静岡前 : Naruse

「成生」が「豊饒な土地」を意味します。「なりう」でなく、「なるせ」と読ませてます。未だピカ／＼新築の木造平屋建です。奥静岡材を多く使ってます。待合室で静岡茶を頂いて、時間調整します。大きな富士石が鎮座してます。冷んやりして何処か心落着きます。時刻に成ったらカウンターに案内されます。檜白木一枚板のカウンター、土壁、席からは浅間神社の借景です。夜にはライトアップされます。
毎日朝夕に、志村親方がサスエ前田魚店に魚を買いに行きます。毎朝、若衆が近隣の契約農家の畑に入り、無農薬や減農薬で育てた頃合の野菜を収穫して来ます。漁師と農家、魚屋、料理人の三密連携を大切にしてます。飲用に富士ミネラルウォーターを使ってます。地産地消、静岡前の御店です。
赤漆の丸折敷に染絵の取皿、利久箸です。
・サッポロ黒ラベル、奈良久保本家酒造生酛のどぶ。
〈前菜〉
・擂流 九絵 新玉葱 蕗薹
・造里 疣鯛 平貝 伊勢海老　サッと油通しして、40℃程の温さです。伊勢海老には海老味噌と浜納豆添。
〈天麩羅前半〉太白胡麻油に太香胡麻油を少量ブレンドします。中〜低温でジックリ揚げる、低温天麩羅です。中温(170〜180℃)用鉄鍋と低温(160℃以下)用銅鋳鍋を使い分けます。少ない油量で、火加減を調節します。シュワ／＼、パコ／＼、沈黙、揚音が静かです。天紙を敷きません。目の細かいぬちまーす、粗い Mardon クリスタル塩、亦は天汁と鬼卸で頂きます。
・雌鯒　打粉を魚の身側だけにして、皮には付けません。吽と冷やし、空気を一杯含んだ衣を纏わせます。ポッチャンと勢良く油に入れます。初め中温で衣の水分を抜き、固めます。低温に移し火を消して種を蒸します。湯気が上がるのを見て引上げます。軽く、肌理細かく繊細な衣です。ベタ／＼せず、然程油っぽく有りません。身がフックラして瑞々しく、皮目がパリッと香ばしいです。風味が凝縮してます。
・グリーンアスパラガス　穂先と茎。
・蚕豆　薄皮を剝いて串。
・煽烏賊　大目な切身です。
・麻機蓮根　皮毎です。室温で休ませ余熱を回します。
・白鱚
・大浦太牛蒡
〈箸休〉
・サラダ クレソン 鰆の燻製 太白胡麻油
〈天麩羅後半〉
・ベビーコーン　髭付です。熱々を天紙に挟んで手渡です。手渡が苦手です。
・赤鯥　輪切です。手渡です。
・安納芋　種子島産。今日唯一の県外産天種です。低温鍋に入放しで、1時間以上掛けてジックリ揚げます。暫く室温で休ませた後、手渡です。塩を一摘振って、頂きます。マッタリとして焼芋の様です。三島甘藷を食べたいです。
・白川　鱗を間引き、鱗の隙間に醤油垂を浸まします。低温から再度火を点け中温にし、香ばしさを引出して仕上げます。
・蕗薹
・海鰻　穴子でなく鰻です。中々重いです。山葵をタップリ乗せて、頂きます。
〈御飯〉志太榛原産はつしもです。薪窯に羽釜で、固目に炊きます。
・天バラ　白飯に、天バラ色々、白胡麻、塩一摘。半分程頂いた後は、山葵を乗せて、昆布と鰹節から引いた出汁を掛けて御茶漬にします。
・香物 胡瓜とパプリカの糠漬 蓮根甘酢漬
・赤出汁 木芽
〈甘味〉茶室へ移動して
・ジャージーミルクジェラート 柚子と掛川産黒蜜掛
・足久保発酵茶　一煎目を水出、二煎目を 65℃で淹れます。
御馳走様でした。白胡麻入塩御握の御土産です。