詰め込みすぎ : Tenjaku

西陣にある和食屋。店主の西岡氏は和久傳やおたぎのご出身。ミシュラン掲載予定という友人からの誘い文句に乗って訪問しました。

当日いただいたおまかせのコース（税込17,325円）は下記の通り。
八寸（鯛、イイダコ・わさび菜、いさざ、サーモンとチーズ等）
椀物（筍、若布、蛤、木の芽）
お造り（アブラメ）
油物（車海老×1、スナップえんどう、独活、白魚、グリーンアスパラガス、餅、サツマイモ、豆腐）
酢の物（炙った貝柱、フルーツトマト、タラの芽）
桜蒸し（車海老、ぐじ、百合根、キクラゲ）
ご飯、赤出汁、香物、じゃこ
追加で桜海老の天丼
水物

コース中に占める油物（天ぷら）の比重が大きいのが当店の特徴。ちょっとした天ぷらのコース位の量が供されました。

椀物は蛤の出汁を利かせた清汁仕立。うま味・塩味ともにしっかり。西陣は職人の街で、萬亀楼があることからも京都の中では味の濃い地域と聞きますが、当店は修行先のおたぎほど味は濃くないかなと。

天ぷらは油っぽく、食感がもう一つ。綿実油主体だと思うのですが、序盤の数品で油が劣化してしまっていました。鍋から引き上げた後にペーパー上を転がしているので、目の前の天紙には油は付きませんが、油切れは良好とは言い難く、吸油量も割りと多め。

車海老は中まで丁度火の入った仕上りでGood。その一方で、白魚は火を入れすぎでした。油を替えないなら天ぷらの品数は減らした方がいいですし、桜海老のかき揚げのように表面積が増えるものも避けた方が良いのではないかなと。

天ぷらの後の酢の物は口の中がさっぱりとします。黄身酢というのも和食らしくて良いなと。

雰囲気やサービスは良好。店主は好青年で、料理に接客に奮闘していました。良い所がなかったとは言いませんが、やりたいことを詰め込みすぎているとの印象を受けてしまいました。ミシュランも新しいお店を発掘するのが仕事とはいえ、ここまで星のハードルを下げるようでは先がないでしょう。