【★4.4】モダンフレンチ濃厚派【2084-3】 : URANO

911文字★

ペアリング（9,900円）＋おまかせコース（24,200円、税サ込）

01.フランス産 エスカルゴ ブリオッシュ
02.ガスパチョヴェール えぞ鮑
03.パン＆バター
04.甘鯛ポワレ アーティーチョーク
05.ブルターニュ産 オマール海老のリゾット
06.エゾ鹿の赤ワインマリネ サラダ仕立て
07.フランス産 仔牛の腎臓 ロースト
08.和栗のヴィシソワーズ キャラメル風味
09.和牛テールの赤ワイン煮込み
10.初秋のフルーツパフェ
11.小菓子
11-1.発酵バターのマドレーヌ オレンジ風味
11-2.フランボワーズのマカロン
11-3.スフレフロマージュ
11-4.セサミサブレ
11-5.チョコレート フランボワーズ風味
12.フレッシュハーブティー

最初からエスカルゴが登場してモツ心を擽（くすぐ）ります。
鶏のハツモトやツブ貝を思わせるエスカルゴの食感が大好物。
エスカルゴバターが染み込んだブリオッシュもシュワッと蕩けます。

同じ月に長崎県で野菜ばかり出てくるイタリアンを訪れたのですが、
そういう淡麗派にウケそうなお店とは対極的な濃厚派。
濃厚な食材を多用しながら料理は軽やかに仕上げておりモダンさも感じられます。

アワビのガスパチョにはフランス産のキャヴィア入り。
甘鯛やオマールブルーといったブランド海産物も楽しめます。
鱗こそ剥がしていますが皮目をパリッと焼き上げる甘鯛の火入れは合理的ですし、
レアー感を残すオマールブルーの火入れも見事（リゾットのお米が硬めなのも好み）。

サラダにすら、燻製したエゾ鹿のマリネ、鴨のソーセージ、サマートリュフなどが入り、
淡麗な料理なんてどこにも見当たりません。
ヴィシソワーズも栗を使っておりコッテリした味わい。

挑戦的だったのがロニョン・ド・ヴォー。
アッサリしているはずの仔牛でも、独特の癖を感じてしまうぐらい強烈な部位。
とはいえ某イタリアンで食べた北海道産仔羊の腎臓よりは癖や臭み無くて、
某モツ焼き屋で食べた豚の腎臓（マメ）と比べても全然食べやすいです。
赤ワインと合わせることでも癖が穏やかになってフランス人の叡智を感じました。

1,215文字★

おまかせコース（16,940円、税サ込）

01.スコットランド産ラングスティーヌ（アカザエビ）・蕗の薹・椎茸のパートブリック包み
02.百合根のムース コンソメジュレ キャヴィア
03.自家製の丸パンとグランフェルマージュの発酵バター
04.養殖トラフグの白子 鹿肉ジャーキー ベーコンとポルチーニ茸のリゾット
05.茹でてからソテーしたフランス産ホワイトアスパラガス エストラゴンの香り 自家製ベーコン 芹 クレソン 芥子菜
06.カワハギのソテー 3種類のソース（春菊、牛蒡と黒トリュフ、肝） ウルイ 菜花 帆立と牛蒡の薄焼き生地
07.ブーダンノワールのミルフィーユ仕立て 林檎ピュレ アニスとクローブの香り
08.リードヴォー セップ茸と黒トリュフのソース
09.スコットランド産ペルドローグリ（山鶉）胸肉・腿肉・笹身 芽キャベツ 空豆 馬鈴薯 トランペット茸 内臓とフォアグラのフォンダンショコラ仕立て
10.フルーツパフェ（プリン、ミントのブランマンジェ、苺、ブラックベリー、甘平、ブラウニー、ギモーヴ、マスカルポーネとオレンジのアイス、ミントの泡、フランボワーズのメレンゲ）
11.小菓子8種類の盛り合わせ
11-1.抹茶のマカロン
11-2.胡桃と黒糖のクッキー
11-3.ビルヴェッカ（ナッツ、ドライフルーツ、キルシュで作るアルザス伝統の焼き菓子）
11-4.伊予柑のオランジェット
11-5.チョコレートクレープ（キウイ、バジル、カスタード入り）
11-6.ヘーゼルナッツのキャラメルパウンドケーキ
11-7.スフレチーズケーキ
11-8.オレンジのムースケーキ

