食べ進むごとに身体が目覚めていく料理
アイーダは、自家菜園の野菜を日々の料理に昇華させる店として6月に辻静雄食文化賞を受賞し、海外からも野菜を出すレストランとして高評価を受けた。
季節とともに変わる畑を厨房と一体化させるという独自性において、和歌山のみならず国内でも一二を争う店であることは異論がないだろう。
「畑によって教えられる」と小林さんは言う。
畑のコンディションは日々変わる。
大量にとれる日もあればそうでない日もある。
季節・気候に左右される食材は不安定だろうが、小林さんの場合は、それを即興性、柔軟性というご本人の気質にうまく沿わせて、さらなる良い効果を生んでいると感じる。
季節や気候に翻弄される畑を経営しながら料理を作る。その生き方は小林さん自身によって開業20年のキャリアの中で自然と培われてきたものだ。そうでなければ、「季節の移ろいを身に受ける幸せの中で暮ら」す、という達観した発想は出てこないだろう。
料理はピュアに、さらにナチュラルに。
ほうれん草と牡蠣の料理は、ほうれん草を食べさせる料理。
牡蠣は姿がなく、ピューレになっている。
また、メインの猪豚に玄米と零余子の土くささ。
私は小林さんの料理を食べ始めて10年くらいになるが、料理が、訪問するたびごとに自由になっていると感じる。
野菜が主体の料理たち。
野菜が主体で、食べ進むごとに身体が覚醒していくような感覚がある。
この日の出色はシルクスイートに白ゴマのソース。落花生と真珠豆、マイクロキュウリにコリアンダーシード。ハーブやスパイス、剰余野菜のピクルス使いの洗練。
アイーダは月ごとの営業日を以前より減らし、小林さんは乞われて外に出る機会も増えているようだ。
旅で自然や人と会い、他者との仕事で料理のアイデアを伝える。
そのインプットとアウトプットの現在のバランスに、小林さんはこの先の働き方の理想形を見出しているようだ。
予約について。
1日ひと組となり「情熱大陸」出演もあってかなり難しくなった。
来年1月末まで満席、12月1日より来年2月分の予約を取るそうだ。
同業者の予約も多い。キャンセル待ちも望み薄。
私も次の予約はずいぶん先になるかもしれない。
需要が供給を圧倒的に上回っている店の必然か。
店の内装はとにかく美しい。
和歌山の古材をテーブルに、それ以外の素朴な感じで洗練された食器、極細のアイアンのオーナメント、挿花、カーテンのしつらえ。
端から端までセンスの塊。
写真を撮ったらそのまま本にできそうな美意識にうなった。
この続きはTwitterでご紹介しています。
https://twitter.com/caille2006/status/1333436457738911745?s=20
晩春の緑の宝石
やっと来れた、この季節のアイーダに。
涙豆。
この季節だけ、一年でもこの前後10日しか食べられない、緑の宝石だ。
「豆」というよりは「涙」に近く、水を口にしている感覚に近い。
涙豆とは、スペイン・バスク地方でこの季節だけ食べられているエンドウの若豆の呼び名で、豆の粒が涙の形をしているところからいう。
Aidaで涙豆として使っているといういつものうすいえんどうは、今年はもう終わってしまったとのことで(今年の季節は早めだ)、今回はスナップエンドウの若豆だった。
豆の粉っぽさがまだ出ないうちの瑞々しさを味わう。
「ずいぶん料理は変わってます。以前から」
確かに。以前とアプローチがずいぶん違っている気がする。
なんだろう。
最初のインパクト十分な「ベルベーヌと豆」。
クリームは少し甘さが感じられる程度の淡い味で、ジュレがもうひとつの香りの元なのか、ベルベーヌのわずかな香り。そして塩の粒感とともにほんのわずかな塩味が感じられる。
甘み、塩味、ミルク分のコクがそれぞれ同量のバランスで、舌に載せられる。
■レタス 若そら豆 コリアンダー 真烏賊■
フィンガーフード。触感と食感が意外で驚く。
形はあるがなよなよとしている。外側はレタスの芯に近い部分だった。
