シンプルな食材を昇華する素晴らしき匠の技
真夏にいただく極上おでん
これがまたいいのだ。
おでんと聞くと、出汁に具を入れ、ただ単に煮込むだけのシンプル料理と思いがちだが、一流の料理人は、そうしたシンプルな料理にこそ手を抜かず、またシンプルがゆえに料理人の腕が試される事を知っている。
そのため、店主渡辺氏はおでんをリクエストされると、少し気持ちが引き締まるという。
いや少しではないかもしれないが・・・。
今回は常連さんのリクエストで実現した粋京さんのおでん。
めったに登場しないレアメニューだけに、巡り合えたことに感謝したい。
その理由は。
まず極上、いや究極と表現したいほど、それは優しく強く、味に奥行きがあり、一つ一つの具が持てる力の全てを出し切り、さらに出汁に旨味が押し上げられた究極のおでんとなるから。
大根一つとっても、その身からこぼれ落ちるほど出汁を吸収していながら、しっかりと形を維持していて食感を感じる。
口内に出汁の香りが広がり、大根の食感を感じ、徐々に溶けてゆく。
目で見て美味しさを感じ、口に含んで現実となり、喉を通過して感動を感じる。
大根1つとってもこうなのだから、本当に素晴らしい。
大将が「できればおでんはそんなにやりたくないんですよ」という気持ちが、素人の私でさえ理解できるほど、この料理には手間と時間がかかっているのが理解できる。
玉子も素晴らしい。
半熟の状態で提供されるおでんの玉子は、おそらくなかなか真似できないんじゃないだろうか。
お箸で割った時、中からとろっとした黄身があふれてくる姿は美しい。
日本酒が進み、会話も弾み、料理が進む。
これこそ料理を皆で頂く喜びだ。
高価な食材を調理すると、まぁある程度はおいしくなるというのは想像できるけど、大根やナス、玉子など普通の食材を出汁の力と技術によってここまで昇華させる大将の技量に改めて脱帽してしまう。
極上のすっぽん料理
今回の粋京さんは、スッポン尽くし。
蟹のシーズンが終わり、うなぎには少しまだ早いというわけで、この間隙を縫って滋養食材の登場だ。
正直自分は、スッポンのようなゼラチン質が多い食材は好みではない。
まぁ好き嫌いが激しい自分は、白子も苦手だし、挙げればきりがないほどだ。
だからこそ、今回のすっぽん尽くしには興味がある。
自分がもし苦手という先入観を忘れて食事に集中できていれば、大将渡辺氏に益々心酔してしまうだろう。
1品目はスッポンの玉子・・・
艶やかな見た目、つるっとした食感。
口に含むと外側の薄皮が破れ、中から濃厚な栄養素が飛び出してくる感じ。
初めて頂いたが、この卵は抱えていない場合もあるので、当たりを引かないと頂けないそうだ・・・貴重。
2品目は蠣と雲丹。
合わないはずがないのである。
大きな蠣と、その上に贅沢に乗せられた雲丹。
今が旬の雲丹を贅沢に。
さて、ここからは続々と繰り広げられる渡辺ワールドに引き込まれる展開に。
正直、今日何品出てくるかは分からないが、大満腹になることは間違いない。
スッポンの肝、数種。
鮮度抜群だからこそのお料理。
苦手といえばこうした内臓系も得意ではない、だが美味しい。
続いて鱧とジュンサイのお椀。
薄味ながら鱧の食感を感じ、ジュンサイのつるっとしたのど越しが爽やかだ。
温かいお椀の後は、お造りへ。
日本酒が進む・・・
