官方消息
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菅谷氏の背骨
土曜日の夜です。
東麻布です。
今夜は二ヶ月ぶりのこちら【すが弥】さんに、飲み友紳士と二人でお伺いしました。
いつもの通り、カウンターの奥の席に座り、先ずは恵比寿の小瓶で乾杯。八月にご一緒したこちら、そして先月の神楽坂での飲み過ぎを反省しながら、『今夜は抑え気味にしますね・・・』と、女将に一言。
『抑え気味の気味ってところが我々らしいっすね』とその紳士。
『意思の弱さは隠せないっす、グフッ』とラッコ。
『フフッ、無理よ無理、無理なのよぉ、エヘッ』と言ったか言わないか、オヤジ二人の無意味な会話を聞きながら、後ろでニコニコと微笑む女将。
その手には、直筆の日本酒メニューがしっかりと握られておりました。
『いやぁ、ラッコさんのレビューはチョイエロというより、どエロかも知れません』と呟く紳士。
『ええっ、滲み出てますか・・・?』
『はい、滲み出るどころか、ダダ漏れっす』
『アイヤァ!』
『我々の業界で言う、ウージングじゃないっすね』
『グッ、グフッ』
『インコンティネンスっす』
『えっ、イン⚫︎(ピー音)!なんで知ってんやねん』
『いや、イン⚫︎テンツじゃなくて、インコ』
『あっ、失禁ね。フムフムフム』
『でもお鮨自体がエロいっすもん、仕方ないっすよ』
『ワタシもちょいエロ、好きです』と、割って入る菅谷氏。
知らんゾォ、後で女将さんに刺されても知らんからなぁ、アハッ\(//∇//)\
『そろそろお持ちしましょうかね?』と女将。
『はい、そうっすね』と白旗をあげ、日本酒のメモに目を通す意志の弱いオヤジがふたり・・・、グフッ\(//∇//)\
さてさて、毎度のことながら前置きが長くなりました。ここからは真面目にレビューいたします。
いただいたツマミと握りは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
タイトルの背骨とは、菅谷氏のシャリを指した形容。強い酢が苦手な方も多いかと思いますが、新之助の新米と古米をブレンドした硬めの炊き上げ、立ち昇る酢の図太く分厚い香気。
その強靭な土台を基準に、全てのネタの仕込みを計算します。
ツマミに添えるブルーチーズやXO醬もオリーブオイルも、決して昔ながらの江戸前鮨では有り得ない薬味ですが、それもこれも全ては、お店の中心たるシャリに至るまでのアプローチにすぎません。
と言っても、別に傾奇者ぶっているわけではなく、その背骨には【鮨あらい】で仕込まれた熱い矜持が、江戸前鮨の王道の技とともに漲っております。
<ツマミ>
⚫︎お造り盛り合わせ:
・九絵
・勘八:二週間寝かせ
・鰯
・小柱
・鰹
・薬味:やま山葵ネギオカカ、本山葵
⚫︎白子:バター焼き
・薬味:ブルーチーズ、本山葵
⚫︎天然帆立:炙り
・XO醬
・本山葵
⚫︎酒のアテ三種:
・唐墨
・鮟肝
・ムラサキウニ:豊後の磯守、蓄養
⚫︎金目鯛:
・ウニ卵黄ソース
・オリーブオイル
<握り>
⚫︎鮃:明石
⚫︎背トロ:大間、釣り
⚫︎墨烏賊
⚫︎赤身:噴火湾
⚫︎皮剥:肝(塩をあてて三日寝かせ)
⚫︎カマスジ:炙り
⚫︎大トロ
⚫︎鰯
⚫︎馬糞ウニとムラサキウニ
⚫︎マグロ:太巻き
⚫︎お味噌汁:大根おろし、黒七味
⚫︎玉子
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・羽根屋:純米吟醸、生原酒、富山
・雑賀:純米吟醸、辛口しぼりたて、紀の川
・浅間山:純米、しぼりたて、群馬
・義侠:純米、愛西
・東魁盛:純米吟醸、瓶火入れ、富津
菅谷氏の静かな気勢
土曜日の夜です。
東麻布です。
今夜は初台お嬢をお誘いし、二ヶ月ぶりのこちら、【すが弥】さんにお伺いしました。
前回の八月は、季節柄、ラッコの大好物の鮟肝はお休み中。あのたまり醤油の濃ゆい旨味に浸かった鮟肝さまに出逢えるのか、ドキドキしながら開店の六時を待ちます。
軒下でまったりしていると、通り雨がシトシトと路面を濡らす中、しばらく振りの初台お嬢の到着。タッパが有るので遠目でも一目瞭然。
ラッコの姿を認めたのか、手を振りながら思わず駆け出すお嬢。そんな、駆け出さなくてもええやん、とまるで娘を見るような温かい眼差しの好々爺。
『アハッ、赤羽橋の駅を出たら逆方向に歩いちゃいました\(//∇//)\』とお嬢。
『ワタシ、ドがつくくらいの方向音痴なんです、グフッ』
そう言えば、前回もなんだかそんなプロローグだったような気がする・・・
それはともかく、先日の對馬さんのお誘いを先約有りでやむなくお断りしたお詫びを済ませ、表玄関の撮影をしていると扉が開いてご案内のスタート。
二人はカウンターの奥に座り、恵比寿の小瓶をお願いします。
さてさてそれでは本題。
いただいたコース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
ブルーチーズにオリーブオイル。
旧来の江戸前鮨の範疇を破る傾いたツマミに、今夜も熱い舌鼓を打つラッコ。
特色を出したい新店や遊び心を添加したツマミは何処にでも有りますが、『こりゃ違うだろ』『遊びすぎやねん』と感じることもままあるのが正直なところ。
しかし菅谷氏の傾いたツマミは違う。
古典の江戸前の技量が、太い背骨として屹立しているのでしょう、異色の組み合わせでも全くのハズレなし。
店名から【鮨】を外して唯一無二の航海に挑む菅谷氏。
決してお安いお値段ではありませんが、比べる対象が無いので納得するしか有りません。
次回は年末。
コースの中心を担うマグロもさらに磨かれている筈。早くもドキドキがとまりません。
<コース内容>
⚫︎お造り:
・カツオ
・小柱
・鮃:明石
・縁側:明石
・薬味:本山葵、山わさびとネギとオカカのタタキ
⚫︎ボタン海老:炙り、北海道
・薬味:ブルーチーズ、海老味噌、本山葵
⚫︎鰤シャブ:噴火湾
・薬味:本山葵、XO醬
⚫︎赤ウニ:唐津
⚫︎鮟肝
⚫︎唐墨
⚫︎バチコ
⚫︎金目鯛ご飯:
・馬糞ウニ
・縮緬雑魚
・オリーブオイル
<握り>
シャリは新之助の古米と新米のブレンド。酢は希釈した薄めの赤酢と米酢?
硬めの仕上げて、一粒一粒の独立感が半端無い。
このシャリがラッコの口にあいます。
マグロは全て大間の延縄。十日寝かせの149kgのピンピン。
⚫︎赤身:混とび
⚫︎中トロ:背鰭の別れ身
⚫︎縞鯵:高知、天然
⚫︎大トロ:漬け
⚫︎イクラ
⚫︎カマスジ:炙り
⚫︎小肌
⚫︎車海老:養殖、宇部
⚫︎馬糞ウニ:カネシン水産、北方四島
⚫︎太巻き:マグロ全部入り
⚫︎玉子
⚫︎お味噌汁
<お酒>
・恵比寿ビール:小瓶
・ZAO:特別純米、秋あがり、白石
・醴泉:純米大吟醸、岐阜
・雨後の月:純米大吟醸、呉
・義侠:純米原酒、東条特A山田錦、愛西
・東魁盛:純米吟醸、富津
菅谷氏の大志
土曜日の夕方です。
東麻布です。
今夜はお鮨と和食を中心にご一緒している食べ友男子とふたりで、こちらの”すが弥”さんにお伺いしました。
前回の六月からおよそ二か月ぶり。
大好物の鮟肝は季節外れと承知しておりますが、それでも例年、八月に予約を入れる理由が、三つ。
ひとつ、房総の黒鮑!
ふたつ、赤ウニ、馬糞、ムラサキの食べ比べ!
みっつ、新イクラ!
この三食材は夏の海の至宝の中の至宝。
並みのそれは巷に溢れておりますが、ピンピンのピンのモノホンの至宝がいただけるお店は、やはり限られます。
期待通り、その三至宝も眼前に勢揃い。
糖尿のことなぞ忘れて、日本酒も八種類ほど痛飲。
懐はいたみますが、やはり明らかにモノが違うので、悲しいかな、納得せざるを得ません。
あっ、誤解無く。
ネタだけでは有りません。酸味の強いシャリとの完璧な一体感。江戸前の定石にこだわらない組み合わせの妙味など、それらが何とも言えずラッコの我儘な口にジャストミート。
さてさてそれでは本題。
いただいた内容は以下の通りです。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
<まとめ>
房総の黒鮑の色艶と大きさに先ずはビックリポン。600g程度なんだそうです。一体全体、何年間、海女さんにも見つからずに過ごしてきたんやろ。
赤ウニは天草と唐津の二種類。
なかでも唐津は今季のナンバーワンでした。生クリームで溶いた卵黄のような香り。ツマミで天草産と食べ比べましたが、恥ずかしながら、言葉を失い、しばし朦朧とするラッコ。
ムラサキはダイセンの大間。馬糞は札幌のカネシン水産が全道から集めた逸品。
この二種類は麻布台ヒルズ仕立てでいただきます。丸山の混とびの香りとの相性も抜群。
そして垂涎の新イクラ。
この季節だけの宝石。
痛風なんて怖くないモン。糖尿だって薬で抑えればいいモン、なんちゃって、アハッヾ(≧▽≦)ノ
<コース内容>
⚫︎つまみ五点盛り:
・北寄貝
・平貝
・クエ
・カツオ
・真鯛:お腹
・薬味:本山葵、山ワサビとオカカetc.
⚫︎蒸し黒鮑:房総、肝添え
・薬味:ブルーチーズ、本山葵
・600g
⚫︎オリーブオイルご飯:
・桜海老
・バフンウニ
・ジャコ
・数の子?
