持ち味が発揮されるように感じた。

炊合せ

今年初物の竹の子とフキが猪を爽やかにリセットさせてくれる。

強肴

桜海老と百合根の掻き揚げ。川海苔の香りがいいアクセントになっている。

止肴

葉牛蒡、椎茸、油揚げの辛子白和え。

御飯

締めは蒸し寿司。これに赤だしと香の物が付く。
ふんわりとした錦糸卵が織りなす上品な味わい。

デザート

八朔、苺のゼリー寄せと大中寺芋きんとん。
後者はかろやかで優しい味わい。

全体を通してバランスがいいコースだった。
旅館で食べられる料理としては流石にレベルが高い。