う~む、、、京都ですなぁ。
東京に居ながらにして京都を頂いている感じ。
1品1品とてもシンプルだが、そこに施された手の数々。
たっぷり時間をかけた大将の仕事が伝わってくる。
最後の〆はお雑炊。
この辺まで来るともう皆笑顔があふれている。
お腹は物理的にいっぱいなのに、おかわりと声をあげてしまう。
そしてこの雑炊に、すっぽんの卵を入れると、これまた超絶美味への味変となる。
最後には、すっぽんが苦手だったことなどすっかり忘れていた。
次回はうなぎとおっしゃっていたが、どうなるだろうか。
変幻自在な大将だけに、あえて何も推測せず、再訪することを楽しみにしてみたい。
若松葉と熊、ホタルイカの絶品しゃぶしゃぶ。
今夜も素晴らしい食材と料理に巡り合えた。
親ガニのシーズンが終わっているので、今は若松葉を中心に料理が組み立てらる。
事前情報では河豚+蟹というお話だったが、よい河豚が入れられなかったので、代わりに熊肉とホタルイカへ変更されたとのこと。
ところがこのお肉とホタルイカが大絶品だった。
生ホタルイカはそれなりの鮮度を保てれば、地元のスーパーなどでも手に入る身近な食材だけれど、今夜いただくそれは、豊洲市場でもごくわずかしか入手できない良質なもの。
見た目からして大きく、鮮度が良く、そしてそれを金色に輝く出汁でしゃぶしゃぶする。
なんと贅沢なのだ。
薬味のネギがまたいいお仕事をする。
熊のお肉はいわずもがな美味だけど、下処理にどれだけの手間をかけたかと考えると、食すのが1瞬であることに申し訳なさを感じてしまったりする。
個人的には全お肉の中で熊が一番好きなのだけど、本当に美味しい熊肉にありつけるお店は少ないのだ。
お造り、茄子、筍、玉ねぎなどの食材が間に飛び込んでくるけれど、どれ一つとってみても全く妥協のない素材であることは、もう見た目からしてわかる。
次は何が出てくるのかと期待に胸が膨らむが、おそらく過去一番皿数が多く、かなり満腹になった。
昔ならもりもりパクパク食べれていたが、今はそれほど量が入らなくなった自分自身が不甲斐ない。
それにしてもこの若松葉。
かなり見事な大きさだ。
蟹のシーズンも間もなく終わり。
昨年11月から始まった究極のシーズンがいよいよ幕を閉じるが、今度は鱧や鰻などが登場してくるので、それもとても楽しみ。
2022年の良運を願った八十八品の豪華おせち
季節の京料理と、期間限定となる蟹やうなぎのお料理が頂ける粋京。
年末31日。
この日はおりしも大寒波が日本を覆い、冷え込みは激しい一日。
でも体はぽかぽかで気持ちも晴れやか。
何故かと言えばあの粋京のおせちが予約できたのだ。
なんとも幸運で嬉しい限り。
お店で頂く料理の完成度、ご主人の妥協なき料理への探究心。
その粋京さんが提供するお節なのだから、もう期待しかないのだ。
帰宅して朱色の鮮やかな風呂敷をほどくと、木箱に詰められた豪華4段重が現れる。
驚くのはまずその品数だろう。
八十八品。
末広がりを意味するこの数字だが、日本ではもともと8という数字を大切にしてきた。
中国の陰陽道では、奇数が重宝されるが、日本では最高位を占める数。
「古事記」や「日本書紀」には、この”八”へのこだわりが多く見られ、例えると「大八島、八咫烏、八十建,八重雲」などなど。
