味は「山もと」のときと同じ : Uoshou Yamamoto Jun

魚正は岡山では有名な寿司屋です。初代は丸谷才一の名著『食通知ったかぶり』に、「岡山に西国一の寿司やあり」と言われたひと。それを継いだのはきっぷのいい娘さん、3代目は2代目の長男さんがされていましたが、今は魚正を出て城下で「魚祥」という寿司店を開きました。魚正は長男さんが辞めてからしばらく閉店されていましたが、今は次男さんが店を引き継いで店名も「魚正 山本淳」に変わりました。長男さんが魚正ををやっている時には次男さんは弓之町で「山もと」という寿司店をされていましたから少し複雑です。店名が変わって、朱塗りのカウンターから白木のカウンターに変えられたのは残念。私は、2代目のときと長男さんの時にはそれぞれ数回、「山もと」にも何回か行きました。魚正の名物は穴子の1本にぎりとふわふわの玉子です。この2つの名物ですが、私の個人的な意見としては、好きなのは2代目＞長男さん＞次男さんです。「山もと」のとき穴子と玉子が魚正の伝統が引き継がれていないように感じたのですが、これは魚正に移ってからも同じでした。これが次男さんのスタイルと言われるのなら仕方ないですが。さて、今回の料理は、順番にナマコ、ワタリガニ、サワラ、覚えてない、蛸、白子、サワラの皮を焼いたの、しめ鯖、カラスミの炙り、鰻、づけ、イカ、サワラ、赤貝、覚えてない、覚えてない、中トロ、コハダ、車海老、ウニ、鉄火巻き、穴子、玉子、巻き寿司だったと思います。サワラの皮を焼いたの、車海老、ウニが美味しかった。寿司はやや酢が強めで「山もと」時代からの味と変わらないと思います。しかし、やや単調に感じました。他のお客さんは次回の予約をして帰る方が多かったので、皆さん満足されているのでしょう。味というのは個人的なものですね。