「懐かしいは新しい」がうれしい手造りパン : Maru Juu

ガキの頃からずーっとその存在を知ってはいた。

しかし、場所の分かりにくさと、
地元のコスパ力を甘く見ていたためか、
今までその存在を顧みることがなかった。

しかし、このコロナ禍で、ようやっと足を運ぶことができた。
地元で、歩ける範囲で店を探そうと決めたがための結果といえる。

東長崎と千早の間くらいの、軽自動車でもすれちがえないような道。
そんな、いわゆる「蛇道」をたどっていった先に、その店はあった。

こじんまりした店構え。
それがいい。
作れるッたけのものしか作りませんよ。
売りッきれるだけのもんしか並べませんよ。
そういった気持ちがにじみでているかに覚える。
だからこそ、長くここにあり続けてきたのではないか？
と思えるほどだ。

店に入ると、年配の奥方らしき方が「いらっしゃいませ」と。
「サンドイッチは冷蔵庫の中です」と言葉を継いでくれる。

並んでいるのは、うれしいくらいにありふれたパンだ。
あんぱん。
クリームパン。
カレーパン。
どれも焼きたて感の伝わるハリとツヤ。
美しい。
生きているパンは美しい。
呼吸が伝わってくるかのようだ。
まだ熱を持っている。
それが、フィジカルにディスタンスしていても伝わってくる。

……おっとこれは！？
いやいやいやいや。
ちょっとこう現代においては版権的に微妙なのもあるな。
ア●パンマン（伏字は筆者による）っぽい感じの見てくれのパンが、
アンパ●マン（伏字は筆者による）という名前で売っている――。

こいつはいかにも
「ぼくのかおをおたべよ」
てなことを言いそうなツラだ。
しかし中身はチョコレート……！
なるほど、そうきたか。
万全の対策がすでになされていた。
これなら違うものですと言い張れる……
と思いました！＞＜；

いろいろと迷いはしたが、気になっていたパンに決めた。

三角形だから「トライアングル」。
わかりやすい。
このわかりやすさが率直に好きだ。
食パンの間にカスタードクリームをはさんだ上から、
メロンパンに乗っかってそうな生地を薄掛けし、
焼き上げたようなパンだった。

買って店の外に出たらすぐ食べた。
じんわり、ほんわりと甘い。
香ばしさと柔らかさの醸し出す妙味。
もったりとしたカスタードの食感がうれしい。
見てくれに恥じない味がそこにあった。


もし、このテキストを読んで、
何か感じるものがありましたら、
どうぞ、足を運んでみてください。

願わくは、幸せな味との出会いが、あなたに訪れんことを――