三種の神器では「八咫鏡・八十握剣、八坂瓊勾玉」みな八の形容詞を冠らせている。
それだけ日本人は八という数字を重んじてきた。
それが重なる八十八という並びは、単に感じのすそ野が広がっているという繋がりだけではなく、もっと深い意味があるのだろう。
さて、お節の4段をひとつづつ見ていくことにする。
一の重:珍味三十二種
ここにはお節には欠かせない黒豆、田作り、数の子・・・
二の重:焼き物二十六種
香箱蟹、河豚の漬け焼き、甘鯛の一汐、鰤の麹焼き・・・
三の重:煮物二十五種
鮑の旨煮、真蛸の旨煮、鯛の子生姜煮、海老芋の煮物・・・
四の重:フカヒレの姿煮、すっぽんとふかひれスープ、鴨のロース煮
これだけの料理を全てお店の中で作り、全て1から手作りなのだ、その大変さというか労力は相当なものだったろう。
そして何より最後の工程であるお重へ箱詰め・・・。
重なったお重をずらしたとき、その盛り付けの美しさに驚く。
何より主人は京都の料亭で長く修行をされていたのだ、料理の味だけではなく見た目の美しさにも当然手を抜かない。
本当にお疲れ様でした。
そしてこの料理がいただける事に心より感謝したい。
行くたびに旨くなる愛すべき店と人
今年、蟹が不漁なのである。
それに加えて緊急事態宣言が解除され、飲食店に人が流れ始めたことも相まってか、多くの店舗で蟹の奪い合いが起きている。
粋京さんの場合、鳥取の中村商店さんから直接買い付けているが、それでも入手がなかなか難しいようだ。
お客様を大切にする渡辺大将は、あらゆる努力を惜しまず良いものを集め、さらに磨きのかかった技術で今も提供し続ける。
当然元の価格では大赤字になってしまうため、値上がりは必然、頂く側も承知している。
今回もデザート以外はすべて蟹。
なんという贅沢な夜になったか。
蟹って水分が比較的多めで、腹にずしりとたまるような感じは少ないはず。
だけれど蟹で満腹になるんだからすごいことだと思う。
日本酒を頂きながら雑談し、蟹を頂く。
優雅な時間の中で気分がよくなり、お節も注文してしまった。
すでに自宅用にお節を購入済みなので、実家へ持っていくものも含めると、合計3のお節を買ってしまった・・・
いや~、、、勢いって怖いね。
でもここのお節は超ハイコスパなので、なんとしても欲しかった。
とてもこの値段では通常いただけないだろうし。
実家の親類も喜んでくれるだろう。
2021年の蟹解禁
毎年楽しみにしているこの時期、11月6日、鳥取ではカニ漁が解禁される。
水揚げされた冬の味覚「ズワイガニ」初セリものは90万円。
景気の良い話だのう。。。
さて、予約しておいた粋京さんへ11月9日訪問してきた。
まだカニコース開始から2日目、だが、すでに大量の蟹が届けられ、予約も続々と入っている様子。
今日の蟹を見せて頂いたが、まるで五輝星クラス?!と思えるような大きなズワイガニと、外子と内子をたっぷりかかえたメスの香箱蟹。
期待が膨らんでしまう。
粋京さんの蟹コースは、ほぼ全ての料理に蟹が登場する。
なんと贅沢な。
この時期はまだマツタケがぎりぎり残るので、松葉ガニと松茸で松松コースという通称もあるのだとか。
今回はまさにそれを頂けた。
塩味を極限まで抑え、蟹のうまみだけで調理されていくそれぞれのお皿は、優しく、甘く、旨味が脳を刺激する。
最後の蟹丼はもう絶品!
