高級住宅街の成城で地元に根付いた老舗の割烹（#仙海） : Kappou Senkai

割烹 仙海@成城学園前
・特上うな重 3900円

小田急線 成城学園前南口のすぐそばにある和食料理屋「仙海」。老舗の割烹らしく昔ながらの重厚感のある雰囲気。

昭和53年頃の創業で、高級住宅街の成城に住んでいる地元の人達が、法事など和食の会席をするときは、こちらの「仙海」か、駅北口の「きた山」が昔から定番だそう。店内はカウンター席と掘りごたつのテーブル席の他、奥に個室のお座敷もある。

ランチタイムの定食は1000円台からで、焼魚や煮魚、天ぷらの定食や海鮮丼、うな重といったラインナップ。ディナーは完全予約制でコース料理のみ。夜はふぐ料理が名物で、成城エリアでふぐを味わえるのはこちらだけになるそうだ。

平日昼13時過ぎにたまたまお店の前を通りがかって、年の瀬だしちょっと奮発してうなぎでも食べようと入店。「上うな重」（3400円）と「特上うな重」（3900円）があるが、「上」は3/4尾で肝吸いではなくお吸い物で、「特上」は1尾で肝吸いが付くそうだ。

せっかくなので「特上」を注文。うなぎは愛知県産で活きたまま仕入れてお店で裂きたてだそう。先に茶碗蒸しが出てきて、食べながらしばらく待っていると20分ほどでうな重が提供。

うなぎのサイズは中ぐらいで、関東風の腹開きでふっくら蒸し上げて、あっさりした上品なタレの蒲焼き。ご飯はやや硬めの炊き上がり。うなぎの焼き加減やタレなど専門店と比べても遜色がなく、一尾で4000円未満ならコストパフォーマンスは上々だ。

ちなみに、うなぎの蒲焼きといえば、腹開きで蒸してあげてから炭火で焼く関東風と、背開きで蒸さずに炭火で地焼きする関西風の二通りに大別される。関東が背開きなのは「切腹」を連想されるのを嫌う江戸の武士の文化で、関西が腹開きなのは「腹を割って話し合う」のが好まれる浪速の商人の文化が所以と言われている。

調理の面から言うと、水の違いで江戸のうなぎは皮が硬く蒸しを入れる必要があったため、身が崩れにくい背開きの方が適した調理法だったそうだ。腹から裂いた場合、蒸す過程で外側の身が薄いため割れて串から外れてしまうため、外側が厚くなる背開きをしたほうが、技術を要し手間がかかるが焼きあがった姿が美しくなるらしい。