見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2022.10.
見らく少なく 恋ふらくの多き/すし 㐂邑
北寄貝のスープ♡
ひと口含むだけで北寄貝の旨味が口いっぱいに広がり、香りと共にスーッと消えていきます。このスープの為だけにどれだけの北寄貝が使われているのか。
小鰭の押し鮨♡
酢〆した小鰭の下には梅・大葉・胡麻があり、酢の爽やかさと梅の酸味が小鰭の旨味の輪郭を濃くしているかのよう。
鮟肝♡
4日かけて処理をした鮟肝にカシューナッツと発酵唐辛子を加えたもの。
濃厚なれど、臭みなど微塵もない鮟肝にカシューナッツのコクと唐辛子のアクセントが心地よく、いいお酒のアテです。
北寄貝のオイル漬け♡
火を入れて薫香を付けて、塩を当ててからオイル漬けにしたもの。
咀嚼すると、藁で燻した薫香がふわりと広がり、凝縮した旨味が爆ぜます。
雲丹蕎麦♡
雲丹を裏漉しして、昆布出汁で割って、蕎麦と合わせたもの。
この量だからこそのインパクト。蕎麦を手繰る度に確りと感じられる雲丹の存在感。
白子のリゾット♡♡
確りと掃除した鱈の白子を裏漉しして、昆布出汁で伸ばし、米と合わせたもの。
食感は舌に絡みつくようにまったりとし、白子の旨味がガツンときます。そこに固めの米の食感があり、上からかけられたカンボジア産赤胡椒が全体をキリッと締めています。
真名鰹♡
一週間風に当ててから、自家製の白身魚の酒盗で味付けもの。
ふんわりとした食感の中で、主張してくるのは真名鰹本来の旨味。繊細でありつつも、グッときます。
渡蟹のブランデー漬け♡♡
「すし 㐂邑」のシグニチャー料理のひとつ。コロナ禍の中で、念願のご飯(卵黄酢飯)がつきました!ピリリとした山椒の刺激の中で。お酒にもご飯にも抜群に合う素晴らしさ。
海苔巻き♡
シャリのテイスティングを込めた海苔巻き。「すし㐂邑」のシャリは少し固めに炊き上げた『遠野4号』という品種で酸が立ち、相澤太さんの『寒風一番摘み』の海苔の香りが華やぎまず。
小鯛♡
小鯛は温かく、とろけると同時に香りがふわりと立ち込めます。
縞海老♡
極上の甘味、そして口に入れた瞬間にとけます。シャリとのコントラストが素晴らしく映えます。
白烏賊♡
木村さんの包丁技が見れる種で、白烏賊を薄ーく薄ーく削ぎ切りにしていき、一纏めにして酢橘と塩で。コレは空気を食べる種。甘味を出しながらとろける烏賊がとてもエアリー。
皮剥♡
ガラスのような身と「この肝の処置にどれだけの手間がかけられているのだろう」と考えさせられるほどの肝の旨味の純粋さ。
北寄貝♡
ビッシリとついたワタの甘味が最高に美味しい。とろけるような食感も固めのシャリとよく合います。
赤雲丹♡
鹿児島県産。濃縮したような甘味と仄かにある苦味がより甘味を感じさせて美味しい。
クジラ♡
部位は尾の身。「形があったよね?」と思うほどに瞬でとろけるクジラは圧倒的な旨味が素晴らしく、間に入れたエシャロットの苦味が味を締めています。
鰹♡
薫香も感じますが、圧倒的なのはまるで鰹節のような旨味の凝縮さ。この旨味の強さはきっと「すし㐂邑」でしか味わえない美味しさ。
筋子♡♡
ルビーのように煌めく1ヶ月熟成をさせた筋子は旨味の塊!コレを食べてしまうと、他店のいくらは食べられなくなってしまいそうです。
鰤♡
エシャロットがいい仕事をしている1ヶ月半熟成をさせた鰤。旨味の爆流で身を流されてしまいそう。
鰯♡♡
金色に輝く鰯も「すし㐂邑」のシグニチャーのひとつ。酸味の中にも確りとした旨味があり、食べ終えても尚香るような青魚の香りが凄い。
穴子♡♡
「すし 㐂邑」で穴子に出逢えるのは、珍しい。煮つめではなく、山椒で食べさせる仕立てで、穴子と山椒の香りが素晴らしい。
お稲荷さん♡
このモチモチとした揚げの食感に驚き、咀嚼の度に溢れる出汁の旨味が新感覚。
玉♡
伝統的な鞍懸の玉。玉の甘味とシャリの酸味が素晴らしい。
黒胡麻のジェラート♡
出来立てのジェラートは、胡麻の香りが活きていて美味しい。
二子玉川にある熟成鮨で有名な「すし 㐂邑」へ再訪。店主は熟成鮨のパイオニアとして今も尚進化を続けている木村 康司さん。独創的であり、唯一無二な肴や鮨は1つとしてハズレなく美味しく、私を含めて多くの心を掴みます。木村さんの料理をいただきながら感じるのは、丁寧な下処理とそれにかけられた時間と労力。魔法のような熟成をかけられた種は香り・甘味・旨味が跳ね上がり、酸が立った固めのシャリととてもよく合い、そこから生まれる相乗効果の旨味が凄い。
やはり木村さんの肴と鮨は好みの味わい。また今冬の時期にも是非味わいたいです。
木村さん、今回もありがとうございました!またどうぞ宜しくお願いします!38000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2022.6.
見らく 少なく 恋ふらくの多き/すし 㐂邑
北寄貝のスープ♡
可愛いらしい木桶から立ち上る香りからもう美味しく、塩分濃度は薄いのに旨味が強烈。
子持ち槍烏賊♡
(特にえんぺらが付いていたので)身はサクッサクで、卵はねっとりとしてプチプチと弾けます。この3つの食感を同時に楽しめるこの時期ならではの美味しさ。
桜海老の海老味噌♡
このペーストにどれだけの桜海老が使われているのだろう?ひと舐めするだけで圧倒的な旨味が口に爆発的に広がり、ふわりと香りが鼻から抜けます。凄い!
鮟肝♡
木村さんが手掛けると鮟肝もここまで変わるとは!一緒に入れられているカシューナッツで生み出される食感とコク、そして唐辛子の辛味が新しい鮟肝の可能性を示してくれます。実に美味しい。
鮑とつぶ貝の塩辛♡
肝の香りが強いと思いきや、咀嚼するとそれぞれの貝の磯の香りがぶわっとして至福の肴。
雲丹蕎麦♡
蕎麦を啜ると広がる雲丹と昆布の旨味。無限に食べられるような味わい。
真名鰹♡
ふわりとする食感、咀嚼の度に溢れる旨味は真名鰹本来の味わいで、実に美味しい。木村さんの真名鰹の焼物が供された時は、心の中でガッツポーズしているのはナイショのことです。
渡蟹のブランデー漬け♡
「すし 㐂邑」のシグニチャー料理と言っても過言ではない肴。活きた渡蟹をブランデーに漬けたもので、鮮烈な山椒の味わいとブランデーの香りが素晴らしい。そして、添えてある卵黄ご飯が「ご飯と一緒に食べられたらな」という往年の夢を叶えてくれ、実に嬉しくも美味しい。
海苔巻き♡
史上最年少皇室御献上海苔漁師・相澤太さんの『寒風一番摘み』の海苔と2回だけ品種改良がされた最もお米の原種に近い『遠野4号』を使ったシャリが生み出す海苔巻き。他店よりも堅いシャリのテイスティング的な感じかもしれませんが、これが実に美味しい。
牡丹海老♡
熟成4日目。凄い…。牡丹海老は軽く湯霜にしてあるようで、口に入れた瞬間になくなります。堅めのシャリとネットリとした種のコントラストが実に素晴らしく、他店とは味わいの次元とアプローチの違いがハッキリとします。
金目鯛♡
熟成14日目。口に入れると、まず金目鯛の旨味がガツンときて、その後にシャリの塩味、そして再び金目鯛の旨味と甘味がぐわんとくるような味わいの対空時間と時差があるような一貫。
皮剥♡
熟成4日目。ガラスのような身と間に入れられた肝の旨味が秀逸。肝の毛細血管まで丁寧に取り除くことで生臭さなどは微塵もなく、旨味のみが濃縮した味わい。
北寄貝♡
貝類は熟成させても意味がないそうで、代わりに部位毎に塩を当てる時間などを計算しているそう。ネットリとしたワタの甘味が素晴らしく、咀嚼すると貝の旨味と香りがふわりとして美味しい。
鯵♡
肉厚な身はトロリとして香り高く、堅めのシャリに実によく合い、「鮨を食べてる!」という実感が湧くほどに口の中での存在感が強い。
鮑♡
鮑は香りと教えてくれる一貫。出来るだけ薄く切りつけて空気に当たるようにして香りを立たせてるそうで、口に入れると鮑の香りが弾けます。そしてシャリの塩味で鮑の甘味も映える「すし㐂邑」の夏の一貫。
浅蜊♡♡
初めていただく種。海苔の香りと浅蜊の旨味が実に素晴らしく、心打つ一貫。インスタで見かけた某店の『浅蜊』が美味しそうで、いつかどこかで食べたいと思っていた一貫をまさかここでいただけるとは!
間八♡♡
脅威の熟成75日目。旨味と甘味が異次元のような味わいで、食べ終えてもまだ口の中にあるかのような余韻が長く続きます。
鰹♡
口に近づけると薫香が香り、咀嚼すると鰹の旨味と鉄分が広がり、忍ばせてあるエシャレットの苦味が全体を締めています。
白烏賊♡♡
木村さんの包丁技が魅れる種の1つ。白烏賊を見えなくなるくらいに薄く薄く切ってから、雲丹をベースに名古屋の天麩羅の名店「天風良 にい留」の揚げ玉を入れたソースを絡めて握った一貫。この揚げ玉の旨味が素晴らしく、思わぬところで「すし 㐂邑」×「天風良 にい留」のコラボを味わうことができました。今回の私の中で1番の美味しさ。
尾の身♡
コレも初めての種。このシャリによく合う口溶けのいい鯨の尾の身は旨味の塊のよう。
鰯♡♡
赤酢で〆ることで金色に輝くエロチック鰯は、熟成10日目のもの。鰯本来の旨味、赤酢の酸味、シャリの塩味の三重奏が響きます。
蝦蛄♡♡
蝦蛄を殻のまま漬け込んであり、直前に殻を剥いて握られます。漬け込みの味わいも美味しいですが、なんと言っても咀嚼する毎に強くなるような旨味と香りが凄い。
お稲荷さん♡
近年「すし 㐂邑」の新しい名物となっているのが、このお稲荷さん。シャリにガリと胡麻を混ぜ込んで、海苔と一緒に油揚げで包んでいるのですが、この油揚げが凄い。モチモチとした食感があり、その食感を感じる度に出汁がジュワッと溢れてくる新感覚のお稲荷さんです。
玉♡
以前は半熟カステラのような玉でしたが、今では薄焼きのものを握るスタイルになっており。最後まで鮨好きを魅了してくれます。
黒胡麻ジェラート♡
出来立ての新作ジェラートは黒胡麻。ひと口食べただけで「胡麻!」という主張が強く、上にかけられた擦った胡麻で香りも高い。
予約が取れなかったりして、久しぶりとなった二子玉川にある「すし 㐂邑」。改めて思うことは、店主・木村 康司さんが作り出す肴や鮨は実に好みで美味しい。魔法にも似た「熟成」という技術だけでなく、この鮨店の根底にあるのは時間と手間を惜しまぬ丁寧な仕事。肴は確りとお酒を飲みたくなる力強い味わいで、鮨はシャリと種どちらも個性があり、食べていることを実感できるボリュームがあります。肴・鮨共に独創的であり、唯一無二。この「すし㐂邑」でしか味わえない心響く美味しさです。
木村さん、ありがとうございました。また宜しくお願いします!
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2021.6.