⚫︎赤ウニ:二種の食べ比べ
・唐津
・天草
⚫︎唐墨
⚫︎稚鮎と実山椒
<握り他>
鮪はやま幸さんのボストン。真冬の近海物に匹敵する脂の乗りでした。
⚫︎金目鯛:銚子
⚫︎背トロ:血合い岸
⚫︎天端
⚫︎北寄貝:長万部
⚫︎霜降り:漬け
⚫︎新子:天草
⚫︎大トロ:蛇腹横
⚫︎ウニ:馬糞、ムラサキ
⚫︎新イクラ
⚫︎鮪:太巻き
⚫︎玉子
⚫︎お味噌汁
<お酒>
・エビスビール:小瓶
・19:Grotta Azzurra, 出羽燦燦、長野
・富久長:純米吟醸、八反草、広島
・上川大雪:純米吟醸、吟風、北海道
・澤屋まつもと:守破離、山田錦、京都
・東魁盛:純米吟醸、山田錦、千葉
・義侠:純米吟醸、東条特A山田錦、愛知
・十四代:中取り純米吟醸、播州愛山、兵庫
・醴泉:純米大吟醸、岐阜
日本酒は四合くらい
菅谷氏の弛まぬ挑戦
土曜日の夜です。
東麻布です。
六本木ヒルズで映画を見てから東麻布までノテノテノテ。
六時十分前に到着したのがこちらの”すが弥”さん。
およそ二か月ぶりのお伺いとなります。
この夜はひとりではなく、珍しく二人。
自称、元峰不二子たまに裏紀香に変身するらしい、開店初期に一度お伺いしたキリという女史。
『随分と進化してるんだよぉ~』と無理やり口説いて今日のこの日となりました。
六時ちょうどに入店。
カウンターの端に座り、恵比寿の小瓶で喉を濡らします。
『お二人でお越しでしたので・・・』という女将の戦術に見事にはまり、ここ最近は三種類にとどめていた日本酒を六種類も痛飲。とうとう諭吉六人を超えてしまいましたが、まぁ純大吟の銘酒揃いなのでそれも想定内。
さてさてそれでは本題です。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
この価格帯で今夜も二回転が満席。
それもむべなるかな。
やはり何かが違う。食べ比べて初めて感じるこの違い。
目指すはチョモランマ鮨の山頂。
『リストランテすが弥と申します』なんて、銘醸物のオリーブオイルを駆使した鰹のカルパッチョやウニしゃりパスタで、常に果敢な挑戦を重ねる菅谷氏。
シャリも新潟の新之助の古米と新米のハーフブレンドに変更。立ち止まることなく、前を向いて一歩一歩着実に登攀。
山頂はもうすぐその掌に・・・
いやいや、失礼。
山頂を極めればそこで進化は停止。
菅谷氏が立ち止まることを良しとするわけも無し。だってこの日はアテにブルーチーズまで登場。まさかその内『ビストロすが弥と呼んでください』なんてことになってしまうかも、アハッヾ(≧▽≦)ノ
<つまみ>
⚫︎九絵:二週間熟成、13kg
⚫︎勘八
⚫︎本ミル
⚫︎小肌
⚫︎牡丹海老:銚子、
・薬味:ブルーチーズ
・海老味噌:50尾で仕込み
・本山葵
⚫︎馬糞ウニ:シャリパスタ
・カッペリーニ
・太刀魚
・オリーブオイル:シチリア、モレスカ種
⚫︎赤ウニ:大分、塩水
⚫︎唐墨:ひねもの
⚫︎鮟肝
⚫︎鰹:カルパッチョ
・ルッコラ
・オリーブオイル:シチリア、モレスカ種
<握り>
更にシャリが進化。
新潟は新之助の新米と古米のブレンド。一粒一粒がしっかりと主張しています。
ピンピンの鮪は竜飛岬沖の釣り。
多分、気のせいかと思いますが、やはり縄や網とは異なるかも、グフッヾ(≧▽≦)ノ
⚫︎鮃の縁側:明石、一週間熟成
⚫︎背トロ:背ビレ下の別れ身、竜飛、釣り
⚫︎泥障烏賊:内房
⚫︎赤身:竜飛、釣り
⚫︎縞鯵:皮炙り、高知
⚫︎霜降り:竜飛、釣り
⚫︎鳥貝:七尾、炙り
⚫︎カマスジ:竜飛、釣り、炙り
⚫︎鯵:酢締め
⚫︎車海老
⚫︎ウニ:ムラサキ、馬糞
⚫︎鮪太巻き:全部入り、沢庵
⚫︎玉子焼き
<お酒>
・エビスビール:小瓶
・義侠:純米、東条特A山田錦、愛知
・乾坤一:純米吟醸、宮城
・吾妻嶺こうのとり:純米大吟醸、雄町、無濾過、岩手
・東魁盛:純米吟醸、千葉
・三千盛:純米大吟醸、岐阜
・醴泉:純米大吟醸、岐阜
菅谷氏の真剣
土曜日の夜です。
東麻布です。
今夜は二か月ぶりのこちら、″すが弥″さんにお伺いしました。
材木町からは奈可久さんがその真裏に、銀八からはメイさんが麻布十番に社稷を築かれるチョー激戦区。
基本価格の設定に、異論反論オブジェクションの喧しいこちらですが、なんのなんの今夜も満席の大盛況。厳しい大競争時代も、きっとこれまでの蓄積で悠々と泳ぎつづけられること、間違いなし。
だってこの夜も、二ヶ月前とは明らかに進化した仕立て。
確かに良いお値段ですが、素材のピンピンの力とそれをさらなる高みにマキシマイズされる技量と努力には、衷心より敬服いたします。
さてさてそれでは本題。
いただいた内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
たまたまですが、先週の土曜日からカウントすると、海宇、鮨しゅん輔、鮨まつうら、よねがみと数えて今夜で五軒目。
やはり鮨しゅん輔と鮨まつうら、すが弥の三軒は別格ですが、ひとつひとつの完成度はすが弥さんが首一つ抜けているかも。
と言っても価格帯が違いすぎるので、一概に比べても詮無いのですが、それにしても心地良い。
客あしらい、全体への目配り、卒のない会話、真摯で真剣な所作、それら嫌味のない全てが超一流の証かと思います。
<つまみ>
前回より多めのつまみ。
いずれも文句無しの仕上がりでした。
大好物の濃ゆい鮟肝の煮付けもまだまだご提供。こいつはお酒を呼び込みますね。
滅多に出ない牡丹海老もまた嬉し。頭の味噌を軽く炊いた薬味がもうね、パーフェクトな味わいでした。
●アイナメ:明石
●鰆
●小柱
●牡丹海老:頭味噌、酢橘
●鮟肝
●唐墨
●カッペリーニ:馬糞ウニ、炙り金目鯛、シャリ
●カルパッチョ:鰹、生野菜、桜海老、雑魚、海苔他
<握り>
シャリは雪若丸。
季節により、つや姫やななつぼしと使い分けされているようです。
炊き上がりは硬め。一粒一粒がしっかりと独立し、たまに他店で出会う粘り気の強いネットリ系のシャリとは一線を画します。
やま幸さんからのピンピンマグロは、大船渡の定置網と銚子の延縄の二種類。真冬よりは脂が抜けましたが、苦手な青魚を餌にした酸味は有りません。部位の異なる五貫をいただき、これも大満足。
●背トロ(分かれ身):銚子、延縄
●鮃:明石
●天端(赤身):銚子、延縄
●小肌
●大トロ:漬け、大船渡、定置網
●煮蛤:黄柚
●カマ筋:大船渡、定置網
●カマ筋:炙り、大船渡、定置網
●鰯:酢締め
●馬糞ウニ
●太巻き:マグロ全部入り、とびっこ、沢庵
●玉子
●お味噌汁:丸山の青糸、黒七味、蛤出汁
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・松の寿:辛口、純米、栃木
・天狗舞:山廃、純米、石川
・雪の茅舎:大吟醸、生酒原酒、第713番、秋田
お酒は三合くらい
菅谷氏の至誠
土曜日の夜です。
東麻布です。
今夜は凡そ二ヶ月ぶりのこちら、″すが弥″さんにお伺いしました。
開店当初の諭吉四人でお釣りから、今は六人でお釣りという状況。それにもかかわらず新規の予約はおまかせのキャンセル枠のみ。赤本の掲載基準などどこ吹く風。
諭吉五人越えで脚が遠のかれた方もいらっしゃるかと思いますが、それでも埋まり続ける席の予約。
ラッコを含め、こちらのシャリや濃い目の味付けが口に合うのでしょう、今宵も八席全てで素敵な笑顔が広がります。
さてさてそれでは本題。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
今夜は久しぶりに車海老が登場。穴子は菅谷氏のお眼鏡にかなわず舞台の裏に・・・
うーん、穴子が食べたい、でもこればっかりは仕方ありません。
その代わりという訳では有りませんが、やはり菅谷氏の本領はマグロ。やま幸さんのピンキリの中からピンの中のピンが揃います。
今夜のマグロはいずれも気仙沼。
霜降りと蛇腹こそ延縄ですが、血合い岸と天端は大目。
先月の″島津”さんのレビューでも記載しましたが、”大目”とは免許制の流し網漁法。その網の目は15~18cm。小魚は資源保護のために捕獲の対象外。もともとは初夏のカジキなどの大物を狙った漁法のようです。
そのメリットは、延縄のように針を咥えて暴れないので身焼けリスクをミニマイズ。ただし漁獲量は極めて少なく滅多に出回りません。
その希少なピンピンマグロが揃うのは、やはり菅谷氏とやま幸さんの太い絆あってこそ。
しかしてその身は?
素直な還暦爺さんの感想ですが、若い娘さんのように青臭くなく、熟女のようにくどくない。その清廉な脂にただただ悶絶。
不埒な表現ですいません。勝手な妄想です。
なにとぞご容赦をヾ(≧▽≦)ノ
<つまみ>
●九絵:勝浦、一週間
●盛り合わせ:
・小柱:北海道
・鰆
・鰯:北海道
・薬味:山わさび
●めじ鮪:佐渡、50kg
●虎河豚白子:炙りご飯。卵黄ウニソース
●鮟肝
●唐墨
<握り>
●鮃:明石
●背トロ:血合い岸、気仙沼、大目
●赤身:天端、気仙沼、大目
●小柱:北海道
●霜降り:気仙沼、延縄
●鰯:大羽サイズ、北海道
●煮蛤
●蛇腹:気仙沼、延縄
●車海老
●煮牡蠣:広田湾
●ムラサキウニ:カネシン水産
●太巻き:マグロ尽くし、とびっこ、沢庵
●お味噌椀:あおさ
●玉子
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・三千櫻:純米大吟醸、きたしずく45、北海道
・十九:degel、長野
・鳳凰美田:髭判、純米大吟醸、栃木
・磯自慢:純米大吟醸、一滴入魂、焼津
菅谷氏の神髄
大晦日の前日です。
東麻布です。
昨年と同様、一年の外食締めくくりはこちらの”すが弥”さん。およそ二か月ぶりの訪問となります。
前回はまだお目当ての鮟肝が痩せていて揃わず、名残りの黒鮑に慰められた十月。今月は師走だもん、必ずご用意されている筈だよなぁ、なんて若い娘さんのように胸ときめかせながら、五時に暖簾をくぐります。
今日は怒涛の四回転とのこと。
新井氏の『働け・・・』との厳しい指導を胸に迎えた五年目の冬。価格帯も跳ね上がりましたが、人気のほども右肩上がり。
さてさてそれでは本題です。
いただいたものは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
納得の鮟肝。このたまり醤油の濃ゆい味付けがことのほか口に合う。根室の馬糞ウニタワーも、高騰する浜値なんてどこ吹く風の超高層スタイル。
極めつけは、大間に揚がった延縄鮪の六貫攻め。シャリの酸味も塩味も硬さもラッコのドストライク。2023年も変わらずよろしくお願いいたします。
<つまみ>
●九絵:一週間熟成
●鰆:山わさび、ネギ、生姜
●帆立:天然、海苔、山葵
●鰤ご飯:卵黄ウニソース
●鮟肝
●唐墨
<握り>
鮪は全て大間の延縄、二週間寝かせです。
●勘八:昆布〆、二週間
●中トロ:背ナカ、背鰭下
●赤身:天端、海苔挟み
●小柱:軍艦
●中トロ:背ナカ、血合い岸
●真鱈白子:出汁漬け、炙り
●中トロ:腹ナカ、漬け
●大トロ:砂摺り
●煮蛤
●大トロ:カマスジ、炙り
●鰯:酢締め、六日寝かせ
●馬糞ウニ:根室
●太巻き:鮪全部入り
●玉子
●お碗
<お酒>
・恵比寿ビール:小瓶
・醴泉:純米大吟醸、すが弥ラベル、岐阜
・黄金澤:山廃純米、初搾り生原酒、宮城
・結:純米大吟醸、結城
菅谷氏の社稷
木曜日の夜です。
東麻布です。
コロナ嬢との甘い生活も昨夜限り。
神奈川県のレギュレーションに従い、自宅に軟禁状態だったラッコ。コロナ嬢の愛の魔力のせいで体重が5キロも減ったやないかい、アハッ\(//∇//)\
そうか!
禁酒、自炊の日々がこんなにも健康に宜しいなんて、今更ながら痛感したのねん。
でもカワユイ胃には申し訳ない。
『ううっ、お鮨が食べたいの・・・』なんて真珠のような涙を見せられると、しゃあない、病み上がりやけど予定通り東麻布まで出かけるとすっか。
さてさて凡そ二ヶ月ぶりのこちら、すが弥さん。
今夜は一回転の七時スタート。
秋も迎えたし、どんな肴が出てくるのかな?
