昼下がりの三ノ輪にて気分はセンベロ … 『弁慶』。 : Benkei

"鈴木酒販"さんの『角打ちバル』で適度に下地を作り､さて次は何処へ行きまょうか？ということになったものの三ノ輪界隈
の酒場情報は殆ど持ち合わせていない｡困った時の神頼みではないが酒場情報は酒屋さんに訊くのが手っ取り早い訳で
あり猪股店長にこの後に軽く一杯やって帰りたいのですが何処かお奨めの店の中で営業されている店ありませんかね？
と問うたところ数軒の店を御教示戴きその中から『煮込み』で名を馳せる"弁慶"さんへと足を向けたのでありました。

お目当ての店は路地裏にアリ暖簾が掛けられていなければ多分通り過ぎてしまうのでは？と思う程､周囲の雰囲気と同化
している店構えの店でした。店内に足を踏み入れると調理場を囲むように配された凹型のカウンター､そのカウンター席の
中程の年季の入った煮込み鍋に目を奪われます｡店は女将さんと二代目の若旦那の親子二人で切り盛りされていました。

未だ日の高い時間帯でしたが店内はご常連さんで賑わい八割の席は既に埋まっており空いていた席へと腰を下ろします。

先ずは瓶ビールをオーダー､スポンという音を響かせ栓が抜かれ供されたビールは大瓶､一本五百円はうれしい限りです｡

そして看板メニューの『煮込み』は一般的なスタイルのものてはなく串に打たれたスタイルでこれが何と一本 五十円ナリ。

煮込みは『シロ』と『フワ』の二種類をオーダー､どちらもしっかり『味噌＆醤油味』が浸み込んでおり『シロ』はとろっとろ､
『フワ』はその名の通りふわっふわとした柔らかな食感､見た目は濃厚そうですが意外にもあっさりといただけます。
仕込をする段階では『味噌』で下味をつけ仕上げは『醤油』で味が調えられていると思しき味がしましたが､あの煮込み鍋を
眺めているとそれらのものが渾然一体になっていることがお判り戴けるかと。

看板の『煮込み』は無論のこと一品料理も廉価ながら美味。『蛸ぶつ』は、しっかりとした歯応えがあり噛みしめると甘みと
旨味と香りのある美味しい蛸であり若旦那に美味しいね。と声をかけると今日の蛸は『佐島の蛸』なんですよ。とのご返答。
なるほど美味しい訳ですね。『西の明石、東の佐島』と称される真蛸の名産地もののですから。

そして爽やかな辛味と清涼感が楽しめる『谷中生姜』も酒のアテにもぴったりですし當店の煮込みの口直しにも最適です。

『ハイボール』は焼酎かウィスキーかを選びオーダー､ウイスキーの場合は山崎のハイボールグラスで供されるのですが
中身はトリスで一杯250yenとこれまた廉価。

居酒屋の聖地である三ノ輪にて昼下がりからセンベロ気分､御常連さん率が極めて高い店ですがイチゲンさんにも優しい
女将さんと二代目､午後1時～営業される稀少な店ゆえに覚えていて損の無い一軒かと。