熟成という名の魔法
今年の正月に開催した「キムバル」から半年。熟成鮨のパイオニアである木村 康司さんの鮨を食べに二子玉川にある「すし㐂邑」へやっと再訪。ちょうど訪問日の2週間前にカウンターを新しくしたそうで、客側の欅と厨房側の木曽檜から成る2種の木目がとても綺麗で、木村さんの手元が確りと見えるようなフラットになったのも嬉しいポイント。
今夜の献立
北寄貝スープ
口当たりは優しいのに、旨味のアタックが後からグッときます。
〆鯵♡
梅肉を酢で〆た鯵でサンドした初めていただく肴。このジメッとした季節にピッタリの爽やかな味わいで、後から鯵の旨味が追いかけてきます。
あなきゅう♡
肴でいただく穴子は実に素晴らしい。山椒の洗練さが駆け抜け、甘味のある穴子の旨味が口の中で混ざり合います。穴子と胡瓜という格別な取り合わせの中で、穴子が光ります。
このこ蕎麦♡♡
凄い!香りと旨味の塊のような味わい。蕎麦というか完全なる肴。お酒が進みすぎです。
鮑のリゾット♡
白い鮑のリゾット。肝の味わいをあえてなくしているのか、ゴロゴロと入っている鮑の旨味が食べ進める毎に口の中で倍化・累乗するかのようで幸せが加速します。
メヒカリ♡
実に美味しい。フワフワとした口当たりは初め魚醤のような味わいがしますが、後から透明感のあるメヒカリの旨味が口いっぱいに広がります。
渡蟹のブランデー漬け♡♡
「すし㐂邑」の肴のスペシャリテと呼ぶべきブランデーと山椒の香りが決め手の渡蟹のブランデー漬け。コロナ禍で卵黄ご飯が付くようになったのは、実に嬉しいかぎり。最高のご飯のお供。
海苔巻き♡
岩手県の「勘六縁」の遠野4号と京都の「飯尾醸造」の酢で作られたシャリのテイスティングのような海苔巻き。鹿児島県出水の海苔養殖家の島中さんのアサクサノリが映えます。
小鯛
温かい…。また新しい仕立てなのか?久しぶりすぎて忘れているのか?切り付けた後にサッと湯霜にしているのでしょうか。ほんのりとした小鯛の甘さがシャリの酸味で映えます。
牡丹海老♡
とろけるような牡丹海老。生よりもとろけ方がストレートで甘味がグッときます。他店とは一線を画す味わい。
金目鯛♡♡
口の中に入れるとフッとなくなるような金目鯛。その後に旨味がぐわんっとして、シャリの酸味が後から駆け抜けます。
鯵♡
何とも食べ応えのある肉厚な鯵。口の中でまさに魚が主役となる一貫です。
北寄貝♡
こんなにもビッシリとワタが付いた北寄貝は久しぶり。トロリとしたワタの甘味が舌にダイレクトに当たります。
中トロ♡
エシャロットの香りと風味が印象的な中トロ。その口溶けと旨味も尋常じゃない美味しさ。
鮑♡♡
鮑を水平に波打つように切り付け、シャリを包むようにして供される鮑。木村さんの鮑と食べるといつも思う。「鮑は香り」。シャリの酸味で際立つ鮑の甘味も愛しい。
赤雲丹♡
今季初の赤雲丹。甘味だけでなく、苦味もあるような複雑な味わいが素晴らしい。
鰯♡♡
金色に輝く鰯は「すし㐂邑」のエロ前鮨の真骨頂。酸味と旨味が異次元のよう感じ。やはり美味しい♡
鱒の介♡
たいていは常時ある真加治木の代わりに今回は鱒の介。コレも凄い!舌に絡みつくようなとろけ方で、味わいも甘味と苦味が絶妙なバランス。
穴子♡
木村さんの穴子は久しぶり。煮つめではない穴子の旨味で勝負するこの時期だけの楽しみ。
お稲荷さん♡♡
「すし㐂邑」の新しいスペシャリテになりうるお稲荷さん。この揚げが非常に特徴的で、出汁がジュワッとしながらもシコシコとした食感が独特。
玉♡
薄焼たまごの握り。うーん、素晴らしい。
濁酒ジェラート♡
最後は佐々木要太郎さんの濁酒を使ったジェラート。どストライクな美味しさ。
やはり、美味しい!
これが久しぶりに味わう「すし㐂邑」の正直な感想。定番と呼ばれる肴や種の美味しさは勿論のこと、比較的に新しい『玉』や『濁酒ジェラート』も最早外せない一品になっています。その中でも今回初だったのは『お稲荷さん』。「今まで美味しいお稲荷さんがなかったから、自分で作った」という木村さんの渾身の逸品は、新しい顔となりつつ味わいです。お店で食べるものよりかは少し大きなものが3個入ったお土産も1人1個ではありますが、来店者のみ購入できるので「すし㐂邑」の余韻を楽しめます。
先週供していた『蝦蛄』がなかったり、『鳥貝』なんてとっくにやめていたりと出逢うことが叶わないこともありますが、それも「すし㐂邑」の魅力。また季節を変えて食べたいです。
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2020.10.
今よりも、更に高みへ
運良く一席空いていたところに滑り込み、再訪が叶った二子玉川にある「すし 㐂邑」。店主の木村 康司さんが作り出す魔法とも呼ぶべき熟成を施した鮨と独創的な肴が唯一無二で、とても好きな鮨店です。コロナ禍の営業自粛明けから2回目。木村さんの更なる進化を楽しみます。
今夜の献立
蜆酒
口当たりは、確かにお酒。でも旨味は蜆。蜆汁というのはよく供されますが、蜆酒とは!さすがのアプローチ。
烏賊の塩辛♡
肝を使った塩辛はあまり好きではないのですが、コレはなんだろう?烏賊も柔らかくて、ご飯欲しくなるぅ。
北寄貝のオイル漬け♡
薫香が鼻から抜ける米油で漬け込んでいる北寄貝。噛む度に旨味が溢れて、絶妙な味わい。木村さんの肴はいつも美味しい♡
穴子の山椒焚き♡
角切りの生姜と粒の山椒が舌を刺激する旨味の塊のような穴子。あの『薔薇ちらし』を思い出します。また食べたい!
鮑の塩辛♡
何という香り高さ!コレもご飯欲しくなるぅ。
海胆蕎麦♡
更にブラッシュアップされていて、海胆の旨味と蕎麦つゆの一体感が格段に違います。どこまで進化するというのか…。
メヒカリ♡
木村さんのメヒカリは大好き♡パンパンの身には旨味と脂が詰まっていて、口の中で一気に弾けるよう。スナック菓子のようにひょいひょい食べたいっ!
渡蟹のブランデー漬け♡
「すし㐂邑」における肴のシグネチャーとも言うべき料理。ピリリとした山椒の刺激の中で、渡蟹の甘味が映えます。更に念願だったご飯もデフォルトで卵黄ご飯がついてくるようになり、より好みとなりました。
海苔巻き♡
毎回、握りの始まりを告げる独特なアルデンテのシャリのテイスティングのように供される『海苔巻き』。この香り高い海苔は、鹿児島県出水産の「アサクサノリ」。漁師の島中良夫さんが20年以上かけて養殖に成功させた伝統在来種「出水アサクサ野口種」だそう。
真鯛
熟成期間は1週間くらい。ストレートに甘味がガツンときて、食べ終えると香りがふわりと残る感じ。
牡丹海老
木村さんの手にかかると、牡丹海老もまた違った一面を見せてくれます。ただ甘いだけでなく、もう一段奥にある甘味を感じられます。
錘鰤♡
初めて食べる魚ですが、徐々にメジャーになってきているそうです。見た目も美しくて、味わいはねっとりとして、口溶けも非常にゆっくりとしていて旨味と甘味をじっくり楽しめます。
皮剥♡
ガラスのような美しい身に隠された肝の旨味が素晴らしい♡
鰤♡
復活した?エシャロットを忍ばした鰤。山葵の鮮烈さだけなく、エシャロットのほろ苦さが決め手。まだまだこれからの魚ですが、十分に美味しい♡
赤海胆♡
熊本県天草産。水っぽさなど微塵もなく、濃厚濃密な旨味の塊のよう。ただ甘いだけでなく、複雑な味わいが魅力的。「すし 㐂邑」では夏の時期でしか食べられないですが、群を抜いて美味しい。
鰹♡
薫香がふわりと鼻から抜ける鰹は、まるで鰹節のような旨味がたっぷり。
筋子♡
「すし 㐂邑」のスペシャリテの一つ。ねっとりと舌にシャリに絡みつくような味わい。見た目もルビーのような美しさがあり、華がある鮨。
小鰭
久しぶりの小鰭。食べ終えても尚、口の中に残る強い旨味が印象的。
キンキの混ぜご飯♡
前回もいただいた絶品の混ぜご飯。キンキの皮も身も肝も全てを混ぜ込んでいて、大きな丼でかき込みたいくらいに美味しい♡ちょっと多めにくれた木村さんの優しさが嬉しい。
真加治木♡
驚異の57日間の熟成を施した「すし㐂邑」の顔とも呼べる種。どこかコーヒーのような香りもあり、凝縮したような旨味が素晴らしい。
玉♡
コロナ禍での営業自粛を経て、伝統的な薄焼き玉子を使った握りになりました。あの半熟カステラのような玉も好きでしたが、やはり握りは美味しい。
濁酒のジェラート♡
コレも木村さんの新しい一手の一つである甘味。佐々木要太郎さんの濁酒を使ったジェラート。んー、実にどストライクな美味しさ♡
今回も実に美味しかったです。肴はただ塩辛いだけでなく、旨味を全面に出した味わいなので、私はお酒よりもご飯が欲しくなります。その中で『渡蟹のブランデー漬け』は、卵黄ご飯がデフォルトで添えられるようになって本当に嬉しい。そして、握りは皆がシャリを小さくとお願いしている中で、ちょっとずつ私には大きくしてくれる木村さんの優しさが沁みました。熟成という絶対的な武器を持っていながらも、より美味しくより高みを目指してらっしゃる木村さんの気概に惚れました。
木村さん、今回もありがとうございました!今冬中とお正月にはまた食べたいです。35000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2020.6.
味わい、存在、唯一無二。
例えば、ウイスキー。誰にでも飲みやすく好かれるものよりは、アイラモルトなどの独特でクセのあるような唯一無二のウイスキーが私は好き。
二子玉川にある「すし 㐂邑」の店主・木村 康司さんが創り出す熟成は、旬の魚の力強さを引き出す魔法。肴も鮨も独創的で、唯一無二。味わいは勿論のこと、存在感も惹かれる鮨店です。
今回の献立
北寄貝スープ
可愛い檜の桶に入れられた「すし 㐂邑」の白スープ。前回に感じた店内を包むような檜の香りはさほどなく、北寄貝の旨味が凝縮したスープはしみじみと美味しい。
栄螺のオイル漬け
初めての肴。栄螺に薫香をつけて、米油に漬けこんだものかな?口に入れると薫香が鼻を擽り、後味にはピリリと鷹の爪の辛味が残ります。
鯖♡
福岡県糸満市にある「ミツル醤油醸造元」の醤油床に奈良漬けを入れたものを〆た鯖に合わせたもの。凄い!カレーのような風味と鯖味噌のようなの味わいの奥深さがあり、コレもご飯が欲しくなるw
鮑の塩辛♡
鮑の香りが素晴らしい。咀嚼する度に華やぎ、喉を通る際にふわりと鼻から抜けます。鮑は香り。そのことを実感できます。
ミンククジラの畝須♡
プルプルのミンククジラの畝須にはパンチのある辛味が乗せてあり、一緒に食べることでこのクジラの脂を活かしています。
海胆蕎麦
ひと口目は蕎麦の味わい。つゆを飲むと、返しの味わい。そして、追いかけるように海胆の旨味がグッときます。もっと食べたいと思うところですが、この量だからこその旨味の凝縮。
メヒカリ♡
「すし 㐂邑」のメヒカリは大好き。表面の皮目はパリッと焼かれ、身はフワフワ。そして、メヒカリの甘味がジュワッと広がります。火傷覚悟でもガブっと行くべき。
渡蟹の塩辛♡
な、なんとデフォルトで酢飯が盛られている!まさか、お店でこの塩辛にご飯を合わせることができるとは!お酒飲みにはお酒が1番なのでしょうけど、私には絶対にご飯!美味しいなぁ♡
海苔巻き♡
遠野4号という粒が大きくて粘りが少ないストイックな米を使った独特のアルデンテシャリを味わう海苔巻き。心地よい酸が駆け抜けます。
甘鯛♡
何故、甘鯛と呼ばれるのかがよく分かる甘味のある旨味がシャリの酸で全面に押し出されています。
牡丹海老
舌に絡みつくようなとろけ方はありませんが、群を抜く強烈な甘味が残ります。
金目鯛♡
香り高く、金目鯛の旨味が凝縮していて後に残る甘味が印象的。
鯵♡
ふっくらと肉厚で口に入れた時の存在感が素晴らしく、爽やかな旨味が駆け抜けます。
赤海胆♡
佐賀県唐津産。甘味だけではなく、苦味なども加わり複雑な味わい。「すし 㐂邑」の海胆は夏しかありませんが、どこのお店よりも旨味がギュッと凝縮しており、実に美味しい。
鮑♡
木村さんの包丁捌きは見れませんでしたが、出逢えた鮑。シャリを包むようにして握られる鮑は、まるで香りの塊。だから肝も使うことなく、塩や山葵さえもありません。
鰹♡
まるで鰹節のような薫香と旨味の凝縮。鰹の握りでの究極系かも。
キンキの混ぜご飯♡
ずっと気になっていた木村さんの後ろにあった大きなキンキの開き干し。そのキンキを焼き上げて、身を解してからシャリに混ぜ込んだもの。脂あるキンキの旨味と甘味がシャリの酸のアクセントで素晴らしく響きます。
鰯♡
金色に輝く鰯は、エロ前の真骨頂。1週間の熟成だそうですが、身は確りとしていて迸るような脂はなく、優し目な香りと旨味が際立ちます。
加治木♡
スペシャリテの加治木はねっとりとして、コーヒーを思わせる焙煎香を纏っています。今もなお煌めく不動の花形の種です。
穴子♡
まさか、穴子まで供されるとは…。最近は固めるお店も多くなってきましたが、本当の旬の時期しか味わえない「すし 㐂邑」の穴子。トロトロで舌に絡みつく系ではなく、香りを大切にしたホクホク系。山椒の香りも華やぎます。
玉♡
なんと玉も握るようにしたそうで、伝統的な薄焼き。以前と味わいも変えているのかしら?ほんのりとした甘味で、更に好みが加速します。
甘味♡
〆は玉ではなく、甘味。佐々木要太郎さんの濁酒を使ったジェラートです。酵母を使っているからでしょうか、パンみたいな香りがしてド好みな味わいです。
コロナ明け、「すし 㐂邑」の進化が止まらない!元々、木村さんの独創的な肴や鮨が大好きですが、更に加速度を上げて好きになりました。今回は海胆・鮑・穴子と夏の魅力を一編に堪能させていただき、久しぶりに幸せな時間を過ごせました。
木村さん、ありがとうございました!やっぱり木村さんの肴や鮨は大好きです。また宜しくお願いします!33000
正常使用之外的評價
這些評價基於不尋常服務的使用情況,例如品嚐、開業前和接待使用。
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2020.5.