さてさてそれでは本題です。
いただいたものは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
穴子が無い。車海老が無い。ハシリの鮟肝も無い。
一見、無い無い尽くしのように思えますが、菅谷氏の強いシャリを受け止めるピンピンが揃わないのだから仕方無し。
菅谷氏のお眼鏡に叶うのはチョモランマのごとき高き壁。
でもそれは、裏を返せば半端な妥協を良しとせず、自身の握りに接する礼儀のようなもの。
その見返りと言っては僭越ですが、アラと鰆の熟女っぷり。恐らく大原の名残の黒鮑。関東では珍しいフエダイ娘のズブズブ肌に溺れては、挙げ句の果てに大間の延縄五貫漬けに悶絶。
還暦ラッコ、コロナとの離婚明けをものともせず、瞬間昇天。
ああっ、次回が楽しみっす\(//∇//)\
<つまみ>
″鮨すが弥″から“すが弥“に屋号を変えられた際、師匠筋の新井氏から『鮨って外すんだから、その内パスタでも出すんじゃ無いの』なんて軽くイジられていた菅谷氏。
『・・・といったわけでも無いのですが、パスタとオリーブオイル、使っちゃいました』と爽やかな笑顔で呟きます。
シャリも潜んでいるしピンピンのムラサキなので、下手なイタリアンも尻尾を巻いちゃいそうでした。
●アラ
●鰆
●黒鮑:肝、千葉
●ムラサキウニ冷製カッペリーニ
●稚鮎:山椒煮
●唐墨
<握り>
マグロはすべて大間の延縄です。
●フエダイ:一週間寝かせ
●背トロ
●赤身:コントビ挟み
●小柱:釧路
●中トロ:漬け
●小肌
●縞鯵:皮炙り、天然高知
●大トロ:蛇腹
●大トロ:カマスジ
●鰯:酢〆
●新イクラとムラサキウニ
●太巻き:マグロ全部入り
●玉子
●お碗:青海苔
<お酒>
・醴泉:純米大吟醸、東条特A山田錦28%、岐阜
・極幻:純米大吟醸、MINAKI、山形
・東魁盛:純米吟醸、千葉
菅谷氏の厚情
土曜日の夜です。
東麻布です。
気温も低めなので、広尾から反時計回りに麻布十番までノテノテとブラ散歩。
天現寺橋を左折し明治通りに突入。古川橋で更に左に折れ麻布通りを北上。その道すがら幕末の通詞、ヒュースケンの葬られているお寺を偶然にも発見。歴史好きなラッコはその墓前で手を合わせます(写真の最後に掲載しておりますので、興味のある方はどうぞご覧ください)
その後スタバで時間調整し、六時ちょいと前にお店の前に到着。タイミング良く若い男子が扉を開け、手指をシュコシュコして中にご案内。
『つい先日、お会いしましたね、アハッ』なんて言葉を交わしながら、菅谷氏の正面に座ります。ほどなくして他の七名の方々もご到着。ご夫婦らしき二組とお一人様男子が二名、ご常連の旦那様を残してひとりでいらした若奥様、といった面々です。
『今年の夏は休み無しなんですぅ』と眉を下げる菅谷氏。
お盆の間も暖簾を掲げていらっしゃるんですね。
『幸いお越しいただけるお客様がいらっしゃるので、有難い限りです』
『ガッツリ、儲けますね、ヘヘッ』と、スケベオヤジのラッコ。
『”あらい”の看板を背負っているので、働かないと親方に叱られてしまいますから・・・』と控え目に呟きます。
師匠を超える価格設定をよほど気にされているのかな?
恵比寿の小瓶で唇を濡らしながら『来週お伺いするので「菅谷さん、休みなしで働いてますよ」と新井さんにお伝えしておきますね』と、安請け合いが得意なラッコ。
ひととおり、場が和んだところで、アラのツマミからスタート。
さてさてそれでは本題です。
詳細は写真欄に記載しますが、今夜は菅谷氏のご厚情が全て。
どこからその情報を仕入れられたのか?
亡き家内への深い思いやりをいただき、思わず目頭の熱くなるラッコ。久しぶりに女将さんの笑顔にも触れ、なんとも心温まる一夜となりました。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
垂涎の鮟肝は終了。鰻も痩せているので小丼は喉黒のまま。今夜のネタはちょいと寂しいなぁ~、と肩を下ろしていると、アイヤァ、なんと早くも熟柿色に煌めくエロい粒々が登場。
『えっ、まさかの新イクラっすか?』と唖然呆然のラッコ。
『今日からひとケース、豊洲に入りました。まだ小ぶりですけど』と控え目に呟く菅谷氏。
『テニスラケットですね?』といじります。
『まだ小粒なのでバドミントンラケットで、アハッ』とノリノリの菅谷氏。
聞けば筋子から自ら解されたとのこと。
魚の仕込みからお米の水加減まで、すべてをひとりで差配される菅谷氏。ご自身の眼の行き届く範囲の丁寧な仕事が持ち味です。それで二回転をこなすわけですから、いつ休んでいらっしゃるんやろう?
<つまみ>
●アラ:振り酢橘、本山葵、四日寝かせ
●鰆:山わさび、オカカ
●蒸し鮑:黒鮑、房州、味噌漬け肝
●喉黒ご飯:馬糞ウニ、黄身ソース
●唐墨
●稚鮎と実山椒
<握り>
●クエ:三重、8kg、十日寝かせ
●背トロ:血合い岸、生ボストン
●赤身:天端寄り、生ボストン
●縞鯵:天然、高知、皮目炙り
●腹カミ:中トロ、生ボストン
●煮蛤:鹿島灘
●カマ:炙り
●小肌
●新イクラ:小丼
●車海老:宇部
●ウニ:シモキタの馬糞ウニ、ムラサキウニ
●太巻き:鮪全部入り
●玉子
●ご厚情:小丼
亡き家内への影膳です。
命日が翌日と知り、ドッキリで全部入りのちらしの小丼をご用意されました。
ネタに包丁を入れながら、なんだか小さな細切れを丁寧にストックされているなぁ、と眼を細めておりました。
ひととおり全てが提供され、他の方が追加で所望された干瓢を巻き終えると、おもむろに小鉢を取り出します。
更にウニを二種、カマを炙ってミニ胡瓜を丁寧に刻む菅谷氏。
何やろう?
まかないにしては一個だけやし・・・
頃合いを見計り、後ろから木製の匙を差し出す女将。
『どうぞぉ~』
『えっ、ええっ?』
『親方が説明しますので・・・』
『どうぞ、奥様に』と菅谷氏。
『アイヤァ~』と突如、目頭が沸騰。
『xxxさんがいただかれたもの、全てが入っております』
『グッフゥ』と胸で十字を切り、手を合わせていただくラッコ。
ああっ、アカン。
こんなことされた日には更に通い続けてまうやないかい、ウウッ。
<お酒>
血糖値対策で日本酒はちょっとづつ三種類をお任せでいただきます。
最初はお約束の”すが弥”ブランドの醴泉。二杯目はシュワシュワの夏純吟で口中を洗い、とどめは鳳凰美田の限定酒。夢ささらを25%まで磨いた小売諭吉三枚の逸品。『これは原価でしかお出しできません』と呟く菅谷氏でした。
・瓶ビール:恵比寿、小瓶
・醴泉:純米大吟醸、岐阜
・文佳人:夏純吟、高知
・鳳凰美田 日光:水分神-MIKUMARI-、純米大吟醸、栃木
菅谷氏の覚悟
日曜日の夜です。
東麻布です。
今年もまたつらい季節を迎えることになりました。
暑さ?
いいえ、違います。
八年前の夏、愛妻が帰天しました。
6月に京大に異動された主治医に挨拶したいと、か細くなった足元を杖で補いながら、一種間の京都、奈良、大阪の旅。
その二週間後、東海大学病院に入院し、8月7日に天に召されました。
個室で過ごしたその三十数日。
会社帰りに立ち寄り、お弁当を食べながら夜遅くまで過ごした平日。土日は泊まり込んで、ただただなんのことはない会話を重ねた日々。
不謹慎な言い方ですが、父と母が鬼籍に入ったとしても、こんなに重く深い哀しみに暮れることは無いでしょう。
ひとりで自宅に居ても涙が頬を伝うばかりなので、この二週間ほどは意識的に外食の予定をいれたなか、今夜は馴染みの“すが弥“さんにお伺いしました。
ああっ、こちらに連れて来たかったなぁ。
一緒に鮟肝の煮付けや濃ゆい酢飯を堪能したかったなぁ。
黙って頷きながら、小さく『美味しいね』と呟く愛する人との時間は、何ものにも変えられない最高の贅沢。
いけません。
そんなことを考え始めると、カウンターで涙を流してしまいそう。
『わっ、ワサビが効きましたぁ〜』なんて野暮な言い訳は通じません。
だって哀しい眼をしているに違いないはずなので。
それでは本題です。
今夜のおまかせ内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
お店の暖簾から『鮨』の文字を外された菅谷氏。基本のお値段も、都内でも数少ない五枚の大台に。
師匠の新井氏からは『あり得ねえっすよ』と叱咤されながらも、そこは一国一城の主。四年目の覚悟が垣間見えました。
<つまみ>
名残の鮟肝は安定の濃ゆい味。これを日本酒でいただかないなんて、犯罪です。
加えて黒鮑。
25個をまとめてボイル。肝の使えない部位から素敵な汗が染み出します。その後、蒸して冷やすとそのお出汁がゼラチンに変化。提供する直前に蒸して人肌で目の前に。
味付けは僅かな塩のみ。ブツ切りで供されるので齧りつく愉悦にあふれます。
肝は味噌漬け。これも爆発的に酒に合う。
●クエ:三重、10日寝かせ、酢橘
●鰆:3日寝かせ、山わさび
●鰹:山わさび
●黒鮑
●喉黒ご飯:卵黄、馬糞ウニ
●鮟肝
●唐墨
●稚鮎:実山椒
<握り>
マグロはやま幸さんのボストンの生。140kg。
この時期、身焼けリスクの高い痩せた近海延縄よりはるかにウンマイ。
●伊佐木:4日目
●背トロ
●赤身:漬け、天端
●星鰈:宮城、3.3kg
●腹カミ:中トロ、漬け
●蛇腹:大トロ
●煮蛤:鹿島
●車海老:宇部
●ウニ軍艦:馬糞ウニ、ムラサキウニ
●トロたく:太巻き
●お味噌汁:青海苔
●玉子
<お酒>
・エビス:小瓶
・醴泉:純米大吟醸、岐阜
・天美:純米大吟醸、山口
・鳳凰美田:純米吟醸、栃木
掟破りの同日師弟食べ比べ:夜の部なのだ、の巻
土曜日の夜です。
東麻布です。
鮨、の冠を外した″すが弥″さんにお伺いしました。
この日のランチが、その菅谷氏が三年の薫陶を受けた“鮨あらい″さん。
新井親方に『鮨って名前を取っちゃったので、パスタでも出てくるかもしれやせんぜ、アハッ』と、いじりネタをいただき、六時のカウンターに座ります。
事前に『血糖値が上がったので、お酒は控え目にします』とお伝えし、いつもの女将の手書きお酒メニューは遠慮しておりました。
だって、それを受け取ると、無限ループに突入しちゃいますもんね、アハッ\(//∇//)\
『お勧めしちゃいけないかなぁ、とは思いますが、次はいかがなさいますか?』と、恵比寿の小瓶を舐めるラッコに菅谷氏が控え目に問うてきます。
『ううっ、いっ、一合で終わらせます』
『それでは三種類を少しづつお出ししましょう』
『はい。お任せします』
最初に出てきたのが、醴泉の純大吟のすが弥ラベル。
そう言えば前回『名前をつけていただきました』と仰っておりましたね。
大好きな鮟肝と房州の蒸し黒鮑で垂涎の三種をいただき、握りからは初めての温かいお茶を所望。
鶴八の先先代の親方が仰っておりました。
『シャリには温かいお茶。コイツに勝るものはありやせん』
御意。
新たな水平線に覚醒したラッコ。
今後は飲み過ぎ、炭水化物取り過ぎに気をつけます。
だって診療所のドS女医に怒られちゃうもんね、アハッ。
