Restaurant name |
Hatsugasoba Yuki
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Categories | Soba、Japanese Cuisine、Dining bar |
Phone number (for reservation and inquiry) |
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Reservation Availability |
Reservations Only
住所は非公開 |
Address |
東京都新宿区 |
Opening hours | |
Budget |
¥6,000~¥7,999 |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥5,000~¥5,999
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Method of payment |
Credit Cards Not Accepted Electronic money Not Accepted QR code payment Not Accepted |
Number of seats |
10 Seats |
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Maximum party size | 10people(Seating) |
Private dining rooms |
OK For 2 people、For 4 people、For 6 people |
Private use |
OK |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
not allowed |
Space/facilities |
Stylish space,Comfortable space |
Drink |
Japanese sake (Nihonshu),Wine,Particular about Japanese sake (Nihonshu),Particular about wine |
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Occasion |
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Location |
Secluded restaurant |
Website | |
The opening day |
2020.9.5 |
Remarks |
旧店舗:https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13239451/ |
今年3月末で一旦閉店した「発芽そば ゆき」が、5か月のブランクを経て目白の住宅街の中で復活。
以前は水道橋の後楽園近くの別の蕎麦屋の店舗を、週に一日だけ間借りしての営業だったが、「発芽そば」という珍しい手法に加え、20歳代の美人女将が一人で切り盛りすることで一躍脚光を浴びた。
再開店は9月5日で、営業日時も以前と同じく土曜日の昼に限定。
完全予約制で、メニューは3,500円のコースのみ。
しかも所在地の詳細は非公開で、予約が成立した時点で住所を教えてくれるスタイル。
予約は携帯あるいはインスタグラムを通してとのことだが、以前の店からの馴染み客を中心に席が塞がり始めている様子。
ご主人のゆきさんと連絡を取り合い、9月最後の土曜日に訪店日が決まり友人と二人で向かう。
教えてもらった住所をスマホで検索すると、目白の駅から歩いて7.8分。
迷うことなく到着したが、辺りはまさに閑静と言う言葉が相応しい高級住宅街で、こちらもその中の立派な邸宅。
元々の実家の建物の一部が手直しされて、店舗として利用されている。
奥に進んだ所にある扉を開けると、広々とした大理石張りの玄関が現れた。
ゆきさんに明るく迎え入れられ、スリッパに履き替えてダイニングルームへ導かれる。
ちなみにダイニングルームは2室あり、合わせて10名まで収容可能。
奥の広い方の大テーブルには、お一人様での利用も可能とのこと。
我々には手前の4名用の部屋が用意されており、贅沢に貸し切り状態。
大きなガラステーブルが中央に設えられ、卓上の盛り花や周囲にオブジェ的に配された小物類にもセンスが感じられる。
壁にはゆきさんが敬愛する「柏竹やぶ」の阿部孝雄氏の手による、書やアートの数々が展示されている。
以前の店同様、ゆきさんが調理・配膳・接客を一人で賄っている。
コース内容もおまかせのため、何が出てくるか楽しみである。
飲み物は紙片に簡単に記されており、客の好みに合わせて選んでくれる方式。