ラングスティーヌのパートブリック包み（イメージとしては高級かつ上品な海老春巻き）、
また食べたいとリクエストした白子リゾットなど色々と楽しみましたが、
本日の白眉と思ったのはヴィアンド（メインの肉料理）のペルドローグリ（山鶉）。

カイユ（鶉）に関しては水戸のレストランオオツ（4.15）が一番のお気に入りなのですが、
ペルドローグリはジビエならでは野趣のような味わいを楽しめて興味深いです。
胸肉の一部に小骨が残っており（イメージとしてはボンジリの尾骨入り）、
食べやすさという点ではオオツのカイユのほうが上手いと思ったのですが、
フォンダンショコラ仕立ての内臓料理に同店ならではの魅力を強く感じました。

山鶉のレバーだけでなくフォアグラも加えて濃厚チョコレートに絡まっています。
フレンチではレバーをスイーツに見立てることが多いですが、
甘くて濃厚なチョコレートと濃厚なレバーとの相性が頗（すこぶ）る良かったです。

10種類ぐらいのアイテムを組み合わせたフルーツパフェがスイーツ百名店顔負けな美味しさ。
最後の小菓子は前回（4種類）より大幅にパワーアップして良い意味で狂っています。
おそらくシェフがスイーツマニアなのでしょう。

2,568文字★

おまかせコース（16,940円、税サ込）

レストラン ペリニィヨン（3.55）で8年シェフを務めた浦野健次郎氏が腕を奮う同店（3.14）。
食べログのスコアこそ冴えませんが、都内では数少ない低価格帯なのに美味しいフレンチ。
フレンチが好きなわけでもないのに食べログのフレンチ百名店を30軒ぐらい巡りましたが、
飲んで食べて2万円ぐらいで収まる都内のフレンチではピカイチという印象。
フレンチ百名店で同店を超える満足感を覚えたお店なんて極めて僅かです。

今回はコルベール（ジビエの青首）を楽しんで16,940円となりましたが、
ランチ8,470円～、ディナー9,680円～、都内のフレンチにしてはリーズナブルな価格設定。
しかし料理の美味しさはもっと高額なフレンチに負けていません。

食べログに投稿された口コミ16件をチェックすると一番低い評価でも3.9。
16件中15件が4.0以上なのにスコア3.14という、アルゴリズムの歪（ひずみ）に隠れた名店。
同店が選ばれずネームバリューだけで駄店が選ばれる百名店というシステムに疑問を抱きました。

テーブル3卓10席のみという小さなお店をご夫婦の二人三脚で切り盛り。
これぐらい小規模なほうがシェフの個性が見えやすいです。
大箱のフレンチ百名店は規模の大きさに反比例して味が落ちていくような印象。
（シェフ自らの調理ではなくスタッフ総出の調理となるので味が落ちるのも必然でしょう。）

ワインペアリング 約60ml 5種（6,050円）
おまかせコース（16,940円）

01.ズワイガニのパルフェ仕立て
02.パン
03.甘鯛とカナダ産松茸のスープ仕立て
04.鹿肉ジャーキー フグの白子 ポルチーニ茸のリゾット
05.カナダ産オマール海老のフラン
06.国産雉のバロティーヌ
07.ビーツのシャーベット
08.宮城産コルベール ソースサンチュベール
09.ミントのエスプーマ バジルのアイス 色々なフルーツ プリン ブランマンジェ
10.食後のお飲み物
11.マカロン、胡麻クッキー、バナナとチョコレートのロールケーキ、モンブラン

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は税サ込です

【3.9】ズワイガニのパルフェ仕立て

一番下にズワイガニの解し身、アーティチョークのソース、青長大根の浅漬け（緑色）、
からし菜（紫色）、蟹味噌のチュイルでパフェ仕立てに。
ザクザク崩しながら食感の変化とカラフルな見た目を楽しんでいきます。
組み合わせの妙味までは覚えなかったですが温かなズワイガニが美味しい。