さてさていただいたものは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみ下さい。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
店名も改め、新たな地平に挑む菅谷氏。
確かにお値段は強気の設定に跳ね上がりましたが、それは親方の度量と努力次第。
だって一国一城の主ですもの。全てが自己責任。
新井氏からの言伝に『有難いです。そんなお小言を仰っていただける方は他に居ないので』とはにかむ菅谷氏。
徐に後半、ななつぼしを炊き上げるお釜の水を調節しながら、『私もこんなに働いております、とお伝え下さい』と呟きます。
承知しました。写真も撮りましたし、来月お伺いする新井氏にお見せしますね。
<つまみ>
今夜はなんと言っても黒鮑。
デッカくて切り分けられた薄桃色にかぶりつきます。
アアッ、赤ちゃんのお尻みたい。噛んだことないけど、アハッ\(//∇//)\
●アラ:酢橘
●鰹:山ワサビ
●蒸し鮑と肝:房州黒鮑
●喉黒:針海苔ご飯、ウニと卵黄ソース
●鮟肝
●唐墨
<握り>
お米は北海道のななつ星。酢は他店の1.5倍。この濃さが口に合う。
●クエ:十日熟成
●背トロ:血合い岸
●赤身:海苔挟み
●スズキ:昆布〆
●中トロ:腹カミ
●煮蛤
●砂擦り:一週間熟成
●小肌
●車海老:宇部
●ムラサキウニ:八戸
●太巻き:鮪全部入り
●お味噌汁:丸山の青糸(四万十海苔)
●玉子
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・醴泉:純米大吟醸、すが弥ラベル、岐阜
・東魁盛:純米吟醸、千葉
・白岳仙:純米吟醸、夏虫、福井
菅谷氏の熱意
土曜日の夜です。
東麻布です。
六本木から東京タワーを経て三田一丁目、麻布十番を時計回りに散策し、東麻布に到着。
四月に入り、恐らく魚や貝、それに加えお米も一新された筈。
プリンのキャラメルのような味わいの鮟肝煮はまだいただけるのかなぁ、トラフグ白子は終わりだよなぁ、マグロはどんなんなってんやろう、なんてワクワクドキドキ。尽きない興味に足取りも軽く辿り着いたのが、こちらの”鮨 すが弥”さん。
六時ちょうどに扉が開き、検温と手指のシュコシュコを済ませ、菅谷氏の正面にご案内。
ラッコはこの一か月で四キロも肉厚になってしまいましたが、いつにも増してシュッとした立ち姿の菅谷氏。
エビスの小瓶で唇を湿らしながら世間話をしていると、ほどなく全員が揃い、今夜のコースがスタート。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
海の端境期にあたる四月。難しい季節かとは思いますが、そこは手練れの菅谷氏。フラットになりがちなリズムに軽快な変化が加わり、お酒がもうね、進む進む、アハッ。とりわけ、プリンのキャラメルのような香りとネットリ食感の鮟肝。これに勝るものは有りません。
他にも建築基準法違反のウニタワー。
都知事もビックリ、三密状態の野付の小柱。
エペソスの女神のような赤イカの仕立て。
キラウエア噴火のような鮪太巻きの端っこ。
数多あるお鮨屋さんの中でも頭一つ抜け出た味わいに、いつものことながら感謝します。
<つまみ>
馬糞ウニとの混ぜご飯はトラフグから金目鯛に季節替わり。この皮目を炙った金目鯛と硬めのシャリをつなぐのがクリーミーなバフンウニ。
初夏になればウナギに変身ですね。
●ハタ:木の芽、塩と山葵、一週間熟成
●初鰹:山わさび
●金目鯛:馬糞ウニご飯
●唐墨
●鮟肝:余市
<握り>
お米が北海道のななつ星に。
一粒一粒の輪郭が際立つ硬めの米粒を、酸味の際立つ強い酢でコーティング。好みは分かれると思いますが、熟成させたネタや地味の濃ゆいネタと調和したこのシャリが、ことのほか口に合います。
●鰆:昆布〆
●中トロ:背ナカ、銚子
●小柱:野付
●赤身:銚子
●赤イカ:炙り、山ワサビ
●中トロ:腹カミ、下田
●小肌:塩締め、砂糖締め
●車海老
●牡蠣:煮上げて赤酢漬け、室津
●馬糞ウニ:根室加工の北方四島産
●マグロ:太巻き
●お味噌汁:生海苔
●卵焼き:カステラ仕立て
<お酒>
・エビス:小瓶
・御山杉:純米吟醸、生、三重
・ニ兎:純米吟醸、岡崎
・醴泉正宗:純米大吟醸、中汲み原酒、岐阜
・白岳仙:純米大吟醸、極走、福井
・義侠:純米、愛西
日本酒は四合くらい
菅谷氏の情熱
月曜日の夜です。
東麻布です。
昨年末にお伺いしてからおよそ三か月。
待ち遠しかったなぁ。
千代田線の乃木坂からのんびりと歩きます。
六時ちょうどに扉が開き、外で検温。
菅谷氏の正面に座り、先ずはご挨拶。
しかと目を見て話す菅谷氏。
精悍な出立ちに更に磨きがかかったような気がします。
それもその筈。
新店が数多の暖簾を下ろす中、すでに年内は予約で満席とのこと。東麻布の社稷を護る気概と気合いに満ち満ちておりました。
さてさて、今夜のコース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
最小限の足し算にとどめて素材の地味を生かすお店も有れば、足し算に足し算を重ねてハーモナイズされた旨味を追求する親方もいらっしゃいます。
こちらの菅谷氏は典型的な後者。
修行先の”あ○い”さんからは『濃ゆいんでさぁ~』なんて温かく見守られながら、ご自身の目指す計算された味を常に試行し続けるそ姿勢、そのプロセスに立ち会えた幸運を噛み締めます。
今夜のツマミと握りは、そろそろ目指す姿の最終系に近いかな、と感じさせる逸品でした。
<つまみ>
虎河豚白子と馬糞ウニの混ぜご飯に悶絶。痛風さんとはお友達だもんね。
それに何と言っても足し算の頂点といえる鮟肝。
多くのお店が木綿に包んで成形し、薄味で煮付けるのに対し、菅谷氏の鮟肝はまるで北アルプス。
あれが劔でそっちが立山。これが穂高に槍ヶ岳なんちゃって。
ラッコはそのアルプスのど真ん中をいただき、タップリ山葵と銘酒の三位一体に心地良く漂います。
●ハタ:木の芽と塩酢橘、山葵
●鰆:皮目炙り
●小肌
●虎河豚白子の炙りと馬糞ウニの混ぜご飯
●メジ鮪:佐渡
●鮟肝:余市
●唐墨
<握り>
人によれば酢が強すぎる、塩味も前に出過ぎ、と感じる方もいらっしゃるかと思います。
でもこれも人それぞれ。ラッコはこの骨太の強いシャリが大好物。
鮪はどこだったっけな。三宅島、大島、下田?
確か太平洋側だったはず。
●鰆:真昆布〆
●背トロ
●赤身:海苔挟み
●小柱
●中トロ:血合い岸
●煮蛤
●大トロ:砂擦り
●酢牡蠣:室津、赤酢〆
●車海老:宇部
●鰯
●馬糞ウニ:根室
●太巻き:鮪づくし
●玉子
<お酒>
女将の手書きメニューに目を通していると、『こちらのよこやま、初めて入れてみました。壱岐の焼酎の酒蔵が手がけられたんですよ。ちょっと甘いかも知れませんが、宜しければ?』と女将がお勧め。
同じ長崎ご出身ですからね、郷土愛かも?
素直に従い唇を湿らせます。
うん、酸味が強めなので、甘さは気になりません。むしろ旨口かも。
●恵比寿:小瓶
●よこやま:純米吟醸生酒、壱岐
●義侠:純米、東条特A山田錦、愛西
●而今:純米吟醸、名張
●石鎚:純米吟醸、緑ラベル、西条
●醴泉正宗:純米大吟醸、東条特A山田錦、岐阜
日本酒は恐らく四合くらい
菅谷氏の探究
大晦日の前日です。
赤羽橋です。
2021年、コロナに翻弄されたこの一年。
外食の取りに選んだのが、こちらの”鮨 すが弥”さん。
五時からの会に参加しました。
いやぁ、今夜は、というか今夜もまた呑んでしまいました。日本酒は八種類を一回転。
お鮨屋さんでこの所業は財布に羽が生えるけど、だってさ、一年の計は年末に在り!
うん?
なんか違うような気もするけど、まっ、いいか。細かいことは苦手だもん。
さてさて、今夜のコース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
菅谷氏の正面に座り、恵比寿の小瓶を静かに嗜みます。
すると板の上で鰹の斬り付けがスタート。
背中側の身ですが、皮裏の脂がすんごいのなんのって、まるでラードの膜みたい。
アカン、これは日本酒や。
ビールを一気飲みして気道を瞬間洗浄。
気配を察して後ろを振り向くと、割烹着のポケットから、にこやかに手書きのラッコ用日本酒メニューを取り出す女将。
しかも今夜は招き猫の大吉シール付きやないかい。
アイヤァ、なんやねん、このタイミングの妙!
グフッ、今夜も完敗。女将のアルカイックスマイルにも乾杯。
<つまみ>
鮟肝は言うに及ばず、鰹出汁漬けの真鱈の白子、カワハギの肝卵黄ソースなどなど、悶絶に次ぐ悶絶。
仕上げに二種類のツマミも追加し、一年の煩悩を打ち払いました。
●鮃:明石産
●鰹:背中
●白子:真鱈、鰹出汁漬け
●皮剥:小丼、漬け炙り、馬糞ウニ、卵黄
●鮟肝
●唐墨
<握り>
生ハムのような香りの鰆に朦朧。一か月ほど骨付き熟成させ、二日ほど昆布で〆たカンパチの柔肌に悶絶。なんと歩留まりは三割程度とのこと。最終日なので大間の鮪も五貫ほど登場。ルビー色に煌めく踊り子さんの眼差しにノックアウトされてしまいました。
●鰆:昆布〆
●勘八:昆布〆、三重
●中トロ:背カミ、大間、160kg
●赤身:大間、こん飛び挟み
●背トロ:大間
●小柱:厚岸
●中トロ:血合い岸
●大トロ:腹カミ一番
●鰯:北海道
●縞鯵:尾鷲、皮炙り
●車海老
●煮蛤:鹿島
●ムラサキウニとバフンウニ:上磯
●鮪:太巻き
●玉子
<追加のツマミ>
●小柱
●鮟肝
<お酒>
常備酒は八種類。全種類制覇を目論みますが、伯楽星の純米大吟醸がちょうどヤマになってしまいましたので、而今を二杯いただき、七種類の八杯で終了。
菅谷氏は半合とおっしゃいますが、どうみても七匁は入っていそうです。
●恵比寿:小瓶
●而今:生酛、東条特A秋津山田錦、三重
●田酒:特別純米、青森
●若波:純米生酒、福岡
●義侠:純米、東条特A山田錦、愛知
●美丈夫:生原種、高知
●東魁盛:山廃純米、千葉
●醴泉政宗:純米大吟醸、東条特A山田錦、岐阜
●而今:二杯目
日本酒は六合弱
菅谷氏の渾身
金曜日の夜です。
東麻布です。
今夜はおよそ二か月ぶりのこちら、”鮨 すが弥”さん
コロナさんが落ち着き始めるのと並行して、なんだか仕事もワサワサ感が増してきました。一斉スタートの六時に間に合うかなぁ、なんてドキドキしながら、ラストスパート。
気合いを入れすぎたせいで、予約時間の十五分前に到着してしまいました。
まっ、いっか。
近くでお茶でも飲むには時間が少なすぎるし、入り口の陰に隠れてスマホとニラメッコ。ほどなく続々と予約の方達が集まりはじめ、六時ちょうどに案内がスタート。
いつもの通り、奥から二番目の席に案内され、『こんばんは』とご挨拶。
ううん、今夜はなんだかいつもの雰囲気と違う。
なんやろ?
エビスの小瓶で唇を湿らしつつ周囲を伺います。
なんか、いつものルーティンとちゃうぞ。そろそろ大好きな女将が、日本酒の手書きメモを背中越しに渡してくれる筈なんやけどなぁ、フムムッ?