蟹の本格シーズン直前、和食には珍しい上海ガニを頂いた
緊急事態宣言が解除され、美食と美酒にあずかれる幸せに、改めて感謝したい。
さて、11月7日解禁の蟹漁。
いよいよ来週からである。
もちろん楽しみは蟹だけではない。
同じメニューを出さない創造力あふれる店主渡辺氏の思考にひたれるのは、この上もない幸せである。
緊張感あるカウンターで、調理の様子を全て解放してお客に見せる。
あらゆる面で自信がなければこうしたスタイルは貫けないだろう。
細かな食材の取り扱い、調理器具への想い、隅々まで行き届いた清潔感。
そうした部分をお客はしっかりと見ている。
そして店主は見られている。
それを覚悟しての調理場である。
さて、今日は和食ではめったにお目にかかれない上海ガニからスタートした。
程よい甘みと濃厚な身とみそ、そして塩味が日本酒を一気にすすめてくれる。
頂くのは”田島”極旨だ。。。
空腹に日本酒は危険、ぐいぐいいってしまうではないか。
そしてこの上海ガニが追い打ちをかけてくる。
もう止まらない。
秋のシーズンにぴったりの食材が八寸で登場したが、本ししゃもと秋刀魚は絶品。
お造り、お椀、強魚・・・
極限まで薄味でありながら、しっかりと記憶に残る1品1品の完成度は、さすがの一言。
最後の蟹といくらの親子丼は、この時期最高のご馳走。
おにぎりにもしてもらい、欲時にも頂いた。
シンプルに見えるが、食材の品質は非常に高く、それを盛り付ける器も素晴らしい。
さらに気の合う仲間達とこの空間で過ごせることが、最高のご馳走だ。
日本料理を進化させる貴重な逸材
どんな道でも、より高い次元を求めていく中では、様々な”苦”と対峙しなければならない。
料理人への道もおそらくは同じで、よほどの志がなければ、下積みから一人前にはなれないだろう。
人が持つ本能、ホメオスタシスによる現状を維持しようとする力はすさまじいものがあるし、コンフォートゾーンも少しづつ広げていかなければ、肉体だけでなく心が追い付いてこない。
自分は料理人ではないので生意気な事は言えないが、真冬の凍てつく早朝に水や氷を扱い、幾百・幾千匹という魚を捌き、皮膚の感覚がマヒするほどの火や油で熱せられた食材を扱う。
そしておそらくは最も難しい親方や同僚との対人関係。
極限まで睡眠時間を削り、体力の限りを使い、厳密な教育というものはされず、見て、感じて、自分で盗み覚えていく。
この道を選び、生きていくと覚悟したものだけが、その先へ進める。
わたなべ大将は、そんな料理の道を究めようとしている一人なのだろう。
京都の老舗中の老舗をめぐり、それこそ自分なら一夜で逃げ出しそうな修行を終え、今は新橋で己の道をさらに研ぎ澄ませている。
今日は料理のお話半分、そして若かりし頃のお話をたくさんしてくれた。
面白いエピソードも、強烈なエピソードも含まれていて、いつも以上に話し込んでしまい、心地よい時間の流れを頂けた。
人は”感化”されなければ真の意味では動けない。
モチベーションとは内的な動機付けが働くことで初めて心の炎が灯されるのだと思う。
この日、私は大将の話を聞きながら、不思議なエネルギーのようなものを頂いた気がした。
厳しい鍛錬を積んだ方は、その場にいるだけで強い影響を周囲に与えているのかもしれない。
感動する音楽に巡り合ったとき、全身のDNAが共鳴するかのような感覚を味わうが、それに近い。
折しも日本列島全体が台風の被害で食材への調達が難しい時期。
しかし、ありがたいことに今日は、素晴らしい食材がそろっていた。
この日は自分の中で特別な意味を持つ。
「お客さん”持ってますね”」なんて持ち上げられたが、私から言わせれば、持っているのは大将、あなたの方なんですよ。
松茸、蠣、大間のマグロ・・・。
この時期に頂けるほぼすべての良質な食材をありがたいことにいただく事ができた。
良い人と店にはよい器も集まるもの。
粋京にも、続々と素晴らしい名器が集まりだしている。
そしてその名器は使ってこそ輝きが増す。
一品一品丁寧に、意味を持った料理とその器が提供される幸せ。
進化しつつ伝統を守る。
この矛盾するような事をこなしながら、そこに創造性・独創性を盛り込んでいくという難題。
彼とこの店はどこまで進化するのだろうか。