薔薇色の人生
営業自粛が解かれている中で、鮨店のテイクアウトもそろそろ終わり。そんな中で、私には心残りがあります。それは二子玉川にある「すし 㐂邑」の『薔薇ちらし』。何度かあった販売もタイミングが合わずに買えずじまいだったのですが、最後の最後で無事購入です。
海胆やいくらなどの生の海鮮が盛られた煌びやかなちらしとは対極的な地味な見た目ですが、実に好みの味わいで美味しい。いつものアルデンテなシャリには海老・干瓢・玉が混ぜ込んであり、上にある紅白の海老おぼろと鮃?田麩と一緒に食べれば、甘めの味わいに。そこに酢〆された小鯛と鰯の酸とピリリとした山椒の刺激が心地よく響きます。このコロナ禍で『ばらちらし』を食べる機会が多くなった中で、私は甘めの味わいのものが好みなんだと知りましたw
あぁ…人生ってただ甘いだけでなく、たまには刺激も必要よね?
そんなことを感じさせてくれるような『薔薇ちらし』でした。
木村さん、お元気そうで良かったです!またお店でエロ前鮨をいただける日を楽しみにしています!
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2020.2.
どこか艶っぽく、妖艶な雰囲気を纏う。
まるで歌舞伎でいうところの女形のように。
そう思わせるのは二子玉川にある「すし 㐂邑」の木村 康司さんの握る鮨。職人気質でありながらも、熟成という緻密な技術を組み上げる学者肌な一面もある(特に女性に対して)笑顔が素敵な親方です。
木村親方が施す熟成という魔法は、魚の持つ旨味と香りを最大限に引き出して、知っている魚がまるで次元の違う味わいになり、いつも驚かされます。さあ、今回もどのように驚かせてくれるのか楽しみです。
今回の献立
北寄貝のスープ
厨房から香る檜の香り?器が檜に変わってる!口を近づけると、檜の香りがふわりと香り、染みるように美味しい北寄貝の旨味。
子持ち槍烏賊♡
身は歯がいらないほどに柔らかく、卵はとろりととろけて、舌に絡みつくよう。
真鱈の白子リゾット♡
相変わらずに素晴らしい味わい。白子のクリーミーな旨味の中で固めの米が存在感を主張して、カンボジア産の黒胡椒が単調になる味わいにアクセントを与えています。
太刀魚♡
太刀魚が持つ極上のフワフワ感。そして上に乗せられた大根おろしが名脇役を演じています。大根おろしの下には玉葱の微塵切りが忍ばせてあり、辛味と食感を与えています。
牡蠣バター
牡蠣を低温で火入れしてから燻して、それを裏漉ししたのをバターを合わせたもの。どんなだけ手間をかけてるのだろう。極限に滑らかで確りとした薫香の後、旨味がグッときます。形はないながらも、ちゃんと感じられる牡蠣の旨味が秀逸。
河豚のお椀♡
きっとこの時期ならばあると思っていました。河豚3本の身と骨と皮をゆっくりと10時間焚き、それを漉してから焼いた白子を入れて、薄口醤油を数滴入れた冬のスペシャリテです。
どうまん蟹の塩辛♡
ブランデー・麹・酒盗で漬け込む木村流ケジャン。今回は渡蟹ではなく、なんとどうまん蟹。山椒のピリリとした刺激がありながらも、全体的には円やかな味わい。渡蟹にはなかった爪が美味しい!
海苔巻き♡
酢飯変わった?元々、固めのアルデンテなシャリでしたが…更に水分が少なくてホロホロとして、酢がふわりと香ります。
鰆
ねっとりと舌に絡む度に鰆の甘味が感じられて、シャリの塩気で更に甘く感じられます。
細魚
モチモチという食感はよく感じられますが、細魚ってこんなに香りがあったっけ?と思うほどに香り高い。
鱒ノ介♡
クリスマスくらいから熟成させたという鱒ノ介。凄い!とろけ方もゆーっくりなので、その間に香りが立ち、旨味が広がります。滞空時間のとても長い一貫。
金目鯛
口に入れた瞬間の旨味と咀嚼してシャリと混ざり合った時の旨味という2段階で味わう金目鯛は、まさしく傅く美味しさ。
牡丹海老♡
片面だけ湯霜にしているのだろうか。とろけるのではなく、弾けるように液体へと変わります。異次元の牡丹海老。
間八♡
コレもクリスマスくらいからの熟成。身を咀嚼する度、シャリと混ざり合う度に旨味が溢れてきます。
皮剥♡
ガラスのような身の下には、肝と浅葱。肝の旨味が衝撃的な味わい。
海松貝
極上のサクサク食感。甘味よりか香りが凄い。
鰤
エシャロットから山葵に変えた?戻した?鰤。湯霜して漬けにしてあるので、暴れるような脂のある鰤らしくない落ち着いた感じ。
鰯♡
金色に輝く鰯は魔法がかかっているかのように美味しい。濃厚な脂の後に爽やかな酢が駆け抜けていきます。
加治木
「すし 㐂邑」不動のスペシャリテ。コーヒーのような香り独特の味わいは、唯一無二。
鰹の手捏ね鮨
鰹…鰹だよね?非常に鰹らしくない脂のあり、大きな賽の目に切られているので、モチモチ感も素晴らしい。
玉
まるで半熟カステラのような玉には、実は高級魚が使われてたりします。
筋子(追加)
珍しく追加させていただきました。目の前にあるのだから、コレを食べずに今季を終えたくありません。ルビーのように輝く筋子は見た目も味わいも妖艶で心奪います。
「すし 㐂邑」は、まだ進化するか?と底知れぬ美味を探求する深淵を垣間見たような感じでした。初手のスープが檜の器に変わり、既に完成形と思っていた蟹の塩辛がどうまん蟹になっていたり、そしてシャリの変化。今年の「すし 㐂邑」から目が離せません。
木村親方、お母様。今回もありがとうございました!また食べさせて下さい。35000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2019.11.
時間が作り出す旨味
それは熟成の魔法と労を惜しまない職人の魂
熟成鮨のパイオニアであり、今のなお更なる高みへと登り続けてらっしゃる鮨職人の木村 康司さんの鮨を食べに「すし 㐂邑」へ。私がよく行く日曜日の昼となると、飲食業界の方々が多くて、今回も客の半数が同業者という状況で、さすが食の社交場です。
本日の献立
蛤スープ
まず供されたのは、「すし 㐂邑」の白のスープ。今回は5キロの蛤を使っており、飲み終えた後の溜息まで美味しい。
桜海老の海老味噌
桜海老を炒ってから擦って、醤油・味噌などを入れて、何度も何度も裏越しで仕上げたもの。濃い目の味わいを想像していましたが、全くそんなことはなく、お酒などがなくても美味しくいただけます。
北寄貝のリゾット
北寄貝のヒモと貝柱を使ったリゾット。余計な物は加えていないそうで、北寄貝の旨味のみという味わい。実に優しく、じわりと旨味が溢れています。
牡蠣のみぞれ椀♡
お椀の中に入れられた牡蠣はぷっくりとしており、実に素晴らしい。しかしながら、この出汁がそれ以上に素晴らしい。この一杯に牡蠣がどれだけ使っているのだろう。
鯣烏賊の肝ルイベ
コレも先程の桜海老の海老味噌と同じように、素材の旨味のみを味わうようなもので、実に繊細な味わいで香りも楽しめます。
真鱈の白子のすり流し♡
低温で火入れしてから毛細血管まで確りと取り除いて、昆布出しで伸ばしたもの。上にはオーガニックのカンボジア産赤胡椒をかけて、味を引き締めています。冬の「すし 㐂邑」の定番の肴ですが、いつも以上に量が多くて最高です。決して叶わないですが、シャリを入れて食べてみたい。
渡蟹の塩辛♡
客の全員が沈黙する瞬間がやってきました。木村流渡蟹のケジャンです。ふわりとブランデーが香り、山椒のピリリとした刺激が後を引きます。お皿に残ったタレにお酒を入れて飲むと、これがまた美味しい。
海苔巻き♡
まずはシャリのテイスティングを兼ねた海苔巻き。今日も木村さん独特の固めのアルデンテシャリが美味しい。
縞鯵
熟成10日目の縞鯵。固めのシャリとねっとりとした縞鯵の食感のコントラストが映える官能的な味わい。
小鯛
熟成6日目の小鯛。肉厚でありながらも、解けるようにふっとなくなります。
金目鯛♡♡
口に入れた瞬間に感じると旨味、そしてその旨味がぐわんと加速するという2段階に襲ってくる旨味の暴力。
鰤♡
1カ月熟成させた鰤は、食べた瞬間に「何だ、コレ?」と思うくらいに味わったことのないくらいの口溶け。昔はエシャロットを入れていましたが、あっさりとやめてしまったらしい。
秋刀魚♡♡
熟成6日目の秋刀魚。今年は秋刀魚になかなか出逢えない中で、この「すし 㐂邑」で食べられるとは!口溶けは勿論のこと、1番感動したのは秋刀魚の香り。
皮剥♡
ガラスのような美しい身の下には、大きな肝を忍ばせています。この皮剥の肝が強烈な旨味を与えています。
鰹
口に入れると薫香が香り、旨味と薬味の風味が混ざり合う。そして、最後にもこの薫香がふわりと残ります。香りを味わう鰹です。
北寄貝
トロリととろけるワタがダイレクトに舌に当たると、広がるのは北寄貝の甘味。ザクザクとした極上の食感も心地よい。
筋子♡♡
きた!この時期のスペシャリテとも呼べるルビーのように煌めく筋子。舌に絡みつくような極濃厚な旨味の中で、固めのシャリも際立ちます。
鰯♡
金色に輝く鰯もまた「すし㐂邑」のスペシャリテ。決して高級魚ではない種ですが、熟成という魔法と美味しくしようという才能が生み出す至極の一貫となっています。
真梶木♡
コーヒーのような香りを放つ驚異の49日熟成の真梶木は、「すし 㐂邑」の最強のスペシャリテ。昔は鮨種の花形と呼ばれた真梶木は、今のなおこのお店で君臨しています。
蝦蛄♡♡
私が行く前日に行かれた方から「穴子が出たよ」と聞いていたので、期待していましたが出ず。しかしながら、この極太の蝦蛄は嬉しい。蝦蛄の頭で取った出汁で甘く炊かれており、実に素晴らしい味わいです。
玉♡
液体と固体のちょうど境い目のようなトロトロの玉。確か熟成させた高級魚を繋ぎに使っていたような…。
今回も官能的な美味の数々でした。特に肴は初めていただく品が多く、まだまだ通い詰めないと「すし 㐂邑」の真髄には辿り着けないことを実感しました。
肴では調味料を極力使わずに、握りでは煮切り醤油は極少量。熟成という時間の魔法にかけられた素材は旨味や香りを最大限に引き出されており、希薄になっている旬の美味しさがそこにあります。そして、その熟成の土台には職人の閃きの才能とそれを実現する技術、労を惜しまない手間がかけられています。何ものにも変えがたい唯一無二の一貫がここにはあります。
木村さん、お母様。今回もありがとうございました。また宜しくお願いします。34000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2019.8.