あっ、そうか。分かった。
女将が居らっしゃらないんや。
そういえばいつも着席する前に暖簾からお顔をチラ見せされ、嫋やかに微笑まれるアルカイックスマイルが無い。
小さな違和感はそれや。
意を察したかのように菅谷氏が呟きます。
『今夜はちょっと用事がありまして、でも「xxxさんによろしく」と、女将手書きのお酒のメニューも用意しております』
表の女子が静々と手書きメモを渡してくれます。
有難い。
用意してくれてたんや。
ハート鷲掴みやないかい、ちゅうか、もう掴まれてるんやけど、アハッ。
『あいやぁ、それは呑まないとあきまへんね。それにしても東麻布のマダム感マシマシの女将にお会いしたかったぁ...』なんて、無いものねだりの小デブ。
二種類で納めるつもりが、結局六種類ほど痛飲してしまいました。お陰で諭吉が五人ほど揃いましたが、そんなに飲まなければ四人で収まったはず。
ああっ、これで女将の笑顔に接していたらもっと呑んでたのかなぁ、なんてちょっと反省しつつ、菅谷氏に見送られながら赤羽橋の駅を目指します。
いただいたものは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
独立される直前の修行先、”あらい”さんとは対極の濃い味。新井氏の清冽な滋味も素晴らしけど、旨味の濃いシャリ、たまり醤油で煮含めた鮟肝など、ラッコの我儘な舌をガシッとグリップして離しません。
予約は困難を極めますが、なが~く、通い続けたいお店です。
<つまみ>
●星鰈:宮城
●九絵:三重、一週間寝かせ
●鰹:山わさび、三日寝かせ
●カマス:炙り、稚鮎と山椒のチャンク
●鰤:炙りご飯、ウニ卵黄ソース、北海道
●鮟肝:余市
<握り>
●サゴシ:六日寝かせ
●背トロ:大間、160kg
●赤身:海苔挿み、大間、160kg
●北寄貝:炙り、長万部
●中トロ:腹カミ、塩竈、160kg
●小肌:天草、五日目
●カマ筋:大トロ、塩竃、160kg
●車海老:宇部
●白子:鰹出汁漬け
●新イクラとムラサキウニご飯:
・ウニはサンタバーバラの素潜り
●穴子:対馬
●鮪:いろんな部位の太巻き
●玉子
<お酒>
●恵比寿:小瓶
●義侠:純米、東条特A、愛知
●田酒:特別純米、青森
●醴泉:純米大吟醸、東条特A、岐阜
●東魁盛:山廃純米、富津
●宮泉:純米、会津
●みむろ杉:特別純米、奈良
日本酒のグラスは八匁くらいなので、計五合弱
菅谷氏の弛まぬ研鑽
土曜日の夜です。
赤羽橋です。
今夜は三か月ぶりの”すが弥”さん。
予約の十分前に到着すると、すでにご夫婦らしき一組が外でお待ちです。
その後、お一人様の女子がお二人、壮年男子が一名到着し、ラッコを含めて六名かな?
『いやぁ~、お二方ほどご予約をお忘れになったようで、その分、皆様には多目にお出ししましょうかね』と、変わらぬ笑顔の菅谷氏。
左袖の金色の三本線が五本になっておりました。
『はい。石の上にも三年、ということで最初は三本線でしたが、皆様のおかげで三年目を迎え、更に次を目指そうということで五本にしてみました。縁起も良い数字のようなので...』
なるほど。
陰陽五行説の木、火、土、金、水に通じるのかな?
それとも仏法の五蘊?
いずれにしましても、弛まぬ向上心と研鑽の日々がお店の繁盛を支えます。
そんなやり取りを、そっと後ろで見守る女将。
笑みの絶えることが有りません。
ラッコは何でも美味しいと感じてしまうし、人気のお店であればなおさらウンマイのですが、その中でも通い続けるいくつかのお店の決め手は、控え目で謙虚な親方、そして柔らかい空気を醸す女将の存在。
今日は亡き家内の七回忌。
”鮨 すが弥”さんを予約していたのも、それが理由。
付かず離れずの適切な距離感。
上質で閑静な空気に癒され、ピンピンの魚と銘酒に揺蕩うこの時間が好き。
左肩に乗っかる家内が呟きます。
『私もお伺いしたかったぁ~、プンプンプン』
『あっ、それ無理。だって開店されて三年だもん』
『そっかぁ~、シクシクシク』
他愛もないお一人様時間に酔いしれます。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
詳細なコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
<つまみ>
●九絵:塩酢橘、塩昆布
●鰹:山ワサビ添え
●黒鮑:肝の味噌漬け添え
●鰻丼
●鮟肝:稚鮎と実山椒のミンチ添え
<握り>
今夜のマグロはいずれも塩釜の120Kg。
夏の鮪らしく、ほど良い酸味が乗っかります。
部位は、赤身、中トロ、カマスジ、蛇腹の四種類。しかと堪能しました。
●九絵:真昆布〆
●中トロ:塩釜
●小柱:白老
●赤身
●鰯:銚子
●蛇腹
●小肌:天草
●鱒子とムラサキウニ
●車海老
●カマスジ
●ウニ:利尻
●煮蛤:鹿島
●鮪太巻き
●玉子
菅谷氏の熱誠
今夜は赤羽橋のこちら、”鮨 すが弥”さんにお伺いしました。
昨年末以来なので、まるまる四か月ほどの空白。
ああっ、待ち遠しかった。
予約は六時ですが、その十分ほど前に到着。
玄関前で文庫本を読みながらのんびりと待っていると、『xxxさん、お久しぶりですぅ~』とマスク姿の女子。
愛くるしい笑顔の女将さんが、お買い物から帰られたところ。
『あっ、そのマスク、素敵ですね』と女将さん。
『アハッ、お鮨屋さんに来るときはこのスシネコマスクなんです』とラッコ。(写真を最後に添付しました)
ちょっとお痩せのようですが、髪も短くイメージチェンジ。東麻布のマダム感が漂い始めました。
でもまったくイヤミが有りません。
こちらの女将さんの笑顔は時間を止めますね。
そんな方、めったやたらにいらっしゃるものでは有りません。
まさに選ばれた女子。
その女将だけの特権かも。
三々五々、予約客が集まり始め、六時ちょうどに木戸が開きます。
菅谷氏の正面に着席。
両脇をお一人様の女子に挟まれ、ドッキドキのラッコ。
あっふぅ~。
なんかエエ香りがすんなぁ~?
アハッ、山葵を摺りおろしてんのかいな、グフッ。
さてさて今夜のネタですが、明石の鰈にはまだ早い時期。代わりの白身は大物の鯒。
うんまいっすねぇ~。
小樽の蝦蛄も子持ちの上物。軽く炙って甲殻類の香ばしさを演出した手技にもう悶絶。
ああっ、間違いない。
次回が早くも楽しみです。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しましたので、画像とともにお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<ツマミ>
●鯒:静岡
●鰹
●蝦蛄:小樽、子持ち、炙り
●金目鯛ご飯:ウニ卵黄ソース
●鮟肝
●稚鮎:実山椒煮
<握り>
シャリの進化にラッコの舌が感づきます。
聞けば上白糖からキビ糖に変えたとのこと。赤酢の旨味ではなく、糖の旨味に悶絶。
●マハタ:昆布〆
●中トロ:背カミ、塩釜、140kg
●赤身:那智勝浦、160kg
●小柱:厚岸、大星
●中トロ:背ナカ、沖縄、180kg
●中トロ:腹カミ、沖縄、180kg
●鳥貝:三重
●大トロ:砂摺り、沖縄、180kg
●小肌
●小柱
●車海老
●ムラサキウニ/バフンウニ:青森
●煮蛤:鹿島
●玉子
●お味噌汁
<追加>
●大トロ:カマ
菅谷氏の大願成就
水曜日の夜です。
今夜は三回転目の最後の会。
七時に訪れ、三時間ほどゆったりと愉しみます。
皆様ご存じの通り、開店三年目に入ったこの師走、赤本の星を一つ冠することとなりました。
不動前の”すし 岩澤”さんで開店前の女将修行に勤しむ奥様を目にし、その後岩澤氏の伝手で通い始めてからおよそ一年半。今に至るプロセスを間近で触れてきた身としては、心よりお祝いの言葉を紡ぎたいと思います。
もちろん菅谷氏のご努力も言うまでもありませんが、裏を陰で支える奥様のサポートがあってこその成果。
しばらく通い続けるつもりですが、これから二十年、三十年を経れば、私の好きな龍土町の”奈可久”さんのようなお店に昇華されていくのかな、なんて、そのような佳日に至ることを楽しみにしつつ、ひとり旨い酒を愛でながらニンマリと頬が緩みます。
少々お高目の部類に入るお店ではありますが、食べ比べて初めて分かるピンの中のピンネタに舌も喜び、是非もなく、納得。
星がついたことで予約も更に難しくなりますが、多くの方々に口福を届けることも、お寿司屋さんとしての本分。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
コメントは写真欄に記載しましたので、画像と共にお読みいただければ幸いです。
追記:
2020年のレビューもこれで最後となります。
多くの”いいね”や心優しいコメントを数多くお寄せいただいたフォロワーの皆様、有難うございました。
来年もまたお楽しみいただければ幸いです。
<つまみ>
●鮃
●鰹
●皮剥:肝乗せ
●平貝:磯辺巻き
●鮟肝
<握り>
●勘八:昆布〆
●背トロ
●赤身
●小柱
●霜降り
●小肌
●車海老
●鰯
●大トロ:炙り
●キタムラサキウニと馬糞ウニ
●煮蛤
●鮪:太巻き
●お味噌汁:アオサ
●玉子焼き
<追加>
●山葵巻き
<お酒>
●若波:純米吟醸、福岡
●福祝:純米無濾過生原酒、千葉
●東洋美人:大吟醸、山口
●田酒:純米吟醸、華想い、青森
●宝剣:純米大吟醸、呉
お酒は約三合程度
菅谷氏の篤実
金曜日の夜です。
麻布十番で独りゼロ次会を済ませ、軽いほろ酔い気分で赤羽橋まで歩きます。
開店十分前に到着しますが、すでに待ち合わせでしょうか、お二人の方が居らっしゃいました。
ほどなくそれぞれの相方もご到着になり、順番に中に入ります。
コートを脱ぎ、菅谷氏の正面の席に。
『こんばんは。つい先日、いらしたような気もしますが、アハッ、今年はホントに時間が過ぎるのが早かったですね』と親方。
『ははっ、そうですね。先月でしたね。魚も変わっているんじゃないかと楽しみにしておりました』と珍しく、大人のふりをした卒の無い言葉を返します。
ネタ箱からおもむろに白身の柵を取り出し、切りつけ始める菅谷氏。
立派な鮃です。
明石産とのこと。
他には重量感のある宮城の鰹、旬を迎えた小樽の蝦蛄に明石のカワハギ、182㎏の大間の本マグロ。
ああっ、ウンマイ。
シャリも赤酢が濃い目の赤シャリですが、決してとんがった酸味は無く、仄かな旨味の塊に溜息の連続。
女将が用意してくれた日本酒の手書きメニューを眺めながら、今夜も五種類、掌で弄びます。いや、違うな。弄ばれます。
お酒は美味い肴があってこそ。
半合と言いますが、絶対に七匁目はありそう。
二回転目が控えておりますので、サクサクといただき、八時過ぎにお店を後にしました。
次回は十二月の終わり。
更に脂ののった本マグロを楽しみにしつつ、そしてご馳走様でした。
それぞれのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみください。
<つまみ>
●鮃
●鰹
●蝦蛄
●北寄貝
●鰤ごはん
●鮟肝
●イカの塩辛
●ネギと山ワサビ:鰹の薬味
<握り>
●鰆:昆布〆
●背トロ
●赤身
●小柱
●大トロ
●皮剥
●大トロ:二貫目
●鰯
●車海老
●生筋子丼
●馬糞ウニ/キタムラサキウニ
●穴子
●お味噌椀
●大トロ太巻き
●玉子焼き
<お酒>
●恵比寿ビール:小瓶
●原田:特別純米、秋あがり、周南市
●美和桜:特別純米、秋あがり、三次市
●阿部勘:純米吟醸、塩釜市
●惣邑:純米吟醸、斗甕取り、長井市
●北安大國:純米吟醸原酒、ひやおろし、大町市
日本酒は計四合弱くらい
菅谷氏の才華
土曜日の夜です。
今夜は二か月ぶりの”鮨 すが弥”さん。
七時からなので、後ろを気にせず、のんびりと肴と酒を愛でる時間をいただきました。
氷雨の降る中、麻布十番駅からのんびりと歩きます。
遠くに東京タワーの上半身が見えました。
雨に濡れて鮮やかなオレンジ色が更に艶めきます。勇んで写真を撮りますがスマホでは限界。
ああっ、やっぱり一眼を持ち歩くかなぁ、なんて棚にしまった亡き妻の愛機を思い出します。
到着したのは七時五分前。
時間丁度に扉が開き、マスク姿のお綺麗なスレンダー女子が暖簾に軽く手をかけ『どうぞ、お待たせいたしました』とお声がけ。
中に入ると、アイヤッ、女子が三人に増えている。なんだか大奥のような雰囲気。時代劇好きなオヤジはイチコロですね、アハッ。
女子のお一人に菅谷氏の正面の席を引かれ、『うほっ、苦しゅうないぞ』なんて腹の中で呟き、越後屋になりきるラッコ。
先ずは菅谷氏にご挨拶。
おっ、ユニフォームを新調されておりました。
左袖口には例の金の三本線。アディダス仕様ではありません。石の上にも三年、という誓いです。
奥襟にはデザインされたアイコンがプリントされております。箸帯にも同じものが...
何やろう?
