うん、これはうまいという声にならない声がすべてを物語っていた...「レ・シャンドール 」、ここは息の長い愛好者にこよなく偏愛され続ける真の実力を備えたレストランである
サラダ仕立てにしたオマール海老、夏野菜のトマト煮込み、甲殻類のゼリーと温泉卵を落とした前菜
九州五島列島の甘鯛のポワレ
フレッシュの桃のスープに蟹のサラダ状にしたものと桃の果肉、コンソメのジュレをかけて
富士幻豚、生姜の砂糖煮と各種ペッパーを添えて
レ・シャンドール
フレッシュの桃のスープに蟹のサラダ状にしたものと桃の果肉、コンソメのジュレをかけて
サラダ仕立てにしたオマール海老、夏野菜のトマト煮込み、甲殻類のゼリーと温泉卵を落とした前菜
3層のテリーヌ
九州五島列島の甘鯛のポワレ
牛ほほ肉、セップ茸とケッパーを加えたソース
富士幻豚、生姜の砂糖煮と各種ペッパーを添えて
フロマージュ(時計逆回りに)カマンベール、ヤギのミルクを使ったチーズ、ウオッシュタイプのチーズ、アオカビチーズ
巨峰と白ワインのシャーベットを使ったアントルメ
八角と丁字(ちょうじ)の香りをつけたパイナップルロースト、バニラ添え
小菓子
本日のワイン
2018年、春の京都に遊ぼう!第3弾...「レ・シャンドール 」、今回の京都訪問は、レシャンをもって報われた!しかし、5月13日時点で食べログ評価3.49。まずはこの許しがたい低評価にみんなで憤ろう!
そもそもわたしは、貧乏性な性格なので、食べログで評価されていないお店で優れたところを発見すると、いてもたってもいられなくなる。...3年前くらいになるだろうか、2015年暮れにお伺いした烏丸御池の「アカ(aca1°)」さんでもこれと似た心の震えを覚えた記憶がある。
当時、「アカ(aca1°)」さんは、食べログ上で3.7~3.8くらいの凡庸な評価しかされていないスパニッシュであったけれど、実際にお料理をいただいてみて、次から次へと出てくる"手間は足し算、味は引き算"の美しい一品一品にすっかり打ちのめされ、絶対にここはブレイクすると心の奥底から確信したことを思いだす。
今回、「レ・シャンドール 」で受けた衝撃は、あのときの「アカ(aca1°)」と似たものがあった。...でも、断っておくけれど、その感動は、食べログ全国ベスト10とか20とかで検索してヒットする名店レベルなどと思ってもらっていただきたくない。むしろ、そうしたトップ10や20の「名店」のシェフたちがこぞって教えを乞うために巡礼してもよいくらいのレベル、そのくらいの衝撃を静かに内に秘めているのが「レ・シャンドール 」である。
ここの素晴らしさは、お魚料理にしてもお肉料理にしても、食材に行き渡らせるその仕事加減の絶妙さにある。...たとえばお肉料理。肉のレアな生感に頼ることなく、職人の絶妙な火入れの技術を通さなければ表現することができない肉の旨みで食べ手の舌を震わせてくる、その揺さぶりが何とも素晴らしいのだ。その手際には、思わずフォークとナイフから手を離し、深く深くため息をつくほかない。
2018年4月1日(日)、今回の京都訪問をことのほか言祝い(ことほい)でくれた「レ・シャンドール 」訪問について、以下詳細に書き綴っていきたい。
...烏丸線四条駅から、四条通を東に少し行って、柳馬場通という小路を北に進む。"錦"という商店街を横切ってさらに北に進むと、左手にこじんまりとした佇まいの「レ・シャンドール 」が姿を現す。ここが京都中のシェフが集うフレンチレストランなのかと思うと、なんとも感慨深い。
店に入ると、お食事をゆっくりと愉しめる落ち着いた空間がひろがる。テーブル席に案内されてメニューを拝見する。こちらのお店は、実にオードブルが充実している。冷製、温製でいくつもの選択肢がある。いろいろ迷った挙句、今日は、温製のオードブルから、「フォアグラのポアレ パイ添え オレンジのマーマレード バルサミコ酢のソース」を選択することにする。
さらに、今日は、メインのお肉のご紹介がある。
〇ハンガリー産の鴨肉のロースト
〇牛のほほ肉のポトフ
〇フランス産の仔羊、背肉の部分のロースト
とのことだ。どれも魅力的だけれど、本日は「フランス産の仔羊、背肉の部分のロースト」でいくことにする。...これが、本当に本当に素晴らしかった!
