鰻の刺身✨　～　小ノ孝 : Ono Kou

芝の路地裏にある、鰻の大人気店「小ノ孝」でランチ。古くからの鰻卸し問屋稼業、創業60余年の「小野孝商店」直営です。あくまで鰻の卸しが本業で、かつては隣り近所にだけ鰻重を出前をしていたようなのですが、それもいつしかなくなり、2015年1月に先代のお孫さんにあたる若旦那が、「うなぎの小ノ孝」として店舗部門を新規オープンさせました。平日昼のみ営業とハ－ドルは高いものの、卸し問屋直営ならではの、三河一色産の鰻がとても安価にいただける大人気のお店です。

早く着いたつもりだったのですが、もうすでに7人の人が並んでおり、8番目に接続。11時半の開店時には25人以上が並んでおりました。お客さんはお年を召した方も多く、待ち合わせで後から合流する人もたくさんいます。自分の前にはいなかったけど、後ろのおばさまは後からあと2人やって来てそのまま列に入りました。人気ラーメン店のように行列慣れした人の列ではないので、これを前でやられると揉めそうな気がします。

お店のファサードも緑が豊かで落ち着いた和風の趣ですが、店内もとても上品。間接照明を多用したエントランスからの動線も雰囲気十分。きれいなお店です。カウンターに着席しました。

♦うなぎの刺身　　　1200円
　うなぎの刺身は初めてです。これは食べてみたかった。数量限定なので入店8番目で心配したけど注文できました。注文を取ってくれた店員さんがすぐに店主に「刺身入りました」と伝えていたので、割と早く売り切れるかもしれません。
やってきた刺身は、白身の細かい切り身がいくつも乗っていて小さっ！と思ったけど、食べてみるとコリコリシコシコと良い歯応え。噛みしめると独特の旨味が口の中に広がります。新鮮で上品な白身の刺身という感じだけど、鰻らしい旨味が感じられるのが不思議。これは美味しいなあ。山葵醤油がよく合います。

♦肝焼き2本　　　800円
　これも売り切れ必至の人気の品。小ぶりの肝が甘く濃いタレで焼かれています。少しだけ苦みを感じる肝は新鮮さがわかります。山椒をかけて食べると、その濃厚さとワイルドさに悶絶します。

♦瓶ビール　　　 750円
　サッポロ赤星でした。突き出しの骨せんべいも美味しいけど、鰻の刺身と肝焼き、これにビールは堪りません。うなぎしか勝たん！

♦鰻重定食　　　　2500円
　ビールを飲み終わる頃、ちょうど良いタイミングで提供されました。周りの飲んでないお客さんには、早めに提供されていたので、飲んでいるお客さんには順番を調整して出しているようです。ここにも店主の気遣いを感じます。
さて、ごはん大盛りでお願いした鰻重は、綺麗な照りのうなぎが一尾分。蒸し器で蒸し上げてあるうなぎを、タレをつけながらガスコンロで軽く焼き上げています。鰻はやや身が薄いけれど、丁寧に蒸し上げてあり、ふっくら焼けています。腹身も尾身もしっとりと焼けており、適度な脂の乗りがちょうどよい。皮目もしっかりと焼けています。
タレはやや甘いすっきりとしたもの。醤油の角は取れておりまろやかな味わい。この鰻の脂と焼き方にちょうど良く合っている気がします。鰻の旨味を引きだすようなタレ。美味しい蒲焼です。
大盛のご飯は炊き加減がちょうど良く、タレが適度に染みて美味しい。量もちょうど良かったです。

卓上の山椒がよく合いますね。半分は何もかけずに食べましたが、後半はたっぷり山椒を振っていただきました。
小鉢のわかめ、きゅうり、玉ネギの酢の物も美味しく、お吸い物は肝は入っていないけどちゃんと出汁を取ってありました。
食後にはコーヒーまで付きます。ホットでお願いして、ゆっくりと食後の余韻を楽しみました。

この鰻重定食が2500円で食べられるのは、すごい営業努力だとしか言いようがないですね。鰻問屋という優位性を活かした、素晴らしい店舗経営だと思います。店内の造りも高級店と同等以上だし、これは人気が出ても当然でしょう。
加えて新鮮なうなぎを扱うからこその、刺身の美味しさはなかなかの衝撃でした。鰻を刺身で食べるなんて知らなかった。「かぶと」で鰻の心臓を飲まされたけど、アレは全然美味しくなかった。そのイメージを払拭する、素晴らしい鰻の刺身。
いやあ、良いお店だ。