家紋には見えないしなぁ、旧い温泉旅館の丸窓の飾りに見えなくもない。
お聞きします。
『はい。すが弥の弥の旧字体(彌?)をデザイン化していただいたんです』とのこと。
なるほど、控え目で洗練された菅谷氏の美意識の一端が垣間見えます。
先ずはハイボールをお願いし、談笑しながら唇を湿らしていると他の七名の方も時間通りに勢揃い。
ネタ箱から熟成した白身を取り出し、斬りつけがスタート。
クエかな?
『今夜は後ろが無いのでごゆっくりしてください』と菅谷氏。
『はい。それでは甘えさせていただきます』とラッコ。
いただいたものは以下の通り。
それぞれのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<総論>
いずれもピンの中のピンネタ。丁寧に熟成させた技量も比類なし。シャリはこれまでの古々米から古米が登場。酢飯ですからね、新米では水分が多すぎます。
赤シャリは以前よりはやや丸みを帯びた酸味。これまでの中で最も口に合いました。
<おつまみ>
●クエ
●鰹
●北寄貝
●鰤
●鮟肝
<握り>
●鰆
●背トロ
●赤身
●小柱
●中トロ
●大トロ
●ナカズミ
●車海老
●イクラ
●馬糞ウニ
●穴子
●鮪中巻き
●玉子
追加
●カマ筋
<お酒>
●ハイボール:Glenfiddich
●宝剣:純米、呉
●米鶴 かっぱ:特別純米、山形県
●出雲富士:純米吟醸、出雲
●土佐しらぎく:純米吟醸、高知県
●澤屋まつもと 守破離:伏見
●白隠正宗:純米吟醸、沼津
日本酒は三合見当
菅谷氏の英気
火曜日の夜です。
今夜は二ヶ月ぶりのすが弥さん。
六時にお伺いします。
別なお方の予約に手違いがあり、急遽、ひと席増やした九名でスタートします。
スペースはなんとかなるものの、仕込みの段取りが気になりますが、そこは『石の上にも三年』の菅谷氏。慌てることもなく、二人のスタッフさんにいくつかの指示を静かに呟きます。
急な対応をそつなくこなす柔軟性も、これまでの修練の成果。店主としての風格に、更に磨きがかかります。
さて、今夜は珍しく、両隣が女子のお一人様でした。私の娘さんくらいでしょうか、食べ歩きをご趣味にされているようです。
なかなか一人でお鮨屋さんのカウンターに座るのは勇気が必要かと思いますが、世の中の流れも女性の社会進出を後押ししているし、なにより、菅谷氏と女将さんの醸す空気感、スタッフさんの明るい笑顔がそのハードルを下げているのかもしれません。
ただのオヤジとしては、心が裸になれる聖地を奪われそうでなんだかモジモジしてしまいますが、それはそれで良し。
ともすれば、加齢臭で灰色がかったカウンターがパッと明るくなりますものね。
右手の壁に眼をやります。
吾木香が手招きしております。
いつもながら、女将さんのセンスの良さに感服してしまいます。華美で無駄な装飾は有りません。既に数十年を経過したかのような落ち着きを感じます。
今日は火曜日なので、夜は一回転。
『あしたは仕事なので、お酒は控えますね』なんて当初の宣言は何処へやら。
ピンピンのつまみと握りの怒涛の攻めを受け止めるには、やはり武器となるお酒が必要。後ろを気にすることも無いので、締めにツマミをおかわりし、お酒と戯れた二時間半。
そしてご馳走さまでした。
いただいたものは以下の通りです。
それぞれのコメントは写真欄に記載しておりますので、ご一緒にどうぞ。
<おつまみ>
●フエ鯛
●鰹
●蒸し鮑と肝
●鰻丼
●稚鮎
<握り>
●鰆:昆布〆
●背トロ
●白イカ
●赤身:漬け
●中トロ
●小柱
●大トロ
●ナカズミ
●車海老
●新イクラ
●赤ウニと馬糞ウニ
●鰯
●煮蛤
●トロ太巻き
●生海苔のお味噌汁
<追加>
●小柱
<お酒>
●恵比寿ビール:小瓶
●義侠:純米、愛西
●勝山:純米吟醸、仙台
●阿部勘:純米吟醸、塩釜
●醴泉:純米吟醸、岐阜県養老郡
●志太泉:純米吟醸、藤枝
●ハイボール:グレンフェディック
●東魁盛:山廃純米、千葉
日本酒は三合超程度
菅谷氏の光芒
金曜日の夜です。
東麻布です。
今夜はすが弥さん。
夜8時45分からの後半の部です。
ラッコの場合、食べ終わると急いで赤羽橋駅に向かわないと終電に間に合いません。できれば前半の部で電車の時間を気にせず、のんびりしたいのが正直なところ。だって、そのあと麻布十番の商店街をぶらぶらと散策することが出来ますもんね。
といっても前半の部は6時スタート。
それはそれでリンパ(リンとなったらパッと帰るという意味です)しないとならないので、ちょっとせわしない。
だから何なんだよぉ~!
そうですよね。
前半でも後半でもそれぞれプロコンがありますが、今回は後半の部で予約。
コロナの巣ごもりで四月をスキップしたので、およそ四か月ぶりの訪問となります。
スタッフさんに新しい顔が三人。
鮨 あらいさんご出身のお若い方が板前で菅谷氏をサポート。来年、銀座で新たにお店を持たれるまでの親方修行なのだそうです。
外には見目麗しい女子スタッフが二名。八名のお客が勝手勝手に注文する飲み物類を丁寧に適切に捌きます。これはもしかして、女将さんにお〇で〇いことでも?
勝手なゲスなので、次回の九月には判明しているかも。
さてさて、今夜いただいたものですが、宮城の星鰈、夏を呼び込む鯒、ちょっと早めの鰻、今の時期の想像をはるかに超える噴火湾定置網の鮪のカマ筋、八戸の馬糞ウニタワーなどなど、水際立つ海の宝石たちが勢ぞろい。
ラッコの琴線に触れるどころか激しく揺さぶられ、金銭もどっさり落としてしまった東麻布の夜。
皆様、日本酒の火傷に気を付けましょう。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
詳細なコメントは写真とともにどうぞ。
<つまみ>
ひたすらお酒が進みます。
●星鰈
●鰹
●鰻:ミニ丼
●鮟肝
●稚鮎:ミンチ
<握り>
初夏の鮪に合わせ、シャリの赤酢は弱め。超硬めの炊き上げが口に合います。
●泥障烏賊
●鮪:血合い岸
●鮪:中トロの漬け
●鯒
●鮪:霜降り
●鮪:カマ筋
●〆鯖
●車海老
●平貝:磯辺
●北寄貝:炙り
●馬糞ウニ
●煮蛤
●鮪太巻き
●卵:スフレ
●お味噌椀
<お酒>
●ビール:エビス小瓶
●大倉:山廃特別純米、奈良
●山川流:純米、愛媛
●宝剣:純米大吟醸、呉
●醴泉:純米大吟醸、東条産特別栽培山田錦 28%、岐阜
●醴泉:純米大吟醸 玉、東条産特別栽培山田錦 28%、岐阜
菅谷氏の閑かな熱誠
日曜日の夜です。
今夜はすが弥さん。
最寄りの駅は赤羽橋ですが、隙間時間の生じた小デブは乃木坂から歩きます。
幸い朝からの雨も霧雨模様に変化し、濡れた路面に黄昏を感じながら散策するには、素敵な時間かもしれません。
十分前に到着。
一番乗りです。
庇の陰に隠れて霧雨をやり過ごしていると、三々五々、今夜のお客様が集まり始めます。
あるフォロワーさん情報によると、次回の予約は十月になってしまったとのこと。曜日の縛りや人数が不明なのでなんとも言えませんが、いずれにしましても、人気のほどは盤石のようです。
今夜は一回転なので、後ろを気にする必要は有りません。酒と肴を愛でるには嬉しい時間ですが、明日は言わずと知れた出勤日。深酒し過ぎると午後のミーティングでお昼寝しちゃいそう。
前科のある小デブとしては、気をつけないといけません。
でもそんな思いは初っ端から消え失せます。
恥じ入るような笑顔で女将が差し出す日本酒のアンチョコを目にすれば、箍が外れるとはまさにこの事。
初めての日本酒も堪能しつつふと時計を見やると、やんばい、ああっ、帰らないと十一時を過ぎてしまう。
いただいたものは以下の通り。
そしてご馳走さまでした。
<つまみ>
●蛤のスープ:
煮蛤を下拵えした際の蛤の汗。たかぶる胃を優しくいなします
●クエ:
三重県は奥志摩の秘境、南島町で水揚げされました。一週間ほど寝かせて旨味を集積。酢橘と塩で一切れ、木の芽と煮切りで二切れ目をいただきます
●真鯖:
銚子産。肉厚。青魚の濃厚な脂を堪能するため、厚めに斬り付けます。薬味は山わさびと白ネギとオカカと煮切りを和えたもの。これが酒に合う
●鮟肝:
余市産。タッパウェアの蓋を開けると、溜まり醤油のコク深い香りが一瞬でカウンターを支配。余市の鮟鱇の肝はまるで海のバターでした
<握り>
鮪の旬が過ぎたので、シャリの酸味も先月よりは控えめ。お米の一粒一粒の輪郭がはっきりとわかる硬めの炊き上げが、殊の外、口に合います
●鰆:
昆布〆。恐らく真昆布。上質過ぎる昆布だと、魚の旨味を吸い取ってしまうらしい
●墨烏賊:
江戸前。思わず泥障烏賊と勘違いするくらい肉厚。三日寝かせて内側から繊維を溶かしネットリとした食感を演出
●赤身:
宮崎は川南産の170kg。斬り付けて煮切りを一刷毛し、軽い漬け風に仕上げます。ルビー色に艶めくその身は、筋肉質らしい酸味をたたえておりました
●中トロ:
壱岐産の41kg。メジより若干大きなくらい。腹ナカの部位をいただきます。若い脂は肌理細かく、舌の上で溶けてしまいました
●中トロ:
赤身と同じ魚体。背ナカで、尾鰭を支えている部位。動きが激しいので脂のスジも無く筋肉に溶け込んでおりました
●大トロ:
下田産。短い脂繊維が縦横無尽に絡み付くこの身質に、溶けます。身も心も溶けてしまいます
●小肌:
佐賀産。〆て三日目、酢が全身に回ってウンマイ
●車海老:
このところ東麻布周辺で流行りの天本置き。思わず笑ってしまいます
●馬糞ウニと虎河豚の白子のリゾット:
馬糞ウニは根室産。シャリにたっぷりと混ぜ込み、白子の炙りを待ちます。小デブはお行儀が悪いので、混ぜ混ぜしてリゾット状にしてから徐に木匙でアンムッ。痛風さんよ、こんにちは
●北寄貝:
内臓部のモフモフの食感を、壊さない程度に軽く炙って供されます
●鰯:
銚子産。脂ドレスは薄目のシースルー
●煮蛤:
鹿島産。薬味は内に仕込んだ青混ぜ海苔と振り柚子。蛤の地味を海苔の磯の香りが優しく包み込みます
●鮪太巻き:
赤身、中トロ、大トロ、全ての部位を巻き込みます。『端っこは二つしかないんですよぉ〜』なんてそれとなく下品なアピール。
呟いてみるものです。溢れ出た切り身も眩しい超特大の端っこが目の前に届きます。
ここで一通り終了。
聞けば隠し球があるようなので、たまらず追加します。
<追加>
●本ミル貝:
愛知産。角度をつけて縦横に飾り包丁を入れます。シャリとの間には海苔を忍ばせ完成。ウンマイ
●大トロ:
日本海側の山口産です。希少部位のカマスジ。表面を軽く炙って提供。悶絶
●干瓢巻き:
お鮨の締め、大トリを飾るのは勿論、干瓢巻き
<お酒>
・福祝:純米吟醸、生、君津
・蔵王:特別純米、白石
・義侠:純米吟醸、生、愛西、東条特A
・宝剣:純米大吟醸、特A、呉
・雪中梅:大吟醸、上越市
・貴:純米大吟醸、東条山田錦、宇部
・醴泉 玉:純米大吟醸、岐阜
・東魁盛:純米吟醸、生、富津
半合と言いながら、なみなみと注がれているので六匁くらいかな。ということは、合わせて五合弱。またも女将の戦略にハマってしまいました(^◇^)
菅谷氏の赤心
土曜日の夜です。
東麻布です。
土曜日のすが弥さん。19時からの一回転。後ろを気にせずに済むのは有難い。
麻布十番の駅から歩きます。
五分前に到着すると既にカップルの方が待機中。ほどなく卒寿を迎えられた三世代のご家族連れ等が居らっしゃり、今宵の宴がスタートします。
卒寿のお母様は足元もお話もそつがありません。お皿をパスすることも無く、小デブと同量をお食べになるなんて、もう、ビックリポン。
はあっ~、そんなふうに歳を重ねられたら本望。
この時期、貝類もウニも休養期間のため、これまでとは異なる仕立てが眼前に展開。お酒は控えよう、との固い決意はいとも簡単に崩れ去り、菅谷氏と奥様の戦略(酒を呑ませる)と戦術(お酒に合うアテを繰り出す)に気持ちよく嵌ってしまいました。
理性のタガは外れ、最後に小柱をつまみで所望します。大星サイズを一粒一粒モグモグしながら、うんまいなぁ~、なんて鼻の孔を拡げつつ虚空を見やる小デブ。
う~ん。鮨はコワい、お酒はもっとコワい!