1.先付け
ライ麦のを使ったパンにココナッツソース、その上に牡蠣のペーストと玉ねぎを刻んだものとキノコ類を付け合わせたもの。カリカリとしたライ麦パンの香ばしさと牡蠣の滋味の合わせが食欲を掻き立ててくる。
2.フォアグラのポアレ パイ添え オレンジのマーマレード バルサミコ酢のソース
温製のオードヴル。調理は実にシンプルだ。ハンガリー産の鴨のフォアグラの両面を香ばしく焼き上げ、キャラメリゼされたフォアグラの表面のパリパリ感が小気味よい。そこにバルサミコ酢ソースと甘さを抑えたオレンジのマーマレードが華やぎを添え、上にのせられた菜の花がほんのり春を感じさせる。
3.ポタージュ
これが素晴らしくキレイな逸品であった。思わずため息がでるほど旨い。
4.ムール貝と白身魚と雲丹のポワレ
魚のしっとりとした火入れがよい。そして、それにムール貝と雲丹の香りが寄り添うことにより、海の恵みを存分に堪能させてくれる。
5.フランス産の仔羊、背肉の部分のロースト、ハーブを加えたソースを添えて
これが滅法素晴らしかった!まず、ここで薦められたワインが、赤でなく、アルザス ピノ グリ レゼルヴ。仔羊の背肉ということであれば、まず大体赤を想像するけれど、ソムリエさんたってのお薦めで、白で行く。
お料理を一口いただいてその意味が分かった!この仔羊の美しい味わい。...はじめての経験といってもよいと思う。それは、まるで、良質な鶏肉をいただいているような美しい味わいなのだ。これは絶対に白と合う!また肉の火入れが、ここしかないという一点を過つことなく射貫いた素晴らしいものであったことを書き添えておきたい。
デセール、小菓子で一通りとなる。いや、ここは何とも素晴らしかった。「やまぐち」さんも「木山」さんも素晴らしかったけれど、「レ・シャンドール 」でお食事をいただいて、心の底から京都訪問が報われた感覚になった。
店内のお客さまは、皆さんレシャン歴が長い常連さんといった印象があった。わたしのお隣に座られたご夫妻などは、フレンチはここ以外ないとまで仰っていた。
ホールのソムリエさんにお食事の感動をお伝えして、お店を出ると、なんと表で、オーナーシェフ 田島福廣さんが見送りに出てこられていた。ご年配で静かな優しい雰囲気を持たれた方である。改めて素晴らしい料理に対して謝意をお伝えして、堅く握手をさせていただいた。...次回は8月に再訪予定だ!
フォアグラのポアレ パイ添え オレンジのマーマレード バルサミコ酢のソース
フランス産の仔羊、背肉の部分のロースト、ハーブを加えたソースを添えて
ムール貝と白身魚と雲丹のポワレ
レ・シャンドール
京都御所
京都御所の満開の桜
京都御所の桜
ライ麦のを使ったパンにココナッツソース、その上に牡蠣のペーストと玉ねぎを刻んだものとキノコ類を付け合わせた先付け
フォアグラのポアレ パイ添え オレンジのマーマレード バルサミコ酢のソース
ポタージュ
ムール貝と白身魚と雲丹のポワレ
フランス産の仔羊、背肉の部分のロースト、ハーブを加えたソースを添えて
アルザス ピノ グリ レゼルヴ
アルザス ピノ グリ レゼルヴ
デセール
ミニャルディーズ
店名 |
Reshandoru
|
---|---|
类型 | 法式料理 |
预约・查询 |
075-255-2277 |
预约可/不可 |
可预订 |
地址 |
京都府京都市中京区柳馬場通六角下ル井筒屋419 |
交通方式 |
京都市营地铁四条站,或阪急京都线乌丸站徒步10分钟 距離乌丸 462 米 |
营业时间 |
营业时间和节假日可能会发生变化,因此请在参观前与餐厅联系。 |
预算 |
¥10,000~¥14,999 ¥6,000~¥7,999 |
预算(评价总数) |
¥20,000~¥29,999¥8,000~¥9,999
|
付款方式 |
可使用卡 (VISA、JCB、AMEX、Diners) 无使用电子钱 |
座位数 |
