眺望絶佳の食堂車 : Kankou Ressha Orange Shokudou

　今回のテツ分補給旅行の最大の目的は，こちら『おれんじ食堂』への乗車です．

　『おれんじ鉄道』は，第三セクター『肥薩おれんじ鉄道』の観光列車（快速・全席指定）で，２０１３年に運行が開始されました．
　『ゆったり・のんびりとしたスローライフな旅を楽しむ』がコンセプトで，車窓からの風景を楽しみつつ，地元の食材で作られた料理やデザートを楽しむことができます．それ以外にも，ウェルカムドリンクの提供や，ソフトドリンク・菓子の配布，主要駅で駅構内や街に出て沿線の特産品の買い物が楽しめるサービス（マルシェ），停車駅での土産物配布，乗務員による観光案内，景色が良い区間での低速走行や一旦停止サービス，乗車記念パスポートの配付，ジャズアーティストによるピアノの生演奏サービス，沿線の地酒・ワイン・ソフトドリンク・オリジナルグッズの車内販売等が行われています．
　ＴＶの旅番組で知ってから，いつか乗車したいと思っていました．

　『おれんじ鉄道』は金・土・日・祝日に運行されており，提供される食事の種類・運行時間・運行区間により，いくつかのプランがあります．乗車のみ（食事・ドリンク・土産等は含まれません）のプランもあります．
　停車駅は，川内・薩摩高城・阿久根・出水・水俣・新水俣・津奈木・佐敷・日奈久温泉・八代・新八代です．

　自分たちは「クルージングディナープラン ２１,０００円」を選び，約１カ月前に予約をしました．
　「クルージングディナープラン」（第３便）は，１４時５２分 川内駅発，１８時３６分 新八代駅着ですが，当日宿泊する日奈久温泉への列車接続を考慮して，八代駅で下車しました（１８時３１分着）．ちなみに，第３便は日奈久温泉駅にも停車しますが，夕食をゆっくりいただくため，日奈久温泉駅では下車しませんでした．

　『おれんじ食堂』は，ダイニングカー（１号車）・リビングカー（２号車）の２両編成です．ブルートレインを思わせる紺色の車体で，高級感がありました．
　車内は，木材が多用されており，明るくかつ落ち着いた雰囲気です．窓が大きいので，開放感バツグンでした．１・２号車とも席数は２０席程度で，かなり余裕があります．

　自分たちは，リビングカー海側窓際の２人掛けテーブル席に案内されました．テーブルにはシリコン製のランチョンマットが敷かれ，食器等が滑らないようになっています．
　車窓は素晴らしく，特に，海岸線を走る薩摩高城駅〜折口駅間，米ノ津駅〜水俣駅間，肥後田浦駅〜肥後二見駅間がバツグンに気持ち良かったです．天気にも恵まれましたね．

　４人くらいのスタッフが接客を担当していましたが，皆さん明るく丁寧でした．特に，チーフと思われる男性スタッフはホスピタリティ満点でした．

　当日の第３便は，８割くらいの席が埋まっていました．自分たちと同様「クルージングディナープラン」の客がほとんどでしたが，「ライトミールプラン」（出水駅下車）や「サンセットディナー」プラン（出水駅乗車）の客もいました．
　他の客は，年配の男女グループ（観光ツアーの一環だったようです）・若いカップル・中高年の夫婦・鉄道ファンと思われる男性のひとり客等でした．


【軽食】
　乗車してスグにソフトドリンクのサービスがあります（おかわりもできます）．自分はアイスコーヒーをいただきました．
　あと，カウンターに「柑橘ミニマドレーヌ」と「御立岬の塩せんべい」が置いてあり，自由にいただくことができます．軽い食感で程良い塩気の「御立岬の塩せんべい」が旨かったです．

　牛ノ浜駅付近を走行中に（１５時３０分頃），ウェルカムスウィーツ「いちごショートココット仕立て」が供されました．
　コクのある生クリームとイチゴの甘酸っぱさが良く合っていました．


【夕食】
　水俣駅（１７時１０分発）〜八代駅（１８時３１分着）間に提供されました．
　コースになっており，前菜２品・スープ・パン・メイン・デザートが順に運ばれてきます．飲み物（別料金）は予想よりも豊富で，かつ比較的手頃な値段でした．「不知火海浪漫麦酒・ケセラセラはちみつ浪漫」とグラスワイン（白・赤）をいただきました．

　料理は八代駅で積み込まれたもので，作り立てではありません（車内に本格的な調理場は無く，配膳のみ）．でも，なかなか本格的でした．車窓を眺めながらの食事はサイコーですね．
　それぞれの料理の感想を以下に記します．

　前菜１品目：蓋付きの四角い容器に，タマネギのムース・タコのフリット・キッシュ・ポテトサラダ・なます・ブリの燻製が入っています．和風なビジュアルでした．
　なめらかで甘味の強いタマネギのムース，ベーコンのようなコクが感じられるポテトサラダ，カンキツ風味のなますが印象に残りました．

　前菜２品目：生・茹で・焼き野菜（レンコン・紅芯ダイコン・ニンジン・サツマイモ・パプリカ・ミニトマト）にクリーミーなバーニャカウダソースを添えたものです．なかなか美しい盛り付けでした．
　野菜の甘さとソースのコク・塩気がベストマッチでした．ソースと白ワインの相性も良かったですね．

　スープ：ダイコンのポタージュで，インゲン豆が沈んでいました．
　ポッテリとした舌触りで，やさしい味わいです．ダイコンの風味がふわりと広がりました．

　パン：オレンジピールの入ったパンです（全粒粉？）．
　ムッチリした食感で，オレンジの風味が良いアクセントになっていました．意外に，白ワインとも良く合います．

　メイン：天然タイのポワレ・クルマエビのニンニクオイル煮・和牛スネ肉の赤ワイン煮がひと皿に盛られています．コンソメで煮たダイコン・マッシュポテト・茹でブロッコリー・ミニトマト・泡ソースが添えられていました．
　ホロリと柔らかく，深い味わいの和牛スネ肉が特に旨かったですね．赤ワインがススミました．

　デザート：フォンダンショコラにマスカルポーネクリーム・イチゴ・ベリーソースをトッピングしたものです．
　オレンジ風味のフォンダンショコラが良かったですね．でも，イチゴは余計かも．


【イベント】
　薩摩高城駅では，スタッフの案内で海辺まで散歩することができます．２〜３分で海岸に着きました．潮風が心地良かったですね．

　薩摩高城駅・出水駅・水俣駅では，ホームで特産品の販売があります（マルシェ）．また，それぞれ「キンカン酢」・「豚なんこつのやわらか煮」・「ステックケーキ」を土産にいただきました（クーポン引き換え）．
　さらに，車内で「黒豚みそ」・「きびなごの黒酢炊き」・「スイートスプリングジュース」・「あまなつスティックゼリー」・「い草コースター」等をいただきました．

　阿久根駅・水俣駅では，駅舎内の見学や駅売店での土産物購入をすることができます．いずれも最近リニューアルされたスタイリッシュな駅でした．

　なお，長時間停車する駅では，発車３分前にスタッフがベルを鳴らしながらホームを巡り，乗車を促します．なかなか良い感じでした．

　その他，走行中の見どころや沿線の歴史についての車内アナウンス，スタッフによる歌唱（地元の歌），ピアノの生演奏（ダイニングカー；リビングカーは車内放送）等が行われ，乗車中に飽きることはありませんでした．


　いや〜楽しかったですね〜．アッと言う間の３時間４０分でした．
　鉄道ファンのみならず，多くの方にオススメしたいです．