本当は自分の誕生月である9月に再訪予定だったのですが、その月は店主の木村 康司さんがスペインに行かれるそうで、あまり日本にいらっしゃらないと聞き、前倒しして8月にやってきた「すし 㐂邑」。ガラスケースには狙っていた種も確りとあり、心の中でガッツポーズをして供されるのを待ちわびます。
本日の献立
蛤スープ
今回のスターターは、7キロの蛤をグッと煮詰めた「すし㐂邑」の白のスープ。
蛤のオイル煮
低温で火入れしてから藁で薫香を付けて、米油に浸したもの。供された瞬間から藁の香りがぶわっとして、香りから美味しい。
海胆蕎麦♡
海胆を裏漉して、鰹と昆布の出汁と合わせたつゆでいただく蕎麦。最初は出汁の味わいがふわりとして、後味で海胆の甘味を感じられます。
鮑リゾット♡
鮑を蒸した際に出る出汁を溜めておいて、生米からリゾットにしたもの。味付けは発酵バターだけだそうで、鮑の旨味がギュッと凝縮していて美味しい。丼で食べれる。
マナガツオ♡
相変わらずフワフワとしたジューシーなマナガツオ。木村さんのマナガツオは、実に美味しい。
渡蟹の塩辛
ブランデーで漬け込んだ渡蟹は七味と山椒のパンチが効いて、身はねっとりと味噌はとろりとしていて美味しい。
ガリ
海苔巻き♡
まずは今日のシャリのテイスティングも兼ねた海苔巻き。今日も実に美味しい♡
墨烏賊
墨烏賊のサクサク感と独特の固めのシャリとのコントラストが素晴らしい。
小鯛
1週間熟成の小鯛。身の柔らかさもありますが、それよりも甘いような香りが凄い。
白川
2週間熟成。繊細な旨味が凝縮することで、明確な旨味に変わっています。
牡丹海老
1週間熟成させた後、3秒の火入れを施した牡丹海老。生のものよりも甘味が映えて、シャリともよく合います。
鯵♡
4日熟成。脂が凝縮した鯵は、口の中で一瞬留まるような感じで旨味が爆発します。
皮剥♡
4日熟成。肝も熟成させているので、ねっとりととろける味わいは極濃厚。ガラスのように透ける身も美しい。
筋子♡
旨味は凝縮しているにもかかわらず、後味はとてもさらりとして心地よく消える筋子。久しぶりにいただきましたが、やはり美味しい。
鰊♡
10日熟成。初の鰊は知っている暴れるような脂ではなく、一点を穿つような旨味。香りも食べ終えても残ります。
中トロ♡
4週間熟成。湯霜にしてから漬けにして、間にエシャロットを忍ばせて握っています。食べた瞬間にグッとくる旨味は、知っている中トロとは別次元。
鰯♡
仕立てが変わったのかな?今日のは金色に輝くのではなく、銀色に光る鰯。それでも鰯の旨味を感じた後、もう一段グッとくる様は変わりません。そして広がるのは、鰯の甘味。
北寄貝
ワタの甘味が際立つ北寄貝。固めのシャリとのコントラストも心地よい。
加治木♡
驚異の59日熟成は、「すし㐂邑」の真骨頂。とろけ方が尋常じゃなく、口からなくなるとコーヒーのような香りが残ります。
穴子♡
久しぶりに食べられた穴子。山椒塩のアクセントで、香り高くホクホクな食感。
鰹の手捏ね鮨
鰹を大きくぶつ切りにして、大葉・茗荷などの薬味と共にシャリと混ぜ合わせたもの。ここでも鰹のモチモチ感と固めのシャリとのコントラストが楽しめます。
玉
卵に混ぜられているのは、2週間熟成させた甘鯛という贅沢な玉。中心部はトロリとしていて、甘みも素晴らしい。きっとシャリにも合います。
密かに狙っていた『筋子』がちゃんと食べることが出来たので、私的には大満足。更にはレアな『鰊』や『穴子』も供されたことはラッキーでした。強いて言うならば、今年も『由良の赤海胆』は食べられなかったのが残念でしたが、夏の「すし 㐂邑」は堪能出来たかと思います。
木村さん、お母様ありがとうございました。スペイン、気をつけて行かれて下さい。また食べさせていただける日を楽しみにしています。27000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2019.6.
「あぁ…」
溜息がこぼれる。幸せの溜息が。
最近は海外イベントなどで月の半分くらいは日本にいらっしゃらないこともある木村 康司さんの「すし 㐂邑」。そろそろ食べたいという「木村ロス」が起こり始めそうな頃に行くことができました。
雷雨から一転して夏の日差しが眩しい中、「すし 㐂邑」の白い暖簾が揺れます。今回は久しぶりにケースの前に座らせていただいたので、供される種を観察。大抵は見れば分かるのですが、不明なものが2つほど。
「…鮪っぽいけど、まさかな…」
今回の献立
蛤スープ
5キロの蛤から作る「すし㐂邑」の白スープ。スターターから心と胃を掴まれる品です。
蛤のオイル漬け
茹でた蛤に藁の薫香をつけてから、米油につけたオイル漬け。口に入れると、薫香がふわりと香り、米油の甘味の後から噛み締める度に蛤の旨味が溢れてきます。
鯨♡
最高級部位の畝須の部位で、12時間糠で焚いてから12時間冷やしたもの。魚には決してない力強い旨味と甘味の素晴らしさを感じられます。
マナガツオ♡
4日ほど干した後に漬け込んでから焼いたマナガツオ。木村さんのマナガツオはいつもフワフワとした食感で、甘味と旨味が駆け抜けます。
海胆蕎麦♡
今年はカッペリーニではなくて、蕎麦。海胆の濃厚な甘味と香りが確りと感じられて、実に美味しい。
渡蟹の塩辛♡
塩漬けにした後、塩を抜いてから山椒などと共にブランデーで3〜4週間漬け込んだ塩辛。鮮烈な山椒の香りが特に印象的で、その美味しさでいつも店内が静まる逸品です。
ガリ
前回の訪問から3ヶ月しか経ってないのですが、ガリが変わってました。最近よく見られる角ガリ。まだ進化しちゃうの?木村さん。
海苔巻き♡
シャリのテイスティングを含めた海苔巻き。コレが素晴らしく美味しい。華やぐ海苔の香りの中で、固めに焚いたシャリの一粒一粒が海苔と混ざり合います。
白烏賊
4日熟成された木村さんの包丁技が見られる種。薄く削ぎ切りにした白烏賊を更に細かく切ってから纏めて握っています。ダイレクトに感じるその甘味と口溶けが素晴らしい。
小鯛
瑞々しい身には駆け抜けるような甘味があり、食べ終えても口の中にはその甘味が残ります。
鯵♡
6日熟成させた鯵。旬の魚なので、他店でもよく出される種ですが、明らかに違います。ガツンとくるのではなく、ゆっくりと甘味のある脂が溶け出して余韻が長く続くような味わい。
牡丹海老
初めて食べた牡丹海老。片側だけ湯霜にしているかのかな?一瞬留まってからとろける様は、知っているそれとは明らかに違います。
間八♡♡
驚異の2カ月熟成。純白のような真っ白な身は、とろけ方が尋常じゃない。固めのシャリとコントラストが最大限に活きていて、実に美味しい。
金目鯛♡
14日熟成させた金目鯛は甘味も素晴らしいですが、特筆すべきはその香り。凄い…。
皮剥♡
種とシャリの間に肝を入れて握っています。皮剥は肝が美味しいですが、木村さんが手掛けると更に雑味のない濃厚さが生まれ、唸る美味しさ。
蒸し鮑♡
最近は肴で供されるお店が殆どですが、木村さんは確りと握ります。鮑に対して平行に削ぎ切りする独特な切り方で、シャリを包むように握っています。鮑は香り。このことがよく分かる夏の握り。
中トロ♡
たまに出しているとは知っていましたが、ついに出逢えた中トロ。熟成期間は20日間だそうで、他店では決して味わえない衝撃の早い旨味。
鰯♡
黄金の鰯は、エロ前鮨の真骨頂。いつもながらに悶絶クラスの美味しさです。
真梶木♡
まるでコーヒーのような味わいと香りのするスペシャリテといっても過言ではない木村さんの真梶木。今もなお、主役の鮨の花形です。
赤海胆♡♡
今回は、佐賀県産のもの。元々、赤海胆は濃厚な味わいですが、木村さんのはその更に上をいきます。雑味や苦味などもなく、ギュッ濃縮した旨味は素晴らしい。
玉
半熟カステラのような玉で、旨味も甘味も濃厚。
今回は長期熟成された種が多く、圧倒するような旨味・甘味・香り・口溶けを存分に堪能することができました。そしてやっと出逢えた中トロや夏の種である鮑や海胆、今日来れたことに感謝しかないです。やはり肴から握りまで、実に個性的且つ独創的なものであり、何よりもとても美味しく私好み。
再訪を考えていた9月はまた木村さんが海外イベントでいらっしゃらないそうなので、8月にまた伺わせていただきたいです。その際はまた宜しくお願いします。27000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2019.3.
予約困難店でありながらも、友達は毎月通っている二子玉川にある「すし㐂邑」。私も先月に行ったばかりですが、最近は店主の木村 康司さんがイベントでいなくなることも多いので、お店にいらっしゃるうちに行っておこうと思って、初の2カ月連続の訪問です。
今や私にとって、この「すし㐂邑」は食と人との社交場になっています。ネットやお店で知り合う方の殆どがこのお店の常連さんで、今回も偶然に素晴らしい方との出逢いがありました。
また同じ時間を過ごす方々も色々なお店に行かれているので、歯に衣着せぬ物言う木村さんとの忌憚なき意見の交換が出来るのも非常に有り難いです。
本日の献立
サメガレイの酒蒸し
聞いたことのない名前の鰈。木村さんも知らなかったそうで、仕入れ業者から頼まれて、仕方なく賄い用に仕入れたみたい。でも皮を剥いでみると脂が素晴らしかったそうで、こうして私たちの前に。
身もさることながら、このエンガワ部分がトロンとして美味しい。イメージ的にはナメタガレイに近いかな?
牡蠣蕎麦
また出逢えた牡蠣蕎麦。存在感のある大ぶりな牡蠣の旨味がたまらない。「そば㐂邑」で営業してもいいくらいのクオリティ。
真鱈の白子リゾット
白子の無垢な甘さを締めているのが、カンボジア産の黒胡椒。木村さんの超アルデンテなシャリがここでも映えます。
渡蟹のケジャン
皆が静まる時間がやってきました。ブランデー香る木村流のケジャン。ご飯と食べても、きっと美味しい!でもそれは叶わない夢。
虎河豚のお椀
今期最後?3匹の虎河豚のエキスを全て絞り出したお椀。このとろみでさえも、虎河豚の皮にあるゼラチン質が溶け出したものだそう。前月もいただきましたが、美味しいものはいつでも食べたい!
握りへ
海苔巻き
まず供されるのが、シャリのテイスティングの海苔巻き。海苔の香りやシャリの食感を楽しめる素晴らしい鮨となっています。
桜鱒
2週間の熟成をかけた桜鱒。最初から凄い!普通だったら、桜鱒の味わいが来て終わるところから更に味わいが加速します。いつもながらに奥行きが凄い。
細魚
薬味の味わいが先行することなく、口の中で広がるモチモチとした細魚という魚の存在感。細魚が美味しい!
