デザートの細部に、神は宿る : Amandier

デザートのおもちゃ箱、というか宝石箱は白金にあったのか。

フレンチの「Amandier（アマンディエ）」が、デザートコースを始めたと聞いてお邪魔してみた。え、トモサク甘い物苦手じゃないの？と言われそうだけど、甘い物は好きだけど単にあまり量が食えないのだ。

そんなワシだけど、このコースは終始大満足で楽しんだ！

最初に出てきた、屋外のちょっと不思議なピクニックを思わせる盛り付けに心奪われる。これ、シュークリームとオペラ（ケーキ）、そしてビスケット、ココナッツ、マンゴーで作られたミニ目玉焼き。もう見た目で楽しいしそれぞれ食べても美味しい。下の大地のようなのも食べられるんだよ。

一事が万事この調子で、どれもこれもまず見た目で楽しめて、食べても美味しかったり意外性があったりで、ずっとワクワクが続く。ワシの甘い物の「苦手」部分って、同じ味が続くとすぐに舌が飽きちゃうのが要因なんだけど、こちらではすべてがちょっとずつで、その小さいポーションに美味しさを詰め込んでいるから、飽きることがない。

デザートはお店のパティシエールが作っておられるのだけど、そのコースの中にシェフが作った甘くない一品が挟み込まれる、すなわち通常のコースとは逆の意味の「箸休め」が入ってくるのも嬉しい。一旦舌がリセットされるし、その一品がまた美味しいのだ。

もうひとつの嬉しいポイントは、ドリンク。珈琲、紅茶、ハーブティなどは飲み放題なのだ。お値段的な気兼ねなく、その時のスイーツや気分に合わせて選べるのは、スイーツそのものを全力で楽しむ上でも嬉しい試み。もちろん課金すればアルコールで併せることも可能。

神は細部に宿る、という言葉があるけど、このデザートコースほどそれを実感するものはあまり無いかもしれない。個々のデザートの作り、その組み合わせ、そして盛り付け。それぞれに細かくて丁寧な仕事がなされた結果、卓上で繰り広げられる美しく美味しい世界が楽しい。あまりしない食体験を存分に堪能して、大満足。

超人気レストラン出身のシェフが先日開店した白金/広尾のフレンチ「Amandier（アマンディエ）」。試しに初回予約にチャレンジしたら、席数を絞っていたこともあり2分で売り切れて入る余地無し。少し席に余裕の出てきたところを友達が予約してくれてお邪魔してみた。

あまりフレンチ慣れしていないから、どう表現すれば良いのか分からないんだけど、ひと言で言うなら溜息の出る逸品たち。皿の上に繰り広げられる絵画のような料理をまず目で愛でて、それを口に入れた時に広がる様々な現象が美味となり、舌で味わった後に嘆息する。それを繰り返していた。

現象、と言ったけど、それは例えば「食感の変化」だったり「味わいのスライド」だったりと、食べていることで食材が、味が動いていく気がしたのよね。どう言えば良いか分からないけど、ちょっと大袈裟に言うなら、口に入れてなお進化して完成する、みたいな。

あと、フレンチというとやはりソース使いが気になるところ。ソースごり押し感は当然のごとくゼロで、むしろ足し算よりも引き算で素材の旨味を出してくる和食に近い気もするけど、とはいえソースも丁寧でしっかり美味い。すごいなぁ。

ドリンクはワインペアリング。これもまた丁寧に合わせられ、料理をさらに盛り上げてくれる。そんな中に、飲み比べとかもあったりして、ワインとしての遊び心もあり、これまた楽しい。

とまぁすっかり堪能したのだけれど。ここで食後酒の紹介をされて、滅多に飲めないような年代物のブランデーやら古酒やらが揃っていて、思わず興奮する一同。ついカッとなって気になるものをどんどん飲んでいった結果、自腹で払った中では過去最高額のお会計を更新。うほっ。

や、料理とワインペアリングは明朗なので、これはホント食後酒で狼藉を働いた結果。やっちまったなぁ、と思いつつも、これだけの逸品酒を楽しめたので後悔はない。むしろまたやってしまいそう（やめておけ）。

ともあれ。一見クラシックのようで、実は新感覚に溢れるフレンチを、様々な技法と素材で堪能した。またシェフの作る世界を楽しみに来てみたいお店。満足満腹。