季節的に難しいこの時期も、難なくこなす師の技量
秋なのか、夏なのか、、、よくわからないこの季節。
加えて今年は帯状豪雨の影響で海の産物、山の産物に大きな影響が出ていて、食品のサプライチェーンも乱れている。
頻繁に訪問していると、改めて店主の創意工夫と仕入れの難しさ、そこにある人間関係など、お客が見なくてよいものが見えてきてしまったりもする。
だからこそ応援したいし、こういう時期をどう乗り越えるのかというちょっとした楽しみというか、ワクワク感もあったりして、つくづく自分は性格が悪いと思う。
今回はカウンターにまず大きな松茸が鎮座していた。
たしか前回の松茸は少し小ぶりで傘が完全に閉じていたものだったが、今回は大振りで見事な形をしてる。
さらに五島列島さんの巨大な蠣、鮑、秋刀魚、鮎。
どれもこれも最上級の素材だ。
特に秋刀魚は雨の影響で仕入れられなくなる場合もあるというので、良いものが入ったら積極的に求めていくといっていた。
多分他の食材もそうなのだろうが、たしかに昨日某デパートで見たら、ひょろひょろの秋刀魚が1尾800円以上していたし、市場も大変だろう。
今回一番の感動は”鮑のしゃぶしゃぶ”
お刺身でも頂ける新鮮で大きな鮑を、あおさの鍋に浸して頂くのだが、塩味が少し残る出汁の効いた鍋と鮑が最高の相性だった。
もう一品は、この時期、そして今日の気温にぴったりの冷やし鮎そうめん。
口の中にいれるとほろほろに溶ける鮎の身と、錦糸卵、みょうがが絶妙に絡み合い、最後の〆として最高の1品だった。
また来月も予約をさせていただいた。
秋に突入する来月はどんな料理がいただけるのだろう、今から楽しみだ。
行く度に進化する店
創造的で、且つ伝統をきっちり踏襲する粋京の店主。
そんな主人が真夏の7月という時期に、どのような料理を供してくださるのか楽しみで仕方がない。
食べログを利用させてもらっていると、どうしても新しいお店や、これまで行ったことが無いお店へ目が行ってしまい、そして足も向いてしまう。
こうして何度も足を運んだ店は、自分史上初めての事だ。
以前”料理の鉄人”という番組があった。
和食、洋食、中華と、それぞれの重鎮名手が新進気鋭の料理人や著名な料理人と対決をするという趣旨だったと思う。
今は”パレ・ド・Z”いう番組が、おそらく同じプロデューサーによる手で作られている。
これは、100年先にも残したい料理を、著名な料理人に依頼し、パーマネントコレクションとしてアーカイブするという趣旨だ。
どちらも素晴らしい番組だが、自分だったら、ここ粋京の主人にもぜひ出場してほしいと思ってしまうし、彼なら100年後に残したい1品に何を選ぶのだろうかと、わくわくしてしまうほどだ。
食材を調理する技術はもちろん、料理への愛情、お客と向き合う心意気、器や機材へのこだわり、そして若さとエネルギー、あらゆる角度から見て、これからの日本の料理界の宝になる逸材だと思う。
ちょっと言い過ぎたかな、、、でもそれが本心なのだからしょうがない。
さて、今回もカウンターにずらりと並んだ食材。
まずはこの時期にしてはなかなか早い松茸、もちろん傘は開いていない。
続いてスッポン、うなぎと、夏にぴったりの贅沢な食材が並んでいる。
まずは雲丹から。
非常に大きく、身が詰まっている。
続いてスッポンの各部位、松茸の土瓶蒸しの後は、なんと松茸のフライ。
これをソースで頂くのだが、ちょっともったいないような、、、という思いをよそに、カリッとした絶妙な食感と、噛んだ瞬間に出てくる松茸の香り、そして洋ソースとの相性が抜群。
思わずため息が出た。
スッポンの鍋は二種類の卵を使いわけ、市場に出回らない能登の海苔をまぶして頂いたが、あまりの美味しさに、雑炊を2杯頂いてしまった。
最後はデザートと金平糖で〆。
もちろん、ここにも店主のこだわりがあり、より甘さを感じられるよう配慮がされている。
何度通っても同じ料理が一つとして出てこない上に、毎回訪問するたびに驚きがある、また来月訪問するのが待ち遠しい。
銀座の名店が魅せる渾身のおでん
冬の間だけ提供する蟹コース以来か。
久しぶりの粋京さん、今回は常連の方と一緒に訪問させて頂いた。
今回はどんな内容なのかと思いきや「おでんです!」という返答。
おでん?!
