肴の豊富な品揃えに加え、蕎麦の出来も上々
暫くご無沙汰しており、連休初日の土曜日の昼に思い立って足を運んでみた。
前回より3年以上も間が空いた。
13時過ぎに入店したためか、先客は無し。
現在もご主人一人で賄っているようだ。
カウンター席を選び、まずは生ビール(ヱビス)をもらい一息つく。
昼時は卓上に置かれた食事メニューだけかと思いきや、ご主人はすかさず手書きの酒肴の品書きを提示してくれた。
そこには季節ものを含めて、多彩な品々が並んでいる。
大いに迷うが、次の3品を選択。
「カキのしぐれ煮」:注文が入ってから濃い目の醤油味の煮汁で、5.6粒がさっと煮て出された。
シーズン初めのためやや小ぶりだが、細かに刻んだ生姜も効いていてなかなか良い味。
「活〆穴子の白焼き」:綺麗な焦げ目の付いた一尾分が、6つにカットされて登場。
適度な歯応えで、塩加減も丁度良い。
添えられたレモンと山葵、さらに粉山椒で味わう。
「自家製豆腐のみそ漬けとあん肝の味噌漬け」:やや甘めだが、ともに程良い漬かり加減が好ましい。
酒飲みの勘所をつかんだ逸品と言える。
酒も手書きの紙片に、時々のおすすめが並んでいる。
その中から群馬の「分福」さらに愛知の「長珍」を一合ずつもらい、ゆるりとした時間が流れる。
蕎麦は2種類を打っているが、この日は手挽きの「粗挽き」は品切れとのこと。
ちょっと趣向を変えて、時期的にそろそろ終わりと思われる「冷かけ」にしてみる。
運ばれた黒釉の深鉢の景色は、茹で上げた蕎麦に冷したつゆを張っただけで、薬味の葱も付かないシンプルさ。
最近は「冷かけ」というと、淡麗な透き通ったつゆを用いるのが流行だが、こちらは醤油味がしっかりとした江戸前の趣。
ここの蕎麦は元々角の立った、ある程度の太さと歯応えが特色のため、このスタイルの方が合っている。
小気味よい味わいが東京人の舌には嬉しく、余さず飲み干して満足感に浸る。
店主一人で切り回す小規模の店ながら、多種多様な肴の品揃えは立派で、何れもそつなくこなしている。
蕎麦の出来も、まずまずのレベルを維持。
都内有数の美食地帯である「牛込中央通り」で、気軽に「蕎麦屋酒」が楽しめる店として、きちんと存在感を示している。
「志ま平」の並びに誕生した若い職人が開いた店
こちらの開店については、方々から情報が入っていた。
場所は蕎麦屋だけでなくフレンチやイタリアンの人気店が集まる「牛込中央通り」に面している。
しだいに外堀方向に下り始め、左へ少し折れる「三角州」のような立地。
元々は普通の蕎麦屋で、そこをリニューアルさせて昨年11月に誕生。
町名は払方町だが、私が都内の蕎麦屋の中でも最も信頼する納戸町の「志ま平」からも目と鼻の先。
さらにこの店の2軒先の現在中華屋が入っている処には、神楽坂に移転する前の「蕎楽亭」が在り、鰻の寝床のような店舗で店主の長谷川さんが一人で頑張っていた頃のことが、懐かしく思い出される。
少し前に「志ま平」に行った折も、主人との会話の中に此処の事が出てきたので、寄ってみたいと思っていた。
初回は昼に蕎麦だけで訪店したが、まずまずの出来であったため、今回は「蕎麦屋酒」目的に平日の6時前に足を運んでみた。
主人はまだ若く、夜は一人で切り盛りしているとのこと。
すでに近所の方と思しき1組2人の先客が、テーブル席に居る状況。
私はカウンター席を選ぶ。
まず入り口に掲示されている「晩酌セット(1,680円)」が気になった。
好みの酒が一杯と、ちょっとした肴と天ぷら、それに小盛の蕎麦が付くようだ。
まずはこちらを頼んで、その後で追加をしたい旨を告げる。
セットの酒の「生ビール」からスタート。
肴には小さな杓文字の「焼き味噌」、それに長皿に「里芋の煮物・小松菜と油揚げの煮浸し・板わさ」が乗って出てきたが、味にも盛り付けにも繊細さが感じられる。
