浦和で輝くモダンイノベーティブ : RESTAURANT SALT

埼玉は浦和の地。浦和駅から県庁の方向へ歩き、15分ほどの場所にあるこちらのお店。以前、うなぎの名店、浜名さんへ来た際に通り掛かり、浦和にこんなモダンでおしゃれなお店があるのだとマークしていて、ようやく訪問の機会を得ました。1人でもネット予約可能なことを知った、というのもあります。

平日のランチタイム。開店時の11時半を目指して浦和駅に着いたのですが横殴りの大雨で無事に辿り着けるか迷いながらも何とかギリギリの到着。入店すると丁寧な接客で迎えてくださり一安心です。私以外にも予約が4組。私ともうお一方以外は全てグループ客でした。

さて、こちらのシェフである井上氏はNARISAWAさんのご出身ということで、なるほど、モダンフレンチをベースにしつつも和食や様々な料理のテイストを掛け合わせたイノベーティブジャンルということにも納得でした。

この日は午後から仕事を控えていたので、ノンアルコールで料理を楽しみます。

・アミューズ
レコード針に見立てたダイヤモンド型のプレートにて
クルトンの上に埼玉・幸手産の鴨リエット
クミン、パプリカを使ったタルタル

・スープ
岩槻産・菊芋のポタージュ
粒マスタードを揚げてカリカリに

・パン　
幸手のパン百名店、cimaiさんのカンパーニュ
オリーブオイルはチリのアイコノ。フルーティなオイルで、お店で販売もしている

・深谷ネギの炭火焼き　スペシャリテ
鴨の油と生姜でコンフィに
ネギから作った炭のパウダーを散りばめて
真ん中の切れ目から切る根っこはぼそぼそしているので食べても食べなくてもOK

・リゾット
柚子胡椒、菜の花、ホタルイカのリゾット。富山湾ホタルイカを使用
菜の花は岩槻産で、ブイヨンで蒸し焼きに
コラトゥーラというチーズを使用
柚子の皮と自家製のカラスミをパウダーに

・魚料理
島根のサワラ　炭火焼き
岩槻の蕗のとうの天ぷら
入間のカブをかぶら蒸しにして、蕗のとうの芽吹きを表現
蕗、白ワイン、白味噌、クリームを使ったソース

・肉料理
幸手産の鴨胸肉ロースト
インカの目覚め、岩槻産・キンカンのコンポート
鴨の肝などと赤ワイン、マデラ酒、八角などを合わせたソース

・デザート
苺は埼玉大利根のいちご
レモンのジュレ
杏仁のアイス

・お茶菓子
オレンジマカロン
フィナンシェ

いやはや、素晴らしいお料理の数々でした。
幸手の鴨をこれほど美味しくいただけるのだとか、岩槻の蕗のとうがこんなにも美味しく天ぷらになり、鰆の見事な味わいと調和するのだとか、食べながら頷く発見が多かったです。

どれも全て美味しいというのはなかなか無いことなので、感銘を受けつつも、やはりイノベーティブジャンルは食べるだけでなく「魅せる」要素もありますので、その辺りも含めて日夜研ぎ澄まされている料理なのだなと思いました。

最初のアミューズがレコード針に見立てた提供なのも、シェフが音楽がお好きで様々なジャンルの楽曲が店内に流れていることの現れでもあるのでしょう。スペシャリテの深谷ネギはネギから作った炭のパウダーで黒色を見事に使った表現でしたし、鰆の炭火焼きは春の芽吹きを天ぷらを使って表現されていたりと、その表現力もとても楽しめました。

期せずして埼玉・幸手の名店cimaiさんのパンをいただけるのも嬉しかったですが。
岩槻や入間、深谷、幸手といった埼玉の食材を使う地産地消というスタイルも好きですね。まだまだ関東人である我々も知らない食材が多数あると思いますし、井上シェフのような腕と表現力がある料理人の方の手に掛けていただけることは我々にとっても生産者さんにとっても嬉しいことなのでは無いでしょうか。

個人的には次回のThe Tabelog Awardノミネートを狙っていただきたいと思います。