謎のインド料理仙人みたいな人が、趣味のある不思議空間で、おいしいチキンビリヤニをふるまってくれました。それはまだ魔界の入口であることはわかっています。その先にある世界にただただ興味がかきたてられます。 : Chankari

どのジャンルの趣味を持つにせよ、
たいていの男の審美傾向は保守王道的なものにゆきつくことが多く、
それがたいていの男のひけらかすうんちくのつまらなさ、
人生における冒険の欠如、
ひいては存在の非セクシーさにつながってもいるのだけれど。
しかし、ぼく自身も、気がついたらいくらか
同じ穴のムジナであるおそれもあって、
たまに、ちょっと、嫌になってしまうなぁ。
他方、こちらチャンカリーには、なにものをも恐れず、
孤高であることのすがすがしさ、
そして自由と創造のよろこびの匂いがするよ。


順を追って、話そう。
ぼくのインドレストランの基準は、
まずはトータルバランスが良く、どこを取っても隙のない、
たいへんレストランらしい、これぞ一流、銀座アーンドラキッチンです。
準じて、この枠には、錦糸町ヴェヌス、清澄白河ナンディニ、
浅草サウスパーク、はたまた経堂フードタイムが控えています。
つづいて、お洒落で本格、ディナータイムがデートに最適という意味で、
御茶ノ水、小川町、三燈舎。
この枠には、先日、関内ボーディセナが参入しました。
そしてぼくにとって、この店がなくてははじまらない、
若さと情熱、挑戦の愉しさ、料理人の顔が見える、
格安＆本気の土日祝ランチブッフェが人気の、西葛西アムダスラビー。


さて、このような（どちらかと言えば）保守王道本格路線的な、
そんな審美傾向を持つぼくにとって、
まったく規格外のおもしろさを教えてくれたのが、
千歳船橋のカルパシで、そこには自由と創造のよろこび、
そしてたいへん高級なユーモアがあります。
おそらくこちらチャンカリーも、同じタイプの予感がします。
とてもとても、します。
いいえ、こういうカテゴライズはいかにも安易であり、
かつまたヘボい批評家が使う常套手段ではあって。
むしろほんとうは人はみんな人それぞれに違うのだから、
似ているものを見つけるよりも、むしろ
そのレストランならではの違いを見極めることこそが大事なのだけれど。
でも、それはいまのぼくには無理というもの。
だって、たった一回、マサラの調合にひかえめな趣味のある、
おいしいチキンビリヤニを食べただけなのだもの、
たいしたことが言えるはずがないのです。
けれども、そんなぼくも、この店の手作り不思議空間、
そして経営者兼料理人さんの、
インド料理仙人的風貌とたたずまいなどから、
たいへん濃厚なメッセージを受け取っています。
すなわち、この先にある魔界が興味深くてなりません。


ぼくと女友達とインド料理、ときどきフランス料理。
http://tabelog.com/rvwr/000436613/