来栖けいさんに惚れた。 : Bon.nu

食べログ 4.40→4.42
食べログsilver

高級住宅街、参宮橋駅とパークハイアットのある西参道の間に所在する、ボニュに伺わせて頂いた。

ご存知、美食家の天辺、来栖けいさんの牙城だ。


来栖さんと云えば、10代から6000軒の店を開拓し、茨城県から東京に来た時には一万軒の店を食べ歩いたと言う実話には、誰しもが敬意を表す。


人の成功は、素質と努力と運の3つしかない。

来栖さんは、新橋でふらりと買った宝くじで二億円を当選した。まさに、選ばれし人間なのだろう。

みずほ銀行が開催する財務省の利権、宝くじは控除率の低さからギャンブラーは皆、敬遠する。バカラが1.5パーしか取られないのに、宝くじは酷いものだ。

だけど、買わないことには夢は買えない。かくいう私も実は宝くじで100万円当たった事がある。来栖さんと違い、これが私の選ばれた最高位なのだろう。

因みに競馬のJRAは、農林水産省の利権だ。


普通の人なら2億あれば、5000万ほど道楽をして、後は戸建てを買うか自社に貸付したり、そんな考えが目に浮かぶだろう。
私なら投信のような馬鹿げた金融商品など買わず、1億をアメリカ国債の購入にあて、5000万を親にあげ、残る5000万で様々な先行投資を周りの支えてくれる仲間達にするかなと言ったところ。


但し、来栖けいさんは違った。


食べログの発行した食べログアワードと同じ発行元のぴあ株式会社から刊行してる『美食の王様』や毎年、参考にしてた『東京最高のレストラン』の主催者でもあった、来栖さん。

なんと二億円全額を美食道を極めるために全国津々浦々を旅して、究極の食を求める為に使い果たした。

この労働意欲は傑出していて、卓越してる。私の尊敬してやまない食べログのレビュワーでRettyでも万人フォロワーを抱える光岡史朗さんでもリスペクトするだろうと思われる。
お二人ともプレゼン力も非常に高い。


たまたま、六本木の知人が来栖さんと親しく付き合いをさせてもらってると聞いて、予約を頼み込んだ。

人の紹介だと気を許してくれたのか、案外近い日時を伝えてくれて、是非伺わせて頂きますと迷わずの二つ返事だった。嬉しい。

焼肉いぶさなの方へ伺った際も別格に美味しかったのだが、本家本元のボニュへ行ける嬉しさに気分は高揚した。


最近、購入した食べログアワード。2700円。
これは良い本だった。穴が空く程に読み尽くした。

実は食べログからレビュー掲載者には進呈するメールが届いていたのだが、私は見損なって失念していた。

今更お世話になってる食べログに『一冊下さい』とは厚かましくて云えず、ささやかながら10冊買って、私の仲良いグルメ仲間の親しい人たちに配った。


ワインの三つ星を獲得した日比谷のアピシウスや、鮪の握り一番手の白金の鮨いちかわ、ミシュラン三つ星の麻布かどわきなどに、不肖私の拙文が掲載されてて嬉しかった。

ありがたい。


食べログアワードに掲載されてた文を頭に叩き込んで伺った。

『美食の王様”として知られる来栖けい氏が、シンプル+オリジナリティをコンセプトに掲げて開いたレストラン&パティスリー。
初めて訪れるなら、6時間かけて焼き上げる 「ボ
ニュ焼き」や、素材と水、塩のみを使い5分で仕上げるスープ「抽出」など、スペシャリテのみで構成されたスタンダードコースからどうぞ。』

仰る通りにしようと、二人で伺わせて頂く。


店内は入って右手に、日本唯一の純神戸但馬牛がオープンスタンスの冷蔵庫に掲げられていて、テーブルは二卓。まさに選ばれし美食家たちの神殿だった。


来栖さんの説明は素晴らしかった。これは知識や経験でなく、食に対する情熱が為せる技だと思う。

世界一の広告会社から世界二位のコンサルティング会社に転職し、20代のほとんどをスーパービジネスマンとして過ごした自負のある私からしても、これほどのプレゼン力のある方を、私は久しぶりに見た。
もし、競合に来栖さんがいれば私は完敗したと思う。


それほど、放つ言葉の節々に、1を聞いて10理解してほしい思いと、また些細な所作も見逃さないサービス精神、そして何よりもご自身が納得して提供してる最高の食事を共に満足したい思いが伝わるのだ。

人間的魅力が違う。


頂いたメニューは下記の通り。

Menu de Bon.nu
自然 ~太陽空･土・草~
抽出 〜オマールエビ~
シンプル ~椎茸~
トマト畑 ~トマト~
抽出麺 ~イワシ~
ボニュ焼き 〜蔓草牛(イチボ)~
ボニュ焼き 〜蔓草牛(サーロイン) ~
ボニュ ~ミルク~
ナチュラル ~神果卵~


全てに対して抜群だったのだが、特に『抽出』に対して湧いた感情はまさに、驚愕だった。

さっきまで、丸一匹の魚が、数分後には食材の味だけで成した素晴らしく美味しいスープに変わってた。


味の素のグルタミン酸で自宅で食べるのとは億倍も違う。我々、人間は農耕民族であり、縄文時代から悩ましてた食と生殖活動のみを行う生き物であるネズミに頭悩まされ、畑を耕し田んぼを開拓し食を備蓄した。

人間は、狩りを主にしてる生き物ではない。


かつて、進化の過程でネアンデルタール人と北京原人が共存してた時期がある。北京原人の脳は現代人類より遥かに発達していた。しかし、化石で発掘されたほとんどの北京原人は食材としてか又はお守りとして、の骨しかなかったという。インドネシアにも一万年前までは小人族がいたはずだが淘汰された。共食いなど知性のある生き物がするわけがない。つまり北京原人はネアンデルタール人に食べられて滅びたのだ。


生き物は、自分より優れた生き物と遭遇した時、抹殺しようと思うのだと感じてる。進化の過程で新人類が出てきた場合、すぐに浮かんだのは、仮にその事実を掴んだ時、アメリカやロシアは必死になって殺害するだろうということ。

陰謀論のような話は嫌いなのだが、三笠基地にはアメリカとイギリスが共同で作ったエシュロンという世界中の情報を収集し、公安部と話し合う諜報機関がある。
何故なら、これから生きていく新人類は、まず核兵器なんぞで武装してる現代人を排除するだろうから。

ある学術で新人類が生まれてきたら3歳児で同等、8歳児にして世界を征服する知能を持つとネイチャーで読んだ事がある。


同じ地球上の生き物を、我々は頂きます、ご馳走様でしたで済ましてしまう。しかし来栖けいさんの手に掛かれば、そんな食材も高級に仕上げられ、存分に美食にうるさく品のある人々に食べてもらえて少しは納得するのではないか。私もコンビニで売られる食事にはなりたくない。


ボニュという店名からは、来栖さんの思考の原点を伺うことができる。

人は生まれてきてすぐ食べるのは母乳である。
母は偉大だ。
母乳のように、無我夢中に食べ干して欲しい、そんな思いが伝わった。


本当に、何から何まで美味しかった。

素晴らしい食事をありがとうございました。


ボニュを経営する美食の王様、来栖けいさんは、日本中から集められた日本一の食材の本当の旨さを最高の手法で抽出し、もてなしてくれる。

幸せな気分になりました。
重ね重ねありがとうございました。