芯の通った哲学 : L'appartamento di NAOKI

平日の昼、友人と訪問。
彼とは大学時代の同級生なのですが、
彼が富山県に転勤してから約2年ぶりの再会です。

当店は麻布十番駅1番出口から徒歩2分程度の好立地であり、
余程の方向音痴でない限り迷わず到着できます。

入店してまずはアルコール消毒を。
検温はされませんでしたが、席の間隔にそこそこ
ゆとりを持っているので良しとしましょう。

テーブル席が1つに、
残りはカウンターが9席程度。
かなりこじんまりとした雰囲気です。

昼なので健全に泡のボトル1本で通します。
我々が選んだのは「massim（7300円）」です。
美しい黄金色に少しの酸を感じる味わい。
香りは白い花のニュアンスを強く感じます。

さて、料理に行きましょう。

～金目鯛の鱗焼き～
これは完璧なスタートですねぇ。
鱗焼きのバリバリした食感と濃厚な旨味。
下にひかれたおかひじきの味わいにも説得力があります。

～コンソメスープ～
これもいいですねぇ。
澄んでいるのに濃厚な味わい。
浮かべられたオリーブオイルが口内でスープと合わさり、
平たく言って美味。

～カプレーゼ～
下にはフルーツトマトが、その上にブラッターチーズを。
トッピングにバジルの粉末を用いています。
チーズのコクと、トマトの酸味、バジルの風味が
三位一体となって口内で暴れまわります。旨いなぁ。

～カプレーゼ～
モモのスケという蕪にじっくりと火を通し
その上に毛蟹とキャビアをトッピング。
これはもう言うことないですね。
ロブションのあれを彷彿とさせます。

～パン～
パンは2種類の用意です。
北海道産のハルユタカを用いた全粒粉入りパンと
フォカッチャです。
オリーブやバターは出されず「おや？」と思っていると
シェフが「イタリアでは本来パンにオリーブオイルとか付けないんですよ。オイルの味見などでそのような事をする場合もありますけどね。なのでうちでは料理に出てくるソース等を拭って食べて頂ければと思います。」とのこと。いいですねこういう芯の通った哲学。
この時点で今日の勝利を確信しました。

～グラタン～
ジャンボマッシュルームを用いたグラタンです。
中には牛すじも用いられています。
まさに出来立てであり、チーズが沸々としています。
濃厚なチーズのコクとマッシュルームの土ウマさ。最高です。

～パスタ～
キタッラという独特の道具を用いて作られるパスタ。
カルボナーラ仕立てとなっておりますが、
その中身は何と鱈の白子！
そしてなんと
ウィスキーウッドのチップで燻製までされています！
そして最後はイタリア産の黒トリュフを！
これはもうたまらないですね笑
思わず口角が上がってしまいます笑

※もちろん残ったソースはパンで拭いましょう！

～リゾット～
猪の赤ワイン煮込みとレンコンのリゾットです。
これも抜群に良いですねぇ。
ほろほろになるまで煮込まれた猪の旨味と
レンコンのシャクシャクした土旨さが
米の甘味と上手に合わさります。

～メイン～
子羊を薪と炭で調理しました。
口に運ぶ直前までは薪の香ばしい香りが、
口内に入れてからはシルキーかつ繊細な旨味が
2段階で脳を揺さぶってきます。
パッキャオも衝撃の揺さぶられかたです笑

～デザート～
パンナコッタです。
中には大ぶりの苺が丸々1つ！
土台となる生地とトッピングには
ピスタチオが用いられており、味に複雑みを感じます。
旨い。

～ミニャルデーズと飲み物～
コーヒー、紅茶、
エスプレッソ、ハーブティーからの選択です。
私はハーブティーを選択。
ミント主体のさっぱりした味わいであり、
コース全体を通してやや重めの構成だったので
これぐらいサッパリしている方がうれしいです。

ミニャルディーズは3種類。
八丁味噌風味の生キャラメル、
バーチ・ディ・ダーマ、フィナンシェです。
1つ1つの完成度が高く、
特に生キャラメルの存在感は別格！

いやぁ～満足満腹。
お会計をお願いすると2人で約24000円。
おお！あれほどたっぷり食べ、ボトルを1本開け
この地この内容でこの金額に落ち着くのは悪くないですねぇ。
料理自体も
シェフの芯の通った哲学を感じられ、文句なしです。
強いて言うなら、
ボトルを入れたのにタップウォーター等が出なかったこと。

そういえば聞くところによると
シェフはもうすぐ麻布の地から離れ、
違う場所でキャパを絞り営業していくとのこと。
料理が美味しかっただけに、少し悲しく思えました。