まずはビール(ハートランド中瓶)で始めるが、グラスも洒落ている。
今回のコースの内容は次の通り。
「蕎麦入りチーズ豆腐」:クリームチーズを使った滑らかな寄せ豆腐に丸抜きが混ぜ込まれており、上にも香ばしく炒って砕いた蕎麦の実が散らされ、蕎麦茶を使ったつゆが掛かっている。
マッタリとした食感の中にカリッとした蕎麦の実のアクセントが楽しく、上々のスタート。
「鴨肉入り焼き味噌」:粗く挽いた鴨肉が葱や炒った丸抜きなどと共に、白味噌ベースの少し甘目の味噌に練り込まれ、竹べらに塗り付けて表面に焦げ目が付くくらいに炙られている。
少しずつ剥ぎ取るように口に運ぶが、鴨の旨味や蕎麦の実の食感が楽しい。
添えられた柚子胡椒の塩分にも配慮して、それほど濃い味にしていない点も好ましい。
「玉子焼きと鶏肉の炊き合わせ」:丁寧に焼き上げられた玉子焼きと、しっかりとした歯応えの鶏腿肉が、その旨味が溶け込んだ出汁でさっと煮られている。
素材にもこだわりを見せ、卵も鶏も常陸産とのこと。
上品な味付けで'お洒落な親子煮'と言った趣。
「自家製からすみ」:からすみを手作りするのは面倒で、あの独特の食感になるまでにはかなりの手間が掛かる。
出されたのは半生状態で卵のプチプチ感が残っており、鱈子の水分を抜いた感じだが、その分塩分も控えめで酒の肴に好適。
「発芽そばのそばがき」:極粗に挽いた実も入っており、コリっとした食感と発芽そば特有の甘味が生きている。
蕎麦は米や麦と違ってそのままで食べてもお腹をこわすことは無いので、蕎麦本来の風味をストレートに楽しめる。
塩の他に「紫蘇オイル」入りの醤油が添えられており、そちらで食べても美味しい。
ここで酒について。
まず'すっきりした辛口'の要望で選ばれたのは、山形の「米鶴 かっぱ」。
キレの良い口当たりながら、その後にふくよかな旨味が広がりどの料理にも合う。
その後に'少しコクのあるタイプ'の希望から、千葉勝浦の「鳴海」(なるか)という銘柄が出された。
しっかりした旨味が心地よく、なかなかの満足感。
いずれも若いながらご自分の舌で試した上で選ばれているので、信頼がおける。
酒器にもセンスの良さが表れており、味を引き立てている。
この後が蕎麦で、ゆきさん渾身の「発芽そば」が登場。
粗挽きの太打ちで噛みしめて味わうタイプだが、加水は多めでゴツゴツ感は少なく、十割ながら舌触りは滑らか。
特筆すべきは提供される温度で、冷水で締め過ぎていないので香りや甘みが端的に伝わって来る。
昨今の「にわか蕎麦通」の中には'氷水でキンキンに冷やされているので歯応えが良いが、蕎麦の風味が感じられない'などと宣う輩が居るが、それは当たり前のこと。
人間の味覚や臭覚には適温があり、極端に冷たいもの熱いものには反応し難いもの。
こちらの蕎麦はその点が良く考えられており、若きご主人の見識を評価したい。
つゆは江戸前の伝統とは異なる穏やかな味わい。
こちらの蕎麦は細打ちの啜って喉越しを楽しむタイプでは無く、どっぷりと浸けても構わない太目なのでこの組み合わせは相当に思う。
蕎麦湯は私の嗜好を知っていてくれて釜湯のままを出してくれたが、こういった気配りは嬉しい。
たっぷりと注いで、気持ちよく〆られた。
お相手には手が加えられた白濁が濃く、粘度も感じられるタイプが出された。
そちらも少し味見させてもらったが、安直にただ蕎麦粉を添加したような代物では無いので、単体で飲むには決して悪くなかった。
最後にデザートとして「梨」がサービスされた。
派手さは無いが丁寧な仕事が施された、満足度の高い「蕎麦懐石」が楽しめた。
ゆきさんのたおやかな応対ぶりも好印象。
以前は週一日だけの間借り店舗で、とにかく狭小で使い勝手も悪かった。
新しい店はそれとは真逆の豪奢で洗練された雰囲気に席捲されており、そのギャップには驚くばかり。
前の店から若い女性ながら蕎麦打ちへの秀でた才能とともに、酒肴の出来とセンスには感心することが多かった。
また食全般への造詣の深さや器の選び方などから、余程きちんとした家庭環境で育まれたことが窺えたが、まさにそれが立証された思いである。
ドレスコードは無いようだが、きちんとした身なりで伺って良かった。(笑)
3時間近く長居してしまったが、実に優雅で快適なひと時であった。
ゆきさんが全てを一人で賄っているため、酒を嗜みつつゆったりと流れる時間を楽しむスタンスで臨みたい店。
帰りには奥のダイニングルームも見学させてもらったが、調度やインテリアにも良いものが選ばれており、気心の知れた皆さんとパーティー感覚で利用するのも楽しそうだ。
目白は我が家からもバス一本で行ける便利な所で、子供の頃から馴染み深い土地柄。
再訪は確実である。
変則的な業態で食べログへの登録には不向きであるが、ダメもとでゆきさんに許可を請うと'住所を非公開とするなら、どうぞお願いします'という言葉が返ってきた。
現在ではHPも出来上がり、電話番号も公開されているようだ。
以前の店以上に注目されるのは必定と思われるが、物見遊山的な訪問は厳に慎んで頂きたい。