食欲暴走機関車の終点は見えません。
お会計を済ませ、乃木坂までゆらりと歩いて帰ることに決めました。だって十番の商店街と龍土の裏通りは健啖家の遊園地。
十時前だけど、開いているかなぁ~?
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
特に口に合ったものには★印をつけました。
詳細なコメントは写真とともにどうぞ。
<つまみ>
●蛤出汁
★ハタ
・塩と酢橘と山葵
・塩昆布と木の芽と煮切り醤油
●真蛸
★〆鯖
★鮟肝
<握り>
シャリは”みずほの輝き”で硬めの食感を、”ひとめぼれ”で甘さを演出。酢は強いものの、個性あふれるネタを受け止めるには必然の答え。人によっては”濃い”と感じる方もいらっしゃるかと思います。
●墨烏賊
★勘八
★赤身
★中トロ:血合い岸
★中トロ:腹ナカ
★背トロ:背鰭直下(この一貫に赤心を感じました)
★大トロ:蛇腹
★鰯
●車海老
★馬糞ウニのリゾット
★小柱
●穴子
★太巻き:鮪三部位
●お味噌汁:アオサ
<追加のつまみ>
●小柱と三つ葉
<お酒>
★醴泉 蘭奢待:大吟醸、東条特A山田錦、岐阜
★菱湖:峰乃白梅、純米吟醸、新潟
★義侠:純米吟醸、東条特A山田錦、愛西
★宝剣:純米大吟醸、兵庫特A山田錦、呉
★雪の茅舎:純米吟醸、秘伝山廃、由利本荘
★結ゆい:特別純米、結城
★東海魁:山廃純米、富津
合計四合弱
菅谷氏の専心
金曜日の夜です。
麻布十番から赤羽橋方面にゆっくりと歩きます。
今宵はこちらの“すが弥“さん。
凡そ二ヶ月ぶりの訪問。
六時丁度に引き戸が開き、中に案内されます。
予約名を告げると右から三番目、さりげなく板の正面に椅子を引かれました。
心地よい瞬間。自然と両肩が下がり、深い息を吐きだします。
正面の錫製の布袋様の置物が、琥珀色の弥勒菩薩像に変わっておりました。訊けばラリックとのこと。美意識の波長がシンクロします。
通い続けるお店には幾つかの条件がありますが、こちらは洗練された装飾と居心地の良さに加え、女将さんの控え目でこの上なく人懐っこい笑顔が満点のお店。それに今夜は二回転目が控えているので、ついつい飲み過ぎてしまう当方には、孫悟空の頭に嵌る金の輪っかのような有難い存在。
もちろん好きな時間に来て、後ろを気にすることなく、まったりとした三~四時間を過ごすひと時も好きなので、要はお店に応じて通い分ければ良いだけの話ですよね。
今夜は日本酒からスタートします。
純米が三種類。純米吟醸が同じく三種類。そして純米大吟醸が四種類、都合十種類の構成。
さてさてどれから始めるかなと、女将さん手書きのあんちょこに眼を通します。
おっ、中坊のころ多感な一年を過ごした呉の宝剣がある。しかも兵庫特A地区の山田錦。最初から純大吟だと次のお酒が霞むリスクがありますが、欲望に従順なラッコは素直にお願いします。
初っ端から飲み過ぎ注意報をスルーする無邪気な小デブですが、前回の八銘柄を超えない目標にハードルを下げます。あはっ、守れるかな?
厨房の奥から菅谷氏が現れます。
無駄な会話は不要。軽く目礼。この静かなプロローグがラッコの好み。
開店されてからおよそ一年が経過しました。
無駄な肩の力が抜け、余裕のあるゆるやかな立ち姿。まさに自然体。隙が見当たりません。早くも熟練の雰囲気を感じ取ります。剣に例えればまさに錬士の風格。
持ち上げ過ぎかな?
でも、私は通い続けます。
更に年輪を重ねられ、本当の錬士、教士、範士への階段を登る姿をこの眼で見届けたいので。
いただいたものは以下の通りです。
個々のコメントは写真とともにどうぞ。
そしてご馳走様でした。
<つまみ>
●白子と蛤のお吸い物
●鮃:明石産、塩昆布と木の芽
●鮃縁側:明石産、縁側と塩、酢橘
●鰹:佐渡産
●天然帆立
●スルメイカの塩辛
<握り>
シャリの仕立てが変化しておりました。
より硬めの食感を求めて、お米は上越の新品種”みずほの輝き”の業務用と”ひとめぼれ”に変更。”みずほの輝き”が硬さを演出、噛んだ際の甘さが”ひとめぼれ”の成果でした。さらに酢の配合も見直し、とりわけ水を今静かなブームを呼ぶパイウォーターに切り替え。
このシャリの香りと食感は好き。
●鰆:昆布〆
●墨烏賊:出水
●蛇腹:大間、200kg
●背トロ:戸井、150kg
●血合い岸:戸井
●赤身:戸井
●鰯:岩手
●車海老:山口
●小柱
●イクラご飯
●馬糞ウニ:落石と昆布森
●穴子:対馬
●鮪:太巻き
●お碗
<お酒>
・宝剣:純米大吟醸、呉
・雑賀:純米吟醸、和歌山
・北安大國:純米、無濾過生原酒、長野
・よかわ:純米大吟醸、兵庫
・播州一献:純米大吟醸、兵庫
・浅間山:純米吟醸、群馬、
・酔鯨:純米大吟醸、高知
100mlとして凡そ四合
菅谷氏の一意
火曜日の夜です。
麻布十番です。
今週からサマータイムも終了。急がないと予約の六時に間に合いません。終業の放送が流れるや否やデスクを離れ、なんとか五分前に到着。
別に多少遅れても構いませんが、後ろが切られているので折角の時間が短くなるだけ。
六時ちょっと前に扉が開き、右手に二席残して、菅谷氏の正面に案内されます。
残念なことに、その右手のお席は最後まで埋まりませんでした。ご常連様からの紹介だったようですが、まさかのNo Show!
来年の二月一杯まで満席状態なのに、なんてこったい。客目線で言えば噴飯モノ。最低限、連絡はしないとね、いけないんだよぉ〜
お店目線では、すでにいくつかの魚の斬り付けも終わっているので、ああっ、勿体ない。でも賄いかな?
それはさておき、愛らしさが抜群の女将に挨拶します。
『明日も仕事なので、お酒は控えますね。銘柄のメモ書きもお手間だから要らないですよ』とラッコ
女将の瞳孔が開きます。軽く固まります。
素早く察したラッコは『あっ、もしかして、もうご用意されてる?』
控え目な笑顔で『はい。御座います』と女将。
『うひゃ、いつもすいません。そいじゃあ呑まないとね』と結局、八銘柄が胃の中に流れ込みます。
吞み過ぎるとお会計で火傷すんだよなぁ、控えよう。だって週の後半は北九州/福岡ツアーだし、なんて前夜の誓いは何処へやら...
予想通り、諭吉四枚がお酒とともに消え去ります。呑まなければお釣りがくる筈なのに。あ〜あっ、やっちまった。でも魚もピン物だし、まぁ、いっか。
反省や決意といった単語を知らないラッコは、ノテノテと赤羽橋の駅から新宿を目指します。
いただいたものは以下の通り。
そしてご馳走様でした。
<つまみ>
●甘手鰈:
名残りの明石産。日に数枚しか揚がらず、ほとんどが京都の料亭に消えるようです。一般的には真子鰈と呼びますが、関西では甘手。明石産なので、敢えて甘手鰈と表記しました。
一枚は縁側を巻き込み、塩と酢橘と山葵でいただきます。もう一枚は木の芽と塩昆布を巻き込み、煮切りで。儚い旨味をまとう名残りの味を惜しみます。
●鰹:
マルーン色の憎い奴が三枚。
『どうぞ、お開きになってくださいな』と言わんばかりに品を作ります。ムニュ〜ッ、モニュ〜ッと、程よく脂肪を含んだ嫋やかな身質に悶絶。薬味は山わさびと鰹節、ネギを醤油でまとめたもの。後でこの薬味だけをお酒のアテに、黙って置いていただきます。
●鰤:
早い。もう鰤の登場です。北海道の噴火湾産。水温の変化とともに、これから日本海を降りてくるのでしょう。皮目を軽く炙って三日目の熟成。
一枚は、塩漬け山椒とともに漬け込んだ逸品。まるで生ハムのような見た目。薬味は和芥子。燻製香が漂います。もう一枚は炙り直して大根おろしを巻き込みます。
若いので健全な脂。クドさは皆無。氷見で獲れる頃には、濃いめのオヤジアブラに変化しているのかな?
●鮟肝:
一見、大き目の角煮か頰肉の煮込みのような黒い塊が現れます。包丁を入れると、ちょっと赤身がかった断面が。おおっ、鮟肝! ラッコの大好物。常磐は白色系だけど、道産、おそらく余市のあたり、は湯上りの艶めかしいピンク色。餌の違いなんでしょうね。
こちらは湯上り肌なので、間違い無く道産。あんまい。黒砂糖かと思いきや、時間をかけて煮詰めた、たまり醤油の甘さ。鮟肝の中身も美味しいけど、たまり醤油が浸透したコクの強い表面も大好き。これまでで最高の鮟肝、アハッ。
<握り>
硬めのシャリはどストライク。やや強目の赤酢ですが、こちらの仕立ては口に合います。
●天然シマアジ:鹿児島産、一週間熟成
●墨烏賊:これから旬を迎えます
●赤身:塩釜産、ルビー色の輝き
●中トロ:背ナカ
●中トロ:腹ナカ
●大トロ:蛇腹
●小肌:天草産、漬けて一週間、青魚の旨味が凝縮
●小柱:道産、丸山の青混ぜ海苔
●車海老:養殖
●新イクラ:手ほぐし
●ウニのタワマン:赤ウニとムラサキウニ
●穴子:対馬
●手巻き:剥がしと赤身
●お味噌汁
単品で追加しました。
●穴子:
つまみ。太い。このサイズなら焼きより煮が美味い
<お酒>
●賀茂金秀:特別純米、広島
●惣邑:純米吟醸、山形
●斧琴菊(黄金澤):純米大吟醸、宮城
●真澄:純米吟醸、長野
●文佳人:純米大吟醸、高知
●美丈夫:純米大吟醸、高知
●東魁盛:山廃純米、千葉
●醴泉:純米吟醸、岐阜
各半合として計四合
菅谷氏の本領
土曜日の夜です。
今夜は隅田川花火大会。
道理で朝からそこかしこに浴衣姿の娘さんを見かけます。
ひっつめ髪の襟足って美しいですよね。
あっ、別に変な意味ではありません。
自分にも娘がいればなぁ~、なんて無理を願う父親目線です。
両国のすみだ北斎美術館で知識欲を満たし、大江戸線で赤羽橋に移動します。
三か月ぶりのすが弥さん。
土用の丑の日ですからね、鰻が出ちゃったりして...
