今夜は銀座で焼き鳥、銀座鳥真 : Ginza Torishin

　今夜は銀座で焼き鳥、銀座鳥真。
　鳥さとの2号店として、昨年の9月にオープンされています。
　店先を通り掛かって「良さげな店だな」と入店する人もいないでしょうから、立地の説明は割愛。
　「鳥真の『真』はオーナーさんの名前ですか？」「そうではありません、謎です」とのこと。

　店内は黒を基調とし、席間が狭めのコの字カウンター13席ほど。
　焼き手、配膳、ホールの三人で切り盛りされています。
　コースは「おまかせ10串」と「おまかせ」の2つですので、おまかせ10,800円（税込）を予約しました。
　「おまかせ」は仕入れによって変わる焼鳥と野菜が10串、料理5品が提供され、その後は別料金でストップ制。

　乾杯は、エビスビール生ビール900円
　今夜は銀座で二人お疲れ様会、いつ飲んでも美味しいヱビス。
　銀座にしては（と言うほど銀座で飲んでませんけど）大きめのビールグラス、量も多めで嬉しい。

　ビールで街の喧騒を断ち切ったところで、一品目は自家製鶏ガラのワンタンスープ
　お客さんの一口目に合うような温度のスープに、餡ではなく皮を楽しむワンタンを泳がせています。
　店長さんの「他の焼き鳥屋でやってないでしょ」の心意気が伝わってきます。
　美味しいだけじゃない料理を楽しみたくて銀座に来たわけで、これから始まるコースが楽しみです。

　焼き鳥はカウンター台のゲタに置かれ、スマホで撮るには絶好のアングル、照明もバッチリ
　焼き鳥の食べ方は食べ手の自由ですので、私は必ず取り皿に移してから頂くようにしています。
　お客さんが店員さんの所作を観ているように、店員さんはお客さんをよく見ていると考えています。
　なお、この店にはメニューが用意されていないので、料理名はひらがな表記を基本します。

　かしら
　一串目は豚のこめかみの肉であるかしらから。
　やや小ぶりのポーションですので、一口でぱくり、ああウンマイ。
　焦げ目も味わいとばかりにしっかりと入れされ、あっさりめのたれが肉の味わいを引き立てます。

　大根おろし
　醤油を軽く掛け、箸休めにどうぞと。
　おかわり自由のお店もありますが、この日は殆ど食べることがなくて、お代わりできたかどうかは不明。

　ささみ
　ほんのりとピンクに色づいたささみ、こちらでは山葵で楽しみます。
　しっとりとした口当たり、スッと抜けていく鶏肉の旨味、ちょこんと山葵で濃淡する味わい。

　ぎんなん
　やや小粒の銀杏が5粒、やや柔らかさを残す火入れが絶妙に感じます。
　焼き鳥をゲタに置くと、宴が進むに連れてゲタが汚れてきます。
　汚れても気にしない店、毎回拭き取ってくれる店、頃合いで取り替えてくださる店、などなど。
　こちらは串を置く場所を変えていて、私の中で一番好み、良い店を見つけました。

　うずら
　半熟ではない固茹、つまりハードボイルドですな。
　味付けを最小限にして卵の美味しさを味わう、二つなら一口で美味しくいただきます。

　そろそろビールが空くので日本酒を、訊けば隠し酒はないそうなので、メニューから選びます。
　の前に、お猪口を選ぶとこから。
　十二支にちなんだお猪口、自分の干支を選びたいところを、間違えて連れの干支を選ばないようにしないと。

　佐賀の蔵元である天山酒造が醸す「七田（しちだ）」純米酒　無濾過　七割五分磨き　R3BY。
　「不易流行」の酒造りを目指す蔵元の日本酒は、お店のコンセプトにぴったり。
　じゃなくて、お店のコンセプトに合う日本酒を用意されたんですね。
　新酒としてではなく少し寝せて味わいを穏やかにさせていて、焼き鳥によく合います。

　せせり
　筋肉質な首周りの鶏肉、肉質の色合いを残しつつ火入れされていて、旨味が溢れ出します。

　焼きアスパラガス
　サフランで色付けし、ブラックペッパーで風味を加えたピアチェンティーヌエンネーゼチーズ。
　そのチーズを、チーズグレーターで削って掛けてあります。

　焼き鳥に合わせる料理にチーズをあしらうのは面白いですね。
　焼いただけでも美味しいアスパラガスが、チーズが掛かってさらに美味しい。

　手羽先
　骨付きが多い印象の手羽先を、こちらでは身の部分のみ、にしては十分なポーション、食べ応え十分。
　七味や山椒で味の変化を楽しみたいのに、今夜も忘れてむしゃぶりつきます。