烏賊とそら豆とレタスのなかで、最も固いのがレタス。その次に柔らかいのがイカで、最も柔らかくて冷たいのがそら豆。そら豆はダイス状のシャーベットだ。芯のいちばん甘い部分のレタスと烏賊そのもののうまみ。ニンニククリームが微量。塩分はこれまた、ぎりぎりの淡さだ。
食感と温感と味の繊細さに驚いているあいだに、口の中からすうっと消えてしまう。
蜃気楼みたいだ。
この感覚、なんだろうな、と思いながら食べ続ける。
いつもレストランで食事をしているのと何か違う、不思議な感覚だ。
それがなんなのか、この時点ではまだ、わからなかった。
■そら豆 ズッキーニ サマーセイボリー みょうが 海老
そら豆はとても小さい。豆の甘みを強く感じる。
小林さんの畑では、一般的なサイズより小さい10cmくらいのサヤを収穫し、小指の爪ほどの大きさの豆を使うのだそうだ。このサイズだと粉っぽさや豆くささがないのだという。
甘酸っぱい泡はビーツ。ココナツオイルと海老がぴったりと合っている。
サマーセイボリーの尖った香り。仕上げにガラムマサラがかかっているらしい。
あとできくと、ココナツオイルに海老は、小林さんのよく使う組み合わせなのだそうだ。
東南アジアのイメージなのか。
どの素材の味もひとつひとつわかって、かつ、まとまると、ちゃんとひとつの料理になっている。
■葉玉ねぎ リコッタ レモンバジル■
小林さんの料理はどれもそうだけど、素材の形がちゃんとあるにもかかわらず、食べる前に味がまったくわからない。
どれも自分がはじめて食べる組み合わせだからだろう。
この料理のポイントは「塩すっぱさ」。
葉玉ねぎにレモンオイル、リコッタのコク。
ナスタチュームが茎まで長く切られて載っている。多く料理の飾りとして載せられるナスタチュームが、こんなに香り高いハーブの役割を果たしているのは初めてだ。
茎がみずみずしい。水菜の茎みたいだ。
ナスタチュームだけをもっと食べたいと、初めて思った。
■新ごぼう 独活 春菊 牡蠣■
ぬるくて冷たい料理。
牡蠣は冷たい。温かいのはソース。熱い、ではなく、人肌程度だ。
そこに新ごぼうと独活と酸味。
春菊のピクルスの苦味がきいていて、「画竜点睛」ということばがぴったりの味だ。
龍の絵に眼を書き入れたら天にのぼっていったという、あの故事。
ピクルスの酸味と苦味が最後にあって完成しているんだな、と思う。
この不思議な感覚が何なのか、メインの猪豚を食べているときに突然わかった。
満腹になっていくにつれて、なぜか、どんどん身体が覚醒していく感じがするのだ。
ふつうは、食べ進むにつれて、満腹感やお酒のせいで、感覚がゆるやかに酩酊してくるのがふつうだ。
けれど、小林さんの料理だと、そうならない。
自分の身体が、食材の一つひとつを意識して、因数分解するように取り入れていき、目覚めていくような感じがする。
そして同時に感じるのが、浮遊感。
これは素材からもたらされている。
ずっしりくる食材がない。
量が少ないのではない。軽やかなのだ。
覚醒する理由のひとつはたぶん、ハーブの使い方。
ハーブの刺激ではなく、鮮烈な香り。
それを身体が受け止めて、目覚めていくような感じなのだ。
それが食べ終わってから感じる、浮遊感のようなものにもつながっている。
今日は春の若い食材が多くて、なおさらそう感じるのかもしれない。
サマーセイボリーを、食後に小林さんが見せてくれた。
口に含むと、鮮烈な香り。こんなに強い香りがするものなのか。
香草は、料理にキレと苦みを足す。
メインの猪豚も、肉の上に春菊のピクルスがあり、肉に酸味と苦みをピンポイントで足していた。
季節のものを身体の中に取り入れている感じが、よりダイレクトに感じられる。
香りが強く、味が鋭い。
畑から採ってきたばかりなのを想像させる新鮮さだ。
野菜づくりはまず種をまくところから始まるという、農園兼レストランのAidaならではだと感じる。
