豆味噌とあん肝 : Edomae Shibahama

白味噌、仙台味噌、田舎味噌、八丁味噌＋江戸味噌で「五大味噌」というらしい。

江戸味噌は幻の味噌だ。
他の味噌と違い、煮た大豆ではなく、蒸した大豆を使い、それが高温のうちに作るのでとても濃い茶褐色をしている。見た目と裏腹に塩分は10%と控えめな為、他の味噌と違い塩辛くない。
また、麦ではなく、米の麹を大豆と同量使用する為、上品な甘さが特徴的で、麹で発酵を促し、2週間という短期で完成させる。
製造期間が短いとなんだか昨今の化学的な味噌を想像するが、そんな事は全くなく、高温、米麹、低塩分という贅沢な材料と江戸っ子の拘りが作り出した味噌で、塩分を控えている為、保存に不向きだが、反対にフレッシュな口当たりは他の味噌煮には全く無いアドバンテージになっている。

保存が効かない江戸味噌は、使う分だけ買うのが江戸の文化だったらしく、味噌製造所が東京の至る所に在ったようだ。其れが関東大震災で70%消失し、そして先の大戦下で「米を使うのは贅沢だ」と製造が禁止された。人の記憶から消えた味噌は「熟成=良質・高級」という概念が浸透すると同じくして廃れ、再び現れる事は無くなり幻となった。

今「よく復活してくれた」と思えるのは、製造に関わる人達と、料理に携わる人達、此方のお店に連れて来てくれたマイレビさんが在るお蔭。有り難い。

江戸味噌と「蒸した大豆」が合わないわけがなく、一粒ずつに味噌をチョンと付けて日本酒をチビチビやる。うめ〜〜。