金目鯛
2週間の熟成をかけた金目鯛も次元の違う味わい。脂と甘味だけでなく、旨味が二段構えになって押し寄せます。限界突破とはこのことを言うのかと実感できる種。
皮剥
皮剥の醍醐味は、肝。この肝も熟成させる為に毛細血管などを取り除くらしい。何という仕事。魚も輝くわけです。
鯵
口に入れた時の存在感も凄いですが、それ以上に旨味と脂の凝縮が凄い。
北寄貝
ワタの部分が舌に当たるように握っているので、ファーストインパクトでガツンときます。しかしながら、それ以上に北寄貝の肉厚さに驚きます。
縞海老
女性の脚のようなエロ前鮨の1つである縞海老。今回は時化で2本使えないということで1本でしたが、とろける種と固めのシャリのコントラストが1番良く分かるかも。
鰤
脅威の熟成1カ月の鰤に合わせている薬味は、なんとエシャロット。洋食だとよく合わせていますが、鮨に入れているのはココだけですね。良いものは吸収して、自分のものにしている木村さんの飽くなき探究心が完成させた一貫ですね。
鰯
木村さんのスペシャリテの一つで、エロ前鮨の真骨頂、金色に輝く鰯。脂を楽しむのではなく、凝縮した旨味を楽しむ種。
加治木
鮪がシビと呼ばれて厭悪されていた頃、この加治木が鮨種の花形でした。今では握るお店も少なくなっていますが、ここ「すし㐂邑」では不動の地位を確立しています。40日を超える熟成がもたらすのは、妖艶で官能的な味わい。唯一無二の一貫です。
鰹の手捏ね鮨
旨味が凝縮している鰹のモチモチ感と超アルデンテのシャリの食感のコントラスト、茗荷と浅葱の爽やかな刺激で箸が止りません。
玉
小さいながらも、ギュッとした甘さがある玉。
2カ月連続ということで同じような内容でしたが、やはり美味しいものは何度食べても美味しい。特に今回は行ってみたいと思っていた色々なお店の情報交換が出来たので、収穫のある楽しいひと時でした。
木村さん、お母様ありがとうございました。次回は、夏にまた伺います。29000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2019.2.
2019年度の食べ歩き初めは、正月限定で「キムバル」として営業していた二子玉川にある熟成鮨のパイオニアであり、今の味に満足することなく更なる進化を模索している木村 康司さんの「すし 㐂邑」。鮨初めも是非このお店にしようかと思っていたのですが…なかなか予約とタイミングが合わずに2月になってしまいました。
藍色の暖簾が風でなびく中、入店です。ネット予約も始まった為か、客席の半分くらいはご新規という新鮮な客層。木村さんの鮨の味わいが多くの人に伝わることは、とても良いことだと思います。
本日の献立
牡蠣蕎麦
近年はこうして蕎麦を供することが多くなりました。上に盛られた火を通しても、ぷっくりとした大きさの牡蠣は、旨味も確りと残っていて美味しい。
子持ち槍烏賊
プリッと弾けるような身の食感とムチムチとした卵の食感が同時に味わえる旬の味わい。
海鼠子の塩辛
正月の「キムバル」でもいただいたお酒がすすむヤバい肴。ご飯にもきっと合いそう。
真鱈の白子リゾット♡♡
「すし 㐂邑」冬の名物の一つである白子リゾット。昔、某グルメ雑誌に完全なレシピが紹介されていましたが、「素人の誰が作るのよ?こんな作業の料理」と思ったほどに、かなり手間暇がかけられた逸品です。
渡蟹の塩辛♡
ブランデー香る木村流ケジャン。どんなに賑やかな客層でも、コレを食べている間は実に静かになります。
虎河豚のお椀♡
8時間かけて虎河豚3匹分の旨味を全て、このお椀に詰め込んだ逸品。少しとろりとしているのも虎河豚から出たコラーゲンで、味付けは僅かに薄口醤油数滴のみという。実に素晴らしい。
ガリ
詳しくは聞きませんでしたが、鮨の置き皿が変わりましたね。もう手に入らなくなるから買ったそうですが。
シャリの海苔巻き♡
まずはシャリの紹介として供される手巻き。極上の海苔の香りが華やぎ、口に入れればスッと溶けてシャリと混ざり合います。
鰆♡
14日間の熟成。元々、ほわんっとした甘さのある魚ですが、木村さんの手にかかるとその甘さが突き抜ける感じ。ねっとりとした身に、少し硬めのシャリが絶妙なコントラストです。
甘鯛
これも14日熟成。咀嚼していると、徐々に甘さが引き出されていきますが、一噛み目からもう甘さが広がります。
北寄貝♡
ワタの部分を舌に当たるようにして、握っています。このワタが実に甘みがあって、美味しい。身の部分も分厚くて、極上の食感か楽しめます。
皮剥♡
シャリと種の間に、身と同様に4日間の熟成をさせた肝を挟んで握られます。ガラスのような美味しい身に濃厚な肝の味わい、血生臭さなどは微塵もありません。
縞海老♡
女性が足を揃えているかのような艶っぽい縞海老。木村さんの鮨が江戸前ではなく、エロ前と称される種の一つ。舌に絡みつくような極上のねっとり感、素晴らしい。
鯵♡
かなり大きな鯵だったので、縞鯵かと思ったら、特大の鯵。鯵は比較的にさらりとした脂を想像しますが、甘くて余韻の長い別格の脂の味わいです。
鰤♡
シャリと種の間に刻んだエシャロットを忍ばせる、通称・エシャロット鰤。薫香のある鰤に爽やかな辛味と香りのエシャロットが、口の中で華やぎます。
鰯♡♡
赤酢で締めた金色に輝く身に包丁を入れることで、現れる真っ赤な身。エロ前鮨の本領発揮の種です。口の中で蘇るような極上の脂は、鮪をも凌駕します。熟成は脇役と思われがちな魚を主役にさせる魔法のよう。鰯はそのことがよく感じられる種だと思います。
加治木♡
「すし㐂邑」のスペシャリテと言っても過言ではない種。熟成期間は、驚愕の一ヶ月超え。何処と無くコーヒーのような香りもする「すし㐂邑」での花形的存在です。
鰹の手こね鮨
脱水してモチモチ感を増した鰹をたっぷりと使い、薬味で香り高い硬めのシャリとの相性は素晴らしい。
海松貝(追加)♡
今夜は食べていない種で『海松貝』がまだあるとのことで、追加。木村さんの貝類はどれも素晴らしく、極上の食感と貝の甘みが楽しめて大好きです。貝好きならば、必食です。
玉
さりげなく、極上の素材を繋ぎに使っている玉。半熟カステラのような感じです。
「ホントに鮨店なの?」と思わせる肴から始まり、熟成することで奥行きの増した魚の味わいを確りと感じさせる種を極少量の煮切りで味わう鮨は、実に素晴らしい。いつ行ってもハズレなどは一つもない極上の肴と鮨に出逢えるお店です。今年は何回行けるかな?とりあえずは、夏には絶対にまた伺います。
木村さん、お母様ありがとうございました。また宜しくお願いします。29000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2018.9.
今年中に今流行りのネット予約システム「OMAKASE」に半分の席を提供する二子玉川の「すし 㐂邑」へ再訪。店主の木村康司さんの作り出す鮨は、熟成。〆たり、漬け込んだりする江戸前鮨を現代の技術で超進化させたもので、魚によっては約2カ月という長期の熟成をかけるものもあります。
本日の献立
蛤スープ
「すし 㐂邑」の白いスープ。蛤のみで作られるスープは、ほっとさせると同時にここへやってきたという気分になります。
鹿児島県阿久根産 赤海胆蕎麦 ♡
赤海胆の濃厚な旨味と甘味を蕎麦に絡めて食べるという贅沢な品。どこの蕎麦店でも、こんな蕎麦はまずないと思います。
真鱈の白子リゾット ♡
上からはカンボジア産の胡椒をかけられたリゾット。白子の無垢な味わいと仄かな甘味が素晴らしい。やはりここのつまみは、どストライクなものが多い。
メヒカリ
箸を入れた瞬間に分かる、このフワフワ感。味わいもメヒカリの味を活かすような感じで、実に美味しい。
渡蟹の塩辛 ♡
ブランデー香る木村さん流のケジャン。店内が一気に静かになる名物と言える料理です。
握りへ
ガリを切り分けて、まず最初に供されるのはシャリのみの海苔巻き。これがすごく美味しい。少し芯のある固めの個性的なシャリと香りや口溶けの良い海苔のマリアージュが素晴らしい。
墨烏賊
凄い肉厚なれど、サクサクとした食感はこの烏賊の醍醐味です。
鰆 ♡
口に入れた途端にとろける鰆。煮切りは極少量なので、鰆の持つふんわりとした甘味を確りと感じられます。
縞鯵 ♡
全体にまわった妖艶な脂と香りが、知ってる縞鯵と次元の違う味わい。見た目もエロいw
北寄貝
甘味が凄い。そして、食べ終えた後の香りが華やぎます。
皮剥 ♡
クリームチーズのようなねっとり感のある肝を味わう1貫。身はレースのドレスのような美しさがあります。
鰤 ♡
シャリとの間にエシャロットを入れることで、その香りと味わいで他店とは一線を画します。
秋刀魚 ♡
滴り落ちるような脂はなく、もっと純度の高い脂がある秋刀魚。鮨種としては、ベストな感じだと思います。
鰹
薫香だけでなく、鰹節のような風味もあり、モチモチ感を超えた先にあるしっとりした鰹。
筋子 ♡
芯のあるシャリとトロトロな筋子のコントラストが口の中で絶妙にマッチする一貫。今の時期、いくらを供するお店が多いですが、この筋子を超えるものは出逢えてないです。
鰯 ♡
赤酢で〆ることで、金色に輝く鰯に。また皮も残しているので、美しい鰯の模様から赤い身が映えることでエロさ全開の1貫となっています。
真梶木 ♡
脅威の55日熟成。コーヒーのような独特の風味がする種で、口の中を支配するようなねっとり感は素晴らしい。かつては鮨種の花形と言われた魚ですが、この「すし 㐂邑」では今でも花形です。
玉
しれっと高級な魚を使っている玉。半熟カステラのような感じです。
今回もつまみ・握り共に素晴らしいの一言。熟成した魚は、本来持つ旨味や香りが格段に跳ね上がって、他店では味わえないような妖艶さを醸し出して、まるで魔法をかけられたように別物となります。この熟成という魔法は食べた人の心をも掴む魔法のようで、その場にいる全ての人を魅了してやみません。そして、つまみは完全に鮨店ではなく、日によってはバケットやパスタなども供されることもあり、全てにおいてオリジナリティを感じさせる大好きな鮨店です。
木村親方、お母様ありがとうございます。また宜しくお願いします。26000
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2018.7.
4月の訪問時から、初夏に来ようと思っていた二子玉川にある「すし 㐂邑」に再訪。学者肌の親方・木村康司さんの熟成という魔法をかけられた旬の魚は、他店と一線を画す味わいがあります。風に揺れる白い暖簾を潜り、今夜も約束された絶品の鮨をいただきましょう。
本日の献立
蛤のスープ
「すし 㐂邑」の白のスープ。何も加えていない蛤100%スープは、一口毎に身体へと染み渡るよう。
鮑のリゾット ♡
口に近づけると鮑の香りが華やぎ、芯を一本残したかのようなシャリを濃厚な肝ソースが包み込みます。美味しい♡
海胆のカッペリーニ ♡♡
某イタリアンシェフ監修で完成したという「すし 㐂邑」この夏の新作。確認しておきますが、ここは鮨店です。四万十川の青海苔と海胆で作ったカッペリーニは舌に絡みつく濃厚さがありながらも、後味はすっきりとした感じ。
焼き穴子
旬の穴子は焼き物に。腹と尻尾の部位を食べ比べ。噛み締める度に溢れる脂は、やはり旬の力強さを感じます。
鮨店のスープ・ド・ポワソン ♡
残った内臓や骨などを使った「すし 㐂邑」の赤のスープ。傾けてもなかなか落ちてこないようなとろみは、前日のシャリだと言う。しかも、バケットまで出されます。ますます鮨店とはかけ離れていくw
渡り蟹の塩辛 ♡
日本では蟹を生で食べることが少ないという発想で生まれたブランデー香る「すし㐂邑」流のケジャン。誰もが黙って蟹にしゃぶりつくので、店内は静かです。
ガリ
白烏賊
細かく切られているので、口に入れると甘さが広がって溶けていきます。
甘鯛
僅かに残る歯応えと驚くほどの甘みが最初に伝わります。これが甘鯛と言える所以なのかな。
鶏魚 ♡
これは最初に芳醇な香りが鼻を抜けて、甘みが広がっていきます。
黒鯥 ♡
鶏魚よりも後味として濃厚な甘さが名残惜しむように伝わります。
金目鯛 ♡
ダイレクトに伝わる濃厚な脂のアタック、そして最後にふわりと香りが残ります。
〆鯖 ♡♡
今まで食べてきた〆鯖とは、異次元のもの。生の脂よりも濃厚であることは勿論ですが、洗練されて研ぎ澄まされているかのよう。
間八 ♡♡
ねっとりと舌に絡みつくような身が、芯を残したシャリと絶妙なマリアージュを奏でます。
鰹
口に入れた瞬間に薫香が広がり、エシャロットの薬味が食感と風味を与えています。
鮑 ♡
鮑というと味は勿論ですが、プリプリとした柔らかさを楽しむことが多い中で、これは断然に香り。シャリを包むように握られていて、ぶわりと香りが広がります。
鰯 ♡♡
皮目は金色に輝き、包丁の切れ目からは真紅の身が現れていて、何てエロい鮨なんでしょうw他店よりも一段上の凝縮された脂は、素晴らしい。
真旗木 ♡
木村さんの熟成の真骨頂であり、スペシャリテでもある真旗木。熟成期間は驚異の1カ月以上で、コーヒーのような風味もあります。真旗木は、鮪を食べなかった時代では鮨の花形だったらしい。ここ「すし 㐂邑」では今もなお、鮨の花形です。
穴子 ♡
甘く焚くのではなく、焼かれた穴子。これも香りが凄い。舌にまとわりつくような穴子は何度も食べたことがありますが、香りを楽しめる穴子は初めてかも。
玉
実はかなり高級な白身を練りこんでいる玉。確りとした甘さがあります。
つまみは鮨店なのか?と疑問が残るほどですが、実に面白く何より美味しい。特に今回は新作という『海胆のカッペリーニ』の完成度が高すぎて驚きました。濃厚なだけだと食べ飽きますが、これならばいくらでも食べれます。
最初に出される食べ比べとも言える白身の握りは、非常に面白い。熟成期間にもよるのでしょうが、香りや甘さの感じるタイミングやその深さがそれぞれ違っていて、旬の魚の魅力を感じました。残念だったのは、貝や小魚が少なかったことかな。由良産の赤海胆もちょっと期待していたので、夏の間にもう一度来たい。
木村親方、お母様ありがとうございました。また宜しくお願いします。
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2018.4.