主人は京都の名料亭で修業をした、基礎力と創造力が卓越した方だけに、その方が魅せるおでんとはどんなものかと興味津々だ。
どうやら同席した常連さんが、おでんが食べたいというリクエストを以前からお願いしていて、今回はようやくその念願がかなったり、という流れのようだ。
もちろん”おでん”だけというわけではなく、先付け、お造りなどがあり、メインがおでん。
そしてこのおでんがまぁ、、、すごい。
大将のお話を聞いていたのだが、開いた口がふさがらない。
具材選びはもちろん、出汁、火加減調整など、考えられる限りの美味しさを追求する手間をかけ、数日間、睡眠時間2時間程度でつきっきりだったそうだ。。。
まさに渾身のおでん。
そうして出来上がったそれは、もう本当にやさしい薄味なのだが、それでいて記憶に残るお料理。
おでんの玉子って、通常は黄身がバサバサになってしまうのだが、半熟状態になっていてしっとりとしていて、とてもおでんのそれとは思えない状態。
時節らしく夏野菜を冷やしおでんとしても頂いたが、この温冷の緩急が実にいい感じだ。
おでんの出汁にご飯をかけて食べたい、、、と心の中でつぶやいた。
いや、もしかしたら声に出していたのかもしれない「最後はこの出汁でお茶漬けです」と・・・。
ただ、今回はあまりにも品目が多すぎて、お茶漬けの前に満腹になってしまった。
無念だ。。。もっと胃と根性を鍛えなければなと反省。
作り手の努力に報いるためには、食す側の体調や感性も大切なのだ。
この店に限っては適当な状態で挑んでは失礼になるなと感じた。
2019年蟹解禁、松葉ガニを味わう
良くも悪くも、ここの板長はかなり変わりものだ。
何せ料理への思い入れが強い。いや、強いという軽い表現が適切ではない「超強い」のだ。
前回訪問したのが1年ほど前の春。
まだお店が渋谷から銀座に移転したばかりの時で、男性5名で押しかけてしまったたために、あまりお話しする機会はなかった。
あれから時が経ち、ずっと通い続けている方に尋ねてみると、ずいぶん変わったというお話を頂き、ならばと蟹のシーズンを狙ってうかがってみた。
そう、11月6日は鳥取のカニ漁が解禁日。
毎年すごい値がつく初物なのだが、今年は去年の最高値を一気に飛び越え、1匹(杯)500万円という値がついた。
マグロじゃないんだからなぁ、、、なんどと思いながらも、世界中で海洋資源の奪い合いが起きている証拠なのだろうかとも思ったりする。
鳥取の蟹といえば「中村商店」さんが有名だが、もちろん粋京の主人も直接現地へ赴き、初セリを体験し、中村商店さんと交渉をして仕入れている。
最高の松葉ガニを、最高の時期に、しかも予約の状況を見て、その日の朝に届けてもらうという念の入れよう。
京都で磨き上げた最高の腕と感性で調理されるそれらは絶品らしい。
普段は1日3組限定なのだけど、蟹のシーズンだけは仕入れの関係や食材の調達、仕込みの関係で1日2組に限定しているそうなので、予約が取れるか不安ではあったけど、10月にお電話し、なんとか翌11月に予約をとれた。
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扉をあけると凛とした空間が広がり、カウンターへ案内してくれる。
敷居が高そうだけど、決してお客を緊張させない雰囲気づくりは、おそらくこの女将さんの仕事なのだろうなと思う。
まずは日本酒を今回の蟹のコースに合わせて選んでいただいた。
うぐいす徳利 から心地よく注がれる大吟醸。
おちょこもうぐいすのように音がするのだが、これでさらに緊張感がほどけ、店と一体となる。
確か、以前はお品書きがあったはずなのだが、今回それらしいものはなかった。