七時丁度に引き戸が開き、お弟子さんが菅谷氏の正面の椅子を引いてくださいます。
『お久しぶりです』と会釈を交わします。
以前と変わらず、細身の体躯から漲る精気を感じます。
今夜も至福の夜が約束されました。
菅谷氏がつまみの準備を始めます。
山葵の甘く官能的な香気。
木の芽の凛とした芳香。
白木の箱から取り出されたのは、熟成がすすみ、薄く白濁した白身。
身質からハタ系と分かりましたが、佐島産の九絵とのこと。
玄界灘や長崎の天然物とはしばしば出会いますが、相模湾とは珍しい。やはり年に数回しか揚がらないそうです。
菅谷氏の手元を見続けます。
一人に二切れづつ部位を選んでまな板に並べ、木の芽とみじん状の汐昆布を乗せて二つ折り。もう一切れは塩と酢橘。
菅谷氏に焦りはありません。
丁寧にゆっくり、華麗に盛りつけます。
お任せ一本なので、自分のペースで呑み食いはできません。
それに八名分をお一人で差配されているので、どうしても隙間時間が生じてしまいますが、なぜだろう、不思議と間延びした印象を抱きません。
菅谷氏の所作の美しさ、のせいかな?
以前、袖口の三本線を『石の上にも三年、との自戒です』と呟かれましたが、まさにこれまでの修練の成果が、高い次元で昇華されています。
通いたいお店ですね。
今夜も飲み過ぎてしまいました。
各半合づつ、十一種類。
私が大酒呑みだとご存知の女将さんが、今夜の日本酒一覧の手書きメモをご用意しておいてくださいました。
温かいお気持ちに癒されます。
さあっ来週も頑張ろう。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
<つまみ>
●九絵:佐島産
●黒鮑:蒸し、大原産
●黒鮑の肝の味噌漬け
●鰹:気仙沼産
●鰻:蒸しご飯
<握り他>
●春子鯛
●障泥烏賊
●縞鯵
●漬け
●小肌
●小柱
●車海老
●金目鯛
●鰯
●ウニ:根室の馬糞と由良の赤ウニ
●玉子:小柱と芝海老、甘みは蜂蜜
●味噌椀
●べったら漬け
<追加のつまみ>
●穴子
<お酒>
・ハイボール
・若波:純米吟醸
・雨後の月:純米大吟醸
・江戸開城:純米吟醸
・みむろ杉:特別純米
・三井の寿:純米吟醸
・聖:生酛、純米大吟醸
・雪の茅舎:山廃、純米大吟醸
・東魁盛:純米、山廃
・松の司:純米大吟醸
・白岳仙:純米吟醸
・霊泉:純米吟醸
日本酒は各半合なので六合弱
菅谷氏の城郭
木曜日の夜です。
東麻布です。
麻布十番駅から赤羽橋方面に歩くこと数分、細長いビルの一階、ちょっとだけ奥まった箇所に看板を発見。
外壁にネオンサインも有りませんので、ウッカリ通り過ぎてしまいそう。
此方は『鮨 あらい』さんから、昨年暮れに独立されたお店のようですが、寡聞にして存じ上げませんでした。
先週『すし 岩澤』さんにお伺いしたところ、表を八面六臂の働きで差配されていた長崎出身の快活な女性がいらっしゃいません。
岩澤氏にお聞きしたところ、女将さんとして活躍中とのこと。『是非一度、お伺いされてください』と名刺をいただきます。
食べログると、親方の写真も出てきました。
うん。思い出しました。
昨年春にお伺いした際、新井氏の右手に立たれておりましたが、そういえば今年の一月にはいらっしゃいませんでした。
新井氏の『みんな、あたしんとっから居なくなっちゃうんでサァ〜』の、冗談とも本気ともつかない嘆きを思い出します。
すかさず電話を入れますが、希望する五月の曜日は既に満席。運良くキャンセルが出たとのことで、今日のこの日と相成りました。
カウンターのみ八席の七時一斉スタートです。
ラッコは馬では有りませんし、食べたいネタを勝手気儘にお願いするのが好きなのですが、そこはお店の流儀に従います。
五分前に到着。
『すが弥』と書かれた錫のプレートがお出迎え。菅谷氏のこだわりというか、美意識の一旦が伺えます。
七時ちょうどに引き戸が開けられ、清々しく若いお弟子さんが中に案内してくださいます。
暖簾を潜ると女将さんが満面の笑み。
『xxxさん。岩澤ではお世話になりました』
覚えてんのかよぉ〜(^◇^)
そりゃそうだ。あれだけ取っ替え引っ替え日本酒を呑むオヤジは、そう滅多に居ないはず。
良いなぁ! 女将の笑顔。
決めた、通っちゃお!
菅谷氏の正面に席を引かれます。
嬉しいな。一見なのに。
目が合います。
侍?
武道家?
はたまた居合の達人?
とでもいった風情。
筋肉質の細い立ち姿から漲る精気を感じ取ります。
左袖に金色の三本線の刺繍を発見。
『袖元の金色の三本線ですが、海軍士官みたいでカッコ良いですね』とジャブを放つラッコ。
『はい。アディダスなんです』と菅谷氏。
ええって!
アディダスが鮨職人さんの制服にまで進出?
目を剥くラッコ。
『あはは、冗談です。石の上にも三年、という誓いなんです』と菅谷氏。
もう、思わず信じちゃったよぉ〜!
軽くカウンターを当てられ、もんどりうつラッコ。
出来る!
手練れや!
参りました。
『鮨 さかい』さんや『すし処 めくみ』さんと同様、盛り付けや斬り付けを全てお一人でなさいます。
従い隙間時間が生じるのですが、菅谷氏の長い指先を見つめながら、お酒をちびりちびりと舐めるだけで、不思議とくつろげます。
次回の予約を女将にお願いし、三時間の憩いも終了。
ゆっくりと赤羽橋駅に向かいます。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
コメントは写真とともにどうぞ。
<つまみ>
●眞子鰈
●初鰹
●金目鯛の炙り
<握り>
赤酢と米酢のブレンド。硬めのシャリが口に合います。
●春子鯛
●泥障烏賊
●赤身:背ナカ
●中トロ:血合い岸
●背トロ
●大トロ
●大トロ:砂ズリ
●小肌
●平貝
●車海老
●鯵
●桜鱒
●煮蛤
●ムラサキウニ
●トロ鉄火
●干瓢巻き
●お椀
<お酒>
●恵比寿ビール:小瓶
●醴泉:純米吟醸、岐阜
●若並:純米吟醸、福岡
●文佳人:純米吟醸、高知
●志太泉:純米吟醸、藤枝
●東魁盛:山廃、富津
●鳳凰美田:純米大吟醸、小山
●大倉:山廃純米大吟醸、奈良
計四合弱でしょうか
店名 |
Sugaya
|
---|---|
类型 | 寿司 |
预约・查询 |
03-6230-9545 |
预约可/不可 |
仅限预订
※因为是同时开始,所以到达较晚的情况下可能会有一部分料理无法提供,请注意。※预约取消政策以后取消10% 31天前取消50% 7天前取消100%※非常抱歉,还请您谅解。 |
地址 |
東京都港区東麻布1-29-15 東麻布296ビル 1F |
交通方式 |
从都营大江户线赤羽桥站 (中之桥出口) 步行2分钟东京Metro麻布十番站 (3号出口) 步行7分钟都营三田线芝公园站 (A4出口) 步行10分钟 距離赤羽桥 135 米 |
营业时间 |
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预算 |
¥60,000~¥79,999 |
预算(评价总数) |
¥60,000~¥79,999¥60,000~¥79,999
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付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 无使用电子钱 无使用二維码支付 |
收据 |
可以开具符合条件的发票收据。 注册号码T2010401169274 ※有关最新注册状态,请查看国税厅发票系统合格发票开具人公告网站网站或联系商店。 |
服务费收费 |
※另收10%的服务费。 |
座位数 |
8 Seats ( 只有吧台座位) |
---|---|
个人包厢 |
不可能 |
包场 |
不可能 |
禁烟・吸烟 |
严禁吸烟 请不要在中途退席时吸烟。 |
停车场 |
不可能 附近有投币式停车场 |
空间、设备 |
平静的空间,座位宽敞,有吧台座位,提供电源插座 |
酒水 |
对日本酒讲究,对烧酒讲究,对葡萄酒讲究 |
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料理 |
对鱼类料理讲究 |
此时建议 |
许多人推荐的用途。 |
---|---|
位置 |
神秘不为人知的餐厅 |
网站 | |
开店日 |
2018.12.7 |
备注 |
[主厨搭配套餐55,000 日元(含税)~] *需另外收取 10% 的服务费。 *根据购买情况,价格可能会上涨约5,500日元。 *价格可能会根据鲍鱼和螃蟹的供应情况而有所不同。 *请注意,这只是当前价格,当天的套餐价格可能会根据季节和日期略有变化。 [关于迟到、取消、变更] *预订确认后,无论任何理由,恕不接受人数或日期的变更。 *预订前请确认您的预订日期和人数。 *请注意,即使人数发生变化,也将被视为取消。 *请注意,因上述原因取消预订也将收取取消费用,敬请您的理解和理解。 [来访时的注意事项及禁止事项] *请务必与预约者一起用餐。请注意,如果您以外的人来店,预订将被视为取消。 *如果您使用香水或具有强烈气味的美发产品,请不要来店,因为这可能会给其他顾客带来不便。 *如果您出现上述情况来到我们的商店,我们可能会拒绝您的入场。感谢您提前的理解。 *请勿携带大件行李。 *店内及周围全面禁止吸烟。 *请勿在店内打电话,以免打扰其他顾客。 *拍照时请注意不要让快门声和闪光灯打扰其他顾客。另外,请只拍摄食物的照片,以免其他顾客和员工出现在照片中。 *请勿拍摄视频。 |
土曜日の夜です。
東麻布です。
今夜はおよそ三か月ぶりのこちら、【すが弥】さんにお伺いしました。
今年に入り、『ズワイ蟹に鱶鰭を合わせてみようと思います』なんてご案内をいただいておりましたが、なかなか都合が合わず、三月になってからのお伺い。
ズワイ蟹はギリかな・・・、なんて、でも、まっ、いっか!虎河豚白子も鮟肝もあるだろうしなんて高をくくっていると、アイヤァ、来週からは虎河豚もズワイもオシマイということでああっ、良かったぁ、ギリギリセーフやねんな、アハッ、と一安心。
新国立美術館からノテノテと歩いて六時十分前に到着すると、既にインバウンドのカップルとお一人様の男子が外でお待ち。ほどなくご夫婦と思しき二組がいらっしゃり、八名が揃ったところでちょうど扉が開きます。
さてさてそれでは本題。
いただいた内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
そしてご馳走様でした。
<まとめ>
素材の地味と滋味をいかす薄味のお鮨も好きですが、こちらの濃ゆい味は別枠。
なんといっても酢の立った舎利が口に合う。聞けば舎利が全ての背骨とのこと。先ずは舎利ありきで、それからこの強い味わいをシカと受け止めるネタを揃えるという段取り。
なるほどなるほど、脂を蓄えたネタは更に熟成させ、淡白な白身は寝かせて旨味を凝縮、青魚は強い酢で小骨を溶かします。
この仕立てがなんとも口に合う。
握りの仕舞い際に入ると、頬っぺたの裏側まで〆られたような感覚に襲われますが、でも大丈夫。今宵はズワイ蟹と鱶鰭のオジヤで完全中和。
こればっかりは好みですし、超高級店としての価格設定ですが、ホンモノの舎利を味わいたい方、強めのガツン味が好きな方、ピンの中のピンネタを愛する方には、是非ご賞味していただきたいお店のひとつです。
<つまみ>
⚫︎お造り:
・メジマグロ:赤身
・真鯛:小柴
・平貝
・小柱
⚫︎メジマグロ:バターソテー、トリュフチーズ
⚫︎帆立:天然、XO醤、有明海苔
⚫︎鮟肝
⚫︎唐墨
⚫︎虎河豚白子:リゾット、馬糞ウニ
<握り>
今夜の鮪は舞阪の一本釣りです。やま幸さんのピンピンです。
⚫︎縁側:明石、4kg
⚫︎背トロ:背鰭下、一週間寝かせ
⚫︎墨烏賊:小柴、酢橘、五日寝かせ
⚫︎赤身:海苔挟み
⚫︎金目鯛:山わさび、銚子
⚫︎中トロ:漬け、二週間、舞阪
⚫︎鳥貝:室津
⚫︎大トロ:舞阪
⚫︎鰯:一週間
⚫︎イクラとムラサキウニ:相盛り、八戸
⚫︎松葉蟹と鱶鰭雑炊
⚫︎鮪太巻き
⚫︎卵
⚫︎お味噌汁
<お酒>
・恵比寿:小瓶
・田酒:特別純米、青森
・惣邑:純米吟醸、長井
・浅間山:純米吟醸、東御
・Kiss of Fire:純米大吟醸、加賀