記念日にふさわしい本格フレンチの格式 : L'ecrin

6年ぶり4度目の利用は、親戚の記念日として利用。

最近お気に入りのラフィナージュのシェフ（高良さん）出身の店ということで、今回改めて利用してみた次第。

さすがの老舗本格フランス料理店で「料理」「おもてなし」「雰囲気」の３拍子揃った特別感あふれるレストランでした。何よりもゲストに満足してもらったのが嬉しく、特別な「ハレ」の日にふさわしい日本を代表する本格フランス料理店ではないでしょうか。

▪️料理・味
4名で伺い、10,000円のコース4名に、2名分お肉メインのアップグレード２✖️2,000円。シャンパン付きワインペアリング7,800円✖️４名、ガス入りミネラルウォーター２本✖️1,500円にサービス料10％＝8,070円で合計88,770円（単価22,193円）でした。

ランチとはいえ、2万円ちょっとでグランメゾンの本格料理とサービスとこの空間が体験できるのは相当にリーズナブルではないか、と思います。

「アミューズ」
＊タジャスカオリーブ（黒オリーブ）のマドレーヌ
　バターの香り香しい一口サイズ
＊ヤリイカとフヌイユ、フルーツトマトのスムージー
　フルーツトマトの甘味とほのかな酸味にイカのつぶつぶが究極に美味

「前菜」
ホワイトアスパラガスをテーマに
＊パヴァロア　ミモザに見立てた八朔とミモレット
　ホワイトアスパラのムースが絶品。ホタテとの組み合わせも抜群
＊ホワイトアスパラの茹で上げ　ソースオランデーズ
　酸味のあるソースにホワイトアスパラならではのほっくりした食感が楽しめる


「メイン」
＊魚：鰆のロティ　菜の花とアサリのヴルーテ、イヴェリコ豚生ハムのコンディモン
　完璧な焼き加減の鰆に塩味の強いイベリコ豚がアクセントになっている。これも究極

＊肉：上州牛フィレ肉のエギュイエット、ハーブ鶏のバロテーヌ
牛肉は薄くカットすることで生と焼きの食感が際立っている。これにジャガイモや玉ねぎのカリッとした食感がちょうどよいい塩梅でアクセントになっている。ただの牛肉ローストでないところが素晴らしい。

鶏肉の方はちょっと連れに味見させてもらうと、しっとりとした鶏の食感に優しいソースの味がよく絡む。

「デザート」
＊トンカ豆の香るクーロンショコラ、グリオットカシスのシャーベット
　濃厚で上品なショコラにこれまた濃厚なカシスの酸味がよく合う王道の組み合わせ。

最後のお茶菓子は、宝石箱（レカン）に見立てたボックスの中から自由に選択できるようになっています。マカロン、ゼリー、ガレット、チョコなど、バラエティー豊かなお茶菓子が宝石のように並んでいて美しくかつ美味。

最後のコーヒーも十分にコーヒー豆の味が抽出されていて、味わい豊か。

なお、シャンパン＆ペアワインは、料理に合わせてレストランが選んだワインがちょっとずつ飲めるのでフランス料理ならではのマリアージュが楽しめます。お酒飲める人は絶対セットで頼むべき。これはお値段以上の価値あり。

▪️サービス・雰囲気
伝統の地下３階のアール・ヌーヴォーで待ち合わせし、地下２階のホールに向かうという演出で、気持ちが盛り上がる演出。

記念日ならではの気遣いや演出もグランメゾンにふさわしい対応で「ここにしてよかった」と思わせてくれます。

説明も丁寧で、タイミングよくワインやミネラルウォーターの給仕も、高級店ならでは。

銀座中央通りに面するミキモトビルの立地で、特別な日にぜひお勧めしたいレストランです。

ミキモトビル建て替え後の訪問です。

入り口は中央通り沿いで、建て替え前と変わらず。

ただ階段ではなく、エレベーターに変わっていて、これもバリアフリー対応ですね。

まずは地下3階のウエイティングルーム兼バーへ。

ここの内装はかつてのレカンの内装をそのまま移設したそうです。赤を基調としたアール・ヌーヴォー全開のデザインは、しっかりと残っています。

そしてエレベーターで地下2階に上がるとここがメインダイニング。旧デザインとは打って変わってベージュを基調にしたエレガントな内装に様変わり。

給仕の方もダンディな男性中心から、若い男性イケメンスタッフや、女性スタッフなど、内装同様、重厚てクラシックな雰囲気から、明るくエレガントな雰囲気にイメチェンです。