Aidaは、農園とレストランの兼業で、ほとんどの野菜を自家農園のものでまかなっているという。
葉物、根菜、ハーブ。
新鮮さが命の食材は、生産地とレストランが近ければ近いほど有利だ。
種まきから始まる食材との長いつきあいは、きっと料理への説得力が増すはずだ。
シェフである小林さんにとって、一方で農園を営むことは、どんな意味を持つのだろうか。
私たちは季節の移ろいを身に受ける幸せの中で暮らし、
旬の素材は自然と身体が求めるようになっていて、丁寧な食事は身体を健康にします
「風土とともに生きるということ」
自家農園の野菜を中心に近隣の魚介、家禽を合わせ
日本の伝統を大切にしながらも、旅をして得た経験や味覚を取り入れ
自然で食べて健康になる料理をご用意しました
季節の移ろいを身に受ける「幸せ」というくだりに、胸を突かれた。
天候頼み、自然が相手、暑さ・寒さ・荒天、効率とは対極にある世界。
メニューの冒頭に記されていたこのことばは、厳しい仕打ちもあるはずの自然を、恵みもろとも引き受けている小林さんの到達した、ある種の達観のようにも感じられた。
その達観から生み出された料理が、いま、私の目の前にある。
★詳細と写真はこちらへ
モダスパ+plus
https://www.mdspplus.com/blog/villa_aida_2018/
店名 |
Vira Aida(Vira Aida)
|
---|---|
類型 | 義式、客棧 |
預約・查詢 |
0736-63-2227 |
可供預訂 |
僅限預約
2ヶ月前の1日~3日前まで受付。ただし満席になり次第受付終了。 |
地址 |
和歌山県岩出市川尻71-5 |
交通方式 |
開車方便在國道24號備前的十字路口向北上JA的左手邊看,店的招牌是左手邊很小,左轉後馬上就到巖出站乘坐計程車 (不到1000日元) 從巖出站乘坐和歌山巴士那賀 [急] 去樽井站前乘車“荊本”下車步行3分鐘 (191m) ※1小時一班左右 距离岩出 1,732 米 |
營業時間 |
營業時間和假日可能會發生變化,因此請在用餐前諮詢餐廳。 |
預算(評價匯總) |
¥20,000~¥29,999¥30,000~¥39,999
|
付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 无使用電子錢 |
座位數 |
16 Seats |
---|---|
個人包廂 |
不可能 |
包場 |
可能的 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
可能的 |
空間、設備 |
時尚的空間,平靜的空間,座位寬敞,有露天雅座 |
酒水 |
有葡萄酒,對葡萄酒講究 |
---|---|
料理 |
對蔬菜菜式講究,有素食菜單 |
此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
---|---|
位置 |
神秘不為人知的餐廳,家庭式餐廳 |
關於兒童 |
接待兒童(接待小學生)
小學生以下不可入店 |
網站 |
時隔1年零8個月再次訪問。我去的是盛夏,品嘗夏季蔬菜的美味。感覺小林先生的料理又在進化。在苦瓜中稍微放入火的海螺中加入牛奶泡沫的料理,土豆的口感也很有效果。在阿依達,我會讓你再次感受到“蔬菜有其獨特的個性”。“青椒烏賊”素炸的青椒配上薄薄的烏賊像豬油一樣的一道菜。我覺得上面的番茄醬是重點。番茄醬沒有甜味的酸味和苦味使整個菜肴的輪廓清晰。因為在上面,番茄醬會碰到口腔的表面,有讓人更容易感受味道的效果。“我沒有留下食譜,”小林說。「昨天的菜和今天的菜不一樣,因為昨天的蔬菜和今天的蔬菜不一樣。」。小林先生的料理隨著和歌山的自然,在這個地方發生了變化。可能是吸引眾多客人到和歌山的事情本身。Twitter (X) 也介紹了https://x.com/caille2006/status/1720482471366815994?s=20