【3.6】パン

自家製の丸パンとグランフェルマージュ（フランス産）の発酵バター。
粉の旨味が引き立っており甘さ控えめ大人の味わい。
おかわり可能でした。

【3.8】甘鯛とカナダ産松茸のスープ仕立て

海苔を貼り付けて焼いた甘鯛、カナダ産の松茸、アワビ、蕪のすりおろし、菜の花。
スープのお出汁は浅蜊とベーコン。
高級ブランド食材をスープの中で共演させながら雑味など感じず上手く纏めていました。
味変アイテムとして柚子も添えられています。

【4.6】鹿肉ジャーキー フグの白子 ポルチーニ茸のリゾット

セミドライといったソフト食感の鹿肉ジャーキー。
皮がパツパツ膨らむまで加熱して、中身が蕩けてクリーミーなフグの白子。
お米の硬めな炊き加減も濃厚なクリームソースも理想的なリゾット。

それぞれ単体で食べても美味しいですし、組み合わせて食べても妙味を覚える超絶リゾット。
予算が許せば鹿肉ジャーキーをカラスミに代えても良さそうですが、
シェフのセンスが発揮された料理で火入れにも組み合わせ方にも唸りました。

【4.0】カナダ産オマール海老のフラン

カナダ産オマールのフラン、フランの中には百合根、ソースアメリケーヌ、
上にはオマールのソテーと刻んだエストラゴン。

ソースだけ掬って食べるとしょっぱくて料理が破綻しているのではとも思ったのですが、
濃厚なフランやホクホクした百合根など全て混ぜ合わせて食べると丁度良い塩梅に。

ブルターニュ産のオマールブルー（市場価格はカナダ産の倍以上）と比べると、
どうしても素材に見劣る部分があったのですが（旨味が少し弱いように思います）、
構成力は良くてシェフの濃厚な料理は筆者の好みにストライク。
この料理をオマールブルーで再現すれば評価4.5級かも知れません。

【3.9】国産雉のバロティーヌ

豚のベーコンで巻いて成型していますがバロティーヌ本体は雉だそう。
シットリした雉肉でネットリした雉レバーなど包み込んでおり美味しい。
付け合わせは赤キャベツのシュークルート、ソースは雉のフォン。

【3.4】ビーツのシャーベット

ビーツのジュレ、ビーツのシャーベット、マスカルポーネ、紫蘇。
甘くない「口直し」で舌をリセット。

【4.4】宮城産コルベール ソースサンチュベール

ヴィアンド（メインの肉料理）は宮城産という青首（雄のマガモ）。
胸肉はレアーに火を入れてソースサンチュベール（赤ワインやフォアグラバター）。
パイ包みの中に青首の腿肉、内臓、ブーダンノワール、付け合わせはトランペット茸や栗。

フレンチ百名店を巡っているときに色々なお店でシャラン鴨を食べましたが、
この青首のほうが旨味強くて素材力が素晴らしいです。
赤ワインベースの濃厚なソースとの相性も抜群で久しぶりに鴨で感動を覚えました。
素材が良くて、火入れ良くて、ソースも美味しいので非の打ちどころ無し。

パイ包みは中身の青首よりもシットリかつサクサクしたパイ生地のほうが秀逸。
他にもパイ包み焼きのレシピあれば再訪時にリクエストしてみようと思います。

【3.9】ミントのエスプーマ バジルのアイス 色々なフルーツ プリン ブランマンジェ

ハーブの存在で爽やかに楽しめるデセール。
チョコブラウニー、カスタードプリン、ブランマンジェ、オレンジゼリー、苺、洋梨。
具沢山で専門店のパフェ顔負けな完成度の高さ。

【3.5】マカロン、胡麻クッキー、バナナとチョコレートのロールケーキ、モンブラン

先ほどのパフェほど突き抜けた存在は無かったですが色々と楽しめて嬉しい。