最後に訪れてから季節は巡り、はやいもので1年が過ぎました。二子玉川にある熟成鮨のパイオニアである木村康司さんのお店「すし㐂邑」。ずっと完全に予約は受動的だったのですが、そろそろ食べたいなと思って、積極的に動いてみました。結果、1週間も経たないうちに再訪が決まってしまいました。
本日の献立
蛤スープ
まず供されたのは「すし㐂邑」の白のスープ。蛤から出る出汁のみですが、いつもながらに美味しい。大きなお椀で飲みたい味わい。
牡蠣バター
「すし㐂邑」らしい小さな小皿で出される料理。牡蠣の旨味とバターのコクが一体となった素晴らしいアテです。売っていたならば、間違えなく買う!
海胆蕎麦
初の海胆蕎麦。口当たりは確りと蕎麦、後味は濃厚な海胆の味。鮨店で全員が蕎麦を啜る音が響く…なかなかシュール。
貝と山菜のぬた ♡
貝は青柳・平貝・海松貝、山菜はウド・菜の花。春を感じる一皿で、それぞれの貝の香りや甘みと山菜の食感が楽しめます。
マナガツオの焼物 ♡
箸を入れるだけで、分かる。このフワフワ感。マナガツオって、こんなにジューシーでフワフワした食感だったけ?と思うほど。大根おろしも食感が異なる2種かけられていて、面白い。
虎河豚のお椀 ♡
出汁だけの為に虎河豚を使い、沸騰させずに8時間。その後、薄口醤油を一滴。特大の白子はそのままだったり、出汁に溶かしてもいい。兎に角、この出汁が美味しい。
ガリ
海苔巻き
まずはシャリの味を確かめるかのように、海苔巻きを供されます。これが実に美味しい。
鶏魚
ふわりと香る甘い鶏魚の香り。口の中で広がる豊潤な甘さが熟成の魔法。
桜鱒
20日熟成の桜鱒。身はとろけて、固めのシャリと混ざり合う素晴らしいマリアージュ。
甘鯛
味わいがとても濃い。繊細な甘さがある甘鯛ですが、これは甘鯛が甘鯛たる味わい。
鳥貝
今年初の鳥貝。肉厚で、特にワタが甘くて美味しい。
縞海老
エロティックな縞海老。どこかコーヒーのような深みがあり、固めのシャリと絶妙に合います。
鯵 ♡
銀色の中なら現れるピンク色の身。なんとも妖艶な見た目。そして、味わいもまた妖艶。
皮剥
大きな肝を挟んで握られる皮剥。肝の濃厚さが際立ち、身の甘さも感じられます。
鰤 ♡
中に忍ばせたエシャロットが絶妙な辛味と風味が、この鰤を輝かせます。
海胆 ♡
天草の漁師さん直送のもの。木箱に入っている綺麗な感じではありませんが、こんなトロトロで香り高い海胆は食べたことがない。
メジマグロ ♡
これはヤバい!口に入れると、ふわりと薫香が広がり、尋常ではないとろけ方がシャリと絡みます。とろけ方は、極上の鮪よりも上かも。
鰯
金色を帯びた身、光り物はなんてエロティックなのだろう。口当たりは酢の味わい、そして鰯の脂が広がっていきます。
真旗魚 ♡
脅威の55日熟成。「すし㐂邑」のスペシャリテとも言えるこの種。ねっとりとする身は、どこかコーヒーのような香りがあり、舌に絡みつきます。
鰹の手捏ね寿司
鰹は味わいと風味が違う2種の部位を使い、シャリには茗荷・紫蘇・胡麻などで香り高く、より一層シャリのパラパラとした食感が分かります。
玉
ほんのりと甘く、静かに今日の幕が閉じてゆく感じです。
久々の「すし㐂邑」。つまみは変化球に富み、握りは旬を大切にしながらも唯一無二の味わいの種が並びます。どの種も香りととろけ方が異常とも言えるほどで、そこに固めのシャリが混ざり合う味わいは、外れがなくどれも唸ります。特に真旗魚などの長期熟成にも耐えうる大きな魚の味わいは、他店では絶対に味わえないもので、美味しいを通り越して「凄い」という言葉がしっくりとくると思います。特に今回は『鰤』『海胆』『メジマグロ』が凄かった!出逢えたならば、ラッキーと思った方がいいかも。先週までは『鰊』があったそうで、食べられなかったのが惜しまれる。
次回は真夏くらいに、熟成という魔法にかけられた鮨を味わいに再訪したいです。
今回もご馳走さまでした。
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2017.3.
急なお誘いを泣く泣くお断りすること2回。そろそろか?そろそろか?とソワソワしながら待つこと数ヶ月。「すし 㐂邑」から初春の嬉しいお電話をいただき、スキップしながらやってきました。
熟成鮨の先駆者でありながらも、他の追従を許さないその熟成の仕方は、まさに変態(笑)行ってみたいと思われている同業者の方も多いそうで、他店で行ってるというと驚かれることもチラホラ。そんなお店から季節毎にお誘いしていただけることは、幸せです。
本日の献立
蛤のスープ
ただ優しい味わい。「すし 㐂邑」の白のスープ。
鮟肝バター♡
鮟肝を蒸して、藁で薫香をつけて、裏漉しして、発酵バターを加えたもの。このバター、常備しておきたいっ!
子持ち槍烏賊
身は柔らかく、子はモチモチプリプリしていて、美味しい。
このこ蕎麦♡
海鼠の卵巣を干したこのこを、なんと蕎麦と和えたもの。少量ですが、最高に美味しい。
太刀魚の焼物
鮨店でよく出される焼物ですが、大根おろしが違います。上にはしっかりとおろした大根ですが、下に細かく刻んだものが忍ばせており、食感も楽しめます。
牡蠣飯♡♡
松島から直送の牡蠣は、ただ蒸しただけ。牡蠣90個を叩いて、スープを作り、濾したもので炊いたご飯を添えて。香りも素晴らしく、味は絶品と言う以外にありません。
虎河豚スープ♡♡♡
虎河豚3匹の身と骨を叩いて、スープにして濾した後に、皮を加えるととろみがつくらしい。そこに焼いた白子を加えたもの。味付けは、塩のみ。まさに虎河豚を食べてる感じになるスープ。
ここから握り
海苔巻き
まずは極上の海苔と固めのシャリとのハーモニーを味わいます。海苔巻きで、歓声が上がるのは、ここだけでしょうね。
白烏賊♡
木村親方の白烏賊を削ぎ切りにする技術を見た後に握られます。削ぎ切りにすることで生まれる食感、でも一番の意図は烏賊の甘さを引き出すこと。口に入れると、瞬間にとろけるというかなくなる(笑)そして、極上の甘さが広がります。
鰆♡♡♡
砂ずりの部分は種とシャリの間に入れて、握られます。ここまでとろける鰆があるのだろうか、ここ「すし 㐂邑」にはあります。
小鯛
春子ではなく、小鯛。というものは、熟成させて身を削るので春子だと身がなくなってしまうだからだそう。昆布〆ですが、ほんのりと脱水程度。
鳥貝
仕入れて直ぐに使うことはないという貝は、独特の臭みを取り、本来の良さを残しています。
鯵♡♡
凄い大きさ。口に入れると、熟成4日目の鯵が溢れます。ジワリと旨さが押し寄せ、一気に畳み掛けられます。
金目鯛♡♡
後味の余韻が長く、脂は唇に張り付くよう。噛みしめる度に広がる甘さも秀逸。
北寄貝
かなりの肉厚。噛みしめると、北寄貝の甘さが広がります。剥きたてでは味わえない甘さです。
鰹の手捏ね鮨
ここまで味が濃縮した鰹は、他店では味わえない。
皮剥♡♡
身だけでなく、肝も熟成させているという皮剥。旬は夏と思われがちですが、産地を変えれば長い期間扱えるそうです。現地まで行って、そこの漁師さんとのコミュニケーションがなせる技ですね。
メジマグロ♡♡
塩で脱水して、塩抜き後に削って藁で薫香を付けてます。その薫香も素晴らしく、味が濃縮して美味しい。
海松貝♡
凄い肉厚。海松貝は貝自体は大きいですが、使えるとこはほんのちょっとなので、ここまでのは中々出逢えないかも。
加治木♡♡
独特のコーヒーのような香りのする加治木。ねっとりと口の中で暴れ、溶けていきます。二カ月弱の熟成は、驚異的。9キロ近くのものを1キロくらいまで削るという、まさに変態の鮨です(笑)
海胆♡
珍しい「すし 㐂邑」での握りの海胆。固めのシャリに絡む海胆の濃厚な甘さがいい。そのまま仕入れて、殻剥きした後に和紙で包み、塩で脱水したものを握っています。
親魚(ふるせ)
私の前にあったので、気になって「アレ、何?」と聞いたら出してくれました。小女子の親だそう。酢、生姜、醤油などで8時間ゆっくりと炊いたもの。柔らかく、お酒のアテにぴったり。
親方とお母様、今回もお誘いをありがとうございます。久しぶりにいただきましたが、魚はその脂を身全体に染み込ませるような熟成と貝は臭みを取り、本来の良さだけを残すようにする親方の技術には脱帽です。鮪を使わない理由は、「自分で見て触って選べないし、鮪を褒められても自分が褒められてる訳ではないので、嫌だ」とユーモアたっぷりの親方らしい返答でした。
次回はいつなのか分かりませんが、出来れば夏の『由良産 赤海胆』をまた食べたいです。
今回もご馳走様ー!
見らく少なく 恋ふらくの多き ~すし 㐂邑~
2016.8.
土曜日の22時。突然、鳴る電話。着信画面を見ると、「すし 㐂邑」。やっと食べられると思い、電話に出ると
「nao.さん?明日の夜、如何ですか?」
「え?あ、明日ですか?」
さすがにちょっと用事もあり、一旦は泣く泣くお断りをしたのですが、2分後もう一度電話。
「やっぱり行きます!」
という具合で、諦めかけていた夏の「すし 㐂邑」を味わいにやってきました。実は夜は初になります。といっても、前回からメニューを一新されて、摘みと握りの夜の献立だけになったので、昼でも夜でも私としてはどちらでもいいわけです。
白い暖簾をくぐり、親方とお母様に今夜のお礼を言って、スタートです。
実食
蛤のスープ
最初に供される「すし 㐂邑」の白のスープ。味付けはおそらくなし、濃厚でありながら優しい味わい。
蛤のオイル漬け
蛤を藁で炙って、米油でオイル漬けにしたもの。薫香と噛み締める度に、蛤の旨味が半端ない。
ミンククジラ ケジャン乗せ ♡♡
なんだろう?このプルプルな身質、そして濃厚であっさりとした脂。ケジャンの辛さが素晴らしいアクセント。ここが鮨店であることを忘れます。
渡り蟹と猿海老のペースト ♡
味付けは塩のみ。渡り蟹と猿海老を蒸して、殻ごとすり潰して裏ごししたもの。渡り蟹と海老の風味が凝縮されていて、食べた瞬間に鼻に抜けます。パンにつけたら、サイコー。
真名鰹の焼物 ♡
ここまでジューシーな真名鰹は、あまりお目にかかれない。ご飯を、ご飯を下さい!
