藪らしい辛汁にテンションが上がる : Ueno Yabu Kaneko

東京に戻ったついでで、浦和へ足を伸ばす。
評価が上がってきていたのは認識してもいたし、そろそろ行こうかなと候補先にも入れていたのだが、色んな事情で後回しにしていたお店。そうしたら百名店入りしたので、仙台へ拠点を移しつつある今、行ける時に行っておかないと、ということで、無理やり時間を作って行くことにした次第。

口開け15分前到着、先客あり。でも、余裕で一巡目に入れるポジション。
お客さんの仕切りはお見事。ストレスがない。遅れる時は遅れると言い、要所でしっかりケアをしてくれる。ほどほどで心地よい。
注文は〈せいろうそば〉と〈天ぷらそば〉。こちらの〈天ぷらそば〉は別盛り。茶塩or天つゆを選ばせてくれるが、温いそばには天ぷらの油が落ちるのをそこまでマイナスに感じない私は、味を分けるべく茶塩をいただくことに。どちらを先にと言われたので、〈せいろうそば〉を先に。
まず、〈せいろうそば〉のつゆがイイ。しょっからくて、醤油がバリバリに立っていて、もっちり感を残しながら冷やし切ったそばを少し浸していただくと絶妙なバランス。江戸前、特に藪のスタイルを忠実に継承している、辛汁とはこういうつゆにこそ相応しいという感じ。イイね。イイよ。私の好きなスタイルだ。
と、テンション上がった後の〈天ぷらそば〉もイイ。柚子、三つ葉の香りと強いつゆの香り、味わい。ほどほどにそばを頂き、茶塩でも楽しんだ後の天ぷらをつゆに落としてそばといただく。天ぷらのネタは、海老、魚２種（めごちと稚鮎かなぁ。時期的にはちょっと早いけど…）、茄子、いんげん、さつま芋。どれが主役だと飛び抜けたものがないかわりに、シブくハイレベルなネタを寄せ集めた賑やかな盛り合わせ。そばのつまみとして中々の存在感とクオリティ。
〆て3,000円のお勘定も納得。敢えて浦和を訪れることはあまり無いけれど、この辺りを何らかの理由で訪れなければならなくなったら、覚えておくことにしよう。

蕎麦の百名店（EAST）はこれで85ヶ店目を踏破したことになる。残るは行くのに難儀なお店（立地的な問題、あるいは、一人客を受けてくれない）が多く、追い詰めつつあることに変わりはないのだが、ここからが難所だな、と思案中。
ま、一つ一つ行くしかないんだけどね。