警察病院の食堂　～権力に近い食堂シリーズ 57 ～ : Resutoran Ikoi

最初に「警察病院」と言うと何やら秘密めいたイメージを持つかもしれませんが、当院は一般人に開放された病院です。そして、その中にある当店【レストラン憩】も、来院者だけでなく一般人も問題なく使うことができる普通の店になります。

確かに、かつて警察病院は、警察関係者の福利厚生を目的として作られたものです。診療においても、警察官やその家族などを優先的に診療するなどの対応があったと聞きます。一方で、警察関係者側にとっても、当病院での治療を強く勧められるなどの規定があり、やや閉鎖的な医療機関であったと聞きます。

現在の東京警察病院は中野駅近くにありますが、これは平成20年の警察大学校の移転に伴い、跡地に建てられたものです。それまでは飯田橋に存在しました。この飯田橋の病院はかつて数々の歴史的な事件にも関わることとなりました。

そもそも警察病院なるものが存在する理由って何でしょう。
警察関係者の福利厚生が目的と聞くと、何やら会計上の優遇があるのでは？と勘ぐる方もいるかもしれません。しかし、そういったお金の面での話は、警察病院の役割の一面に過ぎないのです。

例えば、受傷した警察官の保護の問題です。かつて学園紛争が盛んな頃は、各大学でのロックアウト解除やデモ隊の行動阻止のため、多くの警察官が機動隊員として動員されました。そしてその際に、火炎瓶や投石での攻撃を受けて、多数の警察官が負傷をすることになったのです。
負傷者の安全を確保しつつ同時に治療を行うためには、警察専用の病院の存在というのは好都合な訳です。
そして、中には後遺症の残る傷を負ったり、殉職された方もおられます。先日、1971年に発生した渋谷暴動事件の犯人検挙は世間を驚かせましたが、その事件の被害者は全身火傷により亡くなっています。専門の治療、専門の対応も警察病院には必要とされるのです。当病院は火傷治療の評価が高い病院なんだそうです。

他にも切実な事情として、犯人の逮捕には格闘を伴う場合があるため、けがをして捕まる場合もが考えられますよね。この辺の対応に慣れた医療機関が必要となるのは、事情として分かりやすいのではないでしょうか。

さて、そんな物騒な口上を書きましたが、今の東京病院は普通の地域病院となっています。その建物の９階に当店【レストラン憩】はあります。

エレベーターを上がると東側の突き当りに入口はありました。
木製の看板を見つけて中に入ります。
店内には窓のある明るいスペースです。席数もそんなに多くありません。やはり病院内ということもあって、ほのかに消毒薬の匂いが漂います。
入口で注文と支払い（食券）行うと、席まで料理を配膳してくれるシステムです。今回もカレーを注文しました。

約３分での配膳です。具は僅かに豚肉と人参の繊維が確認できる程度です。酸味の強い、あまり辛くないカレーです。スパイスは刺激物ですからね～。もしかしたら健康面に工夫したメニューなのかもしれません。
ただ、付け合わせのサラダにはちょっとドレッシングをかけ過ぎです。底に溜まっていました。

お値段はカレーとサラダで670円。ちょっと高めに感じるかもしれません。
でもですね、、、当食堂では値段で評価をしていけない様な気がします。
そもそも、多数の来客が望める環境ではありませんし、食堂利用者の中には治療中の方もおられる可能性があります。病院ですから高齢者割合もきっと高い事でしょう。

その面もあって、一人一人をケアする従業員さんの対応は馴れた感じでした。挨拶もしっかりされていましたし、余裕があれば従業員さんからの声掛けもあって、他のお客さんは楽しく利用されていたように思います。一方で食堂従業員としての対応は、皿の引き上げが遅いなど二の次。
ここはやはり病院の食堂なんですね。
ごちそうさまでした。