その後が「天ぷら」で、「稚鮎・舞茸・黄パプリカ」と言う内容。
個々のポーションは小さいが、きちんと塩と天つゆが付く。
稚鮎のほろ苦さが心地よく、2種の野菜もまずまずの揚げ上がり。
まずそれらを味わいながら、メニューに丹念に目を通す。
料理も蕎麦も、冊子の中の定番ものや手書きの'本日のおすすめ’、さらに壁や卓上に提示された季節の品々など、一人で賄いながらよくこれだけの多様なサービスが出来るものと驚くほどで、意欲的な姿勢は好感できる。
(メニューの写真を掲載したが、近々変更が有るとのことで一部分に止める)
色々と迷った末に、別書きとなった次の2品を選択。
「活〆 生ごま鯖刺し」:山葵醤油で味わう、鯖とは思えぬさっぱりとした味。
脂は少ないが、その分生臭さなどは皆無でなかなか美味い。
「牛すじ おろしポン酢」:丁寧な下処理が施されており、これも爽やかさを感じる出来栄え。
おろしポン酢の加減が良く、下にも敷かれた大根の細切りと牛筋の食感の取り合わせも考えられていることに感心。
酒の品揃えも実に多彩。
今回は佐賀の「七田」を冷酒で、福井の「黒龍」をぬる燗で一合ずつもらい、これらの料理に合わせたが、いずれも良かった。
蕎麦はまずセットについてくる、半盛りの「せいろ」を出してもらう。
きちんと揃った切りで香りも有り、適度なコシとのど越しを兼ね備えたもの。
さらに壁の掲示が目を引いた「手挽き荒挽せいろ」を注文。
手挽きの挽きぐるみが、やや太めに打たれており、当然ながら香りが芳しい。
噛みしめると甘味も感じられる、上々の出来である。
「つゆ」もバランスの取れた味わい。
「蕎麦湯」は多少の手は加わっているが、過度の演出が無いためすっきりと〆られた。
結果的に、期待以上の満足度である。
全般的に丁寧な仕事振りで、センスの良さも随所に感じられる。
まだまだ試してみたいものが沢山あるが、これは次回の楽しみにしたい。
方向性にはまだ迷いも有るようだが、主人は若いながら技術的にはしっかりしており、引出もなかなか多く持っているように見受ける。
しかし混んでくると一人で賄うには無理があり、待たされることも懸念される。
ちなみに蕎麦屋らしからぬこの店名は、店主がサーファーだったことに由来するそうだ。
この前の道は昔からの交通量の多い抜け道で、こちらは坂を下るカーブに位置するため、今回座ったカウンターからはまるでこの店めがけて車が飛び込んでくるように映り、さらにその向こうの交差点の角に「志ま平」の店舗がはっきりと望めるのが面白い。
「志ま平」の主人は、この通りにはあと5.6軒の蕎麦屋が出来て欲しいなどと言っているが、ともかくこの蕎麦屋激戦地区に気鋭の新店の誕生は、素直に歓迎できること。
少し間を置いて、また覗いてみたいと思う。
店名 |
移転Soba shiosai
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类型 | 荞麦面 |
地址 |
東京都新宿区払方町15-4 1F |
交通方式 |
牛込神楽坂駅(大江戸線)から5分 距離牛込神乐坂 398 米 |
营业时间 |
营业时间和节假日可能会发生变化,因此请在参观前与餐厅联系。 |
预算(评价总数) |
¥5,000~¥5,999¥1,000~¥1,999
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付款方式 |
可使用卡 (JCB、AMEX、Diners) 可使用电子货币 |
座位数 |
20 Seats |
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个人包厢 |
不可能 |
包场 |