24 Seats |
---|---|
个人包厢 |
不可能 |
包场 |
可能的 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 |
停车场 |
不可能 |
空间、设备 |
时尚的空间,平静的空间 |
酒水 |
有葡萄酒,有鸡尾酒饮料,对葡萄酒讲究 |
---|
此时建议 |
许多人推荐的用途。 |
---|---|
位置 |
家庭式餐厅 |
服务 |
提供外带服务 |
网站 | |
备注 |
午餐¥65000¥7260¥14520日元含税/含服务费2023/11现在晚餐¥20570日元含税/含服务费 |
京都在住と思しき、見るからに品の良い高齢のご夫婦が、12:00の開店にあわせ、測ったように「レ・シャンドール 」に入店される。...もちろん、わたしの面識のあるご夫婦ではないのだけれど、今回の「レ・シャンドール 」訪問で、このご夫婦の居住まい・佇まいを通して、「レ・シャンドール 」という京都のフレンチ・レストランの本質を垣間見たような気がした。
...ご夫婦は、店に入ると店内の一番奥のテーブル席に腰掛け、ことのほか念入りに料理を選んでおられる。ご主人の方は、派手ではないけれど仕立てのよいジャケット姿、奥様の方は涼し気なチュニックカットソーを上品に着こなしておられる。何年も通われている常連さんといった落ち着いた雰囲気が、そこに座わられているだけで感じ取れる。
そして、このとき、とりわけわたしの印象に残ったのが、運ばれてきた1品目のアミューズブーシュを口にされたときのご主人のほころぶような笑顔であった。...うん、これはうまいというご主人の一言が、いかなる饒舌も及ぶまい雄弁な簡潔さで彼の満たされた舌の震えを露わにしており、それを目の当たりにした途端、「レ・シャンドール 」というレストランの真髄を垣間見たように思えのだ。
お昼の開場が待ち切れないとばかりにお二人で入店され、開場直後、見知らぬ客たちが三々五々と入店してくるあの誰もが感じる少しこわばった空気感の中、コースの1品目を口にするなり、まるで、そんなこわばりなど、どこ吹く風と涼しくと忘れさって、すっかりレシャンドールの味にのめりこんでお料理を愉しまれている高齢のご夫婦。...「レ・シャンドール 」とは、こうした息の長い愛好者にこよなく偏愛され続けている真の実力を備えたレストランなのである。
2018年8月19日(日)「レ・シャンドール 」再訪。この日は、昼の訪問だけれど、夜のコース料理を出していただけるかお願いしたところ、快くお引き受けいただいた。本当にお店に感謝である!以下、できるだけ詳細に、この日の「レ・シャンドール 」の夜のコースの素晴らしさについて書き綴っていきたい。
まず、シャンパーニュ、フィリポナ レゼルヴ・ミレジメで喉を潤しているほどに、一品目のアミューズが饗される。(奥の席のご主人が感心されていた品である)
1.アミューズ
フレッシュの桃のスープに、蟹のほぐし身と桃の果肉、表面にコンソメのジュレ合わせた一品だ。桃と蟹のほぐし身の合わせが何ともよい。(昨日の「やまぐち」さんでも同様の食材の組み合わせがあった)
「レ・シャンドール 」では、スプーン1口で、桃のスープとスープが浸みこんだ蟹のほぐし身が合わさり、味わいを完結させる趣向が凝らしてある。
ギャルソンの方にお聞きすると、実は、フレンチのクラシックなレシピに蟹と桃のスープを合わせるという手順はないそうだ。したがってこの合わせは、フレンチのセオリーというわけではないのだけれど、桃自体は甲殻類との相性が良いとの見立てで、田島シェフは夏場は、このメニューを出されているとのことだ。
...甲殻類といっても、海老のようなプリッとした、表面を桃のスープが流れてしまうような食材との合わせではなく、ほぐれた蟹身にスープがほどよく絡らまっていくこの合わせが、なんとも素晴らしい!
