美味さを滲ませる、酒を誘う肴たち。派手さは無いが、昭和風情と共に居心地の良さを感じさせてくれる老舗 : Aji

四ツ谷に構えて、もう37年だそうです。
気さくなご夫婦が切り盛りされている呑み食い処。
吉田類さんの「酒場放浪記」を辿って、
ようやく暖簾をくぐることができました。

食後の感想を極めてシンプルに表現するなら、
“魚が実にうんまい”。

大将がもてなしてくれる魚介料理からは
実直さや丁寧さが感じられ、
酒のパートナーとして
高い満足度を演出してくれます。

焼。煮。揚。そして、酢〆……。
純粋な生（刺身）は胃袋の関係で漏れましたが、
それ以外のお料理のパフォーマンスを考えれば、
「死角無し」と言って良いではないかと思われます。

なにより【お通し】が良かったですね。

お料理の種類はなかなかに豊富で、
とても1回では楽しみきれない……

ソロ呑みの場合、やや値が張るかもしれませんが、
ぜひまた足を運ばせていただきたいなと、
素直に思えた夜となりました。


---《いただいたメニュー》---
◆焼魚 沖きんき粕漬け@1,000円
　凛とした御身の甘じょっぱさは、いい塩梅。
　充分な脂を纏い、
　ねっとりとした身を崩しながら、
　口の中でその旨味をじんわり発散してくれます。

　身自体は淡白ではあるものの、
　それをあまり感じさせないような
　オイル感ですね。

　また、皮は香ばしく焼きあがっており、
　パリッと弾ける音がそれを物語ります。
　白メシに漬物、そして味噌汁の姿が、
　頭の片隅にチラついてきます。


◆三重〆鯖@1,000円
　酢締めは軽めに。仄に、まろやかに。
　厚みがある鯖は、
　噛み締めた時の食感が、実に気持ち良いですね。
　そして、僅かに乗った刻み柚子。
　運んでくる爽やかさは、
　いいアクセントになります。


◆あなごの肝煮@500円
　鈍いねっとり感の後にくる、
　肝独特の苦味は軽めに。
　前に出てくる甘じょっぱさに、
　山椒が仄かに爽やかさを添えてくれます。
　食感にも抑揚があっていいですね。　
　チビチビといけてしまう一品。


◆いわしフライ@950円
　主賓の鰯は、御身に加えて骨煎餅まで。
　さらに、ゼンマイやシメジ等も乗った
　豪華な一皿です。

　鰯は、まさかのスティック状。
　身のふっくら感をより一層感じられ、
　ナイスなアレンジですね。
　且つ、サクッとした揚げ加減で、
　油切れも良好。

　ちなみに……
　ソースか、ポン酢かを選べます。
　が、俄然「塩推し」です。


◆お通し@500円（おそらく）
　3品。
　各々の料理名は失念してしまったのですが…
　いずれもいい味付け。
　その後の料理群を期待させるのに
　充分な開幕です。


◆新潟小町 純米@700円


---《利用シーン＋α》---
・ソロで、遅い夕食
・平日21:15頃に訪問
・入口に近いカウンターに着席
・店内のお客は、
　常連さんと思しきおひとり様と、
　同じく常連と思しき初老のカップルの計2組


---《メモ》---
・写真撮影の前に「撮っても良いですか？」と、
　大将に確認しましょう。