手間暇かけて作っていただいたものを食べる喜び : Kate cuore

伊万里まで足を伸ばす価値のあるイタリアンがある。

という評判はよく聞いていた佐賀県伊万里市「katecuore/カテクオーレ」。今回予約を取ってくれた人に着いてってついに往訪できて。

なるほど、これは伊万里まで足を伸ばす価値ありすぎる。

間口は広くないが店内は余裕のある空間が広がり、きちんと手入れがされて綺麗。カウンターは5席で、この日は我々2名の実質貸切。奥にテーブル席もあるけど今は使っていないのだとか。

ご挨拶をいただき、シェフが目の前で料理を作る。作る。作る。。。そう、全て出来立てを食べて欲しい、という考えで各料理をずっとシェフは作り続けてくださる。

これ、当たり前のように思うかもだけど、いやいやこのシェフ、とんでもなく素材から始める。それ事前仕込みでも大丈夫なんじゃ、というポイントも目の前で作る。全ては出来立てを食べて欲しいという思いで、なるほどこのお店のコースが4〜5時間掛かるというのも納得。

メニュー名はあるようでないような、全てにオリジナリティを感じる品々。実際行く時々でメニューも違うだろうし詳述はしないけど、ご自身で畑を持ち、牧場も持たれ、地元・伊万里や唐津ほか九州の食材にこだわり組み立てられた料理はとにかくどれも丁寧に、手をかけている。

完成品の写真だけ上げているけど、本当は全部の調理過程を見せたいくらい。でもそれは、伊万里までやってきて見るものだもんね。

そんな中、15歳経産牛を三週間熟成した肉のステーキ。これは本当にすごかった。

大概我々の食べる牛肉って、2歳未満で出荷されるのだけど、15歳まで育ててるってことは手間も餌代も通常の7.5倍以上かかっているわけで、それだけでも大変。そしてその育てきった肉を美味しく食べさせる調理の技もまた大変。自家牧場で育てて、時間をかけてじっくり焼いた肉は珠玉の逸品。

や、でもホント驚くほど柔らかくて、しっかり肉肉しくて、旨味がたっぷり詰まって、超美味かった。ワシは情報を食べることは多いし、これもそうかもしれないけど、でも食べた時の驚きと感動はひとしおだったなぁ……また食べたい。

もひとつ書いておきたいのは、〆。まさかの炒飯でまずそれにビックリだけど、先の肉の筋と脂をカリカリに焼いてウスターソースを潜らせて乗っけてある。食材を無駄にしないという心意気と、筋と脂を食べるならこれが一番美味しいですよ、というシェフのこだわりが詰まった逸品。美味かった。

ドリンクは、ワシはペアリング。フランスが多めだけど、ここでも余市のワインが出てきて、ホント最近の余市の勢いは、味、流通ともにすごい。料理との合わせは良いものもユニークなのもあったけど、ワインそのものがどれも面白く余り飲んだことない系統で楽しめた。

シェフはもちろん、フロアの皆さんとのお話しも面白く、ホスピタリティも抜群で、4時間超の時間を感じさせない楽しさ。

美味しさと独創性、なによりシェフのこだわりと調理の手際に魅せられる席。ホント、また食べるために伊万里に行きたいと思える素晴らしいお店だった。