可能的 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 |
停车场 |
不可能 |
空间、设备 |
有吧台座位 |
酒水 |
有日本清酒,有烧酒,对日本酒讲究 |
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此时建议 |
许多人推荐的用途。 |
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开店日 |
2013.11.1 |
土曜日の昼に足を運んだのは、蕎麦屋の名店が集中している「牛込中央通り」。
その中で今回選んだのは、そろそろ外堀に向かって下り坂になる位置に在るこちら。
「志ま平」の前を進み、道が左に少し折れる角地の1階なので分かりやすく、斜め向かいには「玄樹」という新店が昨年誕生している。
11時半の開店から間の無い頃に入店。
こちらは昔から、店名にも表れてる通り元サーファーのご主人ひとりで賄われている。
初客で、2席ずつアクリル板で仕切られたカウンター中ほどを選ぶ。
まずはビール(赤星中瓶)で始める。
卓上には置かれていなかったが、ご主人はすぐに肴類の品書きを出してくれた。
手書きの'本日のおすすめ'を中心に、次のような3品を注文。
「肉トーフ」:予め煮込まれてあると思っていたが、いちから調理されて出された。
暫しの後に運ばれたのはぐつぐつと煮えたぎった小振りの土鍋で、中には豚肉薄切りと豆腐、粗めに刻まれた玉ねぎが煮込まれて三つ葉が色を添えている。
明らかに豆腐よりも肉の方が多く結構なボリュームながら、味付けは薄目で案外あっさりしている。
卓上には「八幡屋礒五郎」の七味が置かれており、これを振ると味の良いアクセントとなった。
「うずらの卵味噌漬け」:後客も有り手間のかからなそうな一品として頼んだが、小皿にうずらの卵が6個。
見た目は茹で卵だが、やや甘目ながらしっかり味が浸みており箸休め的に丁度良い。
「釣りわかさぎ天」:小振りのわかさぎが10尾ほど薄衣でバラ揚げにされている。
添えられた藻塩を付けて口に運べば、サクッとした揚げ上がりはまさに'ワカサギのフリット'で、旨味もしっかり感じられる。
酒の追加はこの日は日本酒の気分では無かったので、目に付いたのは「和歌山じゃばらハイボール」の文字。
ご主人に訊くと「じゃばら」とは和歌山特産のカボスに似た柑橘で、この果汁を加えたハイボールとのこと。
爽やかさと微かな苦みが好ましく、甘さが無い点も良かった。
この後さらに'わかさぎのフリット'に合わせ、普通の「ハイボール」も貰う。
後客はちらほらと言った状況で、やや変則的ながら暫しの蕎麦前をゆるりと楽しむ。
蕎麦は久々なので基本の「もりそば」を1枚。
他の客の注文の合間に手際よく一式が運ばれた。
こちらの蕎麦は微粉が太めに打たれ、茹で加減も硬めでしっかり角の立ったソリッドな食感が特徴だが、噛みしめると甘みが感じられる。
つゆは出汁と返しのバランスの取れた丁寧な仕上がりだが、やや薄めでこの蕎麦にはちょっと弱い。
啜るというよりつゆにしっかり浸して絡めるようにして口に運ぶと、なかなか美味い。
多めの盛りも難なく完食。
蕎麦湯は口開けのせいも有ろうが、さらっとした自然体のため素直に伸びる。
徳利の中のつゆも余さず割って全てを飲み干し、充足感に浸る。
ワンオペなので多少時間がかかるが、きちんとした仕事が貫かれている。
このご時世でカウンターの前にはボードが立てられ厨房内を覗くことは出来ないが、真摯な姿勢が感じ取れる。
勘定は5千円少しで、内容からすればリーズナブル。
混んでいなかったせいもあるが、快適な蕎麦屋酒が楽しめた。
後客はみな常連さんのようで、この地にしっかり根付いていることが窺える。