2.前菜
周りにサラダ仕立てにしたオマール海老、真ん中に夏野菜のトマト煮込み、甲殻類のエキスをゼリー状に仕立てたもので全体を包み込み、最後に上から温泉卵を落とした前菜。卵を割って一緒にいただく。
お皿の下には、カボチャやブロッコリーなどの夏野菜をラタトィユに仕立てにしたものが敷いてある。これを、これをプロバンスのロゼ(シャトー・レ・ヴァランタン コート・ド・プロヴァンス ロゼ)でいただくが、夏野菜に優しくなじむ感じに心が落ち着く。
3.3層のテリーヌ
テリーヌは、3層構造になっている。一番外側には、ホロホロ鳥のむね肉を使ったテリーヌ、内に向かって(若干色が変わっている)フォアグラのテリーヌ、真ん中にはセミドライのフルーツと3層に仕立てたテリーヌである。3種類がすべて味わえるようにナイフで縦に切っていただく。
これには、アルザスのワイン、トラペ・アルザスを合わせていただく。
...しかしでも、このテリーヌの素晴らしさはどうだろう!...そもそも、テリーヌとしての味わいが美しいのだ。一片の雑味もないというか、テリーヌの一番美しい在り方を見せていただいているような感覚を覚える。これこそ、基本の仕込みがなせる業なのだと思う。
「レ・シャンドール 」はわたしにとって、まさに"飾り包丁より、隠し包丁"の王道をいくフレンチレストランだ。べつに、クラシカルのレシピに忠実であることだけが美徳だなどと頭でっかちな考えを持っているわけではないけれど、裏での仕事は、きちんとフレンチの基本に則って行う。そんなコンセプトを感じるレストランが「レ・シャンドール 」である。そうでなければ、これほど穢れのない美しいテリーヌは作れないと思う。
4.九州五島列島の甘鯛のポワレ
これも素晴らしい出来栄えのお料理であった!まず、魚の火入れが抜群である。一応料理名は"ポワレ"となっているが、蒸し焼きにしたというより、ローストに近い。それも、見た目を気にして表面に焼き色を付けた中途半端な感じではなく、しっかりとオーブンで皮目をカリっと焼き上げてある。
そして素晴らしいのが、中の身肉(みしし)のふっくらとした仕上がり具合だ。中はまったくパサついていなく、その絶妙な火入れで、身肉から湯気が立つような仕上がりなのである。そして、焔立つように漂う甘鯛の品格のある麗しい香りも申し分ない。
さらに、この甘鯛とオレンジ風味のバターソースを合わせていただいてみようものなら、もうこれが、傑作というのが惜しまれるほどに素晴らしいのだ!
...フレンチのクラシックなソースにブール・ブラン(白バターソース)というソースがある。これは、白ワインもしくは、白ワインビネガーにエシャロットを水分がなくなるまで煮詰めて、そこにバターをダイレクトに加えて炊き上げるように乳化させて作るそうだが、このオレンジ風味のバターソースも、そのブール・ブランと極めて似た作り方をする。
ただし、レシャンのオレンジ風味のバターソースは、そのブール・ブランに、さらにオレンジの果汁を加えて清々しさを加味し、さらにクラッシックソースではエシャロットのぷつぷつを濾器で濾してしまうところを、あえてぷつぷつ感を残しているそうだ。
こうすることで、ソースに野菜の素材感と夏らしい柑橘系の風味が加わって、バターソースがより軽やかに仕上がることになる。これと、焼き上げられた甘鯛から香る優しい甘みとのマリアージュは、人を幸福にする以外の何物も含まれていないとはっきりここに断言したい!
5.牛ほほ肉
セップ茸というヨーロッパのキノコ(イタリアでいうところのポルチーニ)にケッパー(ハーブ)を加えたソースでいただく。口中をホロホロとほどけるほほ肉と、キノコの香りを存分に愉しむ。
6.富士幻豚
幻の豚といわれる静岡県の養豚場で育った富士幻豚。そこに、細切りにした生姜を砂糖煮にしたもの、グリーンペッパー、ピンクペッパーを振りかけ、肉の周りに砕いたブラックペッパーを散らしてある。
肉の部分にきちんとした旨みが蓄えられている。しっとりとした肉質、甘さを伴った脂身が素晴らしい。なんでも、この豚は稀少すぎて、業務店向けのおろし的な販売がメインとなっているそうだ。
このあと、フロマージュを4種類いただき、最後のデザートで締めくくる。
7.フルーツ
巨峰と白ワインのシャーベットを使ったアントルメ。涼やかに口の中がすすがれる気分だ。
8.デザート
八角と丁字(ちょうじ)の香りをつけながらローストしたパイナップル、バニラが添えられている。ローストされることによって、パイナップルにエッジが立って立体的な輪郭が際立つ。その酸味を甘いバニラが包み込むのが心地よい。
最後に小菓子で一通りとなる。...どのお料理も素晴らしかったけれど、今回は、息の長い愛好者が、どうして「レ・シャンドール」というレストランを偏愛し続けるのか、その理由を垣間見たような気がした訪問であった。料理の外見の華やかさや、外連味を一切排した、実力派のお料理、それが「レ・シャンドール」の本質だと改めて確信したお食事会であった。