鮑のリゾット ♡♡♡
悶絶クラスの美味しさ。鮑の全てがこの小さな器に凝縮されていて、身もたっぷり入っています。これだけでも、ここに来る理由があります。
鮨店のスープ・ド・ポワソン
「すし 㐂邑」の赤のスープ。残った魚を全て、骨や鱗までも使ったスープ。濃厚なとろみは、酢飯。味付けもこの酢飯だけだそうで、残り物とは思えないほどの美味さです。
ここまでは日本酒をいただきました。お任せで、『会津中将』→『悦凱陣』という流れ。さて、第2幕の握りスタート。
海苔巻き
真鯛
白川
春子
秋刀魚 ♡♡
6日の熟成だそうで、脂と旨味が段違いです。
北寄貝
金目鯛 ♡
筋子 ♡♡♡
熟成の筋子。見た目は煌めく、宝石のよう。クセや生臭などは微塵もなくて、美味さだけが凝縮した感じ。「すし 㐂邑」でしか食べれないスペシャリテと言っても過言ではないと思います。
鮑 ♡
赤海胆 淡路島由良産 ♡♡♡
今年も出逢えた幻といってもいい淡路島由良産の赤海胆の大粒。この時期には毎年入荷するそうで、由良の漁師さんとの強い繋がりを感じました。
鰤 ♡♡
クセのある鰤が濃厚な脂だけを残して、熟成したもの。今が走りだそうで、年内には終わってしまう種。
鰯 ♡♡
今は何処の鮨店でも食べられるであろう鰯。6日の熟成と6時間の酢締めによって、他店では味わえないほどの鰯になっています。
梶木
穴子
玉
追加は基本的に食べていない種なのですが、今夜あったのは『縞鰺』と『ほうぼう』。でも親方はどちらのオススメしてないようなので、今年最後であろう『赤海胆 淡路島由良産』をおかわり。色々な産地の海胆は食べていますが、私的にはこの海胆が好き。濃厚さの中に、柑橘系の果物のような爽やかさがあります。親方が個人的に由良の漁師さんと取引しているそうなので、夏にここへ来ることが出来たら食べられるわけですね。
今夜も最高でした。親方とお母様、ありがとうございます。また、お電話をお待ちしています♡
2016.5.
来店時に次回の予約をしていたのですか、予約システムが変わり、次回の予約日が分からないまま過ぎること3か月。初夏の「すし 㐂邑」を楽しめる日がやってきました。
いつもは『握りコース』というランチのみで提供しているのを食べていたのですが、昼も夜と同じ『おまかせコース』のみを提供するようになったそうで、今回が初になります。
本日の献立
『蛤の出汁』
本当にそのまま。ただ濃厚という点を除いては。
『河豚の白子』 ♡
口当たりは濃厚、でも後味はどこか爽やか。ちょっと温いので、甘さも余計に感じます。
『真魚鰹』 ♡
幽庵焼きや西京焼きなどは食べ慣れてますが、味付けは極々薄味のもの。脂ものっていて、ジューシー。
『鮑のリゾット』 ♡♡♡
コレがずっと食べたかった!生臭さなど微塵もなく、濃厚な肝ソースと柔らかな鮑の身、固めに炊かれたシャリとが絶妙。
『鮨店のスープ・ド・ポアソン』 ♡
残ったアラ・頭・内臓・鱗も一緒にスープしたもの。すごくトロリとしているのだけど、これは残ったシャリを入れているからだそう。美味しいしか言葉がない。
『渡り蟹の塩辛』
なんと、ブランデーが隠し味。お酒が進んでしまいますねー。「すし 㐂邑」流のケジャンです。
握りスタート
『白烏賊 5日』
薄く薄く切り、さらにそれを素麺のように切り、纏めて握っています。口に入れた瞬間になくなるっ!そして、口には甘さだけが広がっていきます。
『真子鰈 7日』
まだ食感は残っていて、甘さに深みがあります。真子鰈は他店でもこれからよく食べますが、この深みは味わえません。
『鶏魚 14日弱』
魚はこんなにも甘いものなのか?そんなことを感じながら、味わいます。
『縞鰺 7日以上』
身は柔らかで、甘さも秀逸。脂は強いわけでもなく、程よい。美味しい。
『小鯛 昆布〆』
皮まで凄く柔らかい。昆布〆ですが、ほんのりと纏っている程度で、小鯛自身の味をちゃんと味わえます。
『金目鯛 21日』 ♡
甘さは秀逸。脂も口の中で、どんどん溶けていく感じです。美味しい。
『鰺 4日』 ♡♡
かなり身は厚く、なんとも食べ応えがあります。小さな魚は熟成した後に身を削れないので、熟成期間は短いそう。さすがに旬のものは、美味しい。
『海胆 食べ比べ』 ♡♡♡
時計周りで、『長崎 平戸産』『長崎 壱岐対馬産』『長崎 五島列島産』『福井 小浜産』『青森 陸奥産』。
産地によって、これほどに味わいが違うのかを再確認できます。濃厚であったり、後味に磯の香りがあったり、爽やかであったりとしますが、やはり餌の昆布の味わいはちゃんとするのですね。個人的には爽やかな甘さがした『長崎 平戸産』のが好きかな。夏の「すし 㐂邑」は、『海胆』も食べ比べできる時があり、楽しいです。
『鮑』 ♡
山葵も煮切りもつけない「すし 㐂邑」流の鮑。シャリを覆うように大きく切りつけているので、薄くても十分な味わいがあります。
『真旗魚 30日』 ♡♡
かなりねっとりとした口当たりで、口の温度で目覚める脂。どこかコーヒーみたいな味わいがする不思議な感じ。
『鰹の手こね寿司』
10日ほど寝かせているという鰹はモチモチとしていて、食感も楽しい。鮨として握るよりも、この方が鰹がちゃんと味わえるのだそう。
『玉』
海老などを入れている鮨店は多いですが、「すし 㐂邑」ではなんと白身(甘鯛)を使っているそうです。小さいながらも、甘さが濃い。
『鰺 〆』
「食べてないの、食べる?」と親方に聞かれて、追加。珍しい〆た鰺。かなり寝かせてる感じですが、身は柔らかで美味しい。
久しぶりの「すし 㐂邑」は、やはり美味しい。このお店のコンセプトが「熟成」ということで、旬のものもちゃんと熟成されています。「旬なのだから、生でいいのでは?」と思うかもしれないですが、それでは仕事を施す他店と何ら変わらないし、「すし 㐂邑」らしくない。甘味や旨味が増す熟成ですが、主に白身がメインなのでどうしても同じような味わいになるかもしれないです。しかし、他店でこの白身の味には、まず出会えない唯一無二の味。木村親方が目指す「干物のような鮨」がここにあります。
2016.2.
「見らく少なく 恋ふらくの多き」
まさにこの心情を私にくれるお店が二子玉川にある「鮨 㐂邑」です。今回は、去年の11月の訪問から3カ月という期間を空けての再訪となりました。今回で4回目ということもあって、既に名前やあまりお酒を飲まないことも覚えて頂き、更に席まで決まってきました。実に有難いことです。
今回も『握りコース』で、楽しむことにしましょう。
今回の献立
海苔巻き
握りのスタートは、まずここから。パリッとした海苔と固めに炊かれたシャリのマリアージュを楽しみます。海苔は香りもよく、一粒一粒がわかるようなシャリとよく合います。
鰆
ほんのりと桜色で、色っぽさがあります。3週間熟成だそうで、とろける脂の中でほのかな甘みを感じます。
白川(白甘鯛)
2週間熟成。白身の中でも、特に珍重される高級魚です。比較的にさっぱりと食べられる白身ですが、ここでは違います。鮪をカルビとするならば、さしづめロースといった感じでしょうか。
甘鯛
まさかの食べ比べ。白川に比べて、水分が多い甘鯛ですが、程よく脱水されて繊細な脂を感じます。
細魚
鳥貝
小鯛昆布締め
金目鯛 ♡♡♡
元々脂がありすぎるので、あまり鮨タネとしては見かけない魚です。その脂をコントロールして、味わうのだから不味いわけがない。
皮剥 ♡♡
シャリとタネの間に、肝と浅葱を挟んで握られています。皮剥といえば、肝が欠かせないわけで、独特の生臭もなくて美味しい。
水松貝 ♡
貝はフレッシュ。コリコリサクサクとした食感を楽しんだ後、鼻から磯の香りが抜けていきます。
鰹
スモークをしていることで、薫香も楽しめます。
小鰭
1週間熟成。かなりしっかりと締められていますが、酢はさほど感じません。
間八 ♡♡♡
40日熟成。過去に悶絶級の美味しさだったタネにまた出会えました。脂をたたえながら、とろける味わいは他店では食べれません。
真旗魚 ♡
昔は鮪よりも食べられていたタネで、桜が咲くまで美味しく食べられるのだそう。ヅケにして、更に熟成しているようで、口の中でとろけます。
穴子
玉
追加
墨烏賊
未食だったのが、このタネ。サクサクとした墨烏賊と固めのシャリの食感のコントラストを楽しめます。今回も全タネ制覇です。
久々に食べて思う。
「やはり白身と青魚に関しては、群を抜いている」と。
予約システムが変わったようで、次の予約日はまだ未定。でもお電話を下さるとのことなので、また親方の鮨に逢えることを信じています。
2015.10.
予約困難と言われるお店に、何の伝も面識もなく、通うことができる。これは食べ歩きをしている者にとって、何と幸せなことでしょうか。その喜びを実感しに、二子玉川にある「すし 㐂邑」に再訪です。
藍色の暖簾をくぐり、店主の木村さんとフランクな挨拶を交わし、女将さんからは名前で呼ばれるようになりました。嬉しいかぎりです。
ランチでも夜のコース料理を食べることができますが、さほどお酒も飲みたくないので、今回も握りです。余談ですが、隣の方に『鮑の肝リゾット』が出された時は、「コースにしとけば…」と思いましたけど。
実食
海苔巻き
いつものお決まり。少し固めのシャリとパリパリの海苔の食感と香りを楽しめます。
鰆 14日熟成
実は秋冬が美味しいらしい。
真鯛 10日熟成
鶏魚
小鯛昆布〆
皮剥 ♡♡
シャリとタネの間に、たっぷりと肝を挟んで握っています。
北寄貝
鱚
秋刀魚
金目鯛
鰹 ♡♡♡
口に入れると、薫香が鼻を抜けます。そしてシャリと共に蕩ける。実に美味しい。
鰤 ♡
筋子 ♡♡
舌にいつまでも絡みつく濃厚さ。
鮑
蝦蛄 ♡♡♡
茹でたて。甘さと独特な香ばしさがあり、格別に美味しい。
真梶木
穴子
玉
今回も全制覇。実に、至福とも呼べる時間でした。勿論、仕入れ状況もあるでしょうが、『蝦蛄』は是非もう一度食べたい美味しさ。さすがに数が少ないのでしょう、おかわりは叶いませんでしたが。
次回の予約日は、なんと2月!行けるだけいいけど、だんだん予約が取れなくなってきてますね。まあ、年の初めと終わりということもあるでしょうが。
とても早いですが、親方と女将さん、来年も宜しくお願い致します。
2015.9.
二子玉川にある熟成鮨の名店「㐂邑」に再訪。今回もランチで、『握りコース』を味わいます。
本日の献立
海苔巻き
まずは、お決まりのコレから。パリッとした食感の香りのいい海苔に、少し固めに焚かれたシャリとのマリアージュを楽しみます。
墨烏賊
真鯛
白川(白甘鯛)
小鯛 昆布〆
秋刀魚 ♡
ゆっくりじっくりと脂が出てきます。次元の違う秋刀魚です。
北寄貝
鮍 ♡
タネとシャリの間に肝を挟んで、握っています。美味しすぎです。
〆鯖 ♡♡
〆られているとは思えないほどに、艶っぽさがあり、脂も凄い。
鯵
鰹
口に入れると、薫香が鼻を抜け、旨味が広がります。
筋子 ♡♡
名物とも言える熟成の筋子。ねっとりととろけながら、まるで卵かけ御飯を食べているかのような濃厚さを味わえます。
海胆 淡路島由良産 ♡♡♡
珍しい淡路島の由良産の海胆。海胆なのに、フルーティな味わいがします。
鰤 ♡
軽く燻られています。閉じ込められた旨味と脂が一気に弾けます。
鰯 ♡♡♡
大トロに匹敵するほどの濃厚な脂。美味しすぎ!