このコンセプトは、料理にも貫かれており、全体的に盛り付けが、モダンでハイセンスな盛付けに大変身。

とはいえ、グランメゾンとしての料理の建て付けは従来通り。

前菜→魚→肉のメインメニューの他、アミューズが３種類も給仕され、デザートワゴンに最後の茶菓子と本格フレンチフルスペック。

味は本格派で、複雑系素材に複雑系ソース全開。一体何種類の食材と何種類の調味料を使っているのか、まさに無限大。

特に美味だったのは、メインの牛皮フィレを背脂でロールした料理とさまざまなサーモンの活用形の前菜。

カトラリーも定番のレイノー、クリストフルのほか、福井の龍泉刃物の肉用ナイフを使用するなど、細部こだわっております。

７〜８年前に結婚記念日でディナー利用させてもらって以来、２度目の訪問で今回はランチ。正統派のフレンチとしてオーソドックスな料理も、オリジナリティの高い料理も両方とも「素材の味を活かした」ではなく「しっかり丁寧に調理した料理」つまりちゃんとしたフランス料理が楽しめるレストランです。

そういう意味で本格フレンチ初体験の方には、ちょうど良いお店ではないでしょうか？ミキモトビルの地下という日本一地価の高い場所にあるレストランで場所も分かりやすい。

この食べログでもジャンルを超えた上位で、なぜフランス料理が平均的に高い評価を得ているのか、是非レカンで実感していただきたいと思います。

○味・料理
スープのない一番スタンダードなコースを選択。つまりアミューズ＋前菜＋メイン＋デザート＋ドリンクの組み合わせで、ミネラルウオーターのみなら１人あたりおよそ６，０００円〜７，０００円で楽しめます。

★アミューズ
北海道産天然ホタテのポワレとワイルドライス添えで、ほんのりカレー風味。ワイルドライスとは、アメリカ先住民が栽培していたイネ科マコモ属の草の実だそうで、そのしっかりした堅さと、半生状態でポワレした肉厚な帆立貝との柔らか食感の組み合わせを楽しむ料理。最初からさすがですね。

★前菜
ドンブ産うずらのガランティ－ヌ　ハシバミの香り：ウズラの肉のつくねみたいな料理で、みためテリーヌ風。味は冷製で肉の旨味がジュワッと固まったよう。中には豆類が入っていて、固い食感とネトッとした食感を上手く組み合わせてあります。

★メイン
子羊のクレピネット（網脂）包み焼き：これはフレンチの王道の味。ソースと子羊の密度の高い赤身のお肉に、大きめカットのしっかりした野菜の組み合わせ。フランス料理でしか味わえない味ですね。子羊と野菜の旨味が、クレピネットにしっかり包まれて逃げないためか、子羊ならではの味わいが存分に楽しめます。

しかし、フランス料理は、本当に手間暇かかってます。

★パン
パンは２種類給仕されました。一つは、外がカリ、中がしっとりとしたフランスパン。中の生地は粘りが強く、ぱさぱさ感一切なしのおいしいパン。２つ目は、中も外もカリっとしたバケットのカットで、こんな点もよく考えられているなという印象。

★デザートワゴン
モンブラン、プリン、ミルフィユ、生チョコショコラ、オペラ、フランボワーズのケーキ、レモン風味のレアチーズケーキ、タルトタタン、サバランなど、１０種類以上のホールケーキに、３種類のフルーツコンポートやピュアフルーツジュースなど、非常に充実しています。

ランチでこのボリュームは、なかなかない。味はしっかりとした味が多く、この点も本格フレンチらしい。ナチュラルで甘み控えめとは違いますね。特に美味しかったのは、ミルフィユとショコラかな。

そして、最後のとどめとして、トリュフやゼリー、マカロンなどのお茶菓子とコーヒー、ハーヴティーで締めとなります。

○サービス
給仕の方は、全て男性で、これまた本格フレンチらしい。皆さん正装で、蝶ネクタイもばっちり決めています。接客作法としては、付かず離れず。こちらからリクエストすれば料理の内容なぞも、丁寧に説明してくれます。ただ、もうちょっとお節介焼きでもいいかもしれない。

店内が全体的に狭いこともあり、物を落としたり、ちょっとカトラリーや食器を当てて音を出してしまうなどの点については、些細なことですが、若干動きが他の高級店と比較して雑な所があるかもしれません。

お出迎え時の対応は、アピシウスやサンパウなどと比較すると、、こちらが階段を下りてきてから気づくなど、これもちょっとしたことですが、特別感がイマイチ。これはお見送り時も同様。通常価格のお店と同じように「ありがとうございました」でそのまま終わりでした。

でも、初回ディナー利用時は、全くそんな気配なし。お出迎えは待ってましたとばかりの対応。お見送りは、玄関口まで荷物を持って、お見送り。やはり昼と夜では、サービスの質に違いがあるのかもしれません。

○雰囲気
アールヌーボー全開。家具から内装、照明まで、アールヌーボーの世界にどっぷりと浸れる空間です。上述のように店内は狭く、給仕の人口密度高く、昔のロオジエのよう。この点はマイナス。

天井を見上げると、透明なガラスのクリプトン電球でしょうか？今時、こんな照明使ってるなんて、良くも悪くも、レカンのようなクラシックな場所だけだと思います。渋いな、懐かしいなと思う一方、電力食って大変だろうなという想いも。でもレカンは「ハレ」の場所、つまり非日常の世界をお客さんに提供する場所だから、これでいいと思います。