受け継がれる楽屋弁当・2017
今年も恒例の演奏会が終わった。
初めて唄方で参加したのと
音源の無い、弾き歌いの大きな曲に当たったので、弁当は食べられなかった。
品川から乗り込む新幹線、
湿気を嫌う楽器があったので伊東から運転せねばならず・・・飲めないのがちょっと物足りないのだけど何しろ空腹。
食べられなかった弁松の楽屋弁当を開けたのは午後4時、もうなりふり構わずがっついた、御飯の一粒も、残さずに。
濃い目の醤油味の煮物焼き物が有難い。
白いんげん豆の甘さにうとうとしそうになったがそんな頃合いで新幹線は熱海に到着。
荷物のひとつとなった着物は汗を吸ってずっしり重い。
こんもりと巻貝のように上った髪は涼しげに私の頭に留まっている。
翌日はまた膝の抜けそうなジャージに着替えては汗と砂埃にまみれる。
演奏会への取り組みを知る人も評価する人も職場にはいないけれど、
仕事にはなくてはならないスキルのひとつであるのでいつかきっと自身の糧になると信じている。
そんなに頑張ってどうすると言われることもあるけど、信じる事はきっといつか自分自身に戻って来るはず・・・なので挑み続ける。
お土産に榮太郎の貝の形の江の島最中。
伊東から東伊豆海岸線を白いSUVで走り抜けた。
受け継がれる楽屋弁当
生まれて間もなくから続けている稽古事の勉強会が毎年この時期にある。
門下一同が集まり、一年間の稽古の成果を披露するというもの。
楽屋の弁当は伝統的に弁松さんと決まっている。
しっかりと煮しめられた煮物、味の馴染んだしっとりした焼き物。
出汁の味わいが奥深い卵焼き。
甘さが染みこんだふっくらお豆。
鶯色の小梅の乗っかったご飯。
安定感のある各品は着物に着替えていても汚すことが無い。
裏方の準備もしなくてはならなかったり、曲の最終確認もしなくてはならなかったり、そんな緊張とせわしなさの中にあっても、二折のこの弁当を開けた途端、皆が皆、笑顔になる。
今年も何とか舞台を終え、ご挨拶に伺っている際
卒寿を過ぎて尚現役の大先生にいただいた言葉が殊更嬉しかった。
―これからはあなた方の時代になるから頑張ってね。―
はちきれんばかりの、少女のような、華やかな笑顔が眩しかった。
そして私は生涯にわたってこの勉強を続けてゆくんだなと初めて確信した。
また新しい勉強が始まる。
一年後、同じ場所でこの弁当の蓋を開けるその瞬間まで。
店名 |
Nihombashi Bemmatsu Souhonten(Nihombashi Bemmatsu Souhonten)
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类型 | 便当 |
预约・查询 |
03-3279-2361 |
预约可/不可 |
可预订 |
地址 |
東京都中央区日本橋室町1-10-7 |
交通方式 |
距離三越前 199 米 |
营业时间 |
营业时间和节假日可能会发生变化,因此请在参观前与餐厅联系。 |
预算(评价总数) |
¥1,000~¥1,999¥1,000~¥1,999
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付款方式 |
无使用卡 无使用电子钱 |
个人包厢 |
不可能 |
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包场 |
不可能 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 |
停车场 |
不可能 |
此时建议 |
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服务 |
提供外带服务 |
网站 | |
备注 |
【中央区日本橋本町2-4-12より移転】 |
東埼玉より赴くのは初めての
勉強会という名の演奏会。
今年も大井町。
雨に降られながらなんとか会場へ着くとまずは揃いの着物に着替えをして
演奏以外のお役の打ち合わせに先生方へのご挨拶。
ほっと一息、お弁当を広げる至福の時間。
ご飯の上には鶯色の小梅がひとつ・・・ひとつだけ。
仄かに木の香のする入れ物にシンプルな面差しが映える。
なんでもないご飯が・・・なんて美味しい。常温であるのに。
茶色いおかずを頬張る。
ごはんで追いかける。
今年も変わらない味、満たされた気持ちとお腹で、安心して本番を迎える。
自身の演奏の合間に私は幕の係りを仰せつかっている。
曲の終止がわからないと務めることができない、緊張感のある役である。
職人さんたちが舞台を整え、捌けたら私は舞台上で揃った皆さん方に声をかける。
「宜しいでしょうか。では、幕、揚がります。」
今年で20回記念の会。
転職したばかりの仕事の合間に何とか曲を仕上げることができた。
来年もこの場所に立っていたいと改めて思うのである。