鮑 ♡
中心部分で、シャリが見えないほどの大きさ。磯の香りが感じられます。
鰉づけ
穴子
玉子
縞鯵
追加したのは、本日未食の『縞鯵』となかなか食べれない『由良産 海胆』。今回も13100円と、素晴らしいCPとそれを遥かに上回る怒涛の感動。白身と青魚では、このお店を超える所はあまりないのでは?と思います。
次回の予約も無事に取れたので、一片の悔いなしです。
2015.7.
どの時代、どの業界にも、異才を世に放つ人物がいる。その強過ぎる個性は、人を選ぶのかもしれない。今回、訪れたのはそんな雰囲気を漂わせる鮨店です。
二子玉川駅。
初めて降りる駅ですが、駅前に高島屋やライズなどがあり、かなりオシャレな雰囲気で、賑わっています。そんな場所と真反対側には、どこか懐かしいような商店と住宅街が広がっていて、そんな中に白い暖簾を翻している鮨店「すし㐂邑」に初訪問。ミシュラン**に輝く名店であり、かなりの予約困難店ではありますが、1人ということで何とか予約できたわけです。この鮨店の特徴といえば、何と言っても店主木村康司さんが創り出す「熟成」です。それも熟成しやすい鮪で勝負するのでなく、他店ではあまり見られない白身などの熟成をいただけるそうで、未知の領域で楽しみ。
灼熱の当日。
お店には開店前でしたが、暖簾が下がっており、名前を告げると中に入れていただけました。逆L字のカウンターに6席設けてあり、広々としていて、余計な物が一切ない印象的な凜とした店内です。水曜日と日曜日のみランチ営業をしており、『お任せ握り』とつまみと握りの『お任せコース』があり、私は『お任せ握り』を事前にお願いしていました。
12時になり、お客さんも揃ったところでスタートです。
実食
・海苔巻き
握りが始まると、まず東松島産の『皇室献上の浜』という海苔で巻いた海苔巻きを手渡されます。少し固めに炊かれたシャリは、一粒一粒を確認できるかのような食感の中、赤酢を感じる個性的な味わい。
・真鯛
「鯛って、こんなに甘いの?」って思うほどに、甘みが凝縮してます。
・白烏賊♡
入店した時から仕込んでいました。10日寝かせたという白烏賊を薄く薄く切り、黄身醤油をかけて供されます。口に入れるとすぐに溶けちゃう。烏賊の甘みと黄身の濃厚さがいいです。
・白甘鯛♡
14日寝かせたものだそうです。白甘鯛って、確か他の甘鯛と違ってかなりの高級魚だったと記憶してます。ねっとりと甘く、旨味が凝縮して、素晴らしいです。
・春子昆布〆
7日寝かせた小鯛。昆布の味と春子が持つ甘さが濃厚。
・鯵
4日寝かせるそうで、色気すら感じます。脂はありますが、あっさりとして、美味しい。
・金目鯛
これは14日熟成。ここまできたら、熟成期間は驚きませんね(笑)脂は濃厚で、後味に独特の余韻が残り、美味しい。
・北寄貝
さすがに貝類はしないようで、昨日だそうです。裏返して握っているので、肉厚の歯応えが違います。
・鰯♡
キレがあり、まるでジュースのような脂のりです。
・赤雲丹♡♡
食べ比べ。上が鹿児島産で、下が長崎産だそうです。産地が違えば、エサも違うということで、同じ赤雲丹ですが、風味と甘みが違いますね。この違いを言葉に出せない文才の無さに怒りさえ覚えます。
・鰹
噛むたびに藁の薫香が鼻を抜け、爽やかな脂が広がっていきます。
・縞鯵
名物の筋子の代わりに。濃厚な脂乗りです。
・蒸し鮑
身全体を食べられるように、薄くスライスして、山葵や煮切りなどをつけずに、そのままでシャリを包み込むようにして供されます。美味しい。
・鯵酢〆
見た目は生っぽいですが、しっかりと〆られていて、食感はしっとりとしています。
・穴子
ホクホクの食感です。ツメはさほど主張せずに、穴子を楽しめる感じ。
・玉子
・間八♡♡♡
追加注文で。他に食べてないネタありますか?と聞くと、数点あったのですが、「じゃあ、間八で」と言うと、木村さんがニヤリとして、「ギリギリだよ?」と言いながら出してくれました。
なんと、1カ月熟成させてるそうです!10キロの間八で、使えるのは3キロほどだという職人泣かせの食材だそう。目の前で1/3くらいは切り捨ててましたし、贅沢ですね。余分な脂と水分は抜け、旨味が凝縮していて、次元の違う間八です。
熟成のコツは?と聞くと、水分と温度管理とのこと。塩を振り、水分を抜いて、毎日余分な水分を取り、トリミングするというとても手間のかかる贅沢な方法で、仕上げているそうです。鮨といえば、やはり銀座というイメージの中で、この二子玉川にお客を呼ぶ。その為に辿り着いた方法が、この個性的な「熟成」だったというわけですね。鮨の花形と言われる鮪をあえて使わず、白身魚や青魚の熟成で勝負した親方の研究心と努力には、頭が下がります。
そして、会計にも驚きが。これで、11700円。ありえない良いCPです。
個性的なシャリに、独創的な白身魚や青魚がメインなので、「鮨は、鮪有りき」と思ってる方には向かないかもしれないです。でも私は「理想の熟成は、干物なんです」と仰った親方の笑顔に逢いに、またこの暖簾をくぐります。
店名 |
掲載保留Kimura(Kimura)
|
---|---|
類型 | 壽司 |
地址 |
東京都世田谷区玉川3-21-8 |
交通方式 |
二子玉川站徒步7分鐘 距离二子玉川 530 米 |
營業時間 |
|
預算 |
¥30,000~¥39,999 ¥30,000~¥39,999 |
預算(評價匯總) |
¥30,000~¥39,999¥30,000~¥39,999
|
付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 无使用電子錢 无使用二维码支付 |
座位數 |
9 Seats ( 吧臺9席) |
---|---|
個人包廂 |
不可能 |
包場 |
不可能 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
可能的 僅限1臺 (預約時需確認) |
空間、設備 |
有吧檯座位 |
酒水 |
有日本清酒,對日本酒講究 |
---|---|
料理 |
對魚類料理講究 |
此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
---|---|
開店日 |
2005.7.7 |
備註 |
午餐和晚餐的一道套餐為30,000 日元(不含稅) 點擊此處查看OMAKASE https://www.omakase-japan.jp/stores/18576 從2020 年10 月1 日起,付款將「僅限卡」。 |
2023.2.
見らく少なく 恋ふらくの多き/すし 㐂邑
蛤・北寄貝・青柳のスープ♡
飲み終えると、思わず「あぁ…」と声が出てしまう。これぞ身体に沁みる味わい。
浅蜊の深川丼♡
香りは生姜の鮮烈さ、味わいは浅蜊の旨味がガツンときて、最後に生姜の爽やかさが口に残ります。コレは丼で食べなきゃいけないひと品。
子持ち槍烏賊♡
身はプリプリなので、余計に卵のモチモチとした感じが映えます。煮方も烏賊の味わいを確りと感じられて美味しい。
鮟肝♡
4〜5日かけて血を抜いた鮟肝を蒸して、中にカシューナッツと発酵唐辛子を混ぜ込んだもの。鮟肝への新しいアプローチを見れるひと品で、肴は勿論ですが…ご飯にも絶対に合う。
北寄貝オイル漬け♡
北寄貝に薫香をつけてから、米油に漬けたもの。口に入れると薫香が鼻から抜け、米油の甘味と北寄貝の旨味が重なり合い、実に美味しい。
牡蠣蕎麦♡♡
鰹出汁に牡蠣の出汁を加えてから大根おろしを入れてみぞれ仕立てに。大ぶりな牡蠣は旨味が抜群にあり、コレも何でフルサイズじゃないのかを残念に思うほどに美味しい。
真鱈の白子リゾット♡
真鱈の白子を使ったリゾット。甘く単調になりがちな味わいを締めているのが、カンボジア産の赤胡椒。かなり刺激的にピリッと味わいを締めていて美味しい。コレも丼で食べたい!
真名鰹♡
風に当てて旨味を出し、お酒で割った自家製の酒盗汁に漬けて焼いたもの。初めは酒盗の旨味がきて、後から真名鰹の旨味がグッときます。味わいと共にとろりとした食感も素晴らしい。
虎河豚の白子椀♡
虎河豚を2匹をこの出汁の為だけに使って、焼いた白子を合わせた椀物。ひと口飲むと、一気に虎河豚の旨味がガツンときて、沁みます。このひと椀に虎河豚を捩じ込んでいる味わいで、まさにお椀で味わう虎河豚。
渡蟹のブランデー漬け♡
「すし 㐂邑」のシグニチャー肴。コロナ禍を経て、卵黄ご飯がつくようになって長年の夢が叶ったひと品。
活け渡蟹ならではのとろりとした食感に蟹の甘味と旨味、そして山椒の鮮烈さがひと口毎に駆け巡ります。
縞海老♡
「コレが海老?」と驚くほどに口に入れた瞬間になくなる海老。口に残るのはシャリの酸味で輪郭が際立った極上の甘味が広がります。
泥障烏賊♡
木村親方の包丁技が見られる泥障烏賊は極薄に削ぎ切りしていき、更に細かく切って纏めて握っていきます。
酢橘の爽やかが初めにきて、ねっとりととろける甘味が最高。
細魚♡
なんだろう、この食べ応えは!ここまで大きく食べ応えのある細魚にはなかなか出逢えない。
金目鯛♡♡
旨味が凄い!まず金目鯛の甘味がガツンときて、シャリと混ざりあった甘味がぐわんときて、最後にまた甘味がジワって広がります。
青柳♡
素晴らしいこの反り返り。ザクッとした食感の後に花のような独特の香りが鼻から抜けます。素晴らしい美味しさ。
鱒の介♡
1か月熟成のもの。コレは液体!口に入れると瞬でなくなり、旨味が旨味が素晴らしい。
皮剥♡
芽葱の香りが鼻から抜けて、ガラスのような身と肝の旨味が抜群に映えます。なくなっても尚、あり続けるような肝の旨味が最高。
筋子♡
「すし㐂邑」を代表する鮨のひとつ。コレを食べると、いくらがとても幼稚なものに思えてしまうほどの美味しさ。
鰤♡
エシャロットを間に入れる1カ月熟成の鰤。クセのある鰤を見事に昇華して旨味のみを出した味わいで、エシャロットの爽やかな苦味が実にいい仕事をしており、美味しい。
鰯♡
黄金に輝く鰯もまた「すし㐂邑」を代表する鮨。ひと口目はスッキリとした鰯の味わいで、咀嚼毎に鰯の旨味が徐々に溢れてきて、
真加治木♡
脅威の熟成52日目。ねっとりと舌に絡みつくような真加治木が想像を軽く超えてくる味わい。
蛤♡♡
煮つめではなく山椒の刺激で食べさせる仕立て。とても大きな蛤は旨味が抜群で、柔らかい。
玉♡
薄焼きの玉を握るスタイルで、シャリの酸味で際立つ玉の甘味が美味しい。
鉄火巻き♡
木村さんではなく、ハルカさんが巻いた鉄火巻き。店内にザクッと響く海苔を断ち切る包丁の音。中の鮪よりも巻いているのにふわりとしたシャリとパリッとした海苔が印象的。コースの初めと終わりが海苔巻きという粋さ。
ラムレーズンブランデージェラート♡
確りとラムレーズンが香り、ブランデーのコクも凄い。お酒好きが絶対にハマる美味しさ。
今年は上海を中心に海外へと身を置くことが多いという木村 康司さんの二子玉川「すし 㐂邑」へ再訪。魔法のように旨味を増幅させる熟成という手法は、まさに膨大な手間と時間がなせる技。木村親方の料理はひとつひとつが独創的であり、それは一種の狂気であり、まさに食のヘンタイと言わざるを得ません。しかしながら全てにおいて唯一無二という存在感があり、何よりもどれも唸るほどに美味しい。
「見らく少なく 恋ふらくの多き」
まさに今年はこの恋歌のような気持ちになりそうです。また日本に戻られた時に是非食べさせていただきたいです。