聞いてみると、お品書きがあるとその通りに出す必要が出てきてしまい、臨機応変な対応ができないという事らしい。
お客様の箸の進み具合、召し上がる速度、突然のリクエスト。
そうしたものにもこたえられるように、あえてお品書きを排除し、お客様と一緒に作り上げるお任せにしているそう。
実は私たちも、今回は途中で蟹クリームコロッケなどをお願いしてみたら、見事リクエストにこたえてくれた。
蟹は松葉の最高級品で、 甲羅には「黒い粒のカニビルの卵」がけっこうついていたらしい。
そう、よく蟹の背中にある黒いつぶつぶ。
あれは蟹に害がわるわけではなく、あの場所に居れば安全だという彼らの防御的住処としているだけなので、味に影響はない。
逆に、あれが多ければ多いほど、蟹が大きく強く成長しているということなので、それは一つの目安になるのだろうか。
もちろん調理する前には全て丁寧にとりはらう。
今回のコースは、お刺身で、茹でて、鍋で、お椀で、そしてご飯で・・・まさにフルコース。
デザート以外全て蟹。
はぁ、、、これほどの贅沢、幸せじゃ。
ほんのりとした甘み。
松茸と松葉ガニのコラボ椀。
なんといっても極めつけは、蟹ご飯。
3種類のわたを乗せて頂いたそれは、後ろにひっくり返りそうなほどうまかった。
日本酒もいつも以上に進み、珍しく2合、4合と。
ほろ酔い気分と味の余韻にひたることができた。
こだわりが強いというと、頑固な印象をうけてしまいがちだが、ここの板長はそうではない。
愉快で軽快なトークと、女将さんとのかけあい、楽しく笑顔で頂ける和食店なのである。
ダイエット指数:7 銀座移転後初の訪問
数寄屋橋を中心として、三越側へ行く銀座4丁目方面。
新スポットとして強烈な集客力を持つミッドタウン日比谷。
そして大人の街角、銀座6丁目方面。
今回の舞台は、そこから少し行った先にある銀座8丁目だ。
遊び慣れた大人たちが、静かに飲める場所として集い、そして今、次々に新店がオープンしている注目の場所ではないだろうかと思う。
ここには決して目立つわけではないが、確かな腕と調達力を持つ名店がひしめいている。
794年から約1200年もの間、日本の中心として文化と伝統を継承し続けている京都。
「東京都」という地名も分解すれば「東」の「京都」である。
とにかく粋な街なのだが、それをそのまま店名にする粋な店がここ「粋京」さんだ。
和食店は伝統一本主義でも時代の流れには乗れないし、かといってクリエイティブ過ぎても保守派に受け入れられない。
この微妙な店舗コンセプトの舵取りが店主に求められるのだが、粋京さんはその絶妙な間隙に道を創り出しているように感じた。
あるお皿は食材の力を存分に引き出し、また別の皿では見た目の美しさにこだわる。
一皿出て来るたびに見た目の驚きがあり、続いて食して驚きがある。
こういう仕掛けは徐々に磨かれるものではなく、おそらく天から与えら得た才能なのだろう。
美味しい料理には美酒が必要なのだが、黒龍のラインナップもしっかりしているし、お店独自の日本酒もなかなかのもの。
接待利用でも存分に活躍できそうだし、大切な人と大切な日に利用したい。
店名 |
Ikkyou(Ikkyou)
|
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类型 | 日本料理、海鲜、日本酒 |
预约・查询 |
03-6416-4395 |
预约可/不可 |
可预订 |
地址 |
東京都中央区銀座8-3-12 Ginza須賀ビル 5F |
交通方式 |
JR新桥站银座口步行4分钟银座站步行4分钟 距離新桥 317 米 |
营业时间 |
|
预算 |
¥20,000~¥29,999 |
预算(评价总数) |