　焼き場を見ると、鶏肉の切り身を豪快に焼き上げ、火のついた備長炭を押し付けて仕上げています。
　私には焼き鳥の流行り廃りが分かりませんが、今では当たり前なのか、この焼き方はごく少数なのか。

　備長焼きの鴨ロース
　盛り付けはエルメス皿、薬味は有馬山椒、フランス産の岩塩、白髪ネギの3種類。
　特徴的な鴨肉の美味しさを包み込むような炭の香り、まさに不易流行。
　鴨ロースは２枚重ねてあるので、片方を有馬山椒、片方を岩塩で楽しみ、白髪ネギは両方で楽しみます。

　レバー
　程々のポーションを程々に火入れして、ふんわりとした周りが美味しく、しっとりとした芯も美味しい。
　その両方が一度で楽しめます。
　あっさりめのたれが抜群の相性、できることならお代わりしたい。

　いくらの茶碗蒸し
　一点物の小ぶりの湯飲みで蒸し上げられた茶碗蒸しに、いくらがあしらわれています。

　いくらの粒々感に茶碗蒸しのしっとり感が相まって、他では楽しめないと思われる鳥真ならではの茶碗蒸し。
　底には鶏肉が沈められ、焼き鳥のコースから外れていません。

　さて、次の日本酒。
　福島の蔵元である仁井田本家が醸す「にいだしぜんしゅ　はつゆき」純米生原酒　生酛　R5BY。
　蔵元独自の「汲み出し四段」仕込みで造った、タンクから最初に絞りだされる荒ばしりの純米原酒。
　二次発酵ではないぴちぴち感を纏ったうすにごり、焼き鳥によく合います。

　焼き椎茸
　炭火で丁寧に焼き上げ、さっと半切りしてから、花鰹をあしらって。
　醤油が使われていない、椎茸だけの美味しさが楽しめます。
　小皿にぴったりサイズの椎茸が可愛らしい。

　なんこつ
　焼き鳥ですので薬研軟骨、焼いていないのかと思うほどレア感が強い一串。
　何に挑戦しているのか、どこを目指しているのか、かなり歯応えが残っていて、私にとってこの日のスペシャリテ。
　随分と塩味が強めですねと声を掛けると、「お客様、お酒を多めに飲まれていたので、多めに塩を振りました」と。

　ちょうちん
　焼き鳥のちょうちんは本物と作り物があるけど、どちらでもない第三のちょうちん（ひょっとして、もっとあるのか）。
　赤ちゃんの卵をを伴った卵黄をたれに漬けにし、別に焼き上げた鶏肉と共に串に刺してあります。
　一口で頂くと、卵黄と共にたれの旨みも楽しめ、とても心好い。

　ここまでがコースとしての串と料理。
　お腹の具合と懐具合を連れと相談して、2串を追加し、もう一杯飲むことにしました。
　追加の串は、部位を指定することも出来ますが、お任せもできると言うことで、お任せで。

　福島の蔵元である仁井田本家が醸す「にいだしぜんしゅ」純米原酒　生酛　R3BY。
　先のにいだしぜんしゅははつゆき（うすにごり）でしたので、続けては中取り。
　2年ほど寝かせたレア物、ちょっと冷しすぎですので、しばらく置いてから楽しみます。

　はらみ
　牛肉や豚肉であれば横隔膜ですが、鶏肉なので腹筋部分。
　コリコリとした食感の先にギッシリの旨味、これは美味しい。
　改めて思い返してみると、初めて頂いたような気がします。

　砂肝
　サクサクとした食感が楽しい砂肝、包丁を入れてあり、浅めの火入れで美味しくいただけます。
　さて、焼き鳥を終えてご飯もの。
　卵かけご飯とそぼろ丼のどちらにしますかと訊かれ、ひとつずつお願いします。

　私のそぼろ丼
　使われている卵は、兵庫県加古川市の株式会社セーラーの「日本一こだわり卵」。
　2019年から開催されている、一般社団法人日本たまごかけごはん研究所が主催するたまごかけごはん祭り。
　その第一回で、グランプリを受賞しています。

　ご飯の量もちょうど良く、軽く混ぜてから頂きます。
　まずご飯からして美味しい、卵はもっと美味しい。

　連れのたまごかけごはん
　焼き鳥でお腹いっぱいと聞いた気がするけど、ごはんは別腹のようですな。

　お会計に合わせてお願いしたお茶。
　焼き手の手がちょうど空いたので、「どちらで修業されたのですか」と訊くと、独学とのこと。
　食材を鳥しきに寄せつつも、他店とは異なるオリジナル焼き鳥を提供していきたいと、しかと受け取りました。
　やはり銀座、美味しいだけの焼き鳥屋ではありませんでした。
　美味しい焼き鳥、美味しい料理、美味しい日本酒をご馳走様でした。