¥30,000~¥39,999
|
付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、AMEX) 无使用电子钱 |
座位数 |
13 Seats ( 吧台7席,单间6人×1间) |
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个人包厢 |
可能的 可容纳2人、可容纳4人、可容纳6人 |
包场 |
可能的 可接受20人以下 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 |
停车场 |
不可能 附近有投币停车场 |
空间、设备 |
时尚的空间,平静的空间,座位宽敞,有吧台座位,有日式包厢 |
酒水 |
有日本清酒,有烧酒,有葡萄酒,有鸡尾酒饮料,对日本酒讲究,对烧酒讲究,对葡萄酒讲究 |
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料理 |
对蔬菜菜式讲究,对鱼类料理讲究 |
此时建议 |
许多人推荐的用途。 |
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关于儿童 |
接待儿童
孩子一起来店的时候,有时会要求您使用单间,请您谅解。 |
网站 | |
备注 |
所有的邂逅都是根据“一期一会"与顾客相遇,与食材相遇,与烹饪技术相遇。所有这些都是“一期一会”食材以京都产为主"当天最好的"渡边的食材是根据自己的眼光严格挑选采购的。以及您的"当时”的情况,用最适合的烹饪法来完成一道菜。在京都各式料亭中积累了约12年厨艺精湛的店主,倾心于日本饮食文化的博大精深,他在宾客们的眼前呈现的正宗京都料理,一定要来吧台品尝。也设置了1间完全单间,是2人到6人用的固定脚炉式的桌子座位。能在舒适的空间里慢慢品尝美味。 |
餐厅公关 |
距离银座站步行只需10分钟介绍制,1天限定3组。彻底考究的“丰富心灵的京都怀石料理”
渡边会长与其说是天才,不如说是天才,这是一个恰当的描述。 “吃茄子最好吃的方法就是听它的声音。”他不仅精通日本料理,还涉足意大利菜拉面等领域。扩大了技术范围。我们极其讲究产地和烹饪技术,打造属于我们自己的正宗怀石料理,精选精美菜肴,丰富您的心灵。我们希望您尽情享受由我们富有想象力的主厨精心烹制的精致怀石料理。也适合特殊场合,例如娱乐和晚宴。 |
今年もこの季節がやってきたのだ。
年々予約が取りにくくなる粋京さん。
だが、今回も奇跡的にお邪魔させていただくことができた。
同席した常連さんに感謝しかない。
世の中は円安だ物価高だと騒がしいが、その波は国内すべての飲食店にも影響があり、当然蟹の仕入れ値も上昇しているはずである。
それでもこの究極の美食を求めて、多くの人が大将”渡辺氏”の腕にほれ込んで訪れる。
「蟹でお腹いっぱいになってもらいたい」
大将はそんな心意気で料理を振る舞うのだが、言葉に偽りなく、蟹で本当に大満腹になる内容の料理が毎回提供される。
本当に楽しそうに料理をする渡辺氏は、無邪気な子供のよう。
遊び心と大人の熟達した感性から紡ぎだされる珠玉の1皿は、どの角度から見ても逸品と呼ぶにふさわしいほどの輝きを見せる。
見てよし、食べてよし。
毎年、もはやこれ以上の蟹料理はあるのだろうかと思うのだが、年々進化するから、こちらもワクワク感が止まらない。
個人宅へも出張料理もされるとの事。
限られた空間と調理器具で、それでもお客様に最高の料理を届けるとう挑戦。
その場で利用できるすべてを活用する臨機応変さは、お店の中でも遺憾なく発揮されるのだと思う。
今夜もご馳走様でした。
また必ず訪問させて頂きます。